2回目以降の大規模修繕の実施時期・費用・工事内容
2024/09/03
「100年マンション」という言葉があるように、近年の建築技術・素材の進歩によりマンションの高寿命化は進み、大規模修繕工事は2回目、3回目、4回目、5回目、、、と続いていくこともあります。 この記事では「工事回数毎に実施時期・費用・工事内容はどうなるのか?」との疑問にお答えします。これら情報が少しでも皆様のお役に立つと幸いです。
目次
工事回数毎の実施時期
参考として、国土交通省が平成29年に実施した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」の数値をご紹介いたします。
中央値でみると、1回目・2回目は14年間隔、3回目以上は12年間隔となっています。
ただし、統計はあくまで統計でしかなく、適切な実施時期は各マンションにより異なります。実施時期の目安が近づいた際は建物診断を実施し、マンションの劣化状況を把握し、実施時期の判断に役立てましょう。
工事回数毎の費用
上記と同様、国土交通省の実態調査の数値をご紹介いたします。
戸あたり工事金額(※1)
床面積(m2)あたり工事金額(※1)
※1
工事金額の数値は「計画修繕やグレードアップのための改修工事(耐震改修工事は除外)」の「直接工事費(共通仮設費、現場管理費、一般管理費、消費税相当額)」
となります。
※2
工事金額のトレンドは上昇傾向、特に近年は労働者の不足→人件費UP、コロナによる原材料の高騰→材料費UPも重なり、その傾向が顕著となっています。
※3
工事回数毎の金額推移、戸あたり工事金額でみるか、床面積あたり工事金額でみるかの観点がありますが、戸あたり工事金額(平均)と、床面積あたり工事金額(平均)から算出するに、工事回数毎のマンション床面積には一定の差異が見受けられます。
1回目:76m2
2回目:67m2 ≒ 1回目の88%
3回目以上:68m2 ≒ 1回目の89%
よって、床面積あたり工事金額をみるほうが比較的適していると考えられます。
中央値でみると、2回目は1回目の110%と増加、3回目以上は1回目とほぼ同じとなります。
また、間隔は①で記載の通り、1回目:14年、2回目:14年、3回目:12年であることを考慮すると、工事回数毎の1年あたりの工事金額は、
中央値でみると、2回目は1回目の110%、3回目以上は1回目の116%と回を重ねる毎に増えています。
ただし、年代によりマンションの構造・素材などが異なるため、あくまで参考程度とすべきです。
工事回数毎の工事内容
上記と同様、国土交通省の実態調査の数値をご紹介いたします。
工事回数毎に一定の傾向がみられます。
- 外壁タイルの比率は1回目>2回目>3回目となっている。
- 給水設備は2回目に突出している。
- 建具、金物等は3回目に突出している。
また、昇降機(エレベーター)設備・駐車場設備は比率が1%以下と小さいですが、大規模修繕以外のタイミングで行われていると考えられます。
番外)主な工事箇所
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この記事の著者
豊田 賢治郎
「スマート修繕」代表。過去2年間の顧客マンションへの訪問回数は400回を超え、チェックした見積書の数は千を超える(2024年7月末時点)。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「日本経済新聞」、「羽鳥慎一 モーニングショー」、「日曜報道 THE PRIME」、「モーニングサテライト」。
中小企業診断士
この記事の監修者
別所 毅謙
マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「NIKKEI NEWS NEXT」、「首都圏情報ネタドリ!(NHK)」、「めざまし8」、「スーパーJチャンネル」。
二級建築士
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