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マンションの電気幹線改修:費用相場、工事内容、注意点を解説

更新日:2026年02月26日(木)

マンションの電気幹線(引込線~各戸メーター)は建物全体の電気を支える“大動脈”です。経年劣化による漏電・火災リスクや電力需要増による容量不足を放置すると、重大なトラブルにつながりかねません。 本記事では、幹線改修が必要なケース、費用相場や工事内容、費用を抑える工夫、工事時の注意点や補助制度などを解説します。

本記事のポイント
  • 電気幹線の役割と老朽化・容量不足がもたらすリスクを理解できる。
  • 改修工事にかかる費用相場やコストを抑えるポイントがわかる。
  • 管理組合が進める工事手順や住民合意形成、停電対応の注意点を学べる。

電気幹線とは何か?その重要性

電気幹線とは、電力会社から受けた電気を建物内の各住戸へ分配するための主幹ケーブルで、引込線から各戸のメーター(分電盤)までを結ぶ共用設備です。いわばマンションの電気インフラの要であり、その健全性は居住者の安全・快適な生活に直結します。

劣化によるリスク

電気幹線は長年の使用で絶縁体の劣化が進み、放置すると漏電や短絡による発火事故の危険性が高まります。特に築後数十年が経過したマンションでは、見えない箇所で幹線ケーブルの劣化が進行している可能性があり、計画的な更新が欠かせません。

容量不足による支障

また、電気幹線は設計当時の想定容量に基づいており、古いマンションでは各住戸の契約容量が30~40アンペア(A)程度に制限されている例が多く見られます。この容量ではIHクッキングヒーターやエコキュート(電気温水器)など高容量の電化製品を十分に使えないばかりか、エアコンと電子レンジの同時使用程度でもブレーカーが落ちるケースがあります。

さらに各戸が許容量以上に電気を使おうとすると、共有の電力幹線に過負荷がかかって建物全体が停電する恐れもあります。こうしたリスクや不便を防ぐためにも、電気幹線の状態を適切に把握し、必要に応じた改修が重要です。

電気幹線改修が必要となる主なケース

築年数の経過(老朽化)

一般に電気設備の耐用年数は30年前後とされ、築数十年を経たマンションでは幹線ケーブルの劣化が問題となります。外観に異常がなくとも、内部の絶縁抵抗低下や被覆硬化が進み漏電事故のリスクが高まるため、長期修繕計画の中でおおむね築30~40年を目安に更新を検討すると安心です。また、過去に漏電ブレーカーの度重なる動作や、電気保安点検で絶縁不良の指摘を受けている場合も、幹線更新のサインといえます。

電力容量の増強ニーズ

家電製品の高性能化やオール電化志向により、各戸でより大きな電力容量(契約アンペア)の需要が生じた場合も、幹線改修を検討すべきです。例えばEV(電気自動車)充電設備の導入や電気温水器(エコキュート)への交換は大きな電力を必要としますが、既存の幹線容量が不足していると対応できません。実際、1980年代以前竣工のマンションでは最大40A程度の設計が多く、そのままでは住戸内にEV充電用コンセントを設置したりIHクッキングヒーターを導入したりすることが難しいため、幹線側から太いケーブルへの引替えや変圧設備の変更が必要になります。

電圧種別の変更

古い建物では住戸までの配線が単相2線式(100Vのみ)となっているケースがあり、200V電源を使うエアコンやIH調理器を設置するには電気幹線自体を単相3線式(100/200V両対応)に改修しなければなりません。電力会社から受電する電圧区分(高圧受電から低圧受電への変更など)を変える場合も、幹線や受変電設備の更新が伴います。

漏電など保安上の問題

幹線経路で過去に漏電トラブルや異常過熱が発生した、あるいは絶縁抵抗値が基準を下回っていると判明した場合も、早急な対策として改修が必要です。劣化した幹線をそのまま使い続ければ、最悪の場合は火災につながりかねません。特に幹線経路で焦げ臭い臭いがする、幹線用のブレーカーが度々落ちるといった兆候がある場合は要注意です。

以上のような要因が単独あるいは複合的に生じた際、管理組合として専門業者による調査診断を依頼し、電気幹線の改修を検討することが求められます。

電気幹線改修工事の費用相場

気になる工事費用は、マンションの規模(戸数や階数)や改修範囲、そして工事方法によって大きく異なりますが、一般的な相場観を押さえておきましょう。

全体の目安

電気幹線(主幹ケーブル類)の配線更新工事は、中規模マンションでおおむね500万~1,000万円程度、各戸の分電盤交換を含めると合計で800万~1,500万円前後になるケースが多いです。もちろん建物の大きさによって増減し、例えば戸数の少ない小規模マンションでは数百万円規模から、100戸超の大規模マンションでは数千万円単位の工事費となります。

戸当たりの費用感

戸数あたりに概算すると、1戸あたり20~30万円前後が一つの目安です。

共用部と専有部の負担範囲

電気幹線そのものや受変電設備、各住戸のメーターまでは共用部分に該当するため、改修費用は通常修繕積立金など管理組合の費用で賄われます。一方、各戸内の分電盤(ブレーカー)から先は専有部分ですが、容量アップを目的とする場合は各戸分電盤の交換も工事範囲に含まれるのが一般的です。この分電盤交換費用もまとめて管理組合が負担するケースが多いですが、マンションによっては各住戸の希望に応じた容量変更とし、その際の分電盤改修費を個別負担とする場合もあります。事前に管理規約上の扱いや住民間の合意を確認しておきましょう。

