マンションのフェンス交換における「コア抜き」とは?費用・注意点・管理組合の規約を徹底解説
更新日:2026年05月29日(金)
マンションの大規模修繕や外構・バルコニーの改修工事の見積もりを確認した際、「コア抜き」という専門用語が含まれていて疑問に思ったことはありませんか? マンションのフェンス交換において、既存の躯体(コンクリートの壁やバルコニーの立ち上がり部分)や外周のブロック塀を再利用する場合、「コア抜き」は非常に重要な工法となります。 本記事では、マンションのフェンス交換におけるコア抜きの意味や仕組み、費用の相場、特有のリスク、そして管理組合としての注意点について解説します。
- 本記事のポイント
- コア抜き工事には事前の鉄筋探査が必要になる
- フェンスは共用部。個人での勝手な交換はNG
- 組合主導の業者選びと代替工法の検討が重要
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マンションのフェンス交換における「コア抜き」とは?
「コア抜き(コアボーリング)」とは、既存の鉄筋コンクリート(RC)の躯体やブロック塀に対して、専用の機械(コアドリル)を用いて円筒状の穴を空ける工事のことです。
マンションでは、敷地外周のフェンスや、各住戸のバルコニー(ベランダ)の手すりフェンス、1階専用庭の仕切りフェンスなどを交換する機会があります。既存のフェンスを撤去して新しいフェンスを設置する際、以下の理由から新たに柱用の穴を空け直す必要が生じます。
古い柱が躯体に埋まっていて抜けない場合
古いフェンスの柱を根元で切断し、別の場所に新しい柱用の穴を空ける必要があります。
安全性確保のために柱のピッチ(間隔)が変わる場合
最新の建築基準や製品仕様に合わせて柱の間隔を狭める場合、既存の穴が使えないため、新しい位置に穴を空けます。
このように、マンションの頑丈なコンクリート躯体を大きく壊すことなく、新しいフェンスの柱を立てるための土台作りが「コア抜き」の役割です。
コア抜き工法でマンションのフェンスを交換するメリット
マンションの改修工事において、躯体を解体せずにコア抜きを行ってフェンスを交換することには、主に以下の3つの大きなメリットがあります。
① 大規模な解体を防ぎ、修繕費用を大幅に抑えられる
マンションのバルコニーの立ち上がりや外周の擁壁は、建物の構造と一体化していることが多く、これらを解体して作り直すのは現実的ではありません。コア抜きであれば、必要な箇所にピンポイントで穴を空けるだけで済むため、解体費用やコンクリートの再打設費用を劇的に削減できます。
② 工期を短縮し、居住者への負担を軽減できる
コンクリートの解体や打設を伴う工事は、長期間にわたり足場を組む必要があり、居住者の生活に大きなストレスを与えます。コア抜きであれば施工がスピーディーに進むため、防犯上フェンスがない状態や、作業員がバルコニー側に出入りする期間を最小限に抑えられます。
③ 産業廃棄物を削減できる
既存のコンクリートをそのまま活用するため、大量のコンクリート廃材(ガラ)が出ません。環境配慮(SDGs)が求められる現代のマンション運営においても、理にかなったエコな工法です。
マンションならではの「コア抜き」のデメリットと超重要事項
戸建て住宅のブロック塀とは異なり、マンションのコンクリート躯体へのコア抜きには、建物全体の寿命や安全性に関わる重大なリスクが存在します。
① 構造スリットや鉄筋を切断するリスク(最も重要)
マンションのコンクリートの内部には、建物の強度や耐震性を保つための「鉄筋」が密に入っています。コア抜きによってこの主筋などを切断してしまうと、マンション全体の構造強度に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。
これを防ぐため、マンションでのコア抜き前には、必ず「鉄筋探査(X線探査やレーダー探査)」を行い、鉄筋を避けて穴を空ける位置をミリ単位で決定する必要があります。
② 漏水(雨漏り)のリスク
バルコニーや屋上パラペットにコア抜きを行う場合、防水層を傷つけてしまう可能性があります。新しい柱を立てた後の防水処理(シーリングやモルタル充填)が甘いと、そこから雨水がコンクリート内部に侵入し、内部の鉄筋を錆びさせ、コンクリートの爆裂(剥落)を引き起こす原因になります。
③ 甚大な騒音と振動の発生
コンクリートをダイヤモンドの刃で削り取るため、施工中はマンション中に響き渡るほどの低周波の騒音と振動が発生します。テレワーク中の居住者や、夜勤明けの居住者からのクレームに発展しやすいため、管理組合や管理会社からの事前の丁寧な広報とスケジュール調整が不可欠です。
費用相場(マンション規模での目安)
マンションのフェンス交換に伴うコア抜き費用は、単なる穴あけ費用だけでなく、事前の調査費用が加わるのが特徴です。
項目 | 費用相場 | 備考 |
鉄筋探査費(レーダー法) | 30,000円 〜 50,000円 / 半日 | 施工箇所が多い場合は人工(1日単位)で計算 |
鉄筋探査費(X線法) | 50,000円 〜 100,000円 / 箇所 | より高精度だが費用が高く、立入規制が必要 |
コア抜き単価(1か所) | 5,000円 〜 10,000円 | RC(鉄筋コンクリート)への施工はブロックより割高 |
