マンションのエントランス破損トラブル!初期対応から責任の所在・専門家活用のポイントまで徹底解説
更新日:2026年05月29日(金)
マンションの顔とも言える「エントランス」。居住者が毎日利用し、来客を最初に迎える大切な空間ですが、それゆえにさまざまなトラブルが起こりやすい場所でもあります。ガラスのひび割れ、タイルの欠け、自動ドアの故障など、マンションのエントランスが破損してしまった場合、誰が責任を負い、どのように修理を進めればよいのでしょうか。 本記事では、マンションのエントランスが破損した際の初期対応、責任の所在や保険の適用について解説します。
- 本記事のポイント
- マンションのエントランスが破損!まずは冷静な「初期対応」を
- 破損の原因別に見る「責任の所在」と費用負担
- エントランスでよくある破損事例と修理費用の目安
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マンションのエントランスが破損!まずは冷静な「初期対応」を
エントランスの破損を発見した場合、あるいは誤って破損させてしまった場合、最初に行うべきは「安全の確保」と「迅速な報告」です。
危険の周知と安全確保
割れたガラスの破片が散乱していたり、タイルが浮いて転倒の恐れがあったりする場合は、二次被害を防ぐことが最優先です。触らないように注意喚起の張り紙をしたり、カラーコーンを設置したりして、他の居住者や通行人が近づかないように応急処置を行います。
管理会社・管理組合への速やかな連絡
エントランスはマンションの「共用部分」に該当するため、個人の判断で勝手に修理を手配することはできません。破損を発見した居住者、または破損させてしまった当事者は、速やかに管理会社(管理人がいれば管理人)または管理組合の理事長へ報告してください。
状況の記録と証拠保全
後日、保険を請求したり、責任の所在を明らかにしたりするために、破損した箇所をスマートフォンなどで複数の角度から撮影しておくことが推奨されます。また、防犯カメラが設置されている場合は、管理組合を通じて早めに映像の確認・保存を行うことが重要です(一定期間で録画が上書きされてしまうため)。
破損の原因別に見る「責任の所在」と費用負担
エントランスの修理費用を誰が負担するのかは、「なぜ破損したのか」という原因によって明確に異なります。大きく分けて以下の3つのパターンが考えられます。
① 第三者や居住者の過失・故意による破損
引越し業者が荷物をぶつけた、居住者の子どもが遊んでいて物を当てた、自転車をぶつけてしまったなど、原因となった人物が特定できるケースです。 この場合、基本的には「破損させた本人(またはその保護者・雇用主)」に原状回復の義務が生じ、修理費用を全額負担することになります。故意の悪戯や車での衝突なども同様です。
② 自然災害による破損
台風による飛来物でガラスが割れた、地震でタイルが剥がれ落ちたといった、不可抗力である自然災害が原因のケースです。 特定の誰かに責任を問うことができないため、基本的には「管理組合」がマンションの修繕積立金等から費用を負担して修理を行います。ただし、後述するマンション総合保険が適用できる場合が多くあります。
③ 経年劣化による破損
長年の使用によって自動ドアの部品が摩耗した、建物の収縮により自然にタイルのひび割れが発生したといったケースです。 こちらも特定の個人の責任ではないため、「管理組合」の負担(計画修繕の一環など)で対応することになります。経年劣化は保険の適用外となるのが一般的です。
エントランスでよくある破損事例と修理費用の目安
エントランスの破損と一口に言っても、箇所によってかかる費用は様々です。ここでは代表的な事例と、一般的な修理費用の目安をご紹介します。
※状況や使用されている材質によって価格は大きく変動します
ガラスの割れ(自動ドア・FIX窓など)
一般的なフロートガラスや網入りガラスであれば、数万円〜10万円程度
マンション向けに特注された大型の強化ガラスや防犯ガラスの場合、数十万円から、場合によっては100万円近くになることもあります。
床・壁のタイル破損
数枚程度の部分補修であれば数万円程度
ただし、築年数が経過していると「同じ色・柄のタイルがすでに廃盤になっている」というケースが多く、似たタイルで妥協するか、広範囲を張り替える(数十万円〜)かの選択を迫られることがあります。
自動ドアの故障・衝突による変形
センサーや駆動ベルトなどの部品交換であれば数万円〜10万円程度
衝突によってドア枠そのものが歪んでしまった場合は、枠全体の交換工事が必要となり、50万円以上の高額な費用がかかることも珍しくありません。
修理費用をカバーできる?知っておきたい「保険」の知識
高額になりがちなエントランスの修理費用ですが、適切な保険に加入していれば、自己負担を大幅に軽減できる可能性があります。
管理組合が加入する「マンション総合保険」
管理組合がマンション全体にかけている火災保険(マンション総合保険)には、さまざまな特約が付帯されていることが一般的です。
「破損・汚損」特約(不測かつ突発的な事故)
飛来物によるガラス割れや、原因不明の当て逃げなど、予測できない突発的な事故による破損をカバーできる場合があります。
風災・雪災補償
台風や強風、大雪が原因での破損に適用されます。
※ただし、保険契約の内容(免責金額の設定など)や、経年劣化とみなされるかどうかによって適用可否が変わるため、保険会社への確認が必要です。
個人が加入する「個人賠償責任保険」
居住者が誤ってエントランスを破損させてしまった場合、その個人が加入している保険が使える可能性があります。 自動車保険、火災保険、傷害保険などに特約として付帯されていることが多い「個人賠償責任保険」は、他人の財物(この場合はマンションの共用部分)を壊して法律上の損害賠償責任を負った場合に補償されます。
自転車保険に付帯されているケースも多いので、加害者となってしまった場合は自身の保険証券を確認してみましょう。
監修者の考察
エントランスにおけるトラブルの原因追及に関しては、防犯上の観点からもカメラの設置が有効です。管理人がいる昼間の場合は、何か起こった場合は、すぐに連絡、対応ができますが、原因不明のトラブルが起きるのは大抵は夜間に多くなるからです。
以前、大型のタワーマンションにおいて、酔った住民が帰宅の際に、嘔吐をして、そのままいなくなるということがありました。翌朝、住民が気づき管理人によって対処されましたが、高級マンションの広いエントランスの床タイルが、その部分だけくすみが出て、ほかの場所と光沢が変わってしまいました。ほかの住民からのクレームもあり、タイル研磨業者に依頼をして修繕を行いました。費用は10万程度でした。この際、防犯カメラにより本人の特定ができたこともあり、管理会社によって確認、交渉が行われ支払いが行われました。
住民や訪問者が使うエントランスは、マンションの顔ともいえる場所です。しっかりと原因追及できる体制を組んでおくことは、おかしなトラブルを防ぐ方法といえますね。
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本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
本記事の監修者

酒井 智明
設計コンサルタント会社の役員を経て入社。これまでに500戸超・35階以上のタワーマンション(ツインタワー含む)8棟や、総戸数1,500戸・11棟を超える団地型マンション、さらに50~100戸規模の中規模マンションまで幅広く設計を手がける。携わった総戸数は8,000戸以上、工事金額は110億円を超える豊富な実績を有する。スマート修繕では主に大型案件の大規模修繕および給排水設備の更新工事を担当し、実務に裏打ちされた専門的な視点から記事を監修。
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