マンションの役員は何をする?役職別の役割や1年の流れ、専門家活用の重要性を解説
更新日:2026年05月28日(木)
マンション管理組合の役員は、多くの場合、住民の持ち回りや輪番制などにより、ある程度事前に決まったタイミングで就任することが一般的です。そのため、まったく想定していないまま「ある日突然」任命されるというケースはそれほど多くはありませんが、実際に役員になると戸惑いを感じる方も少なくありません。 マンションの役員(理事・監事)には専門的な知識が必要なのではないか、日常の負担が大きいのではないかといった不安を抱かれがちです。しかし実際には、管理会社が日常的な業務や実務面をサポートするため、役員がすべての作業を一人で担う必要はありません。 本記事では、マンション役員の基本的な役割や役職ごとの仕事内容、1年間の流れについて解説します。さらに、複雑な課題に直面した際に、管理組合運営を無理なく適切に進めるための「専門家活用の重要性」についても紹介します。
- 本記事のポイント
- マンション管理組合と役員(理事会)の基本的な関係
- 役職別:マンション役員の具体的な仕事内容
- 理事会における1年間の主なスケジュール
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マンション管理組合と役員(理事会)の基本的な関係
役員の仕事内容を知る前に、まずは「管理組合」と「理事会(役員)」がどのような関係にあるのかを整理しておきましょう。
管理組合とは?
分譲マンションを購入すると、その所有者(区分所有者)は(原則として)「管理組合」の組合員となります。管理組合の目的は、マンションの建物や敷地などの「共用部分(エントランス、廊下、エレベーターなど)」を共同で維持・管理していくことです。マンションの資産価値を守り、安全で快適な住環境を維持するための最も基本的な組織と言えます。
理事会(役員)の立ち位置
管理組合の最高意思決定機関は、組合員全員が参加できる「総会」です。しかし、日常的なマンションの維持管理において、何かトラブルが起きるたびに全員を集めて話し合うことは現実的ではありません。 そこで、組合員の代表として選ばれ、日常の業務執行や問題解決のための話し合いを行うのが「理事会」であり、そのメンバーが「役員(理事および監事)」です。理事会は、いわばマンションという小さな会社の「取締役会」のような役割を担っています。
管理会社との役割分担
多くのマンションでは、日常の清掃や設備の点検、管理費等の徴収・収納業務といった実務を「管理会社」に委託しています。 管理会社はあくまで「委託された業務を遂行するパートナー」であり、最終的な方針を決定したり、管理会社からの報告を受けて承認したりするのは、役員で構成される理事会の仕事となります。
役職別:マンション役員の具体的な仕事内容
マンションの役員は、大きく分けて「理事」と「監事」に分類されます。さらに理事の中から、理事長や副理事長などの役職が選任されます。ここでは、一般的な役職ごとの仕事内容を見ていきましょう。
① 理事長(管理者)
理事長は、管理組合を代表する最も重要な役職です。区分所有法における「管理者」に該当することが多く、法的な責任を伴う立場でもあります。
主な仕事内容
- 理事会および総会の招集と、議会の進行
- 管理組合を代表して、管理会社や修繕業者との契約を締結する
- 管理組合の銀行口座の名義人となり、財産の管理を行う
(実際の出納業務は管理会社が行うことが多いです)
- 緊急時の一次対応の判断や、各種申請書類の代表者印の押印
② 副理事長
副理事長は、理事長を補佐する役割を担います。
主な仕事内容
- 理事長が病気や出張などで不在の際に、その職務を代行する
- 大規模なマンションでは、特定のプロジェクト(大規模修繕工事など)のリーダーを任されることもある
③ 会計担当理事
マンションの管理費や修繕積立金といった、大切なお金の流れをチェックする役職です。
主な仕事内容
- 管理会社から提出される月次の収支報告書を確認する
- 期末の決算報告書や、次期の予算案の作成に関わる
(管理会社の作成した素案を精査します)
- 管理費の滞納状況を把握し、理事会で対応を検討する際の窓口となる
④ 書記担当理事
理事会や総会で話し合われた内容を記録として残す役職です。
主な仕事内容
- 理事会および総会の「議事録」の作成
- 議事録の保管や、組合員への閲覧対応
(実務的な作成や配布は、管理会社のフロント担当者がサポートしてくれるケースが一般的です)
⑤ 監事
監事は、理事会の業務が正しく行われているか、財産が適切に管理されているかを客観的な立場でチェックする「監査役」です。そのため、理事長や他の理事と兼任することはできません。
主な仕事内容
- 管理組合の業務の執行状況や、財産状況の監査を行う
- 総会において、監査結果の報告を行う
- 不正や異常を発見した場合は、理事長に対して理事会の招集を請求する権限を持ちます
⑥ 一般の理事(平理事)