古いフェンスの撤去費 | 規模による | 足場の有無でも大きく変動 |
新規フェンス・手すり設置 | 規模による | アルミ、ガラス、ルーバーなどの材質による |
※マンション全体の大規模修繕の場合、数百箇所におよぶコア抜きが必要になるため、工事費用全体で数百万円〜数千万円規模のプロジェクトとなります。
個人(区分所有者)によるDIY・独断の交換は「絶対NG」
1階の専用庭のフェンスや、ご自身の部屋のバルコニーのフェンスであっても、個人で業者を手配してコア抜きを行い、フェンスを交換することは原則としてできません。
フェンスは「共用部分」
バルコニーや専用庭は、特定の区分所有者が専用で使用できる権利(専用使用権)が与えられているだけで、法的な扱いは「共用部分」です。
管理規約違反
共用部分の形状や効用を変更する工事は、管理組合の理事会承認や、総会での決議(普通決議または特別決議)が必要です。
賠償責任のリスク
無断で躯体にコア抜きを行い、鉄筋を切断してしまった場合、マンション全体の資産価値を毀損したとして、莫大な損害賠償を請求される恐れがあります。
必ず管理会社や管理組合に事前に相談し、マンション全体の修繕計画の中で対応するか、指定されたルールに従って承認を得る手続きを踏んでください。
コア抜きができない・推奨されない場合の代替案
鉄筋が密集していてコア抜きができない場合や、管理組合のルールで躯体への穿孔(穴あけ)が一切禁止されているマンションでは、以下の代替工法が採用されます。
① ベースプレート(アンカー固定)工法
躯体に大きな穴を空けるのではなく、フェンスの柱の根元に平らな金属板(ベースプレート)が付いている製品を使用します。躯体に細いアンカーボルトを打ち込んで固定するため、鉄筋を切断するリスクを大幅に減らすことができます。(※アンカーを打つ際も事前の鉄筋探査は推奨されます)
② カバー工法
既存のフェンスの柱をそのまま残し、その上から新しいフェンスの部材を被せたり、既存の柱を骨組みとして利用して新しいパネルを取り付ける工法です。コア抜きが不要で騒音も少なく、最近のマンション修繕で非常に人気が高まっています。
③ 独立基礎工法(外周フェンスの場合)
敷地境界のブロック塀が古くてコア抜きに耐えられない場合は、既存の壁の手前の土にコンクリートの独立基礎を埋め込み、そこに新しいフェンスを立てます。
マンションの改修を任せる信頼できる業者の選び方
管理組合として修繕業者や外構業者を選定する際は、以下のポイントを必ずチェックしましょう。
マンションの大規模修繕・改修工事の実績が豊富か
戸建てとマンションでは勝手が全く異なります。マンション特有の規約や居住者対応に慣れている業者を選びましょう。
「鉄筋探査」を標準見積もりに入れているか
鉄筋探査を省いて安さをアピールする業者は、マンションの資産価値を脅かす危険な業者です。探査からコア抜きまでを一貫して行える(または連携できている)体制が必須です。
居住者への配慮があるか
騒音の発生日時や作業工程表を、各住戸へ分かりやすく事前周知してくれる、管理能力の高い業者を選ぶことが、トラブルのない修繕の鍵となります。
監修者の考察
マンションのバルコニーのフェンスは、人命を守る大切な部位です。安いからと工法を確認せずに安易に安い事業者に依頼をすることは絶対に避けましょう。また、マンションの場合は、交換個数も多くなり、工期も長くなります。
作業中は、フェンスがなくなるため、落下防止措置などをしっかりした養生が必要になります。完了時のことだけではなく、設置中の安全対策なども含めて確認する必要があります。足場がある場合は、ない状況と比べて安全性を確保しながら作業できるため大規模修繕工事のタイミングと合わせて工事を行うことは住民の方の負担の削減にも効果的といえます。しかし、フェンスの交換の工事費が嵩みますので、予算だけでなく工期の計画も含めた検討を行う必要があります。
そのために、管理会社や設計コンサル会社に丸投げすることは避け、中間マージンなどを最小限に抑えた事業者選定を選択すること組合主導で進めることは有効な手段であるといえます。
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- 代表
- 豊田 賢治郎
- 入会団体
- 日本経済団体連合会(経団連)
- 登録
- 一級建築士事務所 東京都知事登録第66294号
- 資本金
- 8億4,996万0,994円(準備金含む)
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- 福岡県福岡市博多区博多駅中央街8-1 JRJP博多ビル 3F
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本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
本記事の監修者
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遠藤 七保
大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。
二級建築士,管理業務主任者
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