マンションのエレベーターリニューアルの費用/種類など解説
2024/09/04
マンションのエレベーターの耐用年数は25~30年が目安です。 方式は準撤去リニューアル、制御リニューアルなどがあります。 費用は方式や仕様(例:耐震対策のレベル)次第ですが、1基あたり500万円~(ポピュラーな制御リニューアルのケース)が一般的です。高速(昇降速度105m以上)や斜行エレベーターなどの特殊品はより高額となります。 この記事では、マンションのエレベーターの「耐用年数」、「既存不適格」、「リニューアルの方式、期間、費用」、「独立系事業者」、「高速エレベーター」、「油圧式エレベーター」についてご紹介します。
目次
エレベーターリニューアルの種類と費用
※費用はあくまでも相場であり、エレベーター仕様、建物階数等によって変動します。
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見積もりが高くなりやすい!注意すべきチェックポイント
- 適切な工事内容(耐震基準、意匠工事など)になっているか?
- 既存メーカー以外の事業者から見積もりを取れているか?
- 管理会社紹介の事業者以外から見積もりを取れているか?
リニューアル費用は高額なので、適正なルートで、適正な工事内容の見積もり取得を目指しましょう。
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リニューアル(交換、更新、改修、修繕)工事とは
エレベーターの制御盤、巻き上げ機、パーツなどを取り替える工事となります。交換工事、更新工事、改修工事、修繕工事とも表現されます。
また、エレベーターの主な種類は、巻き上げ機でかごを昇降させる「ロープ式」と、油圧ジャッキの圧力でかごを昇降させる「油圧式」となります。
近年はロープ式が主流です。分譲年度が古いマンションや、巻き上げ機などの設置スペースが無いマンションに「油圧式」が採用されています。
耐用年数、部品供給の停止
25~30年(※)となります。
※法定耐用年数(減価償却期間の目安)は17年、メーカーの計画耐用年数は20年弱が一般的です。
リニューアル工事の実施時期は、2回目の大規模修繕の前後のタイミングとなります。実施タイミングの判断においては、劣化状況のみならず、部品供給の停止時期を考慮する必要があります。部品の供給停止となると、耐用年数内でも「故障時の修理の目途が立たない」状況となり、リニューアル工事の必要性が高まります。部品の供給停止タイミングは事前連絡がされるため、連絡があり次第、いつリニューアル工事をおこなうかなどの計画を立てる必要があります。
マンションのエレベーターの既存不適格とは
マンション内のエレベーターが現行法規に適合していない状態のことを指します。
このような状況となる背景は、マンション分譲当時のエレベーターに問題があったとは限らず、分譲後にエレベーターの安全基準の見直しが行われたこと(例:耐震指針が1998年、2009年、2014年に改訂)などとなります。
では、現行法規への不適合を理由に「管理組合が罰則を科されるか?」、「マンション内のエレベーターは使用不可になるか?」ですが、通常はなりません。現時点の建築物(既存建築物)には 、新たに定められた法規が適用されないことが定められているためです。
既存不適格でも、使用中のエレベーターは問題なく使用できます。リニューアル工事後も同様です。
マンションのエレベーターリニューアルの方式、工事期間
大きく以下3方式に分けられます。
1.全撤去新設リニューアル
2.準撤去新設リニューアル
3.制御リニューアル
各方式について解説します。
最も一般的なのはコストパフォーマンスに優れる「3.制御リニューアル」となります。
全撤去新設リニューアル
既存のエレベーターや付属物すべてを撤去、新設するリニューアル工事となります。新設であるため、旧型/劣化の悪影響を抜本的に解決できます。ただし、工事期間が長くなる、工事費用が高くなる、騒音・振動が大きく発生するなどの負の側面があります。また、建築確認申請も必要となります。これら事情(特に予算面)より、あまり一般的ではありません。
準撤去リニューアル
マンションの建物各階に設置されているエレベーターの三方枠や敷居などは既設利用し、ロープ・制御盤・巻き上げ機などを取り替えるリニューアル工事となります。工事期間・工事費用などに比較的優れ、建築確認申請が不要となるケースが多い方式です。
いっぽう、既存のエレベーターに合わせたパーツの調達に時間がかかるケースがあり、リニューアル後は交換部分と非交換部分との品質保証や工事タイミングの兼ね合いなどに留意する必要があります。
制御リニューアル
エレベーターの制御関連の機器を交換するリニューアル工事となります。工事期間・工事費用などに最も優れる方式です。使用自体の問題はありませんが、多くの部分が既設利用となるため、「既存不適格」の解消は基本的にされません。費用の安さもあり、最も一般的な方式です。
各リニューアル方式の比較一覧表
どのリニューアル工事とするかは、メンテナンス費用も含めたトータルコストや予算や法令への適応方針を鑑みて判断する必要があります。
経済性の観点から考えると、制御リニューアルが好ましいです。
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工期はリニューアルの方式次第ですが、制御リニューアルであれば1基あたり1週間~となります。大型や高速などの特殊仕様のものはより長くなります。複数基のエレベーターをリニューアル工事する際は1基づつ工事を行うことで、どちらかのエレベーターを使用可能にする方法をとります。
ビルとマンションの複合施設などにおいて、テナントの都合で昼間は工事できないなどの場合は夜間工事となります。工期が長くなったり、費用が高くなったりします。
