マンション排水管の交換費用相場と工事完全ガイド【2025年最新】
更新日:2025年04月30日(水)
マンションの“見えない部分”である排水管も、経年劣化すれば大規模な修繕が必要です。特に築年数が長くなるマンションでは、排水管の交換工事は避けて通れない課題となります。その際に、気になるのが交換費用ではないでしょうか。 本記事では、2025年最新情報をもとに、マンション排水管の交換費用相場、工事期間、具体的な工事の流れから、信頼できる業者選びのポイントまでを解説します。特に、交換費用を下げるためにやるべきことをおさえておくことが肝心です。ぜひ最後までご覧ください。
- 本記事のポイント
- マンション排水管の交換が必要な理由や適切なタイミングを学べる。
- 排水管交換工事の費用相場や工事期間、具体的な作業手順がわかる。
- 信頼できる業者の選び方や業者選定の際に注意すべきポイントを把握できる。
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マンションの排水管交換工事(更新工事)とは?
マンションの排水管交換工事とは、マンション内に敷設された老朽化した既存の排水管を撤去し、新しい配管に取り替える工事です。この工事は「排水管更新工事」とも呼ばれ、マンションの排水設備の寿命を延ばし、漏水事故や排水の詰まりを防ぐための根本的な対策となります。対象となるのは、キッチン・浴室・トイレなどマンション各住戸の生活排水・汚水を、建物外部の下水道へと流すための配管であり、給水管とは異なる系統です。
マンションにおける排水管交換工事では、共用部分(パイプスペース内の縦管など)だけでなく、場合によってはマンション住戸内の専有部分に設置された横引き管(床下や壁内の配管)も交換対象となります。専有部分まで工事を行う場合は、壁や床の解体・復旧作業が伴い、該当住戸では断水やトイレ使用制限が発生するため、居住者の在宅による立ち会いが必要になるケースもあります。
このような大規模な排水管交換工事は、マンションの長期修繕計画にあらかじめ盛り込まれ、計画的に実施されるのが一般的です。マンション全体での合意形成やスケジュール調整も重要な要素となります。
なお、古い配管を撤去せず、その内側に特殊樹脂を塗布して新たな膜を形成する「排水管更生工事(ライニング工事)」という方法も、マンションの配管更新における選択肢のひとつです。更生工事は、壁を壊さず短期間・低コストで施工できる利点がありますが、マンションの既存配管の劣化が進行している場合には適用できず、最終的には交換が必要になることもあるため、注意が必要です。
マンションの排水管を交換する理由
マンションで排水管の交換工事を行う主な理由は、大きく次の3点にまとめられます。
排水管の経年劣化(耐用年数の限界)
排水管にも寿命があり、築年数の経過とともに劣化は避けられません。国土交通省のガイドラインによれば、マンション共用部の給水・排水管は約30~40年ごとに新しいものへ取り替えることが推奨されています。特に従来の鋼鉄製の排水管は20~30年ほどでサビや腐食が進み、内部断面の縮小やピンホール漏水が生じやすくなります。こうした耐用年数の限界を迎えた配管を放置すると、破損や機能不良につながるため計画的な更新が必要です。
漏水や詰まりなど排水管トラブルの予防
排水管を交換する二つ目の理由は、居住者の生活への悪影響を未然に防ぐためです。劣化した排水管を放置すると、漏水事故や排水詰まりが発生するリスクが高まります。排水管からの漏水は階下住戸への水濡れ被害や建物躯体の腐食につながり、修繕費用も高額になる恐れがあります。生活排水や汚水の漏出は衛生面でも問題が大きいでしょう。
また、排水の流れが悪くなったり異臭が上がってくるといった不具合も、高圧洗浄などの通常メンテナンスで改善しない場合は配管内部の錆や堆積物が原因と考えられます。その段階に至ってからでは大規模な工事が避けられないため、トラブルが多発する前に老朽管を交換することが重要です。
更生工事では対処しきれない場合があるため
排水管の維持には、更生工事(ライニング)という選択肢もありますが、根本的な解決策として配管そのものを交換(更新)する必要があるケースも少なくありません。たとえば、縦管をライニングしても、各住戸内の劣化した横引き管をそのままにしておけば、漏水リスクを完全に排除することはできません。
