エレベーターの更新工事とは?工事日数や費用相場、依頼時のポイントを解説!
2024/09/04
エレベーターの更新工事とは、既存エレベーターの大部分を新しいものに交換する「全撤去」「準撤去」、または制御装置や機械部分を交換する「制御リニューアル」を指します。エレベーターは、建物の重要なインフラ設備であり、安全かつ快適な移動を確保するためには定期的なメンテナンスが不可欠です。エレベーターにも耐用年数があり、長年にわたる使用により部品が摩耗したり、故障のリスクが増したりするため、更新工事が必要になります。 この記事では、エレベーターの更新工事について、工期や費用相場、関連する補助金、リニューアル業者に依頼するときのポイントなどについて解説します。これらの情報が少しでも皆様のお役に立つと幸いです。
目次
エレベーターの更新工事とは
エレベーターの更新工事とは、老朽化や法規制の変更などに伴い、既存のエレベーターを最新の技術や安全基準に適合させるための改修作業を指します。
エレベーターを日々使用することで部品が摩耗し、経年劣化が進むため、定期的なメンテナンスだけでは不十分となることがあります。特に、古いエレベーターは最新の安全基準を満たしていない場合があり、利用者の安全を確保するためにも更新工事が必要となります。
更新工事には主に以下の内容が含まれます。
まず、制御装置の交換です。旧型の制御装置は故障しやすく、修理部品の入手が困ることがあります。メーカーやエレベーターの機種によって様々ですが、一般的に保守部品の供給期間は「生産終了後15年」とされています。特定のメーカーや部品によっては、この供給期間が短い(または長い)場合もあります。部品の生産が中止となり、供給停止となると、その部品が故障した際に交換が難しくなり、エレベーターの使用にトラブルが出る可能性があります。特に重要な部品(制御盤や主要機械部品など)の供給が終了した場合は、リニューアルを実施するタイミングになります。
また、駆動装置(モーターや巻上機)の交換や、ドアやカゴ内装など意匠のリニューアルも行います。エレベーターの更新工事は耐震機能や安全性の向上だけでなく、建物の価値を保つためにも重要な改修工事です。
当サービス「スマート修繕」は支援実績が多数あり、高速エレベーターや油圧式から油圧式へのリニューアル工事の実績も豊富です。
エレベーターの更新工事にかかる日数
エレベーターの更新工事にかかる日数は、工事の規模や内容によって異なります。一般的に、施工期間の目安は1週間から1ヶ月程度です。部分的な改修工事であれば数日で済む場合もありますが、完全な交換や大規模な改修が必要な場合は、1ヶ月以上かかることもあります。工事期間中はエレベーターが使用できなくなるため、工事をいつ実施するか周知し、住民や利用者への影響を最小限に抑えるための計画が重要です。
なお、メーカーから納期を「1~2年」とされるケースがありますが、エレベーターリニューアルで一般的な「制御リニューアル」ですと、独立系のエレベーター事業者では、ご契約後「6~7ヶ月程度」での納品となるケースが多いです(2024年7月時点)。
エレベーターの更新工事の費用相場
エレベーターの更新工事の費用相場についてですが、使用される機器の種類や工事の規模、工事方法(撤去新設またはリニューアル)、建物の高さなどによって大きく変動します。1基あたり数百万円~数千万円の見積もりが出てきます。最も一般的な「制御リニューアル(エレベーターの一部となる制御関連の機器・部品を交換する更新工事)」の場合は、1基あたり500万円~となります。
エレベーターの更新工事には様々な種類がありますが、既存メーカーで工事する場合や、油圧式エレベーターをロープ式エレベーターに更新する場合など、多額の費用がかかるケースもあります。高層マンションや商業ビルには「高速エレベーター」と呼ばれる、昇降速度が105m以上のエレベーターが設置されており、以前は、既存メーカーのみがリニューアル工事可能で、1基あたりの修繕費は数千万円から億単位に及びました。現在では、高速エレベーターに対応可能な、独立系事業者も出てきています。また、補助金の活用も費用を抑えるための一つの方法です。
エレベーターの更新工事に関連する補助金/助成金など
エレベーターの更新工事をする際に、国や自治体の補助金制度を活用できる場合があります。特に、耐震・安全性や省エネルギー性能の向上を目的とした改修には、補助金が支給されることがあります。
補助金/助成金などの例を以下に記します(2024年7月時点)。
国土交通省 エレベーターの防災対策改修事業
東京都新宿区 エレベーター防災対策改修支援事業
東京都港区 エレベーター安全装置等設置助成事業
大阪府大阪市 エレベーター防災対策改修補助事業
大阪府堺市 エレベーター防災対策改修への補助内容
お住まいの市区町村のエレベーター更新工事に関する補助金・助成金については、各自治体の担当窓口に問い合わせてみてください。
エレベーターの更新工事を事業者に依頼するときのポイント
既存メーカー以外に、独立系事業者にも相談する
既存のエレベーターメーカーだけではなく、独立系の事業者からも見積もりを取得することがエレベーターのリニューアル費用を削減するポイントとなります。
しかし、「独立系の事業者にリニューアル工事やメンテナンスを依頼して問題ないのか?」、「価格が安くても、安かろう悪かろうでは困る」などの不安があるかと思います。
近年では、独立系事業者の技術力が向上するとともにリニューアル対応可能な機種が増加しています。近年の工事費の高騰、独立系事業者のリーズナブルさを背景に、独立系事業者が多数のエレベーターのリニューアル工事/メンテナンスを実施するようになってきています。
独立系事業者においては、当然のことですが、一件の事故が企業の存続に影響を与えるリスクをはらんでいます。そのため、自社が自信を持って対応できる更新工事のみ見積もり対応をしています。
複数事業者から見積取得する
エレベーターの更新工事は多額の費用がかかるため、複数の事業者から見積を取得することが好ましいです。
事業者によって、同様の工事内容でも金額が大きく異なる場合があります。また、エレベーター更新工事の仕様についても十分に検討しましょう。必要以上に高性能な仕様を選ばず、建物の規模や住人のニーズに合った適正なリニューアル方式を選ぶことが大切になります。
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この記事の著者
鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
この記事の監修者
別所 毅謙
マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「NIKKEI NEWS NEXT」、「首都圏情報ネタドリ!(NHK)」、「めざまし8」、「スーパーJチャンネル」。
二級建築士
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