マンションの「機械式駐車場が金食い虫」と言われる理由とは?維持費・修繕問題の解決に向けた専門家活用のすすめ
更新日:2026年05月29日(金)
マンションの管理組合で理事を務めたり、長期修繕計画を見直したりする際、避けて通れない課題の一つが「機械式駐車場」の維持管理です。 特に近年は、車離れや利用率低下の影響で空き区画が増え、将来的な更新費・修繕費の負担に不安を抱えるマンションも少なくありません。情報収集を進める中で、「機械式駐車場 金食い虫」という強い表現を目にした方もいるでしょう。 確かに、機械式駐車場は平面駐車場と比べて維持コストが高く、定期点検や部品交換、将来的な設備更新に多額の費用が必要になるケースがあります。一方で、都市部の限られた敷地を有効活用できる重要な設備でもあり、一概に不要とは言い切れません。 本記事では、機械式駐車場が「金食い虫」と呼ばれる背景や、維持費・修繕費の実態、さらに将来の負担軽減に向けた対策や専門家活用のポイントについて解説します。
- 本記事のポイント
- そもそも機械式駐車場とは?
- なぜ「機械式駐車場は金食い虫」と言われてしまうのか
- 機械式駐車場が抱えやすい具体的な課題を抑える
お問い合わせ件数、数千組合様以上!
修繕のプロにぜひお任せください!!

Webから無料相談
専門家に相談する
そもそも機械式駐車場とは?
機械式駐車場とは、モーターによる昇降装置や横行装置を使って、パレット(車を乗せる台)を動かし、車を立体的に収納する駐車設備のことです。国土交通省の資料においても、マンションの適切な維持管理や修繕計画において重要視される設備の一つとして位置付けられています。
特に地価が高く敷地面積に余裕がない都市部のマンションでは、限られたスペースで必要な駐車台数を確保するために、多くの物件で導入されてきました。代表的な種類には以下のものがあります。
ピット式(昇降式)
地下に掘ったピット(穴)に車を沈め、地上と地下で車を縦に並べて駐車する方式です。
昇降横行式(パズル式)
パレットが上下左右にパズルブロックのように動き、指定の車を出し入れする方式です。中規模マンションでよく見られます。
多段式
縦に2段〜4段ほどのパレットが重なっており、上段の車を出すためには下段の車を先に移動させる必要があるなど、比較的シンプルな構造です。
タワー式(エレベーター方式)
塔のような建物の中に車を格納し、中央のリフトで車を各階の棚に納める大規模な設備です。
なぜ「機械式駐車場は金食い虫」と言われてしまうのか
機械式駐車場が「金食い虫」と揶揄されてしまう主な理由は、継続的に発生する高額な維持管理費と、社会情勢の変化による収支の悪化にあります。
維持費が継続的に発生するため
ただアスファルトを敷いただけの平面駐車場とは異なり、機械式駐車場は巨大な「機械設備」です。電気モーター、ワイヤーロープ、チェーン、各種センサー、制御盤など、膨大な数の部品で構成されています。
安全に稼働させるためには、エレベーターと同様に専門業者による定期的な保守点検が欠かせません。この定期点検費に加え、稼働させるための電気代、パレットの錆止め塗装、定期的な消耗部品(スイッチ類やセンサー)の交換などが発生します。
一般的なマンションであっても、保守点検と小規模な部品交換だけで年間数十万円〜数百万円規模のランニングコストがかかり続けることになります。
利用率の低下で収支が悪化しやすい
近年、機械式駐車場の維持をさらに困難にしているのが「空き区画(空きパレット)の増加」です。これにはいくつかの社会的背景があります。
若年層の車離れとカーシェアの普及
特に都市部では公共交通機関が発達しており、必要な時だけカーシェアリングを利用するライフスタイルが定着し、マンション内で車を保有する世帯が減少しています。
車両サイズの大型化
