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エレベーターのロープ交換費用はいくら? 時期や工事の進め方を解説

更新日:2025年04月30日(水)

エレベーターの安全運行には定期的なメンテナンスが欠かせません。その中でも主ロープ(主索)や調速機ロープ(ガバナロープ)の交換時期や費用は、マンション管理組合やビルオーナー、施設管理者にとって大きな関心事です。ロープはエレベーターのかごを支える重要部品であり、劣化すれば安全性に直結します。 本記事では、「エレベーターのロープ交換費用はいくらか?」という疑問に答えるとともに、適切な交換時期や工事の進め方について、公的機関や専門家の情報を引用しながら解説します。

本記事のポイント
  • エレベーターのロープが安全に果たす役割やその仕組みについて学べる。
  • ロープの交換が必要となる具体的な理由や目安となる交換時期がわかる。
  • ロープ交換の費用相場や工事の進め方を把握できる。

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エレベーターのロープとは?

エレベーターのロープとは、エレベーターのかご(乗降室)とおもりを繋ぎ支える主ロープ(主索)と調速機ロープ(ガバナロープ)のことです。丈夫な鋼鉄製のケーブルでできており、エレベーターを吊り上げるための生命線と言えます。

エレベーターの大半は「ロープ式(巻上式)」と呼ばれる方式で、複数本のワイヤーロープを使ってかごを吊り下げています。ロープは摩擦駆動によって滑車(シーブ)に掛けられ、かごと釣合おもりを上下させます。その材質は高強度の炭素鋼でできており、法律(建築基準法)によって定員の約10倍の荷重にも耐えられる安全率10以上の強度を持つことが義務付けられています。また通常、エレベーターには3本以上のロープが使用され、万一1本に不具合が生じてもすぐに墜落しないよう冗長性が確保されています。

エレベーターのワイヤーロープは多数の細い鋼線を撚り合わせて構成されたケーブルです。中心には麻芯などがあり潤滑油を含ませて柔軟性を維持しています​。一般的な太さは10~16mm程度で、かごの重量や乗員数に合わせて数本が並行して使われます。昇降機の機械室では、モーターに連結した滑車にロープを巻き付け、ロープの片側にかご、もう片側にカウンターウェイト(釣合おもり)が吊られています。この仕組みにより比較的少ない力でかごを上下できるよう工夫されています。要するに、エレベーターのロープは高強度のワイヤーロープで、安全性を考慮して複数本使われているという点を押さえておきましょう。

エレベーターのロープの耐用年数

エレベーターのロープの耐用年数は明確に法律で「○年」と定められているわけではありません。しかし、一般的には10~15年程度を目安に交換を検討することが多いです。エレベーターの使用頻度や環境によって差はありますが、長期間使用すれば摩耗や劣化が進行するため、安全のため定期的な更新が推奨されます。

ロープの寿命に関する公的なデータとしては、建築設備の長期修繕計画やエレベーターメーカーの指針があります。例えば、多くのマンションでは長期修繕計画において設置後15年前後でロープ交換を予定に組み込むケースが見られます。また、エレベーター保守会社も経年劣化の兆候を踏まえて10年を超えたあたりから交換提案を行う傾向があります。国土交通省の事故調査報告でも、老朽化したロープを適切な時期に交換しなかったことが事故の一因になった事例があり、定期的な更新の重要性が示唆されています​。

国土交通省の「平和台駅エレベーター主索破断事故調査報告書」によれば、当該エレベーターの保守会社は本来交換すべき時期までに主ロープを交換する計画を立てていたものの、実際には交換が行われず、その後ロープが破断して事故に至ったとされています​。この事故はロープを長期間使用し過ぎたケースであり、「交換時期を逃すと安全上重大なリスクが生じる」ことを物語っています。また別の国土交通省資料では、定期検査でエレベーター主ロープの素線切れ(ストランドの破断)が見つかり、直ちに4本すべてのメインロープを交換した例も報告されています​。これは日常点検で異常が発見されにくくても、一定年数経つと内部で劣化が進んでいる可能性があることを示すものです。

