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鉄骨階段の塗装ガイド|劣化のサインから工事手順・費用相場・塗料選びまで徹底解説

更新日:2025年07月30日(水)

本記事では、鉄骨階段の塗装を検討している方に知ってほしい劣化のサインや工事の進め方について解説します。

目次

鉄骨階段の劣化サインとは?(サビ・塗膜剥離・ひび割れ・滑りやすさ)

経年劣化した鉄骨階段には、いくつか塗り替え時期を示す劣化のサインが現れます。

以下に主な兆候を解説します。

サビの発生

鉄部の表面に赤茶色の錆びが見えるのは代表的な劣化サインです。塗膜が劣化・破れて鉄が露出し、水分や空気と反応するとサビが発生します。錆が出始めた段階ではまだ手遅れではありませんが、放置すると錆は周囲にどんどん広がり、下地の金属を深く侵食していきます。早めに錆を除去して塗り直すことで、鉄骨階段の強度低下を防ぐことが可能です。「階段の所々にサビが浮いてきた」という状態になったら要注意です。

塗膜の剥離・浮き

塗装面が局所的に剥がれ落ちたり、浮き上がったりしているのも劣化の兆候です。塗膜にひび割れや剥離が起きると鉄部が露出し、そこから錆びが発生します。例えば階段の踏板や側面でペリペリと塗料が剥がれている部分があれば、防錆機能が失われている証拠です。放置すれば露出部から錆が進行し、美観も著しく損なわれます。塗膜浮き・剥がれを見つけたら塗り替えのタイミングと考えましょう。

塗装面のひび割れ・チョーキング

塗料の経年劣化により、細かなひび割れ(クラック)が塗膜に入ることがあります。これは塗膜の弾性低下や下地との付着力低下が原因で起こり、ひび割れから雨水が侵入すると下地が錆びるリスクが高まります。また、塗装表面を指で触ったときに粉状の物質が付着する現象(チョーキング)も塗膜劣化のサインです。チョーキング(白亜化現象)は紫外線や雨により塗膜中の樹脂が分解し顔料が粉化することで起こり、塗膜の防護性能が低下している証拠です。塗装面の艶がなく色褪せてきた、触ると手に粉が付くといった症状が見られたら、再塗装の検討時期といえます。

踏板の摩耗・滑りやすさ

鉄骨階段の踏板(ステップ部分)は人が踏むことで徐々に塗膜がすり減り、摩耗します。塗装した防滑塗料が摩耗すると表面が平滑になってしまい、雨の日などに滑りやすくなるのが特徴です。踏板にザラザラとした滑り止め塗装がある場合、摩耗するとそれが消えてツルツルになっていることがあります。踏面が滑って危険だと感じたら、防滑塗装の塗り直し時期でしょう。防滑性の高い塗料を再塗装することで、階段利用時の安全性を回復できます。

以上のような劣化サインに気付いたら、早めに専門業者に相談して点検・見積もりを依頼することをおすすめします。「艶がなく色褪せ→チョーキングの粉→ひび割れ・剥がれ→サビ発生」という段階的な進行も参考にしつつ、「サビが出たら即対処」くらいの意識で臨むと安全です。

塗装が必要なタイミングと周期(国交省基準・管理組合向け目安)

鉄骨階段の再塗装は何年周期で行うべきか? 一般に鉄部塗装の推奨周期は、外壁塗装など他の部位に比べて短めです。国土交通省が定めるマンション維持修繕の指針「長期修繕計画作成ガイドライン」では、屋上防水や外壁塗装等の修繕周期が12~15年とされているのに対し、鉄部塗装は雨がかり部分・非雨がかり部分ともに5~7年程度とされています。つまり5~7年おきに鉄骨階段など鉄部の塗り替えを行うのが国交省基準の目安です。

実際、マンションやアパートの長期修繕計画でも鉄部塗装工事は最も頻繁に組み込まれる項目の一つです。国交省の統計によれば、鉄部塗装は雨ざらしであっても日が当たらない場所(非雨掛かり部分)であっても等しく5~7年周期で計画するよう示されています。これは裏を返すと、「錆止め塗料による鉄部保護機能は約5年程度」という実態に基づくものです。多くの塗料は塗装後5年前後で防錆効果が薄れてくるため、そのタイミングに合わせて塗り替えないと錆が露出・進行してしまうのです。

