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日立製エレベーターのリニューアル費用と工事の流れ|部品供給停止の場合は?

更新日:2025年03月14日(金)

1933年に乗用エレベーターの第1号機を納入して以来の長い歴史を持つ日立エレベーターは、積載量8tの超大容量昇降機の開発や、災害時などに電気自動車を蓄電池代わりにして昇降機を稼働させるなど、現在も革新を繰り返しています。 歴史が古いだけに、年数の経過した昇降機も多数稼働していますが、マンションのエレベーターリニューアルはどのように行っていけば良いのでしょうか? この記事では、日立製エレベーターのリニューアル費用や工事の流れ、部品供給停止の場合などの対応について解説します。

本記事のポイント
  • 日立エレベーターの最適なリニューアル時期と費用相場、工事方法の違いが明確にわかる。
  • 部品供給停止の具体的なリスクと影響を知り、早めの計画が重要な理由を理解できる。
  • 法的な基準に沿ったリニューアルの必要性を具体例を踏まえて把握できる。

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日立エレベーター|リニューアルの必要性

日立エレベーターの危険防止と耐用年数対応

2020年の時点で約90万台のエレベーターが稼働しており、設置から25年以上が経過してリニューアル時期を迎えているものは日立製だけでも約3万5,000台にのぼっています。

エレベーターは長期間の使用によって経年劣化や性能低下が進行することもあり、リニューアルが必要な昇降機の数は年々増加しています。

古い日立エレベーターは故障頻度の増加や点検の長時間化に伴う居住者の不便、部品の製造中止による機能維持の問題などが発生します。一般的な計画耐用年数は25年程度でのリニューアルが望ましいとされているのです。

日立エレベーターの部品供給停止のリスク

一般的に保守部品の供給期間は、生産終了後から15年となっています。対象のメーカーや部品によっては、この期間が短い場合もあります。部品の供給が停止すると、その部品が故障した際に交換が困難になり、日立エレベーターを使い続けるために障害となる可能性があります。

とくに重要な部品(制御盤や主要機械部品など)の供給がなくなった場合、エレベーターを早急にリニューアルすることが必要になるでしょう。供給停止部品については、以下のようにニュースリリースや顧客向けに情報を提供されるため、注視しておく必要があります。 

2023年12月の通知例(日立製作所製エレベータを所有のお客様へ)

対象機種

機械室レス標準型エレベーター(UA-1、UA-2)

生産期間

1999年~2005年

部品供給期限※

2026年12月

部品名と機能

巻上機・電動機: エレベーターを駆動する

プリント板: 運転制御、速度制御、入出力通信を行う

供給停止部品が故障した場合の影響

巻上機・電動機: エレベーターの運転ができなくなる

プリント板: 起動不能故障・閉じ込め故障などが発生、予期せぬ事故につながるおそれがある

※在庫状況によって早まる可能性あり

部品供給停止のお知らせ|株式会社日立ビルシステム

耐震対応

また、日立エレベーターは機能を維持するだけでなく、時代の要求や技術の進歩に応じて最新の性能にアップすることが可能な点も存在します。耐震対応もその一つでしょう。

地震などの災害対策では、エレベーター自体の耐震構造の強化のほか、地震の揺れをキャッチする「P波/S波対応」、揺れを感じたら最寄り階で自動停止させる「自動着床装置」、非常時の電源を確保する蓄電池などが追加で実装可能です。

バリアフリー対応

居住者の高齢化などに伴って、マンションの共有部分も福祉化への仕様変更が求められるようになってきます。エレベーターも以下のような部分でバリアフリー対応を行っておくと、居住者の満足度は高まります。

日立エレベーター・バリアフリー改修の例

  • 車椅子利用者が乗り場呼びボタンやかご内の操作ボタンを押しやすくするため、ボタンを低い位置に設置。
  • 車椅子利用者の乗降時間を考慮して、扉の開放時間を延長するように連動する。
  • 目の不自由な方のために、乗り場呼びボタンやかご内操作ボタンの点字表示および到着時のチャイム・アナウンスの設置。
  • エレベーターが複数台設置されていても、「専用呼びボタン」には福祉対応エレベーターだけが反応して動作する。

居住者の方は、このような点に対して知見があるケースは少ないので、管理組合からの提案や要望のアンケート調査が必要となります。

現行法規対応が必要なリニューアルとは?