ワイヤーロープの耐用年数に影響を与える要素としては、利用頻度・荷重・環境が挙げられます。高層ビルや利用者の多い建物では、ロープの動く回数が多くなるため摩耗や金属疲労が早く進みます。また海沿いなど湿気や塩分の多い環境では錆(さび)が生じやすく、これも寿命を縮める原因です。一般に新品当初は十分な強度を保つロープも、年を経るごとに表面の摩耗や内部潤滑油の乾燥、微細な亀裂の蓄積などが起こります。法令上は定期検査(少なくとも年1回)の中で劣化の有無をチェックし問題なければ使用継続可能ですが、設備更新の予算計画上は15年程度を目安に「そろそろ交換時期か」を検討するのが無難と言えるでしょう。もちろん、適切な潤滑や張力調整を行い良好に保たれたロープはそれ以上使える場合もありますが、安全第一を考えれば早めの交換が望ましいのです。

エレベーターのロープ交換費用はいくら?

エレベーターのロープ交換費用は1基あたり数十万円から数百万円程度が一般的な相場です。具体的な金額はエレベーターの規模や階数、ロープの本数・長さ、工事の難易度によって変動します。中低層建物の小型エレベーターであれば100万円前後、高層ビルの大型エレベーターでは数百万円に達するケースもあります。

費用の内訳としては、ロープそのものの価格に加えて交換作業の人件費やクレーン等の機材費、さらに古いロープの撤去処分費などが含まれます。ロープはエレベーターの高さ分+αの長さが必要で、高層になるほど長尺のロープが複数必要なため材料費が増えます。また交換作業には専門技術者が2~3名以上必要で、作業は安全確保のためエレベーターを停止させて行うため夜間工事や休日工事になることもあります。その場合は割増費用が発生することもあるでしょう。さらに、メーカー純正の特殊加工ロープ(例えば内部に潤滑油を染み込ませたものなど)は汎用品より高価になる傾向があります。

ただし、安全性確保のため安易に安価な粗悪品を使うことはできません。要は、ロープ交換費用は「エレベーターの規模×本数×手間」で決まると考えるとよいでしょう。見積を取る際は複数社に依頼し、内容と金額を比較検討することが適正価格での工事につながります。

交換が必要になる理由

エレベーターのロープ交換には必ず理由があります。ここでは、これからロープ交換が必要となる3つの主な理由を説明します。

経年劣化・摩耗による強度低下

ロープは長年の使用によって摩耗・劣化し、強度が低下します。どんなに高品質なワイヤーでも、摩擦や曲げ応力の繰り返しにより少しずつ金属疲労が蓄積し、最終的には新品時の強度を保てなくなるのです。

エレベーターのロープは滑車に巻き付いて動くたびに表面が擦れ、また曲げ伸ばしを繰り返すことで内部のワイヤー(素線)に応力がかかります。年月が経つとロープ表面が磨耗して細くなったり、ワイヤー内部で微細な亀裂が発生したりします。さらに潤滑油分が抜けて金属同士の摩擦が増え、劣化が加速します。国土交通省の定める安全率10以上という基準も、長期間の劣化を見越して十分余裕を持たせたものですが、それでも素線切れが発生すれば強度余裕は大幅に減少してしまいます。

法定検査や安全基準で指摘を受けた場合

定期検査や保守点検でロープの異常が指摘された場合、それは交換の明確なサインです。法律に基づく検査基準で「交換すべき」状態と判定されたロープは、速やかに新しいロープに交換しなければなりません。

日本では建築基準法によりエレベーターの定期検査が義務付けられており、専門の検査員(昇降機等検査員)がロープの状態も含めてチェックします。この検査ではロープ径の減少率や素線切れの本数が基準値以内かどうか確認されます。基準を超えて劣化していると判断された場合、検査に合格できず是正措置(つまり交換や修理)が必要になります。また、保守会社の点検報告でも「ロープ要交換」と判定されることがあります。これは専門家から見て安全上危険とみなされた状態であり、放置すれば運行停止命令につながることもある重大事項です。