築年数の経った機械式駐車場は、「車高1,550mm以下(一般的なセダンサイズ)」や「車幅1,850mm以下」といった厳しい制限が設けられていることがほとんどです。しかし現在、ファミリー層に人気なのは背の高いミニバンやSUV、あるいは軽自動車でも全高の高いスーパーハイトワゴンです。「車は持っているが、マンションの駐車場に入らないから近所の平面駐車場を借りている」というミスマッチが頻発しています。
利用者が減れば、管理組合に入ってくる「駐車場使用料」という収入が減少します。しかし、機械式駐車場の保守点検費は空きがあっても減ることはありません。結果として「収入が減るのに維持費だけが固定でかかり続ける」という赤字状態に陥りやすいのです。
大規模修繕時の費用負担が莫大
ランニングコスト以上に問題となるのが、設備が寿命を迎えた時の更新費用です。機械式駐車場の耐用年数は、使用頻度や環境にもよりますが、おおよそ20年〜30年程度とされています。
この時期に行う改修や更新費用の目安は以下の通りです。
* 部分修繕・部品交換(モーターや制御盤の交換): 数百万円規模
* 設備の全面更新(パレットや骨組みごとの入れ替え): 数千万円〜1億円規模(規模による)
国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」でも、機械式駐車場は外壁塗装や屋上防水と並んで、計画的な資金の積み立てが必要な設備として明記されています。
機械式駐車場が抱えやすい具体的な課題
上記のような背景から、マンションの管理運営において次のような具体的な課題が浮き彫りになってきます。
① 修繕積立金不足への直結
新築分譲時の販売計画では、駐車場の利用率を100%に近い数字で見積もり、その駐車場収入を修繕積立金の一部に充当する前提で計画が組まれていることが多くあります。 しかし、現実には利用率が50%程度まで落ち込み、さらに機械の全面更新に数千万円が必要になった場合、マンションの会計は一気にショートします。その結果、居住者の修繕積立金の大幅な値上げや、数十万円の一時金の徴収、最悪の場合は他の必要な修繕(外壁や給排水管など)を延期せざるを得なくなるという事態に発展します。
② 故障時の生活への影響が大きい
機械式駐車場は、たった一つのセンサーの故障でも安全装置が働き、設備全体が停止してしまうことがあります。「朝、出勤しようとしたら車が出せない」「旅行から帰ってきたのに車庫に入れられない」といったトラブルは、居住者の生活に直接的なダメージを与えます。 また、築年数が経過するとメーカーからの部品供給が終了(製造中止)してしまい、修理するまでに何週間も待たされるケースも出てきます。
③ 災害時(水害)のリスク
地下ピット式の駐車場の場合、近年激甚化するゲリラ豪雨や台風による浸水リスクが指摘されています。国土交通省でも豪雨災害の増加を踏まえ、地下設備への浸水対策の重要性を呼びかけています。 地下ピットが冠水すると、預けている車が水没して廃車になるだけでなく、水に浸かった機械式駐車場の電気系統やモーターが全損し、莫大な復旧費用がかかることになります。
それでも機械式駐車場が必要とされる理由
ここまでネガティブな側面を見てきましたが、機械式駐車場が全くの無用の長物かと言えば、そうではありません。都市部のマンションにおいて、依然として一定の役割を果たしています。
限られた敷地の有効活用
これが最大の理由です。都市部では、平面駐車場だけで全住戸の何割かにあたる駐車スペースを確保することは不可能です。限られた土地を有効に使い、居住者の利便性(敷地内に車を停められること)を高めるためには、機械式駐車場が現実的かつ合理的な選択肢でした。
防犯面・いたずら防止のメリット
タワー式駐車場や、ピット式の地下部分などは、外部から不審者が侵入して車に触れることが物理的に困難です。そのため、車上荒らしや10円パンチなどのいたずら、車両盗難のリスクを大幅に軽減できるというセキュリティ面のメリットを重視する声も少なくありません。雨風や紫外線から車を守り、劣化を防ぐ効果もあります。
自治体の「駐車場附置義務条例」による制約
