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マンションの給排水工事(更新・更生工事)について解説

更新日:2024年09月03日(火)

マンションのライフラインの一つである給排水管。しかし、耐用年数を経過し、劣化・汚染が進行すると、漏水、水の汚染・逆流、悪臭など数々の問題が発生します。漏水は、マンションの住生活への悪影響や多額の復旧費用の原因となりえます。特に汚水管の場合は、非常に深刻な被害をもたらします。これらの問題を改善し、予防するために給排水工事(更新・更生工事)が必要となります。 この記事では、「マンションにおける給排水工事とは」、「給排水管の耐用年数」、「給排水工事の種類・費用」、「コストダウン方法」などについてご紹介します。これら情報が少しでも皆様のお役に立つと幸いです。

本記事のポイント
  • マンションの給排水管工事には、老朽化による漏水や水質悪化を防ぐための適切な更新・更生工事が必要であることがわかる。
  • 更新工事と更生工事の違いや、それぞれの工法・費用の目安を知ることができる。
  • コストを抑えるためには、複数の業者から見積もりを取ることや、適切な工事内容の選定が重要であることが明確になる。

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マンションの給排水工事とは

マンションにおける給排水工事とは、上水道のきれいな水を建物内に引き込む給水管と、キッチンやお風呂などで使用された生活排水を下水道に流す排水管を、更新(≒ 取り替え)もしくは更生(≒ 洗浄・保護による延命)する工事のことです。給排水管は建物と同様に月日の経過や地震など自然災害により劣化するため、定期的にメンテナンスが必要となります。

メンテンナンスにおいては、管の種類によって、耐用年数 (メンテンナンスのタイミング)やメンテンナンスの内容が異なります。主な管の種類としては、鋼、被覆鋼、銅、ステンレス、ポリエチレン、耐火二層管などがあります。

それらの中で、鋼管や銅管は、錆による経年劣化が進行しやすく、給排水工事(更新・更生工事)の必要性が高くなります。その他の管は、錆による経年劣化は比較的緩やかですが、日常の振動や地震、水流による肉厚減などの経年劣化が進行し、問題に繋がる恐れがあるため、設置後30年程度のタイミングで、劣化状況の調査診断を行うことが望ましいです。

給排水管の調査診断について、給排水設備は、壁や床の中に隠れて見えない部分が多く、目視確認をするのは困難です。そのため、内視鏡による調査や抜管調査(給排水管を切断し、サンプルを取って調査する破壊検査で、サンプリング調査とも呼ばれます)など、専門業者に依頼して実施する必要があります。

また、メーター廻りなどの異種金属が設置されている部分(例:水道メーターと水道メーターに接続している管の接合部分)は、異種金属ゆえの電位差によって腐食が進行するケースがあります。腐食が進行している場合は、全体の更新ではなく、メーター廻りの更新のみで延命できるケースがあるので、施工範囲については注意が必要となります。

給排水工事は、対象となる給排水管が共用部分と専有部分で一体となっているため区分するのが難しいですが、共用メータースペース内の量水器(水道メーター)以降、住戸内各所の水栓までの給水管と器具類が個人でリフォームをする範囲となります。

ただし、国土交通省が作成したマンション標準管理規約では、「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる」とされています。

原則は、専有部分の給排水工事については、区分所有者が費用を負担して実施すべきものとなっているものの、あらかじめ長期修繕計画に専有部分の給排水管工事について記載し、管理規約で、専有部分の工事費用についても修繕積立金から拠出することを規定しておくことで、共有部分、専有部分どちらの給排水管についても管理組合全体として工事を実施できると定められています。 

マンションの給排水管の耐用年数

一つの目安として、法定耐用年数(減価償却期間の目安)がありますが、給水管・排水管ともに建物付属設備に分類され、15年と定められています。

ただし、実際には給排水管は法定耐用年数よりも長く利用されるケースが多く、2~3回目の大規模修繕や、その前後のタイミング(築25~40年目)で更新もしくは更生工事をするケースが多いです。

マンションの給排水管の劣化に伴う問題

給水管

主な問題は以下4点となります。

1)腐食した亜鉛メッキが溶け出し、水が白濁すること(健康被害・洗濯物汚染に繫がる)

2)給水管内部に錆が発生し、腐食し、溶け出し、黄水や赤水がでること(〃)

3)給水管内部に錆が発生し、肥大化し、水の出が悪くなったり、詰まったりすること

4)管内の亀裂やつなぎ目から漏水が発生(漏水による被害は自宅は勿論のこと、階下の住民にも及び、時には住民トラブルに発展)

また、給湯管に銅管が使用されている場合は劣化が早く、トラブルが発生しやすい傾向があります。ピンホールと呼ばれる小さな穴があく問題は、発生してから発見されるまでに時間を要し、大きな問題に発展するケースもあります。