特定の役職を持たない理事も、理事会を構成する重要なメンバーです。
主な仕事内容
- 理事会に出席し、議題に対して意見を述べ、議決に参加する
- 必要に応じて、広報担当(広報誌の作成)や、防災担当(防災訓練の企画)といった役割を分担することがあります
理事会における1年間の主なスケジュール
役員になると、1年間を通じてどのような活動を行うのでしょうか。標準的なマンションにおける、おおまかな年間スケジュールをご紹介します。
毎月〜数か月に1回:定例理事会の開催
定期的に理事会を開催し、管理会社からの月次報告(収支状況や設備点検の結果など)を受けます。また、居住者からの要望事項の検討や、小規模な修繕工事の承認なども行います。開催頻度はマンションの規模や抱えている課題によって異なります。
期首(就任直後):引き継ぎと年間方針の確認
前任の役員から引き継ぎを受け、今年度の理事会で優先的に取り組むべき課題を確認します。
期中:各種点検・行事への対応
消防設備の点検や、貯水槽の清掃などが適切に行われているか、管理会社からの報告書で確認します。マンションによっては、防災訓練や居住者向けの懇親会などを企画・運営することもあります。
期末(総会の1〜2か月前):決算と次期予算・事業計画の検討
1年間の活動の総決算として、管理会社が作成した決算報告書案や、次期の予算案・事業計画案を理事会で揉み、総会に提出する議案を確定させます。
期末:通常総会の開催
全組合員を対象とした総会を開催します。理事長が議長を務め、1年間の活動報告、決算報告、次期予算案の承認などを求めます。総会が無事に終了し、次期役員へ引き継ぎを行えば、1年間の任期は完了です。
役員の負担を減らし、無理なく運営するポイント
仕事や家事、育児で忙しい中、役員の業務を負担に感じる方は少なくありません。円滑に、かつ無理なく理事会を運営するためのポイントをいくつかご紹介します。
管理会社との良好なパートナーシップを築く
実務の多くは管理会社が代行してくれます。議事録の素案作成や、工事業者との日程調整など、委託契約の範囲内で任せられる部分はしっかりと任せ、役員は「確認と判断」に注力することが大切です。
ITツールの活用を検討する
近年では、理事会をオンライン(Web会議システム)で開催したり、役員間の連絡にチャットツールを導入したりするマンションが増えています。これにより、移動時間の削減や、多忙な方でも参加しやすい環境を作ることができます。
完璧を求めすぎず、チームで分担する
理事長一人に負担が集中しないよう、副理事長や他の理事で業務を分担することが長続きの秘訣です。「自分たちの代で全てを解決しなければ」と気負いすぎず、次期以降へ課題を引き継ぐことも、時には適切な判断となります。
複雑化する課題への備え:「専門家の活用」という選択肢
マンションの管理では、役員だけでは判断が難しい専門的な課題に直面することがあります。こうした場面で無理に理事会だけで解決しようとするのではなく、外部の専門家を適切に活用することが、結果としてマンションの資産価値を守り、役員の精神的な負担を軽減することにつながります。
専門家を活用することで、「管理会社から提示された大規模修繕工事の見積もりが適正か判断できない」「管理規約が現状の生活実態に合わず改定を検討したい」「居住者間トラブルや管理費滞納への対応について法的な助言が必要」といった場面でも、専門的な視点から理事会をサポートしてもらうことができます。
また、建物の劣化診断や大規模修繕工事の設計・監理には建築士などの専門家の知見が不可欠であり、法的な紛争に発展する可能性があるケースでは弁護士の助言が有効です。
「分からないことは専門家に相談する」という選択肢を持つことで、役員は過度な負担やプレッシャーから解放され、より客観的で適切な判断がしやすくなります。
監修者の考察
多くの組合員が抱く「専門知識が必要」「負担が大きい」という懸念に対し、管理会社が日常業務を代行し、役員は「確認と判断」に注力すべきであるという視点は重要です。
役員の最も重要な役割は、マンションの資産価値を維持し、安全な住環境を守るための最終的な意思決定を行うことです。特に大規模修繕工事の適正性判断や、規約改定、法的問題への対応など、複雑化する課題に直面した際には、各案件に対し、建築士、弁護士、スマート修繕のような適正価格の見積取得を支援する会社など専門家を躊躇なく活用することが、客観的かつ適切な管理運営を継続する鍵となります。
役員経験は、ご自身の資産であるマンションの現状を深く知る貴重な機会でもあり、他の役員や専門家と協力し、「一人で抱え込まない」運営を心掛けることを推奨します。1
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本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
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