大規模修繕で網戸を外す必要がある場合の代わり策と管理組合の対応
更新日:2025年10月29日(水)
マンションの大規模修繕工事では、足場を組んで外壁や窓まわりの補修・塗装などが行われるため、各住戸の「網戸」を一時的に取り外すケースが少なくありません。しかし、網戸を外すとなると「工事中の虫対策は?」「網戸は誰が管理・復旧するのか?」といった疑問や不安が住民から上がりがちです。 本記事では、マンション管理組合向けに「大規模修繕 網戸 代わり」というテーマで、網戸の法的な位置づけから撤去の必要性、代替手段、そして管理組合としての対応策について解説します。
- 本記事のポイント
- 網戸の法的な位置づけ(共用部分か専有部分か)と、管理組合が負う責任範囲を理解できる。
- 網戸撤去が必要な理由や復旧時の課題を知り、住民トラブルを防ぐ準備ができる。
- 網戸が使えない期間の代替策(簡易網戸・防虫カーテン・空調活用)と、快適に過ごす工夫を学べる。
網戸は共用部分か専有部分か?その法的位置づけ
まず押さえておきたいのは、マンションの網戸が「共用部分」か「専有部分」かという点です。結論から言えば、多くのマンションでは網戸は共用部分(専用使用権付き共用部分)として扱われます。
国土交通省の「マンション標準管理規約(単棟型)」平成28年改正では、第7条のコメントで「窓枠、窓ガラス、網戸(プリーツ網戸を除く)等は専有部分に含まれない」と明記されており、網戸は区分所有者が専用使用できる共用部分との位置づけです。つまり、各住戸の窓や網戸は建物全体の一部であり、勝手な改造・撤去は本来できないものなのです。
ただし日常的な維持管理は各居住者の役割となります。網戸や窓ガラスは他の住民が日常使用できるわけではないため、「共用部分の専用使用部分」(専用使用権部分)という扱いになり、日常の清掃や網戸ネットの張替え程度の軽微な修繕は各区分所有者の負担で行うことが認められています。
一方で、網戸フレーム自体の大規模な補修や交換は共用部の修繕として管理組合の責任と費用で計画的に実施するのが原則です。実際、マンションによっては管理規約上明示されていなくとも、区分所有法上「専有部分以外は共用部分」と定義されていますので(区分所有法第2条等)、網戸は専有部分ではないと解釈されます。管理組合としてはまず自分たちのマンションの規約を確認し、網戸の扱いが明確になっているかチェックしておきましょう。不明確な場合は総会で規約を補足・修正することも検討が必要です。
大規模修繕で網戸を撤去する理由と復旧が難しいケース
なぜ網戸を外す必要があるのか?
大規模修繕工事では原則として全住戸の網戸を一時撤去するよう依頼されるのが一般的です。その主な理由は以下のとおりです。
- 安全確保のため
外側に網戸を付けたままだと、足場設置や作業員の移動中に網戸が外れて落下する危険があります。強風時に網戸が飛ばないよう「はずれ止め」の器具が付いている場合もありますが、足場作業では少しの障害物や緩みも大事故につながりかねません。事前に網戸を外しておくことで、足場作業中の事故リスクを軽減できます。
- 作業を円滑にするため
大規模修繕では外壁塗装や窓周りのシーリング(目地ゴムの打替え)作業、防水工事などが行われます。網戸がはまったままだと職人が窓枠周辺に直接アクセスできず、塗装やコーキング作業の邪魔になるのです。実際、新築時にはシーリング施工後に網戸を取り付けていますので、再施工には網戸の取り外しが必須となります。網戸越しではハケやローラーもうまく届かず塗りムラの原因にもなるため、工期短縮と仕上がり向上のためにも外しておくのが合理的です。
- 網戸の汚損防止のため
外壁塗装や高圧洗浄、コンクリート補修の工程では、塗料や洗浄水、埃・破片が飛散します。網戸を付けたままだと細かな網目に塗料ミストやホコリが付着し、清掃しても取れなくなる恐れがあります。劣化したシーリング材の撤去片が網戸レールに挟まってしまい、網戸の開閉不良を招くケースも報告されています。網戸自体の寿命を縮めないためにも、事前に取り外して室内で保管することが推奨されます。
以上の理由から、大規模修繕では網戸を外すの常識とも言われるほど一般化しています。施工会社から「○月○日までに各自網戸を取り外してください」といった案内が来たら、指示通りきちんと外すことが肝心です。外し方が分からない場合は事前に施工会社に相談すれば対応してもらえるケースもあります。
網戸の取り外し~復旧で起こりうる課題