もっとも、適切な周期は建物の環境条件によって前後します。沿岸部で潮風にさらされる階段や、日射・風雨が強い立地の鉄骨階段は、5年を待たずに劣化が進むケースもあります。一方、屋根で覆われた半屋内の階段などは7年以上塗膜が保つこともあるでしょう。したがって定期点検を行い劣化状況を観察しつつ、長期修繕計画を見直して最適な塗装時期を判断することが大切です。一般論としては「前回塗装から5年以上経過したら要チェック」、そしてサビ・剥がれ等の劣化症状が出ていれば計画的に塗装工事を実施する、というのが賢明です。

マンション管理組合向けには、「鉄部塗装工事は他の部分より短いスパンで実施する必要がある」と周知されています。大規模修繕では外壁や屋上防水はおおむね12年前後ですが、鉄骨階段や鉄柵など鉄部はその合間にも1回以上塗り替えを検討するくらいの頻度です。「雨垂れによるサビ染みが目立ってきた」「触ると粉がつくチョーキングが出始めた」といった兆候を見逃さず、5~7年を目安に早め早めのメンテナンスを行うことで、大掛かりな補修や交換を防ぎトータルコストを抑える効果も期待できます。

鉄骨階段の塗装工事の流れ(ケレン→下塗り→中塗り→上塗り)

鉄骨階段の塗装工事は、下地処理から仕上げまでいくつかのステップを踏んで進められます。一般的な作業工程は次のとおりです。

ケレン作業(下地処理・錆落とし)

ケレンとは鉄部塗装における研磨・素地調整作業の総称です。ワイヤーブラシ、スクレーパー、サンドペーパー、電動サンダー等を用いて錆や旧塗膜をしっかりと研磨除去します。塗膜が浮いている部分や腐食が進んだ部分は入念にケレンし、素地の金属面が露出するまで落とすことが重要です。ケレン作業は鉄部塗装の耐久性を左右する最も重要な工程で、これが不十分だとどんなに良い錆止めや上塗り塗料を塗っても長持ちしません。ケレン不足だと仕上がりが悪いだけでなく数ヶ月でまた錆が浮いたり塗装が剥がれたりする恐れがあります。そのため職人は時間をかけて入念に高圧洗浄・ケレンを行い、下地を清浄で滑らかな状態に整えるのです。

下塗り(錆止め塗装)

下地処理後、まず錆止め用の下塗り塗料を全体に塗布します。下塗り材には通常エポキシ樹脂系の錆止め塗料が使用されます。エポキシ系塗料は高い防錆効果と付着性・耐久性を兼ね備えており、鉄部用プライマーの主流です。刷毛やローラーで隅々まで塗り残しがないよう塗布し、鉄骨階段全体に防錆皮膜を形成します。エポキシ錆止めは乾燥硬化が比較的早く(製品にもよりますが数時間程度)、膜厚も十分取れるため防食下塗りに適しています。※エポキシは紫外線に弱いという特性があるため下塗り専用で、後で必ず上塗り塗料で覆います。

中塗り(上塗り1回目)

下塗り乾燥後、仕上げ用塗料による塗装の1層目(中塗り)を行います。上塗り材(後述するウレタン塗料・シリコン塗料・フッ素塗料など)を刷毛・ローラーで均一に塗り広げます。中塗りは上塗りを美しく長持ちさせるための下地づくり兼1回目の仕上げ塗装です。塗膜に厚みを持たせ、色ムラを無くすよう丁寧に塗ります。階段の裏側や手すりの裏面など見えにくい箇所も、作業漏れがないよう注意して塗装します。中塗り後は規定の乾燥時間を置きます。

上塗り(仕上げ塗装2回目)

最後に仕上げ塗料の2回目塗装(上塗り)を行います。中塗りと同じ塗料を用い、塗り残しや膜厚不足がないよう重ね塗りして仕上げます。上塗りにより発色が良くなり光沢も出て、防汚・耐候性能も十分発揮されます。こうして下塗り1回+上塗り2回(中塗り・上塗り)の計3回塗りが鉄骨階段塗装の基本となります。塗装後は乾燥養生期間を経て、養生シート等を撤去し清掃・最終点検を行えば完了です。

上記が一般的な工程ですが、現場によっては養生(周囲の養生シート張り)や素地補修を含む場合もあります。たとえば塗料飛散防止ネットを足場にかけたり、床や壁にマスカー(ビニールシート)で養生する作業は塗装前に必須です。また、錆で穴が開いた部分の鉄板補修や溶接補強が必要なケースもあり、その際は下地補修工程が追加されます。塗装後、乾燥を待たずに階段を利用すると靴に塗料が付着したり滑ったりする危険があるため、塗装中は立入禁止または片側交互通行とし、完全乾燥後に開放するのが通常です。鉄骨階段塗装では作業中の安全確保と丁寧な下地処理・塗り重ねが重要であり、「下地8割、上塗り2割」と言われるほど下地処理と錆止めが仕上がりと耐久性の要となります。

