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エレベーターの制御盤交換工事 |耐用年数や依頼時の注意点を解説

更新日:2025年05月12日(月)

エレベーターの安全運行を支える重要機器である「制御盤」の老朽化対策は万全でしょうか。エレベーターは建物のインフラとして不可欠ですが、制御盤を含む設備には耐用年数があり、建物の寿命より短いサイクルで大規模な更新が必要となります。 特に制御盤交換工事はエレベーターの信頼性と安全性を維持する上で避けて通れない重要なメンテナンスです。 この記事では、エレベーターの制御盤交換について「何が制御盤か」「どれくらい使えるのか」「交換工事はどう進めるのか」「依頼時の注意点」について解説します。見積もりの適正チェックにもお役立てください。

本記事のポイント
  • エレベーター制御盤の役割や寿命、交換時期の目安を学べる。
  • 制御盤交換工事の具体的な進め方と業者選定のポイントがわかる。
  • 交換工事に必要な法的手続きや最新の安全基準への対応を把握できる。

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エレベーターの制御盤とは?

エレベーターの制御盤とは、エレベーターの動作を司る頭脳にあたる装置です。エレベーターの上下移動、ドアの開閉、速度制御、各種安全装置の監視など、あらゆる制御を統括しています。この制御盤が正常に機能してこそエレベーターは安全・快適に運行できるため、「エレベーターの心臓部」とも称されます。

制御盤(制御装置)は機械室などに設置された電気制御の盤で、エレベーターの動力と各階ボタン・ドアセンサー等を繋ぎ、運行プログラムに従ってエレベーターを動かしています。例えば「○階の呼びボタンが押されたら現在地から最短経路でかごを移動させる」「ドアに人が挟まれないようセンサーで検知して動作を止める」といった判断は全て制御盤の制御回路やソフトウェアによって行われます。

古いエレベーターではリレー回路による制御盤が使われていましたが、現在ではマイクロプロセッサ(コンピュータ)制御が主流です​。そのため、制御盤を最新化することでエレベーターの故障リスクを低減し、運行効率や安全機能を向上させる効果が期待できます​。

制御盤はエレベーター運転の中枢神経です。この装置が故障するとエレベーター全体が動かなくなり、利用者の安全に直結する重大なトラブルとなります。そのためメーカーや保守会社も制御盤の状態監視には細心の注意を払っており、定期点検で劣化や異常が見つかれば交換や基板修理などの対応が推奨されます。エレベーターを安心して使い続けるには、この制御盤の健全性確保が欠かせないのです。

エレベーター制御盤の耐用年数

エレベーターの制御盤を含む主要機器の耐用年数は一般的に約20~25年とされており、それを過ぎると交換(リニューアル)が必要になるケースが多いです。法令上は減価償却資産として17年が法定耐用年数に定められていますが、メーカー各社は製品寿命の目安をおおむね20年程度とし、部品の供給期限も約25年で終了する場合が一般的です​。したがって設置後20年を超えたエレベーターでは、制御盤の更新を具体的に検討すべき時期といえます。

なぜ20~25年が目安なのでしょうか?

第一に、経年による部品の劣化があります。制御盤内部の電子部品やコンデンサ、リレー等は長年の稼働で摩耗・劣化し、故障のリスクが高まります。第二に、技術進歩や規格変更によって古い制御盤の製造中止・部品供給終了が起きるためです。メーカーは新機種開発に伴い古い制御盤の生産を打ち切り、保守部品も一定期間(製造終了後20年程度)で在庫が尽きます​。このため古い制御盤は壊れても交換部品が手に入らず、修理不能でエレベーターが長期停止するリスクが高まります。

国税庁の「減価償却資産の耐用年数表」によればエレベーター設備の法定耐用年数は17年と規定されています​。一方、業界団体である日本エレベーター協会によると「主要な装置の耐用年数は概ね20年、部品供給期限は25年程度」とされています​。実際、エレベーターメーカー各社も自社製品の寿命目安を20~25年程度に設定するのが一般的です​。

また、経年による不具合が増えたり安全基準不適合が生じることから、マンションでは12~15年ごとの大規模修繕に合わせ、24~30年目にエレベーターをリニューアルする計画を組み込むケースが多いことも指摘されています​。このように、公的データ・業界指針・実務慣行のいずれから見ても、20年を超えたタイミングで制御盤を含むエレベーター設備の更新を検討開始する必要性が裏付けられます。

例えば築25年の建物に設置されたエレベーターでは、制御盤内部の電子基板が既にメーカー供給終了となり、万一の故障時に新品部品が入手困難となっている可能性が高いです。さらに古いエレベーターでは、現在の安全基準を満たしていない部品もあり、事故リスクや法令面の不安も生じます。もちろん実際の寿命は使用状況(1日の運転回数や積載量)、メンテナンス頻度、設置環境によって前後します​が、一般論として「設置後20年を超えた制御盤はいつ不動トラブルが起きてもおかしくない」と心得、計画的な更新準備を進めることが賢明です。

