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アパート火災報知器の点検義務とは?頻度・罰則・対応策まで徹底解説

更新日:2025年11月28日(金)

アパートなど共同住宅のオーナーにとって、火災報知器の点検は法律で定められた重要な業務です。 本記事では、アパートにおける火災報知器(住宅用火災警報器や自動火災報知設備)の設置義務と法的根拠、点検の頻度と種類、怠った場合の罰則・リスク、点検業者の選び方と費用相場、入居者への事前案内と入室対応のポイント、消防署への報告義務、そしてよくあるトラブル事例とその対策まで、実務に役立つポイントを解説します。 アパート管理の安全対策として適切な火災報知器の点検を実施し、入居者の安心・安全を守りましょう。

本記事のポイント
  • 火災報知器の設置義務の法的根拠と点検頻度(機器点検・総合点検)および、点検を怠った際の罰則やリスクの内容が理解できる。
  • 点検や報告義務の対象となる建物の種別(共同住宅など)や、点検を実施する業者の選び方、費用相場、報告書提出の流れについて把握できる。
  • 入居者への事前案内のコツ、立ち入り点検の実務上の注意点、不在時の対応・入室調整など、円滑に点検を進めるための管理者向けノウハウが得られる。

火災報知器の設置義務と法的根拠

住宅用火災警報器の設置は法律で義務付けられています。2006年6月の消防法改正により、新築住宅へ火災警報器(火災報知器)の設置が義務化され、2011年6月以降は既存住宅も含め全国すべての住宅で設置が必要となりました。消防法第9条の2および各市町村の火災予防条例に基づき、戸建て住宅はもちろん共同住宅(アパートやマンション)も設置義務の対象です。

ただし、住宅用火災警報器の設置義務には罰則がありません。消防法令上、設置しなかったからといって直ちに罰金などが科せられる規定はなく、消防署等への設置報告義務もありません。これは住宅の火災安全対策が各居住者の自己責任に委ねられている側面があるためですが、「罰則がない=付けなくても良い」というわけではありません。火災警報器はいざという時に命を守るための重要な設備なので、オーナーとして必ず全住戸に適切に設置しましょう。

また賃貸住宅の場合、誰が設置するかは各自治体条例で「住宅の関係者(所有者・管理者・占有者)」全員に義務があると定められています。実務的にはアパートの大家(オーナー)や管理会社が主体となり、入居者と協議のうえで必ず設置を完了させてください。

ポイント

住宅用火災警報器は寝室や階段などへの設置が法律で義務化されていますが、未設置でも直接の罰金規定はありません。ただし、命を守る設備ですので必ず設置し、常に正常に作動する状態を維持することが大切です。

点検の頻度と種類(機器点検・外観点検と総合点検)

消防法および消防法施行規則にもとづき、消防用設備の定期点検が建物関係者に義務付けられています。アパートなどの共同住宅では、設置している消防設備に応じて半年ごとと年1回の点検を実施し、その結果を所轄消防署へ報告しなければなりません。

具体的には以下の2種類の点検が必要です。

機器点検(外観点検)

消火器や火災報知器など消防設備について、外観目視または簡易な操作で状態を確認する点検です。消防庁告示で定められた点検基準に基づき、6ヶ月に1回の頻度で実施します。いわば日常点検に該当し、劣化・故障の兆候や作動灯・表示の異常がないかチェックします。

総合点検(機能点検)

上記機器点検とは別に、消防設備を実際に作動させて全般的な機能を確認する点検です。非常ベルを鳴らしたり、感知器にテスト用の煙を吹きかけたりして、火災時に正常に作動するか確認します。1年に1回の頻度で実施する法定点検で、建物に設置された全消防設備を対象に行います。

なお、共同住宅の各住戸内に設置されている住宅用火災警報器については、消防法上の「消防用設備等」には該当せず上記の法定点検報告の対象外です。住宅用火災警報器そのものには専門業者による点検義務はありません。しかし「いざ」という時に確実に作動するよう、日頃からオーナーや入居者自身で定期的に点検(動作テスト)を行うことが推奨されています。自治体によっては年1回程度、住宅用火災警報器の点検・清掃を呼びかけていますので、入居者に協力を依頼すると良いでしょう。

特定防火対象物と非特定防火対象物の違い

消防法令では建物の用途に応じて、点検結果の消防署への報告頻度が異なります。多数の不特定な人が利用する建物は「特定防火対象物」、事務所や工場、共同住宅のように利用者が特定される建物は「非特定防火対象物」と区分され、報告周期が以下のように定められています。