使用される主な塗料の種類と特徴(エポキシ、ウレタン、フッ素など)

鉄骨階段の塗装に使われる塗料は、大きく「下塗り用の錆止め塗料」と「仕上げ用の上塗り塗料」に分かれます。まず下塗り用としては先述のエポキシ樹脂系錆止め塗料が主流です。エポキシ系錆止めは高い防食性(錆びにくさ)と密着性、耐摩耗性を持ち、鉄部塗装では必ずと言っていいほど下塗りに使われます。欠点は紫外線に弱いことですが、上塗りで保護される前提のため問題ありません。一部では変性エポキシ(1液型に改良したエポキシ)や油性系錆止め塗料(フタル酸樹脂系など)も使われますが、総合性能に優れ扱いやすいエポキシ系錆止めが最も使用頻度が高いのが現状です。

次に上塗り用の塗料ですが、鉄骨階段の仕上げ塗料として適しているのは主に3種類あります。ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料の3つです。いずれも外壁塗装などに用いられるアクリル塗料より耐久性が高く、屋外の鉄部仕上げに広く使われています。

ウレタン塗料(ポリウレタン樹脂塗料)

ウレタン塗料はかつて外壁塗装でも主流だった塗料で、柔軟性があり密着性が高く、光沢のある仕上がりが特長です。鉄部や木部など様々な部位に使いやすく、乾燥が比較的早いメリットもあります。耐久年数は一般に7~10年程度で、近年はシリコン塗料の台頭で外壁用としては減りましたが、価格が安価なためコスト重視の場合に採用されることがあります。また雨樋や細かな鉄部など、一部補修で塗る際にも用いられます。ウレタン塗料は施工中に溶剤臭が強いというデメリットがありますが、初期費用を抑えたい場合や近い将来に再開発・取り壊し予定がある物件では有効な選択肢です。

シリコン塗料(アクリルシリコン樹脂塗料)

シリコン塗料は現在、戸建てからマンションまで最も広く使われている塗料です。耐候性・耐久性とコストのバランスが良く、鉄部塗装でも定番の仕上げ材となっています。耐用年数は製品にもよりますが約10~15年程度と長めで、価格もウレタンと大きく変わらないためコストパフォーマンスに優れる塗料です。シリコン塗料は塗膜が硬く汚れが付きにくい(親水性が高く雨で汚れが流れやすい)特徴もあり、光沢保持性にも優れます。マンションの鉄骨階段など長期にわたり美観と防錆効果を維持したい場合、シリコン系仕上げが選ばれることが多いです。現在ではシリコンをさらに改良したラジカル制御型塗料(シリコン+安定剤で耐候性を高めたもの)も普及しつつありますが、基本的にはシリコン塗料が標準的な選択肢と言えます。

フッ素塗料(フッ素樹脂塗料)

フッ素塗料は非常に高耐久な高級塗料です。塗膜が極めて強靭で、紫外線や雨水、酸性雨、温度変化に対する耐久・耐候性が非常に優れています。耐用年数は15~20年程度と長寿命で、塗膜の光沢保持も抜群です。さらに親水性が高く汚れが付きにくいため、美観維持にも優れ、防カビ・防藻性も高いのが特長です。デメリットは価格が高価な点ですが、長期的な塗替え回数削減によるコストメリットも注目され、マンションの大規模修繕などで採用されるケースも増えてきました。とにかく耐久性を最優先したい場合にはフッ素塗料が適しています。

このほか、より高性能な塗料として無機系塗料(セラミックや光触媒など)も存在します。無機塗料はフッ素以上の耐候性を持つとも言われますが非常に高価で、一般的な鉄骨階段塗装ではまだ主流ではありません。通常はコストと耐久年数のバランスからシリコン塗料が最も選ばれ、次いで予算次第でフッ素、あるいは安価に済ませるならウレタン、といった選択になります。仕上げ塗料の種類によって中塗り・上塗りの㎡単価も異なり、たとえばウレタン・シリコン・フッ素の順で材料費が上がる傾向があります。その分フッ素は長持ちしますので、長期的なサイクルコストも踏まえて検討すると良いでしょう。

