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キュービクル価格上昇の背景と対策—相場動向・代替策まで徹底解説

更新日:2026年01月30日(金)

マンション管理組合やビルオーナー、工場設備担当者にとって、高圧受電設備である「キュービクル」の価格高騰は見過ごせない問題です。昨今の資材コスト上昇や供給逼迫により、キュービクル導入・更新費用が年々上がっています。 本記事では、キュービクル価格上昇の背景や近年の相場動向、見積もり時の注意点、中古活用や延命措置などの代替策、そして今後の価格見通しと対応策について解説します。

本記事のポイント
  • 原材料高騰や供給逼迫がキュービクル価格上昇に与える影響を理解できる。
  • 見積もり・更新時の注意点や納期・仕様チェックの重要ポイントが学べる。
  • 中古・リース活用や延命策といったコスト対策の具体的な方法がわかる。

キュービクルとは何か?その役割と概要

キュービクルとは、高圧電力を受電して低圧に変換するための受変電設備を収めた金属製の箱型設備です。正式には「キュービクル式高圧受電設備」と呼ばれ、工場や大型ビル、マンションなど50kW以上の高圧受電契約が必要な施設で使われます。

電力会社から供給される6,600V程度の高圧電力を100Vや200Vの低圧電力に変圧し、安全に館内へ供給する役割を担います。内部には変圧器・遮断器・計器類などがコンパクトに一体収納されており、小規模な変電所のような機能を果たします。高圧で受電することで電気料金単価を抑えられるメリットがある一方、法定耐用年数は15年程度(実用上は20年ほど)とされ、定期点検・メンテナンスや更新計画が欠かせない重要インフラです。

キュービクル価格が上昇している背景

近年、キュービクルや関連電材の価格上昇が顕著です。その主な背景には以下のような複合要因があります。

原材料価格の高騰

銅・鉄など変圧器や盤類に必要な金属の国際相場が上昇し続けており、製造コストが増加しています。また原油価格高騰も材料調達や物流費を押し上げています。

円安による輸入コスト増

円安傾向により、海外から調達する部品・材料の費用が割高になり、製品価格に転嫁されています。

電材供給不足

コロナ禍以降の世界的な供給混乱や需要増加の影響で、半導体不足による「半導体ショック」、鉄鋼の供給逼迫(いわゆる「アイアンショック」)、樹脂材料の不足などが発生し、一部電気機器や部材の納期遅延・価格高騰を招いています。需要に対し供給量が追いつかず、設備工事全般で需給がタイトになっています。

電気工事人材の不足

日本の建設・設備業界で慢性的な人手不足が続いており、人件費・工賃の上昇を招いています。

国内需要増と大型案件集中

工場新設やデータセンター建設など大型プロジェクトが各地で活発化し、高圧受電設備の需要が増大しています。一方でメーカーの生産余力には限りがあるため、需給逼迫に拍車がかかり価格交渉が難しくなっている状況です。

以上のように、原材料費・人件費の増加や部材不足、円安など複数の要因が重なり、キュービクルの新品価格は年々上昇傾向にあります。また昨今の世界情勢不安定化も原料・燃料価格を押し上げ、先行き不透明感が続いています。このような背景から今後も価格の高止まりが続くとの見方が一般的です。

キュービクルの価格相場と近年の推移

現在の価格帯

キュービクル本体価格は容量規模によって大きく異なります。目安として100kW級で約200万円、200kW級で約300~450万円、300kW級で約550~650万円、500kW級で約800~1,200万円程度が本体価格の相場です。これらはあくまで設備本体の概算であり、実際の導入には基礎工事・配線工事・試運転調整などの工事費が別途加算されます。設置環境によって工事費用は大きく異なりますが、総額では本体価格の数割増を見込んでおく必要があります。

キュービクル価格の上昇傾向

近年、キュービクルの導入費用は着実に上昇しています。資材費や人件費の増加が重なり、メーカー各社は定期的に価格を改定しており、開閉器や変圧器など主要部品の価格も影響を受けています。そのため、ユーザーが受け取る見積額も年々高くなる傾向にあります。