特定防火対象物

1年に1回報告(例:物販店舗、ホテル、病院、飲食店など)

非特定防火対象物

3年に1回報告(例:工場、事務所、共同住宅、学校、駐車場等)

アパートはこの非特定防火対象物にあたり、消防用設備を設置している場合は3年に1回、所轄消防署長への報告が義務となります。ただし報告期限に関わらず、点検自体は前述の通り毎年・半年ごとに実施しなければなりません。点検結果は3年間分まとめて報告するケースもありますが、安全管理上は毎年確実に点検を行い、不備があれば速やかに是正することが重要です。

参考

消防設備点検は専門の資格者(消防設備士・消防設備点検資格者)による実施が推奨されています。消防法令上も、延べ面積が一定規模以上(例えば1,000㎡以上)などの建物では有資格者でなければ点検できないと定められています。小規模な建物で条件を満たせばオーナー自ら点検することも可能ですが、安全面を考慮すると専門業者に依頼するのが確実です。

点検を怠った場合の罰則やリスク

消防用設備等の定期点検および報告は法律上の義務であり、正当な理由なく怠ったり虚偽の報告をした場合には罰則規定があります。消防法第17条の3の3に基づく点検結果報告を行わなかった場合、30万円以下の罰金又は拘留に処される可能性があります(消防法第44条第11号)。実際にはまず消防署から報告の督促や是正指導(行政指導)が行われ、それでも従わない悪質なケースで罰則適用となりますが、報告漏れは法律違反であることを認識しておきましょう。

一方、入居者(居住者)には点検受検の法的義務はありません。点検への協力を拒否したり不在にし続けても、直接罰則が科せられることはないのが実情です。しかし、だからといって協力しなくて良いわけではありません。特に分譲マンションでは管理規約で正当な理由なき点検拒否は禁止されており、賃貸アパートでも賃貸借契約上、必要な立ち入り調査の拒否は契約違反となる可能性があります。オーナーとして入居者には点検協力の重要性を周知し、理解を得ることが大切です。

さらに、点検や設備維持を怠った場合のリスクとして、万一火災が発生した際に被害が拡大しやすくなるのはもちろん、損害賠償責任を問われる可能性も挙げられます。例えば、入居者が室内の火災報知器点検を拒否し続け、その結果感知器の不作動で火災の発見が遅れて隣室にも延焼被害が及んだ場合などは、「必要な設備を機能させなかった過失」として賠償請求を受ける恐れがあります。また、そのようなケースでは火災保険も適用外となり、自身で多額の損害を賠償する事態にもなりかねません。

以上のように、法律上も実質的にも点検を怠ることのリスクは非常に大きいと言えます。消防設備の不備によって人命にかかわる事故が起きれば、刑事上の責任(業務上過失致死傷など)を問われる可能性もあります。オーナーは計画的に点検を実施・報告し、設備不良は早急に改善することで、こうしたリスクを未然に防ぐ努力をしましょう。

点検業者の選定基準と費用目安

消防設備の点検業者を選ぶ際のポイントは次のとおりです。

資格の有無を確認

建物規模に応じて消防設備士や消防設備点検資格者などの有資格者による点検が必要になります。業者に依頼する際は、これら国家資格を保有し正式に登録された事業者であることを確認しましょう。また大規模な建物の場合は複数名での点検体制が必要になるため、十分な人員と経験がある業者が望ましいです。

信頼性と実績

消防設備点検の報告書を適切に作成し、消防署への提出代行にも慣れている業者を選びます。自治体や消防関連団体のウェブサイトに業者リストが掲載されています。地域の消防設備協会に加盟している業者や、官公庁物件の点検実績がある業者だと安心でしょう。

点検の費用相場(目安)

点検費用は建物の規模(延床面積)や設備の種類・数量によって大きく異なりますが、おおよその相場は以下の通りです。

小規模アパート(延床300㎡以下、2〜3階建て程度)

1万〜4万円程度(年2回の機器点検と年1回の総合点検の合計)

中規模集合住宅(延床300〜1,000㎡)

2万〜6万円程度

大規模マンション(延床1,000〜3,000㎡)

6万〜30万円程度

超大型物件(延床5,000㎡超)

10万〜60万円以上が目安

※上記は1回の総合点検あたりの目安費用であり、機器点検(半年毎)も含め年間2回実施すると概ね倍額になります。実際の費用は設備の種類や点検方法、地域の人件費水準、業者ごとの体制によっても変動します。例えば消火器や感知器の数が非常に多い建物では人手がかかるため費用も高めになりますし、自社で一貫対応する業者か下請けに出す業者かでも見積額に差が出ます。