また、更生工事は一度施工すると、同じ管に再施工することができないという制約があります。しかし近年では、再施工が可能な特殊な工法を扱う業者も登場しており、従来よりも柔軟な対応が可能になってきています。物件の状況や今後の修繕計画に応じて、更生と更新、それぞれの工法を慎重に比較・検討することが重要です。
とはいえ、長期的に見れば、途中で更生工事に費用をかけるよりも、初めから更新工事を行ったほうが、コスト面で有利となる場合もあります。近年は、耐久性の高い樹脂管やステンレス管など長寿命の素材が主流となっており、一度交換すれば数十年間は再交換の必要がなく、建物の寿命まで安心して使用できる点も大きなメリットです。
以上のように、配管の寿命・トラブル防止・長期的なコスト効率の観点から、適切な時期に排水管の交換工事を行うことが重要です。
マンションの排水管交換にかかる費用
排水管交換工事の交換費用はマンションの規模や工事範囲によって大きく変動しますが、戸あたり数十万円単位の負担となるケースが一般的です。共用部分のみ交換する場合は戸当たり約30~40万円、各住戸内まで含めて全面交換する場合は戸当たり50~70万円程度が目安で、内装復旧の規模によっては100万円近くに及ぶケースもあります。
このように交換費用には幅があります。排水管の長さや本数、配管の配置状況(床下ピットの有無やコンクリート埋設か否か)、作業スペースの広さ、内装グレードなど様々な要因によって工事費は上下します。また、古い建物でアスベスト含有建材の撤去が必要な場合など、条件次第で追加費用が発生します。
費用負担の区分にも注意が必要です。マンションでは排水管の共用部分に係る工事費用は修繕積立金から拠出し、専有部分の配管工事費用は原則として各区分所有者(居住者)の負担です。そのため専有部まで含めて一括更新する場合は、管理規約で費用負担方法を定めるなど事前に区分所有者間で合意形成を図っておくことが重要になります。高額な交換費用が発生する工事だからこそ、複数の業者に見積もりを依頼して比較検討し、適正な価格・内容で発注できるよう慎重に計画しましょう。
排水管交換の工事期間はどれくらい?
工事の期間はマンションの規模や工事範囲によって異なりますが、数週間から数ヶ月程度を見込む必要があります。小規模なマンション(例えば20戸程度)で共用部・専有部の全てを更新する場合でも、実際の工事期間はおおむね数週間~1ヶ月程度が目安とされています。これより戸数が多かったり階数の高いマンションでは、工事を段階的に進めるため数ヶ月に及ぶケースもあります。
なお、工事は全戸一斉に行うのではなく各住戸ごとに順番に施工するのが通常です。一般的に各住戸あたりの工事日数は数日から1週間程度で、その間日中の時間帯はキッチンや浴室など水回りの使用が制限されます(断水や排水停止措置)。そのため各住戸で工事日に在宅する必要があり、平日昼間不在がちな世帯ではスケジュール調整が課題となるでしょう。工事前の説明会で日程や注意事項を周知し、居住者の理解と協力を得ることが大切です。
マンション排水管の交換工事の流れ
マンションの排水管交換工事は、以下のような手順で進めるのが一般的です。管理組合として各ステップで適切な準備と確認を行い、工事を円滑に進めましょう。
事前調査と計画立案(合意形成)
専門業者やコンサルタントに依頼して配管劣化状況の診断を実施し、交換の必要性と範囲を把握します。調査結果に基づき、工事方法(更新工事か更生工事か)、対象範囲(共用部のみか専有部も含めるか)、概算費用や工期の計画案を作成します。その上で理事会・修繕委員会で協議し、管理組合として工事実施の方針を決定します(総会での決議を経て正式承認)。
施工業者の選定と契約
複数の施工会社から提案・見積もりを取り、工事内容・価格を比較検討します。最適な業者を選定したら管理組合と工事請負契約を締結します。専有部の工事費負担について規約変更や覚書が必要な場合は、この段階までに手続きを済ませておきます。
居住者への周知と準備
工事開始前に全住戸対象の工事説明会を開催し、工事の必要性や内容、スケジュール、各戸の作業日程、注意事項(在宅依頼や使用制限など)を丁寧に説明します。併せて各住戸で事前に行っておくべき準備(家具移動・養生、内装材のサンプル確認など)も案内します。必要に応じ、モデル住戸で試験施工を行って施工手順や問題点を確認し、本施工に備えます。