特に注目すべきは変圧器の省エネ規制強化による影響です。2026年4月から、変圧器のトップランナー基準(エネルギー効率基準)が改定され、従来の2014年基準適合品は生産終了となり、新基準品のみが出荷される予定です。新基準対応品は、省エネ性能向上のため鉄心や巻線の大型化・高性能化が図られ、従来品より製品価格が大幅に上がる見込みです。また、新型変圧器はサイズや重量も従来品より大型化する傾向にあり、価格上昇は避けられません。さらに、規制改定前後には旧基準品から新基準品への切り替え需要が集中するため、在庫枯渇や需要集中によって市場価格がさらに押し上げられる可能性もあります。

なお、現時点(2026年1月)では、旧基準の変圧器はすでにメーカーでの受注が難しく、事実上発注できない状況です。そのため、キュービクル更新を検討する場合は、必然的に新基準品への切り替えを前提とした計画と予算確保が必要になります。

このように、キュービクル本体や構成部品の価格はここ数年で上昇傾向にあり、特に変圧器については省エネ規制改定に伴う性能向上・サイズ拡大によるコスト増を踏まえて、早めに検討することが重要です。

見積もり・更新時の注意点(納期・仕様・設置基準)

キュービクル更新を検討する際は、価格面だけでなく、納期や仕様の柔軟性、設置基準の確認も重要です。事前にこれらを押さえておくことで、余計なコスト増やトラブルを防ぎやすくなります。

納期に要注意

現在、キュービクルや変圧器の製造納期は従来より大幅に延びています。特に新基準対応の変圧器は製造ラインが逼迫しており、2026年1月時点では旧基準品の発注はほぼ不可能です。小型~中型のキュービクルでも、発注から納品まで概ね7~12か月、場合によっては1年以上かかることが想定されます。更新が避けられない場合は、計画段階から早めの発注を心がけ、工期に十分な余裕を持つことが不可欠です。停電作業や施設運用への影響も考慮し、スケジュール管理は慎重に行いましょう。

部材や仕様の指定は柔軟に

見積もり依頼時に特定メーカーや型式にこだわりすぎると、調達難や高額見積につながるリスクがあります。可能な範囲で代替品の提案を受け入れ、在庫状況や納期に応じて仕様を調整する柔軟性が、コスト低減や納期短縮に役立ちます。

また、防音・耐震・耐塩害など特殊仕様が必要な場合は注意が必要です。特注仕様の大型キュービクルは製造ラインへの負荷が高く、標準品よりも時間・費用を要する傾向があります。真に必要な性能かどうかを精査し、ベンダーと相談したうえで決定することが望ましいです。

設置基準の確認

新基準対応品は従来品よりサイズや重量が増加するため、従来の設置場所に収まらない可能性があります。狭小な受変電室や屋上設置では、搬入経路や床荷重、据付スペースの寸法を事前にチェックし、必要に応じて基礎補強やレイアウト変更を検討しましょう。

法令上の設置基準も確認が必要です。屋外設置の場合、製品区分によって建物からの離隔距離が異なり、消防法適合の認定品なら1m以上、未認定品は3m以上離す必要があります。最新の技術基準に適合した機種選定と設置条件の確認は必須です。

さらに、既存設備にPCB(ポリ塩化ビフェニル)を使用した古い変圧器が含まれる場合、低濃度PCBは2027年3月末までの処分期限が迫っています。撤去・処分計画を含め、法令順守かつ安全な更新を行うことが重要です。

中古・リース活用や延命措置など代替策の現状

新品キュービクルの価格高騰を受け、中古設備の活用や延命措置も選択肢として注目されています。それぞれのメリットと留意点を整理します。

中古キュービクルの活用

コスト削減を優先する場合、中古品の導入は有力な代替策です。近年は資材価格や原材料費の高騰で新品価格が大きな負担となる中、状態の良い中古キュービクルを再利用する事例が増えています。中古品なら新品に比べて大幅に初期投資を抑えられる場合があり、短期的な設備増強や中小規模事業者の導入にも適しています。

また、また既に市場在庫として整備済みの機器を選べば、新品の納期が長期化している状況でも、比較的短期間で納入できる利点があります。さらに、レンタルサービスを活用すれば、工事期間中の仮設キュービクルや短期プロジェクト向けに設備を借りることも可能です。