見積もり比較

消防署では特定の業者を紹介してもらうことはできませんが、複数社から見積もりを取り比較検討することが望ましいです。極端に安い場合は点検内容が不十分な可能性もあるため、金額だけでなく見積書の内訳や点検範囲を確認しましょう。点検項目や報告書作成がしっかり明記されているか、不明瞭な「一式」表記ばかりでないかなども業者の誠実さを見極めるポイントです。

追加サービス

消防署への報告書提出を代行してくれる業者も多く、その場合は別途5,000〜10,000円程度の手数料がかかることがあります。また、点検時に不備が見つかった際の軽微な調整や、避難訓練時の立ち会いサービスなどが含まれる場合もあります。見積もり段階で報告書提出代行や不備是正費用の扱いについて確認しておくと、契約後のトラブル防止になるでしょう。

入居者への案内と入室対応の注意点

アパートの消防設備点検を円滑に進めるには、入居者への事前案内と協力依頼が欠かせません。建物の管理者(オーナーや管理会社)には点検実施と報告の義務がありますが、入居者側には点検に協力する法的義務はないため、当日はスムーズに点検できるよう事前に分かりやすいお知らせ文書で周知することが重要です。

消防点検のお知らせ文のポイント

点検の日時・範囲

「○月○日(○曜)○時〜○時頃、共用部および各専有部内の火災報知器・避難器具等の点検を行います」といった形で、具体的な日程と時間帯、点検箇所を明記します。特に各住戸内に立ち入って行う作業がある場合は、「一部居室内へ入室しての点検があります」と知らせてください。

点検内容と影響

非常ベルや火災警報器を鳴らす試験を行うため、一時的に警報音が鳴動することを事前に断っておきます。「試験のためで火災ではありません」と明記し、入居者が驚かないよう配慮しましょう。また各住戸の点検所要時間(一般的に1住戸あたり5分程度)も記載しておくと親切です。

協力のお願い(在宅依頼)

点検当日はできるだけ在宅いただき立ち会いをお願いする旨を伝えます。「室内の感知器や避難器具を確認しますので、お手数ですが入室点検の際はご在宅ください」といった文言で、居住者に協力を呼びかけましょう。加えて、「ベランダ非常梯子や玄関非常扉の前に荷物がある場合は事前に移動ください」といった事前準備のお願いも記載します。点検員が安全に作業できる環境づくりに協力を仰ぎます。

不在時の対応

やむを得ない事情で当日どうしても立ち会えない入居者には、事前に管理会社へ連絡してもらい、別日程で再点検する調整も可能であることを伝えます。また多くの物件では契約や建物規約で「不在時には管理者が合鍵で入室し点検する」旨が定められており、通知して同意を得ていれば管理会社立会いのもとスペアキーで入室して点検を行うことも可能です。その場合も後日のトラブル防止のため、通知文に「留守の場合は管理人が入室して点検します」と明記しておくと良いでしょう。もちろん入居者から事前連絡があれば極力調整し、再訪や鍵預かり等の対応を検討します。

点検スタッフの身分明示

点検当日に訪問するスタッフは身分証明書の携帯や名札の着用を行う旨を書いておくと、入居者も安心です。「点検担当者は消防設備士の資格者です。必ず身分証を提示いたします。」など一言あると、不審者対策にもなります。

問い合わせ先

お知らせの末尾に管理会社やオーナーの連絡先を明示し、質問や都合連絡を受け付ける姿勢を示します。「ご不明な点は下記までお問い合わせください」として電話番号やメールアドレスを記載しましょう。

以上の内容を盛り込んだ案内文を掲示板への掲示や各ポスト投函、メール配信などで周知します。丁寧な事前案内によって入居者の理解と協力が得られれば、当日の点検もスムーズに進みます。