度重なる大地震の発生から、法的な耐震指針は1998年、2009年、2014年に改訂されているため、現行の安全基準に達しなくなったエレベーターは、「既存不適格」となることがあります。

既存不適格の日立エレベーターでも問題なく使い続けることは可能ですが、確認申請が必要なリニューアルや改修工事を行う場合は、現在の法令に合致させる工事が必要となります。その場合、既存不適格対応は、以下の設備を設置する改修が必要となります。

  • 戸開走行保護装置(UCMP): 扉が開いたまま運転できないようにする
  • 地震時管制運転装置: 最寄り階に自動停止・開扉
  • 予備電源(停電時自動着床装置用): 非常用電源


なお、確認申請が必要なリニューアルは以下のようなものが該当します。

  • エレベーターを全て取り替える場合
  • 定格速度を引き上げる場合
  • 昇降行程を延長する場合
  • 主要な支持部分、かご、駆動装置、制御盤をまとめて取り替える場合

さらに、エレベーターについては建築基準法第12条で義務付けられている定期検査(定期報告制度)の結果から、リニューアルの必要性が明らかになるケースもあります。

法定の定期検査は自動車の車検のようなもので、個人住宅のホームエレベーターと積載量1トン以上のエレベーターを除くすべてのエレベーターの性能維持、安全確保のために行います。専門的な知識を持った資格者(昇降機検査資格者)による定期的な検査を行い、結果を所轄の特定行政庁に報告します。

検査を怠ったり虚偽の報告をしたりした場合は、100万円以下の罰金が科せられることがあるため、要注意です。

 

参考:エレベーターの定期検査と「既存不適格」について|国土交通省・財団法人 日本建築設備・昇降機センター 

日立エレベーター|リニューアル費用の相場

日立エレベーターのリニューアル費用はどのくらいかかる?

日立エレベーターリニューアルの費用の目安は以下の表をご参照ください。リニューアル工事は3種類に分類され、それぞれの施工箇所が異なるため、費用にも違いがあります。

工事種別

内容

相場(1基あたり)

制御リニューアル

インバーター制御や操作基盤、配線などの入れ替え工事。もっともリーズナブル。

1,200万円~

準撤去リニューアル

各階に設置されているエレベーターの三方枠や敷居などは既設のものを利用。ロープ・制御盤・巻き上げ機などを取り替える。

1,700万円~

全撤去新設

既存のエレベーターや付属物すべてを撤去、新設する。

2,500万円~

また、年式や方式(ロープ式と油圧式)などによって、リニューアル費用に差があります。

リニューアル費用を抑える方法

日立エレベーター交換工事では、同様の施工内容に対して見積もり結果に大きく開きが出ることがあります。

適正でない見積もり内容や中間マージン、キックバックがその要因となります。事業者選びのプロセスを透明にし、第三者機関のサポートを得ることで施工費用を抑えることが可能になります。

そのほかに、費用面では次項で説明するメーカー以外の独立系の事業者にも見積もりを打診して比較してみることが重要です。

また、日立エレベーターのリニューアル工事には補助金が支給される場合があります。防災対策改修工事を対象に、国と地方自治体より11.5%~13%、最大300万円~950万円が支給されます。要件に該当するかを確認し、可能であれば活用することをお勧めします。