エレベーター交換工事の進め方

エレベーターの制御盤交換工事を円滑に行うには、5つのステップで計画・準備を進めることが重要です。以下に、代表的な進め方を順を追って説明します。

現状調査と劣化診断

まず専門業者によるエレベーター設備の現状調査を実施します。制御盤の動作状態や内部部品の劣化具合、製造年月やメーカーの保守状況などを確認し、交換の必要性と緊急度を評価します。また同時に他の関連部品(巻上機やワイヤーロープ等)の老朽化も点検し、交換工事の範囲を検討します。適切な診断を行うことで「制御盤だけ交換すれば良いのか」「他の部品も同時交換すべきか」を見極め、見積もりの精度向上と工事後の不具合防止につながります。

見積もり取得と業者選定

調査結果をもとに、制御盤交換にかかる見積もりを依頼します。可能であれば複数の施工業者(エレベーターメーカー系や独立系メンテナンス会社など)から見積もりを取り、工事内容と費用を比較検討するのが望ましいです。制御盤交換(制御リニューアル)工事の費用相場は1基あたり約500万~700万円程度が目安です。見積もりには制御盤本体の価格、交換作業の工賃、関連部品の交換費用(巻上機やかご内操作盤の更新費用など)、試運転調整費用、古い制御盤の処分費などが含まれます。各社の提案内容(価格はもちろん、提案されている交換範囲やアフターサービス)を比較し、信頼できる業者を選定しましょう。また自治体によってはエレベーターの改修工事に補助金制度がある場合もあります​。地域の補助金情報も確認し、該当すれば申請手続きを行うことでコスト負担を軽減できます。

工事計画の策定と周知

業者が決まったら、工事の詳細計画を立てます。具体的には工事日程(エレベーター停止期間)と作業内容のスケジュール、必要資材の手配、法定手続きの有無、関係者の役割分担などを詰めます。エレベーターは工事中使用できなくなるため、居住者やビル利用者への周知も重要です。管理組合やビル管理者は、エレベーター停止の期間と代替措置(例:仮設昇降設備の検討や、複数台ある場合の交互工事など)について事前に住民・テナントに通知し、理解と協力を得ます。特に高齢者や障がい者がいる場合は、エレベーター停止中の移動支援も検討しておきます。また工事に伴う騒音や振動の発生時間帯についても配慮し、必要に応じて作業時間を調整します。

制御盤交換工事の実施

計画に基づき、専門技術者による制御盤の交換作業を行います。まず既存の制御盤装置の電源を落とし、安全措置を講じた上で古い盤を取り外します。同時に古い巻上機(モーター)等も交換する場合はこれらも撤去します。その後、新しい制御盤を据付けて配線を接続し、必要な設定やプログラミングを行います。交換後は試運転を繰り返し、新旧機器の相性や制御プログラムに問題がないか詳細にチェックします。エレベーター1基あたりの工期は工事規模によりますが、制御盤と巻上機の更新程度であれば連続停止期間は数日程度、工事全体でも1~2週間以内が一つの目安です​。作業中は防音策を講じつつも機械撤去や穿孔作業で多少の騒音が発生します​。安全第一で工事を進め、作業完了後には関係者立ち合いのもと最終点検を行います。

検査・引き渡しと運転再開

工事が完了したら、最後に法定の検査と引き渡しを行います。エレベーターは建築基準法に基づき定期検査が義務付けられており、大規模な改修後も所定の安全検査に合格する必要があります。制御盤交換のみの工事であれば原則として建築確認申請は不要ですが、工事監督者や検査資格者による性能検査は実施されます。ブレーキや非常停止装置、ドアセンサーなど安全機構が正常動作するか入念にチェックします。すべての検査に合格したら、施工業者から管理者へ引き渡しとなり、エレベーターの運転を再開します。新しい制御盤になった後は、メーカーや保守会社から改めて取り扱い説明を受け、今後の保守計画についても確認しておきましょう。こうして一連の交換工事は完了です。

以上が制御盤交換工事のおおまかな流れです。計画段階から検査完了まで一貫して安全に配慮し、関係者間で十分なコミュニケーションをとることが、円滑な工事進行のポイントとなります。

交換工事を依頼するときの注意点

制御盤の交換工事を業者に依頼・発注する際には、特に注意すべきポイントが3つあります。以下、「注意1」から「注意3」まで順に説明します。

注意1:法令手続きと安全基準への適合に注意する

エレベーター制御盤の更新にあたっては、関連する法令手続きが必要かどうかを事前に確認し、併せて最新の安全基準へ適合させるよう計画することが重要です。古いエレベーターでは法令改正により「既存不適格」(当時適合法令だったが現在の基準に不適合)な部分が発生している場合があるため、交換工事の機会に可能な限り解消を図りましょう。