費用を抑えるポイント

電気幹線の改修は高額な工事ですが、工夫次第でコストを削減したり効率的に進めたりすることが可能です。管理組合として押さえておきたいポイントを紹介します。

長期修繕計画への組込み

突発的に改修を迎えると一時金の徴収や借入が必要になる恐れがあります。予め長期修繕計画に電気幹線の更新時期と概算費用を織り込み、計画的に積立金を確保しておくことが肝要です。また、計画策定により検討の時間的余裕が生まれ、複数の業者から見積もりを取って比較することで適正な価格での発注が可能になります。

他工事との同時実施

電気幹線改修は単独でも行えますが、可能であれば他の共用部工事と同じタイミングで実施することも検討しましょう。例えば、大規模修繕(外壁や防水工事など)や給排水管の更新と時期を合わせて計画すれば、工事業者の選定や住民周知の手間を一本化できます。足場を伴う外壁工事とは直接関係しないものの、工事説明会や各戸訪問などの段取りをまとめられる点で住民負担の軽減につながります。また、同じ電気工事業者に依頼して照明のLED化や防犯カメラ設置などを同時施工すれば、個別に発注するより割安になる場合もあります。

助成金・補助金の活用

国や自治体の補助制度を活用できないか調べることも重要です。例えば経済産業省の「充電インフラ補助金」を利用すれば、マンションにEV充電器を設置する際に充電器本体価格の50%、工事費の100%が補助対象となり、大幅に費用負担を減らせます。東京都など多くの自治体でも、マンションの共同住宅における充電設備導入やエネルギー効率化に対する助成金を用意しています。また、国土交通省によるマンションの省エネ改修支援事業や、環境省・自治体のゼロカーボン推進補助など、電気設備の更新や省エネ化を後押しする制度もあります。これらを組み合わせれば、電気幹線改修に付随する設備更新(高効率照明や太陽光発電設備の設置等)の費用補助が受けられる可能性があります。工事計画の段階で専門家や行政窓口に相談し、最新の支援策をチェックしましょう。

電気幹線改修工事の進め方と注意点

電気幹線の更新工事を円滑かつ安全に実施するために、管理組合が留意すべきポイントをまとめます。

専門家による調査と計画立案

まずは電気主任技術者などの資格を持つ専門業者に依頼し、現在の幹線設備の劣化度合いや容量不足の程度を診断してもらいましょう。診断結果を踏まえて、必要な改修範囲(幹線ケーブル全交換か一部増設で対応可能か、受変電設備や分電盤の更新要否など)と概算費用、工事手順の計画を立案します。計画段階では電力会社との事前協議も不可欠です。大幅な容量アップを伴う場合、変圧器や開閉器盤の交換・増設、電力会社との契約容量変更手続きが必要になるため、早めに相談しておきます。

総会決議と住民合意形成

改修計画と資金手当の方針がまとまったら、管理組合の総会で工事実施の決議を経る必要があります(区分所有法上、共用部重大変更や高額支出を伴うため)。事前に理事会や修繕委員会で検討経緯を整理し、専門家も同席した住民向け説明会を開いて理解を得る努力をしましょう。特に全戸のブレーカー容量変更を伴う場合、各住戸内での工事となるため不安を抱く方もいます。メリットや安全性向上について丁寧に説明し、質疑に答える場を設けることが大切です。

停電のスケジュール調整

幹線改修工事では、避けて通れないのが停電作業です。工事中、建物全体または系統ごとに数回の停電が発生します。居住者の生活影響を最小限にするため、停電は平日の日中(例えば9時~17時)に限定して行われます。事前に各戸へ周知し、エレベーター停止や冷蔵庫・通信機器への影響など注意事項を伝えます。また高齢者や在宅勤務者への配慮として、停電日に共用部に非常用電源を用意したり、一時的に別室の提供(集会室の開放等)を検討すると親切です。停電時間中は管理員や工事関係者が巡回し、何かあれば対応できるよう体制を整えておきます。

工事業者の選定と契約

電気幹線改修は高度な専門工事ですので、実績豊富な電気工事業者に依頼する必要があります。マンション改修の経験がある会社を複数ピックアップし、現地調査の上で相見積もりを取りましょう。価格だけでなく、工期の提案や停電時の段取り、保証内容なども比較検討し、総合的に信頼できる業者と契約します。契約に際しては工事内容・範囲、費用、工期、保証やアフターサービスについてしっかり合意し、書面に残します。なお、高圧受電設備を伴う場合は法定の届出や検査も必要になるため、施工業者とともに確実に対応しましょう。

まとめ

マンションの電気幹線は、建物全体の電気ライフラインを支える重要設備です。その更新時期を見極めず放置すれば、経年劣化による安全上のリスクや、時代にそぐわない電力容量不足が居住者の生活に影響を及ぼします。

本記事で述べたとおり、築年数や設備容量の状況から改修の必要性を判断し、費用相場を把握した上で計画的に準備することが肝心です。幹線改修にはまとまった費用がかかりますが、長期計画への組込みや他工事との一括実施、国・自治体の補助制度の活用など、工夫次第でコストと手間を最適化できます。

管理組合の理事・修繕委員の皆様には、本記事の情報を参考に、電気幹線改修の必要性とタイミングを正しく捉え、賢い計画立案と合意形成のもとで安全・快適な住環境づくりを推進していただきたいと思います。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

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