工事の実施と完了確認
工事期間中、まず共用部の古い縦管・横管を撤去して新しい配管に更新し、その後各戸内を順次施工していきます。職人が各住戸に入り、壁や床を開口して劣化した横引き管を新規配管に交換します。各戸の工事完了後、開口部の内装復旧(壁紙や床材の復元、設備器具の取付け)を行います。全工事終了後、施工業者と管理組合が立ち会い竣工検査を実施して漏水や不具合がないか確認し、問題なければ引き渡しとなります。最後に竣工図書(図面や写真、保証書類)の受領と工事代金の支払いをもって一連の工事が完了します。
信頼できる業者を見極めるコツ
排水管交換のような大規模工事では、施工業者選びが結果を左右します。管理組合として信頼できる業者を見極めるために、次のポイントを押さえておきましょう。
豊富な実績と専門資格を確認する
まず注目すべきは候補業者の実績や専門性です。マンションの給排水管更新工事を多数手掛けた経験があるか、その事例や顧客からの評価を確認しましょう。経験豊富な業者であれば類似マンションでのノウハウが蓄積されており、想定外のトラブルにも対処しやすいメリットがあります。加えて、建設業許可(管工事業)や配管技能士資格など必要な許可・資格を有しているかも基本的なチェックポイントです。技術力の高さに加え、マンション管理士や建築士と連携して計画段階からサポートできる会社であればなお安心でしょう。
複数の見積もりを比較し、工事内容を精査する
一社だけで決めず、複数の業者から見積もりを取り比較検討することが大切です。その際、単純に金額の安さだけで判断してはいけません。各社の見積書に記載された工事範囲や工法、使用材料、保証内容をしっかり精査しましょう。例えば専有部の復旧範囲が狭ければ費用は抑えられますが、共用部と専有部を一括で更新する提案か、一部は更生工法で対応する提案かなどで総額は変わります。見積もりの妥当性に不安があれば第三者の専門家に相談し、セカンドオピニオンを得るのも有効です。複数社を比較することで相場感が掴め、極端に高額・低額な提案を避ける判断材料になります。
丁寧な説明と充実したアフターサービスを重視する
最後に、コミュニケーション能力や信頼感も業者選定の重要な要素です。工事内容について専門用語ばかりでなく分かりやすく説明してくれるか、こちらの質問に対して誠実で具体的な回答をしてくれるかを確認しましょう。特に排水管工事は居住者の生活に直接関わるため、住民説明会での対応やクレームへの姿勢にもその会社の真摯さが表れます。また、工事後の保証内容やアフターサービスが充実しているかもチェックポイントです。施工不良による後日の漏水に備えた保証や、定期点検の提案などアフターケアまで含めて安心できる業者を選びましょう。
以上を参考に、実績・価格・対応面で信頼のおける業者を慎重に選定してください。適切なパートナーと組むことで、工事を円滑かつ確実に遂行できるでしょう。
まとめ|マンションの排水管交換で快適な住環境を維持するために
マンションの排水管交換工事は、普段見えない部分の工事ながら住環境の安心と建物価値の維持に直結する重要な取り組みです。適切な時期に老朽管を更新することで、漏水や悪臭などのトラブルを未然に防ぎ、長期にわたり快適な暮らしを守ることができます。費用負担や工事調整など課題はありますが、長期修繕計画に沿って綿密に準備を進めれば管理組合主導で円滑な実施が可能です。
排水管交換は決して安易に決断できる工事ではありませんが、本記事で解説した最新の費用相場や工期目安も踏まえ、マンションの状況を正確に把握することが第一歩となります。信頼できる専門家とも連携しながら適切な計画を立てていただければ、排水管交換工事によってマンションの寿命を延ばし、住民の安心につなげることができるでしょう。管理組合一丸となって、快適な住環境を維持するための一歩を踏み出してください。
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本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
本記事の監修者
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遠藤 七保
大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。
二級建築士,管理業務主任者