マンションのインターホン交換の時期、費用、コストダウン方法について解説
2024/09/04
インターホンは、居住者の安全を守るうえで重要な役割を果たしています。マンションでは、自動火災報知設備と連携し、火災発生時にインターホンから警報される機能や、緊急時には全戸に一斉放送を流すことができるなど、インターホンは、万一の非常事態に欠かすことのできない設備です。マンションのインターホンにも耐用年数があり、交換時期が遅れると不測の事態を招く恐れがあります。適切な交換時期にマンションにとって最適な機能を備えるインターホンに交換することが、安心、安全な暮らしにつながります。 この記事では、インターホンの種類、耐用年数(適切な交換時期)、交換・リニューアル費用、コストダウン方法などについてご紹介いたします。
目次
マンションのインターホンの種類
システム構成|集合住宅システム(オートロック式)と住戸完結システム
【集合住宅システム(オートロック式)】
集合住宅システムとは、オートロック式の集合玄関に対応したマンションやアパートなどの集合住宅用インターホンシステムです。
マンションの共用部であるエントランスにオートロック式の集合玄関機が設置され、各住戸の居室内に連動したインターホンが備え付けられています。居室内でエントランスの呼び出しに応え、エントランスのロックを解錠することができます。
集合住宅システムは、マンション全体でひとつのシステムになっており、自動火災報知設備などと連携させることが可能です。各個人で新しいインターホンに交換することはできません。
【住戸完結システム】
住戸完結システムとは、各住戸の玄関外に子機を設置する独立したインターホンです。
マンションの共用部であるエントランスには、オートロック式の集合玄関機は設置されていません。集合住宅システムとは異なり、配線工事が不要なワイヤレス(無線)インターホンを自分で交換するなど、管理組合によっては各戸で新しいインターホンに交換できる場合(※)があります。
※マンションによっては共用部分の扱いとなるため、管理規約を確認してください。各個人で新しいインターホンに交換することが可能な場合にも、マンション全体でまとめて交換することで1戸あたりの工事費用を安く抑えることができます。居住者にアンケートを取り意見を集め、マンション全体で一斉に交換・リニューアルすることをおすすめします。
主要メーカー「パナソニック」と「アイホン」の機器の種類
マンションやアパートなどの集合住宅用インターホンのメーカーは、「パナソニック」と「アイホン」の2社による寡占状況となっています。
「パナソニック」、「アイホン」各メーカーそれぞれの機種で機能や特性が異なりますが、「パナソニック」、「アイホン」どちらも多機能で高品質なインターホンを販売しています。「パナソニック」と「アイホン」の代表的な機種をピックアップして、ご紹介いたします。
【パナソニック(Panasonic)】
Clouge(クラウジュ)
- アイホンの「dearis(ディアリス)」相当のスペック
- フルフラットの大きなボタンで、操作しやすいデザイン
- 見やすい画面や履歴表示、聞き取りやすさも向上し、高齢化社会にも対応した仕様
- 動画録画機能で、不在時に録画された来訪者の顔と用件を後から再生して確認可能
- 災害時などでの緊急放送が、停電時でも対応可能
- スマートフォンやタブレットで来訪者の確認や通話、共同玄関の解錠操作ができる
Windea(ウィンディア)
- 日常使用する通話・解除ボタンは独立した大きなボタンで使いやすさに配慮
- スリムでシンプルなボディは、住戸に自然と溶け込むスマートなデザイン
- ワイドビュー&ズーム機能で、広範囲まで確認可能、液晶テレビモニターを指先でタッチすると顔を拡大表示できる
- 簡易火災放送機能で、火災発生を全住戸にお知らせ
- 共用部カメラモニター機能で、共用部に設置したカメラ映像を最大8ヶ所まで自宅で確認できる(ブラウザー機能付のみ対応)
- スマートフォンやタブレットで来訪者の確認や通話、共同玄関の解錠操作ができる
【アイホン】
dearis(ディアリス)
- パナソニックの「Clouge(クラウジュ)」相当のスペック
- 凹凸のないスタイリッシュなデザイン
- 7型ワイドタッチパネル画面を採用
- オートズーム機能で来訪者を自動でズームアップ
- 自動火災報知設備と一体化、火災発生時に出火階、部屋番号情報を音声でお知らせ
- スマートフォンやタブレットで来訪者の確認や通話、共同玄関の解錠操作ができる
