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マンション修繕積立金30年後:将来を見据えた必要額と資金不足を防ぐ戦略

更新日:2026年02月26日(木)

マンションの修繕積立金は、建物の大規模修繕や設備更新に備えて区分所有者から毎月徴収・積み立てる資金です。築年数が経過すると修繕積立金を値上げせざるを得ないケースも多く、将来(例えば築30年後)に資金不足とならないよう計画的な積立が求められています。 本記事では、国土交通省のガイドラインや積立シミュレーション事例に基づき、30年後を見据えた修繕積立金の必要額について解説します。また、資金不足に陥らないための戦略として、積立方式の選択(均等方式と段階増額方式のメリット・デメリット)、長期修繕計画の見直しポイント、段階増額方式の注意点、そして実際の平均積立額の推移についてわかりやすく説明します。

本記事のポイント
  • 将来に必要な修繕積立金の目安や積立方式ごとの特徴を理解できる。
  • 資金不足を避けるための積立戦略や計画的な見直しの方法がわかる。
  • 長期修繕計画のポイントや管理組合での合意形成の重要性を学べる。

将来を見据えた修繕積立金の必要額

マンションを長期にわたって良好な状態で維持していくためには、長期修繕計画に基づいた計画的な資金準備が不可欠です。一般的には、30年程度を基本とした長期修繕計画を作成し、その期間内に想定される大規模修繕工事や設備更新に必要な費用を見積もり、それを修繕積立金によって安定的に確保していくことが求められます。

国が示す指針では、マンションの規模や階数などの条件に応じた修繕積立金の目安が整理されており、専有面積1㎡あたり月額おおむね250~340円程度が一つの基準とされています。例えば、専有面積70㎡の住戸であれば、月額では約1万7,000円~2万4,000円程度が目安となります。

この水準は、外壁改修や防水工事、給排水設備・エレベーターといった共用部分の更新など、将来必ず発生する修繕工事を長期的に実施していくために、現実的に必要とされる積立水準を示したものです。

実際の積立水準とのギャップ

一方、実際のマンションでは、この目安水準に達していないケースも多く見られます。修繕積立金は全国的に上昇傾向にあるものの、㎡単価ベースでは200円前後にとどまっているマンションも少なくなく、指針が示す水準との差は依然として存在しています。

背景として多いのが、新築分譲時に修繕積立金を低めに設定するケースです。購入時の月々の負担を抑えるため、当初の積立額を抑え、将来的に段階的な増額を前提とした計画が採用されることが一般化しています。その結果、築年数の経過とともに増額が必要となり、月額負担が徐々に大きくなっていく構造が生まれています。

現在、全国的に見ると1戸あたりの月額修繕積立金は1万円台前半から半ば程度が一つの目安となっていますが、将来の修繕需要を十分に満たすには、必ずしも余裕のある水準とは言えないのが実情です。

修繕積立金シミュレーション(30年間・モデルケース)

では、30年間でどの程度の修繕積立金を用意する必要があるのでしょうか。ここでは、国が示す修繕積立金の目安水準をもとに、一般的な規模・仕様のマンションを想定したモデルケースとして、積立方法の違いによる負担イメージを整理します。

例えば、専有面積70㎡の住戸で、修繕積立金を㎡あたり月額250円程度とした場合、月額は約1万7,500円となります。これを30年間継続して積み立てると、累計ではおおよそ500万円規模の修繕資金を確保することになります。

この水準を一つの目安として、以下では「均等積立方式」と「段階増額積立方式」を比較します。

均等積立方式のイメージ

均等積立方式は、必要となる修繕費用を計画期間全体で均等に積み立てていく方法です。先ほどのモデルケースでは、月額約1万7,500円を30年間継続して積み立てることで、将来必要となる修繕費用を安定的に確保できます。

この方式の最大のメリットは、月々の負担が将来にわたって変わらず、途中で大きな増額を行う必要がない点です。計画どおり積み立てを続けることで、資金不足や一時金徴収に頼らず、想定した修繕工事を実施しやすくなります。

段階増額積立方式のイメージ

一方、段階増額積立方式では、新築当初の月額積立金を低く設定し、築年数の経過に合わせて段階的に引き上げていきます。

モデルケースとして、当初の月額積立金を6,000円程度に抑え、その後5年ごとに3,000円ずつ増額していく計画を想定すると、築25年以降には月額2万円超まで引き上げる必要が生じます。これは、新築時と比べて3倍以上の負担となる水準です。

段階増額方式は、当初の支出を抑えられる一方で、将来の増額が確実に実行されなければ資金不足に陥るリスクがあります。また、居住者の高齢化が進んだ時期に負担が集中しやすい点にも注意が必要です。

シミュレーションから見える現実

このモデルケースから分かるように、30年間で十分な修繕資金を確保するためには、月額1万~2万円程度の積立が現実的に必要となります。当初の積立金設定が低すぎる場合、その差は将来まとめて調整せざるを得ず、大幅な増額につながります。