網戸を外すこと自体はやむを得ないとしても、その取り外し・保管・再設置には課題もあります。管理組合として把握しておくべきポイントを挙げます。
- 取り外し作業の負担
基本的に網戸の撤去は居住者自身で行うよう依頼されることが多いです。網戸の「はずれ止め」金具は室内側からネジで緩める構造のため、作業員だけで外すのは難しいからです。しかし高齢者や体が不自由な方など自力で外すのが難しい住民もいるでしょう。そうした場合、管理組合が声掛けしてボランティアスタッフや業者の手配を検討する必要があります。実際、施工業者によっては「手伝いが必要な方はご連絡ください」と案内してくれることもありますし、玄関側など居住者が外せない網戸は足場設置後に業者が取り外す場合もあります。事前アンケート等でフォローが必要な世帯を把握し、スムーズに撤去できる体制を整えましょう。
- 網戸フレームの老朽化
築年数が経ったマンションでは、網戸枠そのものが歪んでいたりローラーや戸車が劣化していることがあります。その状態で無理に取り外すと枠が変形したり部品が破損して元に戻せなくなるケースもあります。実際、「古い網戸のビス部分が壊れていて外れ止めが効かず、力任せに外したら再取付できなくなった」という住民の声もあります。工事を機に網戸を新品交換せざるを得なくなる住戸も出る可能性がある点は考慮が必要です。
- 長期保管による損傷リスク
外した網戸は各戸の室内で数週間~数ヶ月保管することになります。室内に立てかけておくと倒れて枠が曲がったり、網に穴が開く恐れもあります。施工会社によっては網戸専用の保管袋を配布し、室内保管を依頼する場合もあります。管理組合としても「保管中に網戸が破損した場合の責任の所在」について周知しておくと安心です(基本的には各自管理ですが、共用部扱いゆえにトラブルになる余地もあります)。
- 復旧時のトラブル
工事完了後、網戸を元に戻す際にも注意が必要です。外す時と同様にはずれ止めを解除してからレールにはめ込む手順を踏まないと、網戸枠が曲がってしまいます。特に脚立が必要な高所窓の網戸復旧は転倒リスクもありますから、高齢の方などには無理をさせないよう声掛けしましょう。業者の現場監督に頼めば柔軟に対応してくれるケースもありますが、契約外作業になるため断られる可能性もあります。管理員や有志の協力、あるいは有料でも専門業者にお願いする選択肢を用意しておくと安心です。
- 規格変更への対応
まれに大規模修繕で窓サッシ自体を交換したり、後付けで二重サッシを設置するケースもあります。この場合、既存の網戸が新サッシに合わなくなることがあります。網戸を全戸新品に交換するなら一斉交換で統一できますが、網戸交換を工事メニューに含めない場合、住戸ごとに合う網戸を別途調達しなければならず混乱が生じることも考えられます。事前に施工業者と計画内容をすり合わせ、網戸の規格変更がないか確認しましょう。
以上のように、網戸の撤去・復旧にはいくつかの課題があります。管理組合としては「網戸問題」を軽視せず、工事計画段階から検討・対策を練っておくことが肝要です。
工事中に網戸が使えない間の代替手段あれこれ
「網戸を外すと工事期間中、窓を開けたら虫が入ってしまうのでは?」と心配する住民も多いでしょう。実際には、大規模修繕中は足場と防護シートで建物全体が覆われ、窓を開けること自体が制限されるケースがほとんどです。塗装中やコンクリートの粉塵飛散中は養生ビニールで窓が目張りされますし、作業中の騒音・臭気、さらには防犯上の理由(足場からの侵入防止)のため、基本的に窓は開閉禁止となる時間帯があります。したがって「常に網戸が無い状態で暮らす」わけではないものの、長期間換気しづらい閉塞感は住民にストレスを与えます。そこで、工事中でも快適に過ごすための代替策やグッズをいくつか紹介します。
① 簡易網戸(貼付け式・マグネット式網戸)の活用
網戸の代用品としてまず検討したいのが、市販の「簡易網戸」製品です。これは枠を持たないネット状の網戸で、窓枠にマジックテープや磁石で簡易的に貼り付けて使用するものです。ホームセンターやネット通販で手に入り、窓のサイズに合わせてカットして使えるフリーサイズタイプもあります。取り付けも剥がすのも容易なため、賃貸でも利用可能な手軽さが魅力です。
- メリット
工具不要で着脱でき、価格も安価(数千円程度)なので手軽。網戸同様の通気性が確保でき、虫の侵入をかなり防げます。不要時はコンパクトに畳んで収納可能です。
- デメリット
