マンションの長期修繕計画作成費用の相場は?依頼先の違いや見直しのポイントを徹底解説
更新日:2026年05月29日(金)
マンションの理事や修繕委員に就任し、いざ「長期修繕計画の見直し」を進めようとした際、見積もりに記載された金額を見て「こんなに費用がかかるの?」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。 マンションの資産価値と居住者の安全を守るために、長期修繕計画は必要不可欠な羅針盤です。しかし、その作成や見直しにかかる費用は決して安くありません。 本記事では、「マンション 長期修繕計画作成費用」の相場から、費用の内訳、管理会社と外部コンサルタントの違い、そして無駄な出費を抑える適正化のコツについて解説します。
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マンションの「長期修繕計画作成費用」の相場
長期修繕計画の作成(または大幅な見直し)にかかる費用は、マンションの規模(総戸数や延床面積)、設備の複雑さ(タワーマンション、機械式駐車場、ディスポーザーの有無など)、そして「どこに依頼するか」によって大きく変動します。
一般的な費用の目安は以下の通りです。
マンションの規模 | 費用の相場(目安) | 備考 |
小規模(50戸未満) | 30万円 〜 60万円 | 設備がシンプルな場合は比較的安価 |
中規模(50戸〜100戸) | 50万円 〜 100万円 | エレベーター複数台、機械式駐車場がある場合は上昇 |
大規模(100戸〜300戸) | 100万円 〜 200万円 | 共用施設(ジムやジャグジー、ゲストルーム等)の有無が影響 |
タワーマンション・超大規模 | 200万円 〜 500万円以上 | 特殊足場や高度な設備調査が必要なため高額 |
※上記は「ゼロからの新規作成」または「現地調査を伴う全体的な見直し」の場合の相場です。インフレや資材高騰を反映させるだけの「簡易的な数値のアップデート(システム上の更新)」であれば、数十万円程度、あるいは管理委託業務の範囲内で無償対応してくれるケースもあります。
なぜ費用がかかるの?作成・見直し作業の内訳
数十万円から数百万円という費用が発生するのには、明確な理由があります。長期修繕計画の作成は、単にエクセルで数字を入力するだけではなく、高度な専門知識と現地での泥臭い調査に基づいているからです。
主な作業内訳は以下の3つに分けられます。
① 現地調査(劣化診断)・ヒアリング
図面だけでは分からない「実際の建物の劣化状況」を専門家(建築士など)が目視や打診で確認します。外壁のひび割れ、屋上の防水状態、鉄部のサビ、給排水管の状態などをチェックし、修繕が必要な時期を正確に見極めます。また、管理組合からの要望や過去のトラブル履歴のヒアリングも行います。
② 図面・過去の修繕履歴の精査
竣工時の設計図書(意匠図、構造図、設備図など)から建物の数量(外壁の面積、防水の面積など)を正確に拾い出します。また、過去にどのような修繕工事をいくらで行ったのかという履歴と照らし合わせ、実態に即した計画を練り上げます。
③ 資金計画のシミュレーションと資料作成
向こう30年〜40年にわたって発生する工事項目をリストアップし、それぞれの予想工事費を算出します。そして、現在の「修繕積立金」の残高と将来の徴収予定額を比較し、資金がショートしないか(不足しないか)をシミュレーションします。不足する場合は、段階的な値上げ案や一時金の徴収案を複数パターン作成し、理事会・総会向けの分かりやすいレポートにまとめます。
依頼先は大きく2つ!それぞれのメリット・デメリット
長期修繕計画の作成費用は、依頼するパートナー(管理会社か外部専門家か)によっても見積もり額やその後の運用が大きく変わってきます。
A. 管理会社に依頼する(現在委託している会社)
日常的な管理を任せている管理会社に作成を依頼するパターンです。
メリット
マンションの現状や過去の修繕履歴を最も把握しているため、話がスムーズです。また、管理委託契約の範囲内(無償)、あるいは外部より比較的安価な費用(数十万円程度)で引き受けてくれることが多いです。
デメリット
将来の大規模修繕工事も自社(管理会社)で受注することを前提に計画を立てるため、工事費用が「割高な相場」で設定されがちです。結果として、修繕積立金の大幅な値上げを提案されるケースがあります。
B. 外部の専門家(設計事務所・マンション管理士など)に依頼する
管理会社とは利害関係のない、第三者のコンサルタントや建築士に依頼するパターンです。
メリット
完全に中立な立場で、無駄のない適正な工事時期と適正な工事価格(市場価格)で計画を作成してくれます。長期的に見れば、大規模修繕工事のコストダウンに繋がり、作成費用を払ってでもお釣りがくることが多いです。
デメリット
管理会社に頼むよりも、初期の「作成費用そのもの」は高くなる傾向があります(相場で数十万円アップ)。また、信頼できる専門家を自分たちで探す手間がかかります。
見直しは「5年に1度」が基本!放置するリスクとは?