入居者が点検を拒否した場合の対応

法令上、居住者個人に点検受検の義務はありませんが、前述の通り賃貸借契約や建物規約により正当な理由なく立ち入り点検を拒否することは認められていません。もし入居者が繰り返し点検を拒否・回避する場合、まずは管理会社から直接事情を聞き、協力のお願いと説得を行います。それでも協力が得られない場合は、契約違反の可能性も視野に入れつつ、必要に応じて専門家(管理業者や法律家)に相談してください。場合によっては消防署に状況を報告し、指導を仰ぐことも考えられます。点検拒否を続けるリスクについても本人に伝えましょう。「消防点検を拒否し続けて設備が不作動だと、万一火災時に他戸に被害を及ぼした場合に損害賠償保険が下りず、賠償責任を負う可能性がある」ことを指摘すれば、多くの入居者は協力に応じるはずです。それでも非協力的な場合は、最終手段として管理者立会いのもと合鍵での強制点検を検討します(事前通知と同意が前提)。いずれにせよ、入居者との信頼関係を損なわないよう丁寧に説明し、安全確保のための点検であることを理解してもらうことが大切です。

消防署への点検結果報告義務と報告書作成

アパートなどで消防用設備等(消火器、自動火災報知設備、誘導灯、非常警報器具など)を設置している場合、定期点検の結果を所轄の消防署へ報告する義務があります。前述したように共同住宅(非特定防火対象物)は3年に1回の報告周期ですが、報告年には期限までに必ず所定の書類を提出しましょう。

報告者

点検結果の報告義務を負うのは、その建物の所有者・管理者・占有者など設備の維持管理に権限を持つ者です。アパートの場合は一般的にオーナーまたは管理会社が報告者となります。実際の点検を業者に委託している場合、業者が報告書作成を代行し、オーナー名で消防署に提出してくれることが多いです。

報告書の様式

点検結果報告には消防法施行規則で定められた統一様式があります。消防庁や各自治体消防のウェブサイトからダウンロード可能で、以下の書類で構成されています。

  1. 消防用設備等点検結果報告書 – 建物概要や点検日、点検対象設備一覧、判定結果(適合/不適合)等を記載する表紙的書類
  2. 消防用設備等点検結果総括表 – 各設備ごとの点検結果をまとめた総括表。不備事項の有無や予備電源の試験結果などを一覧で示します。点検票を添付する場合は省略可。
  3. 消防用設備等点検者一覧表 – 点検に従事した者の氏名と資格を一覧にしたもの。消防設備士・点検資格者が行った場合は資格者証番号等も記載。不資格者が点検した場合はこの一覧表を省略します。
  4. 点検票(チェックリスト) – 消防設備ごとに定められた細目について点検結果(良好/要是正等)を記録した用紙。消火器、非常警報器具、誘導灯、自動火災報知設備…と設備種類ごとに様式があります。

必要事項をすべて記入押印し(押印は令和3年の法令改正で不要化されている自治体が多いです)、所轄消防署の予防課窓口へ提出します。近年は郵送や電子申請が可能な地域もありますので、各消防本部の案内に従ってください。

報告書提出のタイミング

特定防火対象物(毎年報告)と異なり、共同住宅は3年に1回の報告ですが、何月までに提出といった締切時期は自治体ごとに異なる場合があります。例えば多くの市町村では点検実施日から30日以内の提出を求めていますが、詳しくは所轄消防署に確認しましょう。3年周期の中間の年であっても、重大な不備を発見した場合や消防署から求められた場合には随時報告・改善が必要です。

設備不備時の対応

点検の結果、設備の不備(不良箇所)が見つかった場合は、速やかに改修・是正工事を行う計画を立ててください。報告書を提出する際には、未是正の不備事項がある場合にその旨を記載した「消防用設備等点検報告改修計画書」を併せて提出することが求められます。この計画書には、どの設備にどんな不備があり、いつまでに改修予定か等を明記します。提出後は計画に沿って確実に改修を実施し、必要に応じて消防署へ改修完了の報告を行いましょう。

報告漏れに気づいたら

万一、報告年であるにもかかわらず提出を失念していた場合や、提出期限を過ぎてしまった場合は、速やかに消防署に相談の上、至急報告を行ってください。直近1年以内に点検を実施しているならその結果で報告書を作成し提出し、もし点検自体行っていなかった場合は至急点検を実施してから提出することになります。報告漏れに気付いたら放置せず、早めに対処しましょう。

ワンポイント

総務省消防庁は、事業所自ら点検・報告を行う場合に役立つ支援ツールとして「消防用設備等点検アプリ」を提供しています。スマートフォンやタブレットで点検項目をチェックしそのまま報告書を作成できる無料アプリです。資格者でなくとも点検可能な一部設備(消火器や住宅用火災警報器等)について活用できますので、必要に応じて検討してみてください。