日立エレベーター|リニューアルの流れと注意点

要望をまとめる

まずリニューアルの目的や効果、予算などを取りまとめます。必要・安心かつ無駄のないプランとするために、専門家のサポートを得て検討しましょう。

日立エレベーターのリニューアルには以下の3方式があり、経年や機械の状態、居住者の要望事項、大規模修繕の全体の予算配分などから、もっとも適した方式を選択します。


日立エレベーターリニューアルの3方式比較

 

方式

内容

コスト

全撤去新設リニューアル

  • 既存のエレベーターや付属物のすべてを撤去・新設する
  • 問題点を抜本的に解決できる
  • 高コストのほか工事期間が長く、騒音・振動が大きく発生する
  • 建築確認申請が必要

準撤去リニューアル

  • 三方枠や敷居などは既設利用しロープ・制御盤・巻き上げ機などを交換
  • コストや工事期間はほどほどの負荷
  • 部品調達に時間がかかるケースがある
  • リニューアル後に交換部分と非交換部分の保証期間・工事タイミングのばらつきを管理する必要あり

制御リニューアル

  • 制御関連の機器を交換する工事
  • 工事期間・工事費用などに優れる
  • 多くの部分が既設利用のため「既存不適格」の解消はされない

最も一般的なのは、コストパフォーマンスに優れている「制御リニューアル」です。

リニューアル方式を含む依頼内容の全体像が明らかになったら、候補事業者探しに移ります。

候補事業者を探す

続いて、要望にマッチした候補事業者をピックアップします。

候補選定の際は、以下の基準を意識しましょう。

  • 修繕や改修の要望にマッチしている
  • 会社の安定度や業績が信頼できる
  • 対応エリア内である

経営状況、施工実績ほかパンフレットの記載内容からアフターサービスのメニューなども含めた比較一覧を作成し、候補を選びます。同じ施工の質でコストを削減するためには、これまでの管理会社や施工会社におまかせの状況ではなく、独自の調査を行いましょう。また、コストパフォーマンスの良いメーカー以外の独立系事業者への依頼を柔軟に検討することをおすすめいたします。

見積もりの比較~事業者選定

候補各社の現地調査や関連図書の提出などを経て、見積もりを依頼しましょう。専門的なサポートを得て、内容の妥当性や細かさなどを比較したうえで、依頼先の事業者として1社に絞ります。見積もりの内容が大まかなものや、価格が極端に安いものは精査が必要です。あとから追加費用が発生したり、競争のための無理な値引きから、施工不良などが起こりやすくなると考えられるためです。

部品供給停止の対応

部品供給の停止は、定期的に告知がされるため、早めに備えてリニューアルの計画を立てるのが基本です。しかし、予期せず早めに部品在庫がなくなるケースもあり得ます。保守部品は、部品を構成する素子や素材の生産中止や、構成部品メーカーの事業撤退などで安定供給が難しくなる場合もあります。部品の代替設計や製作、一部の素子や部品の再利用などを行うこともあるようです。

独立系のリニューアル施工事業者も、部品調達には熱心に取り組んでおり、メーカーよりもかえって柔軟な体制を敷いている例もあります。

施工開始

総会の決議で区分所有者の合意が得られたら、工事請負契約を経て施工を開始してもらいます。

工事中は工事内容の確認、品質チェックのほか、居住者の生活の便にも配慮する必要があります。エレベーターは上階の人ほど、工事による稼働停止が暮らしに影響するためです。稼働ストップや工事実施の時間帯は、施工業者の担当者と連携しながら調整を図りましょう。

日立エレベーターのリニューアル|まとめ

日立製エレベーターのリニューアル費用や工事の流れ、部品供給停止の場合などの対応について解説しました。

築年の経過した集合住宅の安全性強化や老朽化対応は、「住宅ストックの活用」や「空き家対策」の名のもと、国の政策として進められています。

今後において、エレベーターの安全基準が厳しくなっていくことも考えられるため、管理組合でもメンテナンスや修繕の知識、ノウハウを得て、不要なコストをかけすぎないでエレベーターを維持していく必要性が高まっていくことも考えられるでしょう。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

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