マンションを建設する際、多くの自治体では「一定規模以上の建築物には、〇台以上の駐車スペースを設けなければならない」という駐車場附置義務条例を定めています。開発業者はこの条例をクリアしつつ、建物の容積率を最大限に活かすために、やむを得ず機械式駐車場を導入しているという建築計画上の背景もあります。
機械式駐車場を見直す際の「3つの選択肢」
設備の老朽化や空き区画の増加に直面した管理組合は、将来に向けてどのようなアクションを起こすべきでしょうか。大きく分けて3つの選択肢があります。
選択肢1:計画的に修繕しながら「維持」する
立地が良く、現在も高い利用率(概ね70〜80%以上)を維持できている場合や、まだ築年数が浅い場合は、適切に修繕を行いながら使い続けることが基本となります。 この場合、単に現状維持とするのではなく、定期点検の内容(フルメンテナンス契約かPOG契約か)を見直してランニングコストを削減したり、長期修繕計画における更新費用の見積もりが現実的かを再検証したりすることが重要です。
選択肢2:一部を撤去して「平面化」する
空き区画が目立つものの、一定数の利用者はいるという状況でよく検討されるのが「一部撤去(平面化)」です。例えば、3段式の機械式駐車場のパレットや機械設備を撤去し、一番下の段(またはピットを埋め戻した地上部分)だけを平面駐車場として再利用する方法です。 機械がなくなるため、その後の定期点検費や電気代、将来の更新費用をゼロ(または大幅に削減)にできるというメリットがあります。ただし、撤去工事そのものや、地下ピットを埋め戻してアスファルトで舗装するための初期費用が数百万〜千万円単位で必要になります。
選択肢3:全面撤去し、別の用途に転用する
利用者が極めて少なく、近隣の月極駐車場にも空きがあるような場合は、機械式駐車場をすべて撤去してしまうケースもあります。 撤去した後のスペースは、平面駐車場にするだけでなく、需要の増えている「駐輪場」や、災害用の「防災備蓄倉庫」、あるいは外部に貸し出す「カーシェアリングの駐車スペース」など、現代のマンションのニーズに合わせた設備へ転用することで、新たな価値を生み出すことが可能です。
複雑な課題解決には「専門家の活用」が不可欠
機械式駐車場の見直し(特に撤去や平面化)は、理事会や居住者だけで話し合っても、なかなか結論が出ないことがほとんどです。「車を持っている人」と「持っていない人」で意見が対立しやすく、また金額の規模が大きいため責任を負いきれないからです。 そのため、冷静かつ合理的な判断を下すためには、第三者の専門家の視点を取り入れることが極めて重要になります。
客観的なデータに基づく現状分析とシミュレーション
専門家は、単に「お金がかかるから撤去しましょう」とは言いません。現在の利用率、近隣の駐車場の相場、将来の車保有需要に対するアンケート調査などを実施し、「維持した場合の30年間のコスト」と「撤去・平面化した場合の初期費用+その後のコスト」を正確にシミュレーションしてくれます。これにより、感情論ではなく「数字」に基づいた議論が可能になります。
法律・条例のハードルをクリアする
前述した「駐車場附置義務条例」がある場合、勝手に駐車場を減らすことは違法建築物となる恐れがあります。しかし近年では、自治体と協議することで条例の緩和措置を受けられるケースも増えています。専門家は、こうした行政との専門的な協議や手続きのサポートも行ってくれます。
相見積もりによる適正価格の把握
機械式駐車場の修繕や撤去工事は、普段つきあいのある管理会社やメンテナンス会社から提出される見積もりが必ずしも最安・最適とは限りません。専門家のアドバイスのもと、複数の業者から「相見積もり」を取得し、工事内容と費用を比較検討することで、数百万円単位でコストダウンできることも珍しくありません。
合意形成(総会決議)に向けたファシリテーション
一部撤去や全面撤去は、マンションの共用部分の「重大変更」にあたり、総会で組合員の3分の2以上、あるいは4分の3以上の賛成(特別決議)が必要になるなど、非常にハードルの高い手続きが求められます。専門家が理事会に伴走し、住民説明会などでわかりやすく丁寧な説明を行うことで、住民の不安を解消し、スムーズな合意形成へと導くことができます。
