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マンションの大規模修繕における建物調査診断、その目的・費用・流れを解説

大規模修繕

2024/09/04

マンションの大規模修繕における建物調査診断、その目的・費用・流れを解説

マンションの大規模修繕は、建物の長寿命化や安全性の維持に欠かせません。その大規模修繕の実施タイミング、施工範囲や仕様を決めるのに重要となるのが、建物の劣化状況を調査診断する『建物調査診断』となります。 建物調査診断は『マンションの人間ドック』とも言えるものです。 この記事では、マンションの建物調査診断目的、実施タイミング、費用、流れ等について解説します。これら情報が少しでも皆様のお役に立つと幸いです。

建物診断の目的・タイミング

マンションの大規模修繕における建物調査診断は、建物や設備などの劣化状況を評価、必要な改修の把握をするためのプロセスとなります。ひいては、建物の寿命を延ばし、居住者や利用者の安全と快適性を保つことに繋がります。

目的

代表的なものは以下の通りとなります。

  • 建物の大規模修繕を含めた修繕、設備改修の必要性、内容の確認
  • 長期修繕計画の見直し
  • 資金計画の見直し

タイミング

診断手配の負荷・費用などがかかることもあり、平時はやらず、劣化がいってい進んでいると考えられるタイミング、主に大規模修繕の実施時期(12~15年周期)の手前となることが多いです。

タイミングが遅すぎると、建物の問題が深刻化したり、漏水など問題が発生したり、修繕費用が必要以上に高額になってしまったりする可能性があります(例:鉄部、塗装で済んだのが、補強や更新が必要になってしまう)。建物調査診断を実施することで、建物の問題点を早期に発見し、適切な対策を立てることが可能となります。

建物調査診断の費用・流れ

内容・費用の決定

大きくは「簡易診断(目視・打診のみのもの)」と「本格診断(機械調査まで行うもの)」に分けられます。

【簡易診断:目視・打診のみのもの】

屋上・廊下などの防水、外壁などの塗装・タイル・シーリングの状態を定性的に確認できます。

経験ある検査員が実施すれば、建物全般の劣化状況をおおむね把握することができます。

いっぽう、数値が無いため、定量的に把握できないという問題があります。

【本格診断:機械調査まで行うもの】

簡易診断に加え、機械調査まで実施するものとなります。

機械調査とは外壁塗膜付着力試験、タイル付着力試験、コンクリート中性化深度試験、シーリング材物性試験(詳細は後述)などを指します。マンションの構成物の強度や物性まで確認できます。

各試験の結果が数値で、定量的にでるため、納得性が高いというメリットがあります。

いっぽう、①費用が比較的多くかかること、②(大きな面積に対して、サンプルが非常に小さな数点しかないため)網羅性にかけ、建物全体を代表しているとは言い切れないこと等の問題があります。

建築関連以外で、配管からの漏水などの懸念がある際は給排水管の診断なども考えられます。

依頼先の決定

代表的なものはコンサルティング会社、管理会社、工事会社となります。

現状の確認

診断前に現状確認を行い、そもそも建物調査が必要か否か、問題点把握、診断内容精査を行います。

理事会・修繕委員会からのヒアリング

把握している問題点、工事に向けての方針を確認します。

書類確認

竣工図書・仕様書、過去の大規模修繕などの修繕履歴を確認します。

住民アンケート

住民に不具合・要望などに関するアンケートを行うケースもあります。

建物調査診断の実施

現地調査を行います。期間は1日~数日となります。

簡易診断(目視・打診)における主なチェック項目は以下の通りとなります。

  • コンクリートなどのひび割れ、欠損
  • 外壁のタイルや塗装の浮き(※)、ひび割れ、欠損

    タイル浮きについては目視以外に、打診棒での音の確認で調査

  • 鉄部(配電盤、手すりなど)の塗装、錆び、腐食
  • シーリングのひび割れ、欠損、柔軟性
  • 屋上、廊下、ベランダの防水性
  • その他多数

機械調査における主なチェック項目は以下の通りとなります。

  • 外壁塗膜付着力試験

    外壁塗膜付着力試験は、塗膜が外壁(下地)に対して十分な接着力を持っているかどうかを測定します。接着力が低いと塗膜が剥がれやすくなるため、外壁の劣化を早め、結果として建物全体の耐久性が低下する可能性があります。

  • タイル付着力試験

    外壁塗膜付着力試験と同様、タイルの下地への付着程度を確認する試験です。タイルの剥がれ、落下は重大な人身事故などに繋がる恐れがあるため、それらを防止するための試験となります。

  • コンクリート中性化深度試験

    新築時、コンクリートはアルカリ性で、内部の鉄筋の酸化を防止しています。築年数が経つにつれ、雨水などによりコンクリートの中性化が進み、鉄筋の錆び、腐食のリスクが高くなります。

    この試験では「コンクリートがどれだけ中性化しているか?」を薬剤などを使い確認します。

  • シーリング材物性試験

    シーリング材とは、窓枠の金属と建物のコンクリートなどの隙間を埋める、緩衝する樹脂(色は白色や灰色など)となります。シーリング材が柔軟性を失い、ひび割れ、欠損を起こすと建物内部への漏水に繋がります。この試験では、引張り試験とゴム硬度測定により、シーリングの劣化具合を確認し、改修時の打ち替えの程度や仕様を判断します。

建物調査診断報告書の提出、報告会の実施

建物調査診断報告書とは「建物の各部分の劣化状況(写真・図面なども用いて説明)」、「工事の必要性・緊急性」がまとめられた報告書となります。

一般的には診断者から理事会・修繕委員会のメンバーに向けて、時には全組合員に向けて報告会が実施されます。

マンション管理組合での今後についての検討

「建物診断の次は工事の検討である」とは限りません。診断結果、組合の財政状況などを鑑みて、工事の実施是非の判断、長期修繕計画の見直しなどを、組合主導で(※)行いましょう。

※業界関係者にとっては工事=ビジネスチャンスであるため、どうしても工事を実施する、規模を大きくする方向に意識が向きがちになります。

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この記事の著者

豊田 賢治郎

豊田 賢治郎

「スマート修繕」代表。過去2年間の顧客マンションへの訪問回数は400回を超え、チェックした見積書の数は千を超える(2024年7月末時点)。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「日本経済新聞」、「羽鳥慎一 モーニングショー」、「日曜報道 THE PRIME」、「モーニングサテライト」。

中小企業診断士

この記事の監修者

別所 毅謙

別所 毅謙

マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「NIKKEI NEWS NEXT」、「首都圏情報ネタドリ!(NHK)」、「めざまし8」、「スーパーJチャンネル」。

二級建築士

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