実際、段階増額積立方式を採用しているマンションでは、計画初期と後年を比べると、修繕積立金が数倍規模にまで引き上げられるケースも珍しくありません。
こうした急激な負担増は、区分所有者の生活設計に影響を与えるだけでなく、合意形成を難しくし、管理組合運営上の大きな課題となります。

将来の修繕積立金問題を先送りせず、早い段階で必要水準を把握し、無理のない形で積み立てを始めることが、結果として住民全体の負担を抑えることにつながります。修繕積立金は「できるだけ低く抑えるもの」ではなく、マンションの資産価値と安心を将来にわたって守るための備えであるという視点が、これからのマンション管理には欠かせません。

資金不足を防ぐための戦略

将来の大規模修繕に備え、30年後に資金不足へ陥らないためには、早い段階からの計画的な資金準備が欠かせません。積立方式の選択や長期修繕計画の精度を高めることで、無理のない範囲で必要額を確保していくことが重要です。

ここでは、管理組合が検討すべき代表的な戦略として、積立方式の考え方とその注意点を整理します。

積立方式の選択:均等積立方式と段階増額積立方式

修繕積立金の積立方式には、大きく分けて次の2つがあります。

均等積立方式:長期間にわたり月額積立金を一定に保つ方式

段階増額積立方式:当初の積立額を抑え、築年数の経過に応じて段階的に増額する方式

どちらの方式にもメリット・デメリットがあり、マンションの規模や築年数、居住者構成などを踏まえたうえで、適切に選択・運用する必要があります。

均等積立方式のメリット・デメリット

メリット

均等積立方式では、将来にわたって毎月一定額を積み立てるため、資金計画が非常に安定します。初期段階から必要水準の積立を行うことで、修繕積立金残高を常に一定以上確保しやすく、予定していた修繕工事を延期したり、急な一時金徴収を行ったりするリスクを抑えられます。

また、大幅な値上げを伴わないため、区分所有者間の合意形成が比較的スムーズに進みやすい点も利点です。結果として、将来の資金不足リスクを最小限に抑えられることが、この方式の最大のメリットといえるでしょう。

デメリット

一方で、新築当初から積立金が高めに設定されるため、入居初期の月額負担が重く感じられる場合があります。購入検討者にとって割高な印象を与える可能性がある点は、分譲時のデメリットとなり得ます。

また、長期間にわたって資金を管理組合で保有することに対し、「早い時期から多額の資金をプールするのは効率が悪い」と感じる声が出ることもあります。ただし、近年は積立金の運用益を大きく期待できる環境ではないため、必要資金を早期に確保しておく意義は依然として大きいといえるでしょう。

段階増額積立方式のメリット・デメリット

メリット

段階増額積立方式は、新築当初の月額積立金を低く抑えられる点が最大の特徴です。入居開始直後の負担を軽減できるため、購入時の経済的ハードルを下げ、分譲時の販売促進につながる側面もあります。

また、必要となる時期に合わせて資金を拠出していく考え方のため、短期的な家計負担の平準化という観点では合理的と捉えられる場合もあります。管理組合としても、当初から多額の資金を管理せずに済む点をメリットと感じるケースがあります。

デメリット

一方で、この方式は将来的な負担増を前提とするため、積立金を引き上げる段階で合意形成が得られず、計画どおりに増額できないリスクを抱えています。特に築年数が進み、所有者の高齢化や収入減少が進んだタイミングでは、後年の大幅な値上げが難しくなる傾向があります。

その結果、必要な修繕費を十分に確保できず、資金不足に陥る可能性が高まります。また、将来負担が大きくなることで、「初期の入居者ほど負担が軽く、後からの入居者ほど重くなる」という不公平感が生じる点も、段階増額方式の課題です。

このため、段階増額方式を採用する場合であっても、増額幅を極端に大きくせず、できるだけ早期に均等積立方式に近い水準へ到達させる計画とすることが望ましいとされています。

段階増額方式を採る場合の考え方

国が示す指針でも、将来にわたって安定的な修繕資金を確保する観点からは、均等積立方式を基本とする考え方が示されています。もっとも、実務上は段階増額方式を採用しているマンションが多いのも事実であり、その場合は増額計画の設計が極めて重要となります。

具体的には、均等積立方式で必要とされる月額水準を基準とし、

  • 当初の積立額を極端に低くしすぎない
  • 最終的な積立額が過度に高くならない

といった範囲に収め、計画的かつ現実的な増額を行うことが求められます。この考え方に沿えば、新築マンションでは分譲時から修繕積立金をある程度高めに設定する動きが進み、既存マンションについても、初期設定が低すぎる場合には、今後段階的な見直しが避けられない状況といえるでしょう。

このように、資金不足を防ぐためには、積立方式そのものの是非だけでなく、その運用設計と見直しのタイミングが重要となります。早めに現実を把握し、無理のない形で積立水準を整えていくことが、将来の大幅な負担増や一時金徴収を避ける最善策といえるでしょう。