監修者の考察
機械式駐車場の維持に関する問題は、年々増加傾向にあるといえます。また、平面化などの工事を手がける事業者も数年前よりも増えてきています。一昔前は、相見積もりを取ることが難しかった工事も現在では、比較することができ、検討できる幅が広がったともいえます。
工事の内容や金額も大切ですが、マンションとしてどうしていくかの合意形成も大切なことです。将来の見通しとメリット、デメリットもしっかりと文章で説明できるようにまとめていくコンサルタントの存在が欠かせません。この見積比較とコンサルタントによる合意形成の手法が、機械式駐車場の維持、廃止の検討の決め手といえるでしょう。コンサルタントに他マンションの事例などをヒアリングしながら、自分たちのマンションは、どれくらい駐車スペースを残し、どのような工法が適しているかなど、実際の数字と具体例をもとに検討していくことが大切といえます。
機械式駐車場の支援サービス「スマート修繕」
- 「スマート修繕」は、一級建築士事務所の専門家が伴走しながら見積取得や比較選定をサポートし、適正な内容/金額での工事を実現できるディー・エヌ・エー(DeNA)グループのサービスです。
- 機械式駐車場の修繕・更新の支援実績は多数あります。社内にはゼネコン、修繕会社や修繕コンサルティング会社など出身の建築士等が多数いますので、お気軽にご相談ください。
- 事業者からのマーケティング費で運営されており、見積支援サービスについては最後まで無料でご利用可能です。紹介事業者は登録審査済でサービス独自の工事完成保証がついているため、安心してご利用いただけます。
電話で無料相談
24時間対応通話料・相談料 無料
Webから無料相談
プロの相見積もりで修繕費を大幅削減!
- 代表
- 豊田 賢治郎
- 入会団体
- 日本経済団体連合会(経団連)
- 登録
- 一級建築士事務所 東京都知事登録第66294号
- 資本金
- 8億4,996万0,994円(準備金含む)
- 主要投資家
- ディー・エヌ・エー(DeNA)
最大手VCであるJAFCOが運用するファンド
グローバル・ブレインがJR東日本、西武ホールディングス、芙蓉総合リース等の資金を運用するファンド
ミダスキャピタルグループであるDual Bridge Capitalが 運用するファンド - 本社
- 東京都港区赤坂5-2-33 IsaI AkasakA 510
- 宮城オフィス
- 宮城県仙台市青葉区花京院2-1-61 オークツリー仙台 1F
- 神奈川オフィス
- 神奈川県横浜市港北区新横浜2-3-12 新横浜スクエア 14F
- 愛知オフィス
- 愛知県名古屋市中村区名駅1-1-1 JPタワー名古屋 21F
- 大阪オフィス
- 大阪府大阪市中央区安土町2-3-13 大阪国際ビルディング 31F
- 兵庫オフィス
- 兵庫県神⼾市中央区御幸通8-1-6 神⼾国際会館 22F
- 広島オフィス
- 広島県広島市東区二葉の里3-5-7 GRANODE 広島 3F
- 福岡オフィス
- 福岡県福岡市博多区博多駅中央街8-1 JRJP博多ビル 3F
- 子会社
- 株式会社高速エレベーター
本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
本記事の監修者

酒井 智明
設計コンサルタント会社の役員を経て入社。これまでに500戸超・35階以上のタワーマンション(ツインタワー含む)8棟や、総戸数1,500戸・11棟を超える団地型マンション、さらに50~100戸規模の中規模マンションまで幅広く設計を手がける。携わった総戸数は8,000戸以上、工事金額は110億円を超える豊富な実績を有する。スマート修繕では主に大型案件の大規模修繕および給排水設備の更新工事を担当し、実務に裏打ちされた専門的な視点から記事を監修。
一級建築士,一級建築施工管理技士,一級管工事施工管理技士,一級土木施工管理技士
24時間対応通話料・相談料 無料