あくまで仮設の網なので強風でバタついたり外れやすいです。耐久性も本物の網戸には劣り、長期間の使用には向きません。また貼付けには両面テープや吸着テープを使うため、剥がす際に糊残りや塗装剥がれが起きるリスクがあります。特に賃貸や分譲でも共用部のサッシ枠に跡を残すと、後で修繕費用を請求される可能性もあるので注意が必要です。
簡易網戸を使う際は、工事作業に支障をきたさない範囲で設置することも大切です。外側に大きくはみ出すタイプだと足場や作業員に引っかかる恐れがあるため、不安な場合は事前に管理組合や施工業者に相談・許可を得ると安心です。
② 目隠し用ウィンドウフィルムの活用
「虫対策」というよりプライバシー対策になりますが、窓ガラスに貼る目隠しフィルムも代替策の一つです。工事中は作業員がベランダや足場を行き来するため、昼間でもカーテンを閉めっぱなしにする住民も多いでしょう。そこで外からの視線を遮るウィンドウフィルムを貼っておけば、昼間は照明を付けなくても室内が見えにくくなり、カーテンを開けて自然光を取り込むことができます。最近は遮熱効果やUVカット効果のあるフィルムも販売されており、夏場のエアコン効率アップにも役立ちます。
ただし注意点として、フィルム自体に防虫効果はありません。あくまで人目を気にせず換気したい方向けの対策です。またフィルム貼付も自己責任で行う必要があり、剥がすときに糊残りが窓ガラスに付く可能性もあります。施工後にガラス清掃を実施する場合は、フィルムを剥がさないといけないケースもありますので、その点も施工業者に確認しておきましょう。
③ 防虫ネット付きカーテンの利用
室内側からの対策としては、防虫ネット付きのカーテンを使う方法もあります。これはカーテンレールに吊るすタイプの細かなメッシュネットで、網戸カーテンとも呼ばれます。見た目はレースカーテンに近く、風を通しながら虫だけシャットアウトする製品です。小さなお子さんやペットがいる家庭でも安心して使えるのが利点です。
- メリット
窓辺に吊るすだけなので取付け簡単。部屋側に設置するため風雨の影響を受けにくく、見た目も室内インテリアに馴染むものが多いです。網戸より目が細かい素材を選べば、小さな虫も防ぎやすくなります。
- デメリット
窓の開け閉めのたびにネットカーテンを手でかき分ける必要があり、若干わずらわしい面があります。サイズも窓に合うよう調整(裾上げ等)しないと隙間が生じて虫が入る恐れがあります。またネット越しに物を出し入れするのは難しいため、ベランダに頻繁に出入りする場合には不便です。
④ その他の工夫:二重窓や空調設備の活用
上記の他にも、各家庭でできる工夫はいろいろあります。例えば既に内窓(インナーサッシ)を設置しているお宅では、内窓と外窓を少しずらして開けることで直接的な通風経路を作らず換気する、といったテクニックも考えられます(完全ではありませんが、一直線に開けるより虫の侵入リスクを下げられます)。二重窓は気密性が高く防音・断熱効果もあるため、工事中は窓を閉め切って空調に頼っても比較的快適に過ごせるでしょう。実際、修繕期間中はエアコンやサーキュレーター、空気清浄機をフル活用して室内環境を整えることが勧められています。特に夏場の工事では、窓を開けられない分エアコンを常用することになりますので、空気清浄機やサーキュレーターで室内の空気を循環・クリーンに保つことが重要です。
なお、代用品を使っても完全に網戸と同等の快適さを得るのは難しい点は承知しておきましょう。多少の虫の侵入は避けられない場合もありますので、市販の虫除けスプレーや蚊取り線香なども併用しつつ、数ヶ月だけの一時的な措置と割り切って工夫することが大切です。
管理組合として取るべき対応策あれこれ
最後に、管理組合の理事会として大規模修繕における網戸問題への対応で押さえておきたいポイントを整理します。住民への周知から業者との調整まで、事前にしっかり準備することでトラブルを未然に防ぎ、工事を円滑に進めることができます。
1. 規約の確認と方針決定
まず自マンションの管理規約で網戸の扱いがどう定められているかを確認しましょう。前述の通り標準管理規約では共用部分扱いですが、物件によっては網戸に関する規定が明文化されていないケースもあります。その場合でも法的には専有部ではないため管理組合の管轄事項となりますが、住民の中には「網戸は自分の物」という認識の方もいるかもしれません。事前に理事会内で網戸交換や補修を組合負担で行うか否かなど方針を決め、必要に応じて総会決議を取っておくと安心です。