インターホンの機能・仕様
マンションのインターホンのメーカー(パナソニックまたはアイホン)、機種を選ぶ際には、どのような機能が備わっているかを確認し、マンションに最適な機種を選択することが大切です。
インターホンの機能として最初に挙げられるのが、カラーモニターシステムです。これは、訪問者の顔をカラー映像で確認できるインターホンで、通常、LCDパネルを使用しています。そのため、昼夜問わず鮮明な映像を提供し、訪問者の識別を容易にします。
カラーモニターシステムには、シングルカメラとダブルカメラの2種類があります。
【シングルカメラ】
シングルカメラは、集合玄関機のみカメラ付きで、住戸ドア前の子機は通話(コール)のみです。マンションの共用部であるエントランスに設置されているオートロック式の集合玄関機はカメラ付きのため、呼び出しをした相手の顔を確認しながら通話できます。住戸ドア前のインターホン子機はカメラ付きではないため、呼び出した相手とは通話のみで顔を確認することができません。
【ダブルカメラ】
一方、ダブルカメラは、集合玄関機と住戸ドア前の子機の両方がカメラ付きです。マンションの共用部であるエントランスに設置されているオートロック式の集合玄関機および住戸ドア前どちらも相手の顔を確認しながら応答することができます。
そのほか、インターホンの主な機能・内容は以下の通りとなります。
※メーカー、インターホンの機種によって異なります。
- 全戸一斉放送機能:緊急放送の場合は、室内だけでなく住戸ドア前のインターホンからもアナウンスされ、廊下にいても確認することができます。
- 動画録画機能:留守中の来訪者を動画で録画します。
- プレーバック再生機能:エントランスに設置されているインターホンのボタンを押す前の3秒間と押してから2秒間の映像が子画面に表示されます。
- 自画像投影機能:エントランスに設置されているインターホンの前に立つと来訪者自身を自動で表示します。
パナソニックやアイホンからは、これらの機能を備えた様々な種類のインターホンが販売されています。最近では、スマートフォンとの連携機能を持つインターホンも増えており、外出先からでも自宅の様子を確認したり、来訪者と通話することが可能になりました。防災、防犯、利便性の観点から、マンションで快適に住むことができるインターホンを選択しましょう。
マンションのセキュリティ対策、交換するメリットは?
オートロック式のインターホンとは、マンションの共用部であるエントランスに集合玄関機を設置し、各住戸の居室内に連動したインターホンが備え付けられており、居室内でエントランスからの呼び出しに応え解錠しなければエントランス内に入ることができないインターホン設備です。
オートロック式の集合玄関に対応した集合住宅用インターホンシステムを導入することで、自動火災報知設備と連携し、火災発生時に警報される機能を付けられるほか、緊急時には全戸に一斉放送を流すことができるなど、居住者の安心、安全な生活を守ることにつながります。平時においても、不審者の侵入を防ぎやすい、セールス・勧誘を断りやすい、空き巣に狙われにくいなどといったメリットがあり、防災、防犯の面で、インターホンはセキュリティ対策で重要な役割を果たします。セキュリティ関連では、賃貸物件を選ぶ際にも、オートロックがあるかどうかは重要な要素の一つとされることがあります。
マンションのインターホンの耐用年数
目安は15年(※)となります(出典:一般社団法人インターホン工業会)。
※24時間365日、休みなく稼働するインターホン設備は、機種や使用状況により異なります
※品質保証、故障対応等の期間ではありません
交換の目安となる15年を経過すると、経年劣化により故障発生率が高まり修理回数が多くなったり、突然の故障や万一の緊急時に作動しないといったリスクがあります。
また、各インターホンメーカーの修理用部品の保有期間は、生産終了後7年とされています。生産終了から7年経過してしまうと故障した場合に修理すらできなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。
一般的にインターホンは設置後10~15年をめどにリニューアルをすることが適切な交換時期として推奨されています。
なお、能美防災(NOHMI)は、インターホンの生産を終了しています。能美防災のインターホンが付いているマンションは、故障したら修理ができないため、早めに交換を検討することをおすすめします。
マンションのインターホンの発注から納品までの期間と工事期間