排水管

問題の内容は排水管の種類にもよりますが、代表的なものは「詰まり」となります。

この問題が特に発生しやすいのは、台所・浴室・洗面所などの油分を含んだ水を排出する「雑排水管」となります。

原因は、油分が排水管内に付着し、肥大化することです。また、浴室・洗面所の排水管は、油分に加えて毛髪や垢などの影響もあります。これらの油分の付着などが進行すると、油が腐ることによる悪臭発生や詰まりによる水の逆流などが発生します。

また、経年劣化による管のひび割れや接手部分の不具合により下階への漏水事故が発生するケースがあります。汚水管などの場合は甚大な被害、住民間問題を引き起こし、かつ保険が適用できず大きな経済的負担が発生してしまうような事態に発展する恐れもあります。よって、排水管の劣化状況の把握、更新・更生タイミングの判断は非常に大切なものとなります。

なお、排水管が「耐火二層管」の場合は、改修が不要となる場合が多いです。耐火二層管の内管は排水用硬質塩化ビニル管(塩ビ管)を使用しているため、発錆がなく、固形物の沈着も少なく安定した排水性能を保つことができるという特徴があります。また、酸やアルカリなどの排水に浸食されにくい耐薬品性や遮音性、耐震性にも優れているため、マンションやホテル、オフィスビルなど多くの建物で耐火二層管が使用されています。

マンションの給排水工事の種類・費用

給排水工事の内容は、「更新工事(≒ 取り替える)」と「更生工事(≒ 洗浄・保護による延命)」に分けられます。

更新工事

古くなった給水管・排水管を取り外して廃棄し、代わりに新しい給水管・排水管を取り付ける取り換え工事です。

新しい管に交換するため、劣化の悪影響を抜本的に解決でき、その後30~50年は各種問題のリスクを大きく低減することができます。ただし、建物を削る、穴を開ける、床を剥がすなど大掛かりな工事となるため、工事期間が長くなる、工事費用が高くなる、専有部の内装の解体を伴い、騒音・振動・ほこりなどが発生するデメリットがあります。

戸あたり費用は工事内容・使用素材などの影響を受けますが、共用部のみの工事の場合で一般的には30万円~となります。専有部の工事で、壁や床をの解体を伴う場合は、内装工事費用も発生するため、戸あたり100万円以上の負担となるケースもあります。

最近では、更新する管の長寿命化(例:ステンレス管やポリエチレン管)を背景に、更新が主流となっています。更新工事を1度実施すれば、その後は建物が寿命を終えるまで更新工事が不要となるケースも考えられます。

更生工事(ライニング)

給水管・排水管内部を洗浄し、防錆処理などを行う工事です。

具体的には、給水管・排水管内部の錆・油などを洗浄したうえで、特殊な樹脂をコーティングし、錆・汚れを予防します。

更生工事は、専門用語で「ライニング」と呼ばれます。

更新工事と比べて、工事の期間が短い、工事費用が安い、騒音・振動・ほこりなどの発生が少ないなどのメリットがあります。また、より幅広い現場に対応可能です。

一方、更新工事とは異なり、あくまで劣化した管の延命措置で、更生工事の際に管に負荷を与えてしまうという問題があります。また、更生工事は、既設の配管内部を研磨作業で削るため、経年劣化によって配管の厚みが薄くなっているなど、管の劣化状態によっては更生工事を採用できないケースがあるため、事前調査をしっかり行う必要があります。

老朽化がある程度進行した管の場合は、更生工事で延命してもすぐに不具合が発生してしまい、結果として更新工事を行うということになるため、最終的により多くの手間とコストがかかってしまうケースもあります。

なお、更生工事は確立された工法であり、給水管・排水管内に樹脂をコーティングする際に、ドライヤーを入れて固めているので健康被害等のリスクはほぼないとされています。

戸あたり費用は、工事内容やマンションの構造(配管の位置)、使用する材質などの影響を受けますが、共用部のみの工事の場合で一般的には10万円~となります。

更新工事/更生工事どちらの工事とするかは、中長期で考えたコスト面や、資金の制約(例:更新工事を行うための修繕積立金が不足している、かつ一時金徴収・借入などは避けたい状況)を考慮して、進め方を判断する必要があります。

マンションの給排水工事のコストダウン方法

管の種類や劣化状況によって、最適な施工範囲や方式が異なるため、信頼できる専門家と共に、複数の工事会社に見積を依頼し、比較選定することをおすすめします。

マンションにおける工事は、「住民が居住しながらの工事であること」、「共用部分と専有部分の理解が必要なこと」など、戸建て住宅における工事と大きく異なる側面があるため、工事会社は、マンションにおける配管工事の実績・知見が豊富な工事会社から選定する必要があります。

管理会社から提案される工事会社、給排水管の種類、工事内容以外に、管理組合で複数の工事会社から相見積もりを取得することが重要です。

「スマート修繕」では適切な調査診断、相見積もりのサポート(ゼネコンでない専業の工事業者を複数ご紹介可能)を行っています。給排水工事の適切な実施、コストダウンをサポートすることが可能です。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

別所 毅謙

別所 毅謙

マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「NIKKEI NEWS NEXT」、「首都圏情報ネタドリ!(NHK)」、「めざまし8」、「スーパーJチャンネル」。

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