長期修繕計画の見直しと計画的な積立見直し

資金不足を防ぐためのもう一つの重要な戦略が、長期修繕計画(長計)の定期的な見直しです。多くのマンションでは分譲時に30年程度の長期修繕計画が示されますが、この計画は将来のすべての修繕費用を確定するものではなく、一定期間ごとに更新していくことを前提とした「たたき台」として作成されています。

例えば、新築時に計画期間を30年と設定した場合、その時点では修繕周期が30年を超える工事項目(給排水管の全面更新やエレベーターのリニューアル、機械式駐車場の更新など)は、計画に含まれていないことが一般的です。また、建物や設備の劣化状況、技術革新、資材価格・人件費の変動などにより、当初想定していた修繕内容や費用が変わることも少なくありません。

このため、5年程度ごと、あるいは大規模修繕工事の実施後などの節目で長計を見直し、必要に応じて積立金額を修正することが極めて重要となります。

築25~30年が一つの分岐点

特に注意が必要なのが、築25~30年を迎えるタイミングです。この時期には、第二回目の大規模修繕工事に加え、

  • エレベーターの更新・リニューアル
  • 給排水管の更新
  • 機械式駐車場の大規模改修・撤去

など、数百万円~数千万円単位の大型支出が重なる可能性があります。

当初の長期修繕計画にこれらの工事項目が十分に織り込まれていなかった場合、直前になって資金不足が判明し、短期間で大幅な積立金増額や一時金徴収を余儀なくされるケースも見受けられます。そうした事態を避けるためには、早めに計画期間を延ばし、将来想定される主要修繕をすべて洗い出したうえで、必要資金を試算し直すことが不可欠です。

国の調査や実務上の知見でも、長期修繕計画を当初の30年から50~60年程度に延長し、超長期の視点でシミュレーションを行うことで、築30年前後での急激な負担増を回避しやすくなると指摘されています。修繕費用を長いスパンで平準化し、早め早めに積立額を調整していくことで、将来の家計負担を和らげることが可能となります。

制度面から見た長期修繕計画の重要性

近年導入された管理計画認定制度やマンション管理適正評価制度においても、

 「30年以上の長期修繕計画が策定されていること」

 「計画期間中に複数回の大規模修繕工事が想定されていること」

 「最終年度に修繕積立金残高が不足しないこと」

 といった点が、管理状態を評価する重要な要素とされています。

これらの基準を満たすため、従来の長計を見直し、積立水準を引き上げる判断を行ったマンションも増えつつあります。今後もインフレの影響による工事費の上昇や、人手不足に伴う人件費の高止まりが続く可能性を考えると、長計の見直しと積立額の調整は、今後さらに重要性を増していくといえるでしょう。

管理組合としては、建築士やマンション管理コンサルタントなどの専門家の助言を得ながら、現実的な工事単価や修繕周期に基づいた長期修繕計画を定期的にアップデートしていく姿勢が求められます。

資金不足リスクへの備えと追加策

上記のような戦略を講じていても、想定外の費用増加や合意形成の遅れなどにより、資金不足リスクが完全になくなるわけではありません。そのため、次のような追加策も併せて検討しておくことが望ましいでしょう。

早めの増額決議

将来必要になることが分かっている積立金の増額は、小幅でも早めに実施する方が、後年の急激な負担増を避けやすくなります。増額には総会決議が必要で時間を要するため、余裕を持ったスケジュールで計画・提案することが重要です。

修繕積立基金・一時金の位置づけ

新築分譲時に徴収する修繕積立基金は、初期段階の積立不足を補う有効な手段です。一方、大規模修繕直前の一時金(臨時徴収)は、やむを得ない場合の選択肢ではありますが、区分所有者の負担感が大きく、合意形成の難易度も高いため、緊急避難的な手段と位置づけるのが現実的でしょう。

金融機関からの借入も検討余地はありますが、将来的に管理組合が債務を抱える形となるため、基本は日常的な積立で賄う体制を目指すべきです。

支出の精査と効率化

長期修繕計画を見直す際には、支出の抑制余地がないか検討することも重要です。

例えば、

足場を必要としない工事は大規模修繕と切り離す

修繕周期を延ばせる工事項目がないか再検討する

利用頻度の低い共用施設の維持コストを見直す

といった工夫により、将来の修繕費総額を抑えられれば、積立金不足リスクの低減につながります。

おわりに

マンションの修繕積立金は、30年後、さらにその先を見据えて計画的に積み立てていくことが何より重要です。長期修繕計画は一度作ったら終わりではなく、社会情勢や建物の実態に応じて定期的に見直し、積立水準を調整していく「生きた計画」であるべきものです。

修繕積立金の水準は今後も緩やかに上昇していく可能性がありますが、それはマンションの資産価値と安全・快適な居住環境を維持するための必要な投資とも言えます。将来の負担をできるだけ平準化するためにも、早めの備えと計画的な積立見直しを心がけ、管理組合として主体的な判断と行動を重ねていくことが求められています。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

二級建築士,管理業務主任者

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