なお、仕上げ塗料の色は基本的に自由に選べますが、下塗り錆止めとの色相の相性も考慮します。通常、下塗りには赤さび色やグレーの錆止めが用いられるため、上塗り色が薄い場合は下地色が透けないよう中塗りで隠蔽性の高い色を挟むこともあります。また、塗料メーカー純正の「認定施工店制度」なども存在し、メーカーが品質を担保する制度下で施工できる業者もあります。塗料選びは専門知識が必要な分野でもあるため、信頼できる業者と相談しながら部位と予算に適した最良の塗料を選定するとよいでしょう。

鉄骨階段塗装の費用相場と見積もりの見方(㎡単価・部位別・工法別)

気になる費用相場ですが、鉄骨階段塗装の費用は階段の大きさや劣化具合、使用塗料や工法、地域や業者によって幅があります。一般的なアパートや小規模マンションの屋外鉄骨階段1基(幅約90cm×10段程度)で、だいたい5万円~15万円前後がひとつの目安です。

費用内訳は通常、材料費+施工手間+諸経費となります。見積書ではケレン作業費、下塗り(錆止め)塗装費、中塗り・上塗り塗装費、養生費、仮設足場費などが㎡単価で記載されます。

鉄骨階段塗装の一般的な単価相場の一例を挙げると

ケレン(錆落とし):約500~1,000円/㎡(錆の程度により変動、1種~4種ケレンの違い)

錆止め塗装(下塗り):約400~600円/㎡(主にエポキシ系錆止め塗料を使用)

中塗り・上塗り(仕上げ塗装):約1,000~2,000円/㎡(ウレタン・シリコン・フッ素等、塗料グレードで差)

養生費:約200~400円/㎡(手すりや床・壁のビニール養生シート設置費)

鉄部補修:約5,000~15,000円/箇所(穴あき部分の鉄板当てや溶接補強など必要な場合)

※上記はあくまで概算相場です。実際の見積もりでは階段の形状(まっすぐor折り返し、踊り場の有無)、段数・延長、塗装面積(踏板の裏表や側板も含む)、劣化の度合い(錆びの範囲や腐食穴の有無)、使用塗料の種類、作業環境(高所作業の難易度、足場の要不要)、地域の人件費相場などで価格が変動します。例えば「階段裏や手すり側面も含めると見た目より施工面積が増える」「高所や狭所では安全対策コストが増す」などの要因で費用は上下します。そのため正確な㎡単価は現地調査次第となり、複数社からの見積もり比較が望ましいとされています。

見積もりの見方としては、まず内訳が明確かどうかをチェックしましょう。優良な業者は見積書に「材料名・塗料の種類(例:エポキシ錆止め○○、ウレタン塗料△△など)」「工程ごとの施工単価・数量」「塗装面積(㎡)」等を丁寧に記載します。内訳が不透明な一式見積もりしか出さない業者や、「高圧洗浄やケレンを省略して安く見せる」ようなケースには注意が必要です。鉄部塗装の場合、ケレン作業の有無や錆止め塗料の種類で耐久性が大きく変わりますから、見積もり時にそれらが含まれているか確認しましょう。また保証内容も重要なポイントです。施工後の不具合に対し何年間の補修保証が付くか、条件はどうかなどを事前に確認してください。

費用相場として繰り返しになりますが、鉄骨階段1基あたり50,000~150,000円程度が一般的です。適正価格か判断するには複数見積もりの比較が有効ですが、極端に安い場合は工程を省略していないか、極端に高い場合は管理会社経由で中間マージンが上乗せされていないかなどを疑ってみることも必要です。総じて、見積もり内訳の透明性・妥当性を確認し、保証やアフター対応まで含めて検討することが、費用面でも施工品質面でも満足のいく鉄骨階段塗装につながるでしょう。

良質な業者選びのポイント

鉄骨階段塗装を成功させるには、信頼できる塗装業者に依頼することが大切です。

ここでは良質な業者を見極めるためのポイントを紹介します。

施工実績と専門性の確認

まず、その業者が鉄部塗装の施工実績を豊富に持っているかを確認しましょう。過去にマンションやアパートの鉄骨階段塗装を多数手掛けていれば、下地処理のノウハウや工程管理もしっかりしています。実績は業者のウェブサイトやパンフレットで紹介されていることが多いです。また資格保有状況も参考になります。例えば社内に「1級塗装技能士」など国家資格を持つ職人がいる、または「建築施工管理技士」等の有資格者がいる会社は技術力・知識面で信頼性が高いと言えます。塗装業自体は資格が無くても開業できますが、こうした公的資格や許可を有する業者の方が顧客から信頼されやすいのは確かです。大きな仕事を任せる場合は特に、実績と専門性を重視しましょう。