例えば網戸を全戸一斉に交換・新調する場合は、大規模修繕工事の一部として修繕積立金から費用を充当することになります。標準管理規約では網戸は共用部分ゆえ組合負担で交換可能ですが、念のため全体の合意形成(総会決議)を経て進める方が無難でしょう。また今回は交換まではせず各戸で外して保管・復旧のみとする方針なら、その旨を周知するとともに「網戸が破損した場合の扱い(基本は自己責任で修理)」についても取り決めておくと良いでしょう。
もし大規模修繕の計画に網戸交換を含めない場合でも、「工事中に各自の判断で網戸を交換・リフォームしたい」というニーズが出ることがあります。その際のルールも決めておきましょう。標準管理規約では管理組合がすぐ工事できない場合、各区分所有者が自己負担で改良工事を行うための細則を定めるようコメントされています。網戸についても、工事中に自費で高機能網戸に交換したい人がいるかもしれません。そういった場合に備え、事前に理事会へ申請させるルールや、後で組合の計画修繕と重複した場合の調整方法(例えば個人負担で新品にした人には将来組合で網戸交換する際は相応分控除する等)を検討しておくと、公平性を保てるでしょう。
2. 施工業者との調整事項の整理
施工業者とは網戸の扱いについて具体的に打ち合わせをしておく必要があります。
以下の点を事前に確認・調整しましょう。
- 網戸撤去のタイミング・範囲
どの工事工程の前までに網戸を外す必要があるのか、具体的な撤去時期を教えてもらいます。一般的には足場組立の前(着工の1週間~3日前)までにベランダ側網戸を外すよう指示されます。廊下側や出窓など足場設置後でないと外せない網戸については、業者が対応する日程を調整します。工事範囲に含まれない窓(内廊下側など)がある場合は、そこの網戸は外す必要があるのかも確認しましょう。
- 保管方法の周知
施工会社が網戸保管用の袋を用意してくれるか、自宅のどこに保管してもらうか等、保管に関する指示を取り決めます。基本は各住戸室内で保管ですが、邪魔になる場合は一時的に共用部倉庫等を活用できないか検討する余地もあります。ただし共用部にまとめて保管すると紛失・破損時の責任問題が複雑になるため、自己管理が原則です。その旨を説明会で伝えるとともに、保管袋が配布されるなら各戸に配っておきます。
- 取り外し補助の可否
業者側で取り外しを手伝える範囲を確認します。前述の通り基本は居住者対応ですが、足場設置後に作業員が外せる網戸や、高齢者宅へのサポートなど、業者が可能な範囲を事前に打診しておきます。「〇月△日に希望者には〇〇会社のスタッフがお手伝いします」といった調整ができれば理想的です。また取り付け時の支援も同様に検討します。
- 網戸の損傷時対応
工事中または復旧時に網戸が破損した場合の責任分界点を確認します。例えば「作業員の過失で壊した場合は業者負担で修理」「居住者の保管不備で破損した場合は自己負担」などです。明文化は難しいかもしれませんが、保険適用の範囲(工事保険でどこまでカバーされるか)も含め、認識合わせをしておくとトラブルになりにくいでしょう。
3. 居住者への丁寧な説明と協力依頼
管理組合として最も重要なのは、居住者への周知徹底と協力要請です。大規模修繕に先立ち開催する工事説明会や各戸配布の案内文書で、網戸に関する注意事項をしっかり伝えましょう。
説明すべきポイントの例
- 網戸を外す必要性と理由
上記の安全上・作業上の理由を分かりやすく説明します。「なぜ外さなきゃいけないの?」という根本的疑問に答えることで、住民の理解が深まりますl。外さないままだと工事に支障が出て結果的に自分たちの負担増になる可能性にも触れると良いでしょう。
- 各自にお願いする作業内容
具体的にいつまでに何をしてもらうかを明記します。例:「○月○日までにベランダの網戸を室内に取り込んでください」「玄関側FIX窓の網戸は業者が後日外しますのでそのままで結構です」等。騒音時間帯や作業員立入り日程、そして「居住者が行う作業内容(網戸外し・ベランダ荷物片付け等)とその理由」はセットで周知しましょう。理由を伝えることで協力が得られやすくなります。
- 網戸撤去が生活に与える影響
網戸を外すことによるデメリットや注意点も正直に伝えます。例えば「工事期間中は虫防止のため窓を開けにくくなります」「夏場は窓を閉める時間が長くなりエアコン使用が増えるかもしれません」など、生活に及ぶ影響を説明し、代替策(先述の簡易網戸や空気清浄機利用など)も提案しましょう。虫の侵入対策や騒音への対応、光や風を取り入れる工夫、電気代増加の可能性などについて触れておけば、住民も心構えができます。
- 代用品利用時の注意