工期や利用できない期間については、お知らせしないとトラブルのもとになりますので、マンション内の掲示板に事前に掲示することをおすすめいたします。
マンションのエレベーターリニューアルの費用相場
エレベーターリニューアルの費用相場ですが、1基あたり500万円~1500万円が一般的です。
制御リニューアルの場合は1基あたり500万円~となります。
経済性については、メンテナンス費用含めて考える必要があるため、リニューアル工事の見積取得時は、メンテナンスの見積も合わせて取得するべきです。メンテナンス方式には、フルメンテナンスとPOG(費用がより安い、一部の部品代などは別途精算となる方式)の2種類がありますので、現状は?、どこまでやるか?を検討のうえ、見積取得ください。
メンテナンス費用においても、独立系のほうが安いです。
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マンションのエレベーターリニューアルのコストダウン方法
先ず、最もリーズナブルである制御リニューアルで問題ないか?がポイントとなります。
続いて、技術力面/実績面で適正な独立系事業者からも見積をとることがポイントとなります。事業者選定においては、実績が乏しい事業者、(エレベーターのリニューアル/メンテナンスの競争環境は厳しく)経営状況に不安がある事業者、大手事業者でも自社の者で施工管理せずに下請企業に一式丸投げしている(多重下請け構造となりコストが割高になる)事業者を選定しないよう留意する必要があります。
独立系事業者への発注について解説
お客様にとっては「独立系事業者にリニューアル工事を頼んで問題ないのか?」、「価格が安くても、安かろう悪かろうでは困る、既存のエレベーターが不調で使えないようになったらどうする?」などの不安感があるかとは思います。
近年では、独立系事業者が技術力を向上、対応可能機種を増加、実績を積み重ねてきており、工事費用のリーズナブルさを背景として多数のリニューアル工事/メンテナンスを実施しております。市場シェアは年々増加しています。また、中堅以上の事業者においては、(いち事故が企業の存続に影響を与えるリスクをはらんでいることもあり)、自社が自信を持って対応できるリニューアル工事にのみ見積対応をします。
また、部品交換などの小規模改修においては、既存のメンテナンス事業者での実施をおすすめいたします。仮に、違う事業者にお願いした場合、エレベーター不調時の責任が曖昧になるなどの問題が発生するリスクがあります。
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高速(昇降速度105m以上)
高層マンションや商業ビルには「高速エレベーター」と呼ばれる、昇降速度が105m以上のエレベーターが設置されています。
以前は、既存メーカーのみがリニューアル工事可能で、一基あたりのリニューアル工事費が数千万円に及びました。
近年では、独立系事業者でも高速エレベーターに対応可能なところが僅かですが出てきています。
当サービス「スマート修繕」では、昇降速度150m/分の高速エレベーターの制御リニューアル複数基をメーカーから独立系事業者に切り替え、同等仕様で費用半減、1億円以上コストダウンした実績があります。
油圧式
一般的な事業者は油圧式エレベーターから油圧式エレベーターへのリニューアル工事が対応できず、油圧式エレベーターからロープ式エレベーターへのリニューアル提案となります。こうなると、工事内容が大掛かりとなり、一基あたりのリニューアル工事費が1千数百万円、時には数千万円にも及びます。
当サービス「スマート修繕」では、油圧式エレベーターからロープ式エレベーターへのリニューアル工事を、油圧式エレベーターから油圧式エレベーターへのリニューアル工事に切り替え、費用を半分以下、一戸あたり20数万円コストダウンを実現したケースもあります。
オーチス(OTIS社)のリニア式
一般的な事業者は「オーチス製のリニア式エレベーター」のリニューアル工事に対応できず、既存メーカーからのリニューアル提案しか受けられないといった実態があります。こうなると、競争原理が働きづらく、工事費用が割高になってしまいます。
当サービス「スマート修繕」では、オーチス製リニア式エレベーターにおいて、独立系事業者によるリニューアル工事を提案(より汎用的なロープ式エレベーターに変更)、1戸あたり10数万円のコストダウンを実現したケースもあります。
エレベーターリニューアルなど共用部工事の見積、工事支援サービス「スマート修繕」のご紹介
「スマート修繕」は、大規模修繕などの共用部工事を専門家のサポートで楽に、お得に進めることができる、ディー・エヌ・エー(DeNA)グループのサービスです。
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この記事の著者
豊田 賢治郎
「スマート修繕」代表。過去2年間の顧客マンションへの訪問回数は400回を超え、チェックした見積書の数は千を超える(2024年7月末時点)。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「日本経済新聞」、「羽鳥慎一 モーニングショー」、「日曜報道 THE PRIME」、「モーニングサテライト」。
中小企業診断士
この記事の監修者
別所 毅謙
マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「NIKKEI NEWS NEXT」、「首都圏情報ネタドリ!(NHK)」、「めざまし8」、「スーパーJチャンネル」。
二級建築士
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