エレベーターの定期検査は通常年1回(または6ヶ月ごと)の頻度で行われ、検査結果は「昇降機等定期検査報告書」として所轄行政庁に提出されます。ロープについて指摘事項が書かれた場合、その内容に応じて早急な対応が求められます。例えば「ロープ径○%細化、要経過観察」とあれば次回検査までに交換計画を立てるべきでしょうし、「素線切れ×本発見、早急に交換要」となれば使用を停止してでも直ちに交換しなければなりません。こうした基準はエレベーターの安全確保の最低ラインであり、管理者はこの指摘を見逃さず対応する義務があります。要は、専門家の検査でNGが出たロープは理由の如何を問わず交換が必要であり、それが第二の理由となります。

安全対策・事故防止の予防措置

ロープ交換は、重大事故を未然に防ぐための予防措置として必要になる場合があります。たとえまだ大きな異常がなくても、一定年数使用したロープを計画的に交換することで事故リスクを減らすことができます。

エレベーター事故の中には、ロープの破断が引き金になったものもあります。先述の東京メトロ平和台駅の事故では、交換時期を過ぎたロープが切断し、かごが最下層に急落下する重大事故となりました(非常止め装置により完全な墜落は免れましたが負傷者が発生)。このような事例を踏まえ、安全意識の高い管理者ほどロープの予防交換を重視しています。また日本エレベーター協会や国土交通省も、高経年エレベーターの更新・改修を促進しており、ロープ交換はその代表的なメニューの一つです。エレベーターの安全神話(「ワイヤーは滅多に切れない」という思い込み)に頼らず、古くなったロープを早めに新品に替えておくことが安全対策として有効です。

予防措置としてのロープ交換は、エレベーターのリニューアル計画の一環として行われることが多いです。築年数が経過した建物では、エレベーター自体の制御盤や内装の更新と合わせてロープ交換を実施するケースがあります。これにより、古いロープに起因するトラブル(異音や振動、不快な揺れ等)も解消され、利用者の安心感向上につながります。またロープが新品になることでブレーキや巻上機への負担軽減にも寄与し、エレベーター全体の寿命延長効果も期待できます。事故は起きてからでは遅いため、「まだ大丈夫」ではなく「念のため早めに交換」を心掛けることが、安全管理者としての責務と言えるでしょう。

交換を検討する時期

エレベーターのロープ交換を検討すべき時期は、設置後10~15年が経過した頃や、定期点検で劣化兆候が指摘されたときです。特に築15年を超えるマンション・ビルでは、長期修繕計画に基づきロープ交換の準備を始めることが望ましいでしょう。また、日常の様子で異音や振動などロープの不調を疑わせるサインがある場合も、時期を早めて点検・交換を検討します。

多くの場合エレベーターのワイヤーロープは約10年以上使用すると劣化が進み始めるため、15年程度での交換が目安となります。これは実際の建物管理の現場での経験則であり、マンションの大規模修繕(築12~15年目頃に実施)でエレベーターの精密点検を行い、必要に応じてロープ交換を行うケースが多いことからも裏付けられます。また、エレベーター保守会社から「ロープ交換時期です」と提案されるのもこの時期が多いです。さらに、定期検査の結果で前述のような劣化サイン(径の細化や素線切れ予兆)が出ていれば、それは適切な交換タイミングの判断材料となります。

例えば国土交通省が実施したエレベーター総点検(過去の事故を受けて行われた全国調査)では、築15年以上経過したエレベーターにおいてロープや制動装置など主要部品の交換が強く推奨されています​(平和台駅事故報告を受けた措置)。このことからも、15年前後という年数が一つの区切りであることがわかります。

エレベーターのロープ交換工事を進める方法

エレベーターのロープ交換工事を進める際は、信頼できる専門業者に依頼して計画的に進行することが大切です。具体的には、まず現状調査と見積もり取得から始め、適切な時期に工事日程を組みます。工事当日はエレベーターを停止して安全措置を講じたうえで作業し、完了後は動作確認と検査を経て運転再開となります。