よくあるトラブル事例と対応策

最後に、火災報知器・消防設備の点検にまつわるよくあるトラブルとその対処法を紹介します。アパートの防火管理を適切に行うために、事前に対策を押さえておきましょう。

住宅用火災警報器の故障・電池切れ

「テストボタンを押しても鳴らない」「ピッピッという断続音がしている」などは、電池切れや機器故障のサインです。住宅用火災警報器は内部の電池寿命や電子部品の劣化により設置から10年ほどで交換時期を迎えます。オーナーは設置後の経年を把握し、10年を目安に本体を新品に交換しましょう。また入居者には、「警報器の紐を引くかボタンを押して定期点検する」方法を周知し、異常を発見したらすぐ管理者に連絡するよう依頼します。故障機器の交換費用はオーナー負担となりますが、命に直結する設備ですので惜しまず速やかに新品と取り替えてください。

火災報知器の誤作動(誤報)

火災報知器(自動火災報知設備の感知器や住宅用警報器)は煙や熱に敏感に反応するため、火災以外の要因で誤作動することがあります。調理中の大量の煙・湯気、タバコの煙を直接感知器に吹きかけてしまった場合、あるいはホコリの蓄積や虫の侵入などでも誤報が起こり得ます。対応策として、安易に「また誤報か」と決めつけず、まずは本当に火災ではないことを入念に確認してください。火災ではないと判明したら、速やかに警報を停止し(住宅用警報器なら停止ボタン操作、自動火災報知設備なら受信機で復旧操作)、周囲に「火事ではありません」と周知します。誤報が頻発する場合は、感知器の清掃(専門業者に依頼)、設置場所の見直しや機種変更(台所は煙式から熱式への交換など)を検討しましょう。なお日常的な喫煙程度では作動しないよう設計されていますが、警報器付近で線香やタバコの煙を長時間焚くと反応する可能性があります。入居者にも注意喚起し、誤作動かな?と思ってもまず火災の有無を確認するよう指導してください。

消防設備の不備(故障)発見

点検で非常ベルが鳴らない、誘導灯が切れている、消火器の有効期限切れなど不良箇所が見つかることがあります。こうした設備不良は放置すると重大な事故につながるので、判明次第すぐに交換・修理しましょう。点検業者から不備の指摘を受けたら、その場で概算の修繕費や必要部品を確認し、オーナー判断で早期に手配します。消防署への報告において不備事項を指摘された場合も、「改修計画書」を提出して期限までに正常化させることが求められるため、計画的に対応してください。交換部品の取り寄せに時間がかかる場合でも、応急処置や代替策について消防署と相談し、安全を確保するよう努めます。

報告漏れ・書類不備

業務多忙や担当者交代で消防署への報告を失念してしまった、といったケースも稀にあります。提出期限を過ぎて気づいた場合でも、決して放置せず速やかに対応しましょう。直近の点検結果をまとめ直し、遅れてでも提出すれば大事に至らないこともあります。また報告書類の記載ミス・漏れ(例えば点検者の資格欄を記入忘れ等)も指摘対象です。不安な場合は提出前に消防署窓口で記載内容を確認してもらうと安心です。電子申請の場合は入力漏れチェック機能がありますが、添付書類の有無など注意しましょう。報告漏れが発覚した際はまず消防署に電話で相談し、指示を仰ぐとスムーズです。

入居者からの苦情・トラブル

点検作業に関連して「事前連絡がなかった」「勝手に部屋に入られた」「警報音がうるさい」など入居者から苦情が出ることも考えられます。これらは大半が事前周知不足や説明不足に起因しますので、前述のように案内文を徹底し、全戸への確実な通知と説明を心がけてください。特に無断入室と誤解されないよう、不在時対応の取り決めは契約書や事前通知で明示し、点検員も入室時にインターホンを鳴らす・名刺を置く等の配慮をします。警報音については「法令点検のためご了承ください」と理解を求め、可能なら休日昼間の時間帯を選ぶなど周辺住民への影響も考慮すると良いでしょう。

以上、アパートオーナー向けに火災報知器の点検義務と実務ポイントを解説しました。消防設備の維持管理は「目立たないけど大切な」仕事です。適切な点検と管理を行うことで火災被害の防止につながり、結果的に大切な資産と入居者の生命を守ることになります。法律の義務だから渋々行うのではなく、「皆様の安全と安心を確保するための重要な作業」として前向きに取り組みましょう。

定期点検・適切な報告を怠らず、「もしも」の時に火災報知器が確実に命を守ってくれる万全の態勢を整えてください。消防署や専門業者とも連携しながら、安全・安心なアパート経営を実践していきましょう。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

二級建築士,管理業務主任者

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