国土交通省が発行している「長期修繕計画作成ガイドライン」では、計画の見直しは「5年程度ごと」に行うことが推奨されています。費用がかかるからといって10年以上見直しを放置すると、以下のような深刻なリスクを引き起こします。
資金ショートによるスラム化
建築資材や人件費の高騰(インフレ)が計画に反映されていないと、いざ工事をする際に資金が全く足りず、修繕を断念せざるを得なくなります。建物の劣化が放置されれば資産価値は暴落します。
理不尽な積立金の急激な値上げ
資金不足が直前で発覚すると、「来月から修繕積立金を今の3倍にします」「各戸一律で50万円の一時金を徴収します」といった極端な対応が必要になり、居住者間で深刻なトラブルに発展します。
適切な工事時期の見誤り
海沿いか内陸かなど、環境によって劣化のスピードは異なります。初期の画一的な計画のままでは、まだ使える設備を無駄に早く交換してしまったり、逆に手遅れになって雨漏りが発生したりします。
長期修繕計画作成費用を抑える・適正化する3つのポイント
マンションの限られた予算の中で、質の高い修繕計画を適正な価格で手に入れるためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
① 必ず「相見積もり」を取得する
管理会社から提出された見積もりをそのまま鵜呑みにせず、外部の設計事務所やマンション管理士(コンサルタント)からも見積もりを取りましょう。相見積もりを取ることで市場の適正価格が分かるだけでなく、「管理会社の作成費用は安いが、将来の工事費見積もりが異常に高い」といったカラクリに気づくことができます。
② 見直しの「目的と仕様」を明確にする
「今回は劣化診断(現地調査)をしっかり行って実態に合わせるのか」、それとも「物価上昇分だけを反映させた簡易なシミュレーションで良いのか」によって費用は激変します。例えば、「築10年目だから簡易見直しでOK、築15年目前だから現地調査を含めた抜本的な見直しをする」など、メリハリをつけることで無駄な調査費用を省けます。
③ 自治体の「補助金・助成金」を活用する
多くの自治体(市区町村)では、マンションの老朽化対策として、長期修繕計画の作成や劣化診断にかかる費用の一部を補助する制度を設けています。数十万円の補助が出るケースもあるため、依頼前に必ず自治体のホームページを確認するか、窓口に問い合わせてみましょう。
監修者の考察
長期修繕計画の作成費用を「コスト」ではなく「未来への投資」と捉えるべきという主張は極めて重要です。特に、管理会社一辺倒ではなく、外部専門家やスマート修繕のような相見積もりを活用する「第三者の視点」を取り入れることが、将来的な大規模修繕工事費の適正化(数億円単位のコストダウン)に直結します。
目先の数十万円の出費を惜しんだ結果、修繕積立金の大幅な値上げや資金ショートという最悪の事態を招くリスクを避けるためにも、国土交通省のガイドラインに従った5年ごとの定期的な見直しが不可欠です。
理事会は、見直しの目的(簡易更新か現地調査を伴う抜本的見直し)を明確にし、無駄な出費を抑えつつ、自治体の補助金情報も確認する姿勢が求められます。
長期修繕計画は「修繕積立金を決めること」だけが目的です。この目的を見失わないようにしましょう。また、その目的を果たすためだけであれば、「高額な費用掛けて詳細な計画を作る必要性は低い」というケースが多いことも予め知っておくと良いでしょう。作成費用は長期的な資産価値維持のための健全な経費と認識すべきです。
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- ボリュームゾーンである30~80戸のマンションのみならず、多棟型やタワーマンションの実績も豊富で、社内にはゼネコン、修繕会社や修繕コンサルティング会社など出身の建築士等が多数いますので、お気軽にご相談ください。
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本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
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