エレベーターの改修は建築基準法上、「建築設備の改造」に該当する可能性があり、内容によっては建築確認申請が必要となります​。ただし制御盤やモーターの交換といった制御リニューアルで建築物の主要構造部分に変更がない場合、原則として確認申請は不要です​。一方で、エレベーターを丸ごと新設同様に交換する全撤去リニューアルの場合は確認申請が必須です​。また、準撤去リニューアルでも工事内容によっては申請が必要となる場合があるため、事前に所管行政庁や確認検査機関へ要否を照会することが推奨されています​。

さらに安全基準面では、2009年の法令改正で戸開走行保護装置(二重ブレーキ)や地震時管制運転装置の設置が義務化されるなど、大きな変更がありました​。古いエレベーターではこれらが未設置で既存不適格となっている場合があり、年1回の定期検査でも指摘される項目です​​。

注意2:信頼できる業者選定と適切な契約をする

制御盤交換工事の成功可否はどの業者に依頼するかに大きく左右されます。エレベーターは高度な専門分野のため、信頼性の高い業者を選定し、適切な契約を結ぶことが重要です。具体的には、メーカー系か独立系かといった業者タイプの特徴を理解し、業者ごとの技術力・実績に差があるため、過去の施工実績や評判も確認しましょう​。

エレベーター工事を請け負う会社は大きく分けてメーカー系(大手エレベーターメーカーの系列)と独立系(特定メーカーに属さない独立資本)の2種類があります​。メーカー系は自社製品に精通しており、純正部品の調達や最新技術のノウハウが豊富で品質や信頼性の面で安心感があります​。

一方で価格はブランド力や開発費を背景にやや高めになる傾向があります​。独立系は特定メーカーに縛られない分、様々なメーカーのエレベーターに対応可能であり、複数機種が混在する建物でも一括して改修を依頼できる柔軟性があります​。また独自の調達ルートや共通部品の活用によってコストを抑えた提案ができる場合も多いです​。地域密着型の独立系企業であれば、迅速な対応やきめ細かなサービスが期待できる点もメリットです​。

注意3:見積もりの内容を精査し妥当性を確認する

業者から提示された見積もりの内容を十分に精査し、金額や工事範囲が妥当であるかを確認することが重要です。制御盤交換工事は高額な投資となるため、項目漏れや不要な費用計上がないか、他社提案や相場と比較して適正かをチェックしましょう。

エレベーター工事の見積もりは専門性が高く、内訳も多岐にわたります。そのため素人目には判断しづらい部分がありますが、放置すると不必要な工事を追加提案されるリスクや、逆に必要な工事が漏れていて後から追加費用が発生するリスクがあります​。例えば、制御盤交換の工事中に老朽化したケーブル類の断裂が見つかり急遽交換が必要になるケース、安全装置の新設が後から法的に求められるケースなど、想定外の追加費用が発生することもあり得ます​。こうした事態を防ぐには、事前に詳細な点検を行い見積もりに反映させること、そして見積もり段階で業者と丁寧にコミュニケーションをとって不明点を潰しておくことが有効です​。

また、複数の業者から提案内容と費用を比較検討することが重要です​。複数社の見積もりを取ることで、ある社だけ極端に費用が高かったり低かったりする場合に気づくことができ、安価な見積もりには理由(例えば交換部品を最低限に留めている等)があるため、その差異を理解した上で納得できる選択をする助けになります​。

まとめ:見積もりの正当性をチェックし、計画的な制御盤交換を

エレベーターの制御盤交換工事について、導入から耐用年数、進め方、注意点まで解説しました。マンション管理組合やビルオーナーにとって、エレベーター設備の更新は大きな決断ですが、老朽化した制御盤を放置すれば故障や事故のリスクが高まります。一般に設置後20~25年が交換の目安​であり、部品供給が止まる前に計画的な更新を実施することが肝要です。

その際、信頼できる業者選定と適正な見積もりの取得が成功の鍵となります。公式データや専門家の情報を踏まえて適切に判断し、提示された見積もりの正当性をしっかりチェックしましょう。複数の提案を比較検討し、安全性・信頼性と費用のバランスに優れた最適なプランを選択してください。

最後に強調したいのは、エレベーターは人命を預かる設備であり、経験・専門性・信頼性の観点から、公的機関のガイドラインや実績あるプロの助言を積極的に活用してください。国土交通省や日本エレベーター協会の資料を参考にしつつ​​、不明点は専門家に相談しながら進めれば大きな失敗は避けられるでしょう。制御盤の交換工事を適切に行い、エレベーターを常に安全・快適な状態に保つことで、建物の価値と利用者の安心を長く守ることができます。そのためにも、本記事で挙げたポイントを参考に、ぜひ早め早めの計画検討と見積もりチェックを実践してください。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

二級建築士,管理業務主任者

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