エレベーターのロープ交換は専門的な高所作業かつ重量物の扱いを伴う危険な工事です。したがって、エレベーター保守の資格・経験を持つ認定業者に任せる必要があります。また、一社だけでなく複数の業者から意見や見積もりを取ることで、工事内容や価格の妥当性も判断できます。工事計画にあたっては、利用者への影響を最小限にするため深夜や休日に作業することが多く、管理組合やテナントへの事前周知も必要です。

日本エレベーター協会の公式サイトでも、「信頼のできるメンテナンス会社をお選びください。」と明記されており、適切な業者に依頼することの重要性が強調されています。これは単に価格だけで業者を選ぶのではなく、エレベーターの専門知識・経験、アフターサポート体制など総合的に信頼できる会社を選定すべきという趣旨です。また国土交通省も各種通知やガイドラインで、エレベーター工事の際には利用者への周知や安全管理を徹底するよう求めています(例えば工事中は関係者以外立入禁止にする、安全管理者を置く等)。

ロープ交換工事の進め方をステップごとに見てみましょう。

現地調査と見積もり取得

まず保守業者またはエレベーター工事専門会社に現地を見てもらい、ロープの本数・長さ、巻上機の種類などを調査します。その上で見積書を作成してもらいます。可能であれば複数社から見積もりを取り、金額だけでなく工事期間や提案内容も比較検討します。

業者選定と契約

提示内容を検討し、信頼できる業者に決定したら工事契約を結びます。交換するロープはメーカー純正品か同等品か、工事保証やアフターサービスの有無なども確認ポイントです。

工事日程の調整

入居者やビル利用者への影響を考慮し、エレベーターを止めても差し支えない日時を選定します。通常、深夜や休日を利用することが多くなります。マンションなら理事会承認の上で掲示板などに工事予告を掲示し、テナントビルなら各テナントに通知を行います。

工事実施

当日はエレベーターを最寄階に停止させ、電源を落として作業開始します。作業員は安全帯を着用し、巻上機から古いロープを慎重に外していきます。重いロープを床に下ろす際は落下事故防止に細心の注意を払います。その後、新しいロープを巻上機に掛け直し、かごとおもりに接続(ソケットで固定)します。1基あたり半日~1日程度の作業時間が一般的ですが、高層階の場合はさらに時間がかかることもあります。

動作確認と検査

ロープ交換後、試運転を行い巻上機の滑りや異常音がないか確認します。かごの停止位置(レベリング)も再調整し、問題なければ作業完了です。場合によっては行政の検査員による臨時検査や、第三者機関の安全確認を経て運転再開となることもあります。

書類整備と報告

最後に工事報告書や交換部位の写真記録などを受け取り、今後の管理のために保管します。定期検査時にはこの工事記録を提示することで検査員にも交換済みであることを示せます。

まとめ:適正な価格で工事を依頼しよう

エレベーターの主ロープ(主索)や調速機ロープ(ガバナロープ)の交換は、安全な建物運用のために避けて通れない重要なメンテナンスです。費用相場は数十万~数百万円と決して小さくありませんが、人命を預かる設備の安全投資と考えれば必要な出費と言えます。本記事で解説したように、ロープ交換のタイミングはおおむね10~15年を目安に、点検結果や劣化状況を踏まえて判断します。交換が必要となる理由には経年劣化や基準値超え、そして予防保全の観点があり、いずれも利用者の安全を最優先に考えた決断であることが分かりました。

実際に工事を行う際は、実在する公的機関の情報や専門家のアドバイスを参考にして計画を立てましょう。国土交通省や日本エレベーター協会の資料には、安全基準や過去の事故事例が示されています。それらを踏まえて信頼できる業者を選定し、適正な価格と内容で契約することが大切です。見積もり比較により不明瞭な高額請求を防ぎ​、工事中も安全管理を徹底することで、利用者への影響を最小限に抑えることができます。

最後に、エレベーターのロープ交換は「安全への投資」です。適切な時期に適正な価格で工事を依頼し、交換後も定期点検を継続することで、エレベーターの安心・安全な運行が長く保たれます。専門知識を持つ信頼できるパートナーと協力しながら、計画的なメンテナンスに取り組みましょう。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

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