住民によっては独自に簡易網戸等を取り付けるかもしれません。その際の注意事項も共有します。強粘着テープの使用は避ける、網やシートが足場に触れないようにする、万一の強風時は外す、といった安全面・原状回復面での助言です。「設置に不安がある場合は事前に管理組合または工事事務所へ相談してください」と窓口案内しておくと親切です。
説明会では質疑応答の時間も設け、可能な限り住民の疑問に答えましょう。「網戸は工事後に自分で戻すの?」「壊れたらどうするの?」「〇〇号室は腰窓だけど網戸ある?」など様々な質問が予想されます。あらかじめQ&A集を用意しておくとスムーズです。説明内容や注意事項は書面でも配布・掲示し、留守世帯や後から入居した人にも情報が行き渡るようにします。
4. 居住者サポートとコミュニケーション
網戸撤去は居住者にとって負担となる作業です。管理組合として可能な支援策を検討し、住民に寄り添った対応を心掛けましょう。
- 高齢者・要支援者への声掛け
独居の高齢者世帯や身体の不自由な方には、個別に「網戸外しでお困りありませんか?」と声を掛けます。必要であれば理事や有志が一緒に作業を手伝う、または施工業者と調整して特別対応してもらうよう取り計らいます。網戸だけでなく、ベランダ荷物の移動なども含めてサポートを検討します。
- 復旧作業日の案内
工事完了後に網戸を元に戻すタイミングについても周知し、希望者には復旧作業の支援を提供できるとベターです。「○月○日~△日に網戸を戻してください。難しい方は遠慮なくお知らせください。」などフォロー体制を伝えておくと安心感があります。
- 定期的な情報発信
工事期間中は掲示板や回覧などで進捗状況や注意事項を逐次知らせましょう。特に網戸に関しては、「○月○日~○日は塗装のため終日窓開放禁止」など、住民が窓を開けてよい日・ダメな日をカレンダーで示すと親切です。「今日は天気がいいけど養生シートがあるから網戸なしでも虫は来にくいです」等、理事会からの一言メモを添えるだけでも住民の不安は和らぎます。
- 住民の意見収集
網戸に限らず工事全般について、住民からの意見・要望を受け付ける仕組みを作りましょう。連絡ボックスやメール、最近では専用アプリやLINEグループを活用する組合もあります。網戸のことで言えば「やはり虫が入って困る」「工事期間が延びそうなので代用品を追加購入した」等、様々な声があるはずです。そうした声に耳を傾け、必要なら施工業者とも共有して現場対応に活かす(例:防虫剤を設置してもらう、等)といった姿勢が信頼に繋がります。
まとめ
大規模修繕工事における網戸の取り外しは、一見地味な問題ですが居住者の生活に直結する重要事項です。管理組合の理事としては、網戸の法的扱いや修繕費用負担のルールを正しく理解し、事前に方針を明確化しておく必要があります。その上で、施工業者との綿密な打ち合わせと住民への丁寧な説明・サポートを行いましょう。
網戸がない間の不便さを少しでも和らげる代替手段を提案し、コミュニケーションを密に取ることで、住民の理解と協力を得られます。マンション全体で知恵を出し合い協力することで、網戸の問題をクリアし、大規模修繕工事を円満かつ安全に完了させることができるでしょう。
大規模修繕の支援サービス「スマート修繕」
- 「スマート修繕」は、一級建築士事務所の専門家が伴走しながら見積取得や比較選定をサポートし、適正な内容/金額での工事を実現できるディー・エヌ・エー(DeNA)グループのサービスです。
- ボリュームゾーンである30~80戸のマンションのみならず、多棟型やタワーマンションの実績も豊富で、社内にはゼネコン、修繕会社や修繕コンサルティング会社など出身の建築士等が多数いますので、お気軽にご相談ください。
- 事業者からのマーケティング費で運営されており、見積支援サービスについては最後まで無料でご利用可能です。大手ゼネコン系を含む紹介事業者は登録審査済でサービス独自の工事完成保証がついているため、安心してご利用いただけます。
電話で無料相談
24時間対応通話料・相談料 無料
Webから無料相談
専門家に相談する
本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
本記事の監修者
.png&w=640&q=75)
遠藤 七保
大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。
二級建築士,管理業務主任者
24時間対応通話料・相談料 無料



.png&w=3840&q=75)