【納期】
2024年2月時点での目安は、
4ヶ月程度、今後は2ヶ月程度に短縮される可能性があります。
※マンションのインターホンシステムは受注生産品となります。
※近年は新型コロナウイルス感染拡大の影響や半導体不足、パナソニック製は、インターホンの部品を製造していた工場で大規模火災が発生し、パナソニック、アイホン製品ともに大幅な納期遅れが発生、発注から納品まで6ヶ月程度以上かかるケースもありました。
【工事期間】
目安として、50戸のマンションの場合、
共用部工事:2日、専有部工事:5日、合計7日間となります。
各住戸室内に設置するインターホン親機を交換するために工事の立ち会いが必要になります。1戸あたり40分~1時間程度をめどに工事が行われます。ただし、これらはあくまで一般的な目安であり、具体的な期間は工事業者との打ち合わせにより異なることをご理解ください。
なお、工事期間中は、管理人室および警備会社への警報移報がされません。また、インターホンの使用が制限されるため、入居者に事前に説明しておくことが重要となります。
マンションのインターホン交換の費用相場
目安は戸あたり13~17万円(税抜)となります。
※インターホンの種類や機能、化粧パネルの設置有無、マンションの規模などにより異なります。特に、高性能な製品に交換する場合や、古い既存インターホンシステムから新しいインターホンシステムへ交換する際には高額になることがあります。
分譲マンションの場合、費用の負担は、各住戸内に設置する親機を区分所有者の自費で設置し、共用部に設置する子機は管理組合の費用で行うケース、またはすべてを管理組合の費用で行うケースがあり、費用負担は管理規約により様々ですが、一般的には集合住宅システムをマンションで一斉に更新する場合は、管理組合の費用で行われることが多くなっています。
マンションのインターホン交換・リニューアルに伴う費用を把握し、予算計画を立てることでスムーズな交換・リニューアルが可能となります。
マンションのインターホン交換のコストダウン方法
管理会社や既存事業者から提案されるインターホンメーカー(機種)、工事内容以外に、管理組合で複数の工事会社から相見積もりを取得することがポイントとなります。
見積取得にあたっては、適切な事業者選定が大切であり、そのポイントは下記2点となります。
【流通に無駄がない事業者であること】
インターホン交換の商流は、代理店 (0~複数)⇒ 工事会社 ⇒ 管理会社 ⇒ マンションの管理組合の流れとなっているケースが多く、流通階層が多ければその分コストアップしてしまいます。
【しがらみがない事業者であること】
広い業界とは言えず、管理会社や既存事業者との関係性より、適正に見積もることができないという状況が少なからず発生してしまいます。
弊社「スマート修繕」では、一次代理店 兼 工事会社である事業者を複数ご紹介可能であり、適切な相見積の支援、コストダウンの実現が可能となっております。
インターホンリニューアルなど共用部工事の見積、工事支援サービス「スマート修繕」のご紹介
「スマート修繕」は、大規模修繕などの共用部工事を専門家のサポートで楽に、お得に進めることができる、ディー・エヌ・エー(DeNA)グループのサービスです。
インターホンが故障して交換しなければならない、管理会社に任せて大丈夫か、取得した見積が本当に適正価格なのか、といったお悩みを、スマート修繕の専門的なアドバイスとサポートで解決します。
過去半年間で、数十棟以上のマンション、数千戸以上のインターホンリニューアルを成功させ、多くの管理組合様にご満足いただいています。実際に、以下のような成功事例があります。
スマート修繕の担当コンサルタントが、インターホンリニューアル専門業者のご紹介から、見積取得、工事内容のチェック、契約、工事完了までをワンストップでサポートいたします。「適正内容の工事」を「適正価格」で実現するために、今すぐ無料相談をご利用ください!
この記事の著者
鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
この記事の監修者
別所 毅謙
マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「NIKKEI NEWS NEXT」、「首都圏情報ネタドリ!(NHK)」、「めざまし8」、「スーパーJチャンネル」。
二級建築士
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