一方で中古品導入では、信頼できる業者選びが重要です。絶縁耐圧試験や整備が適切に行われ、保証体制が整った機器を選ぶことで、安全性・信頼性を確保できます。安さだけで選ぶと、不具合や再整備コストで逆に負担が増える可能性がある点に注意が必要です。

リース・レンタルの活用

資金負担を平準化する手段として、リース契約やレンタルも有効です。リースを利用すれば、初期費用を抑えて最新設備を導入し、月々の定額料金で利用できます。契約終了後に設備を買い取る選択肢がある場合もあり、財務戦略に応じて柔軟に活用可能です。

ただし、緊急用電源や特殊な用途ではリース品が要件を満たさない場合もあります。導入前に自社の使用目的と適合性を必ず確認することが重要です。

延命措置・部分改修

既設キュービクルの老朽化が進む中、すぐに更新できない場合は、延命措置で寿命を延ばす方法もあります。外箱の錆に対して再塗装や補修を行う、防食技術で耐久性を向上させる、内部機器の部分交換で性能を維持するなどが代表例です。短期的には更新を先延ばしできます。

しかし、延命はあくまで一時しのぎであり、根本的な老朽化リスクは残ります。特に経過年数が20年以上の変圧器は故障リスクが高く、PCB含有機器を抱える場合は法定期限までの撤去が義務付けられています。延命策を取る場合でも、資金確保や新規機種選定など、将来の更新計画を並行して進めることが不可欠です。

今後の価格見通しと取るべき対策

価格上昇はいつまで続くか?

残念ながら、キュービクル価格の高騰は当面続く見通しです。2026年には変圧器のトップランナー新基準対応に伴う大幅値上がり(旧製品比で約1.5倍)が既定路線となっており、更新需要のピークと相まってメーカーの製造能力を超える受注が集中する見込みです。

需給が落ち着くまでは価格交渉力が買い手側に戻るのは難しく、少なくとも新基準品への移行期が一段落すると予想される2028年頃までは高止まりが続くと考えられます。ユーザー側としては「価格が下がるのを待つ」よりも、必要な更新は早めに実施し、リスクを低減する方が賢明です。

購入・更新のタイミングと対策

既に旧基準変圧器の製造受付は終了しており、2026年以降は割高な新基準品しか選べません。価格高騰局面で更新を先延ばしにすると、将来的な費用負担が増す可能性が高くなります。

早期更新のメリットは、故障リスクの低減だけでなく、省エネ性能向上による電気料金削減効果も期待できる点です。特にトップランナー対応変圧器は長期的に電気料金削減に寄与します。また、複数業者から見積もりを取り、機器費・工事費・廃材処理費の内訳を確認することで、コストの妥当性を判断できます。価格高騰期だからこそ、信頼できるパートナー選びと適切な交渉が重要です。

国や自治体の補助制度の活用

キュービクル更新時は公的補助金を活用することで、費用負担を軽減できます。例えば、経済産業省の「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」では、高効率設備への更新に対し設備費の1/3以内で補助を受けられます。トップランナー変圧器を含む高効率キュービクルも対象で、事例によっては数百万円の助成を受けられています。

申請には事前手続きや省エネ効果の証明が必要ですが、専門業者が代行するケースもあります。また、環境省の補助制度では、PCB廃棄処理費用の一部助成もあり、低濃度PCB含有設備の更新時に有効です。さらに、自治体独自の省エネ設備補助がある場合もあるため、所在地の制度を確認して活用しましょう。補助金は公募期間が限られるため、アンテナを高く張って早めの準備が推奨されます。

まとめ

キュービクルの価格上昇は、原材料費や人件費の高騰、供給不足、さらに新たな省エネ基準の導入など、複数の要因が重なった結果であり、マンション管理組合やビル・工場の担当者にとって無視できない問題です。ここ数年で導入コストは実質的に数割上昇しており、適切な情報収集と対策が求められます。

キュービクルの更新は大きな出費ですが、放置すると事故リスクや電気料金のロスが増加するため、適切なタイミングでの実施が重要です。価格高騰期だからこそ、「情報戦」と「計画力」が鍵となります。信頼できる専門業者と連携し、公的補助制度も活用しながら、将来を見据えた最適な設備更新を進めることが、長期的な安全性・省エネ・コスト抑制につながります。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

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