建設業許可や自治体登録の有無

業者の許可・登録状況もチェックポイントです。塗装工事業の場合、請負金額が500万円以上となる工事には各都道府県知事の建設業許可が必要です(500万円未満なら無許可でも営業可)。許可を持っている業者は一定の経営実績や技術者を有している証でもあります。また自治体によっては「小規模修繕登録業者制度」などがあり、公共工事の入札資格を得ている会社も信頼性が高いでしょう。必須条件ではありませんが、建設業許可を取得し適切に運営している会社は信頼の目安になります。なお、塗料メーカーが独自に認定する「○○塗料認定施工店」などの制度もあります。該当塗料で施工実績を積んだ優良店として認められている証なので、これも判断材料になります。

保証制度とアフターサービス

施工後の保証があるかどうかも重要です。多くの塗装業者は施工後1~5年程度の保証を設けています。鉄部塗装の場合、錆が早期に再発したり塗膜剥離が起きた際の無料補修期間などを定めている会社があります。保証期間が長く内容が手厚い業者ほど、施工品質に自信を持って責任を果たそうという姿勢の表れと言えるでしょう。契約前に保証書の有無・条件を確認し、不明点は遠慮なく質問しましょう。また保証だけでなく、定期点検の提案やアフターフォロー体制がある業者だとより安心です。施工後何か問題があった際に迅速に対応できるかどうか、連絡体制やサービス精神もチェックポイントになります。

見積もりの内容・対応

前項でも触れましたが、見積もりの内訳が明瞭で丁寧な業者は信頼できます。塗料の種類や工程をきちんと説明し、こちらの疑問にも的確に答えてくれるかどうか見極めましょう。施工前の現地調査をしっかり行い、顧客の要望や不安に耳を傾けてくれる業者を選ぶことが大切です。

評判や資格の確認

最後に、その業者の評判や口コミも参考にしましょう。管理組合仲間や近隣物件のオーナーから紹介を受けるのも安心です。会社の規模よりも実際の職人の技術・人柄が重要な業界ですので、営業担当や職人の説明が誠実で分かりやすいかどうか、過去の施主からの評価(ネットの口コミ等)もチェックしてみてください。塗装業は極論すれば誰でも名乗れてしまう分野なので、信頼できる実績・資格・保証を備えた業者を選ぶことが、後悔しない工事への近道です。

以上のポイントを総合して判断し、納得できる業者に依頼しましょう。見積もりの内容説明が丁寧で、ケレンなど下地処理の重要性をきちんと理解している業者は施工品質も高い傾向にあります。適切な業者選びによって、鉄骨階段塗装工事の仕上がりと耐久性に大きな差が出ますので、時間をかけて比較検討することをおすすめします。

よくある質問

Q1. 塗装工事中、階段は通行できなくなりますか?

A. 基本的には一時的に通行制限がかかりますが、状況に応じて対策します。 鉄骨階段を塗装している間は、塗料の飛散や乾燥中の塗膜保護のため原則立入禁止とするのが安全です。ただし実際のマンション・アパートでは居住者が毎日階段を使う必要があるため、工事側で配慮を行います。例えば階段が2基ある建物では片方ずつ交互に工事してもう一方は常時使えるようにする、階段が1基しかない場合でも左右半分ずつ塗装して片側通行を確保する、あるいは作業時間帯を区切り通勤通学の時間帯は作業を中断して通行可能にする等の対応を取ります。施工中は養生シートや看板で「塗装作業中・足元注意」の掲示を行い、居住者に塗料が付着しないよう十分注意して進めます。工事前に業者から説明がありますので、住民への周知徹底も含めて計画的に段取りします。乾燥が完了すれば階段は通常どおり利用できますが、念のため塗装翌日は注意喚起をするなど安全確認を行います。塗装中まったく使えなくなるわけではありませんが多少の不便は発生するため、事前の案内と協力が必要となります。

Q2. 塗り替えた後の塗装はどれくらい持ちますか?(耐久年数)

A. 目安はおおむね5~7年ですが、塗料グレードで変わります。 一般的なアパートの鉄骨階段では、次回塗替まで約5~7年程度が一つの目安です。これは通常のウレタン・シリコン塗料仕上げの場合で、国交省の基準や多くの管理組合もこの周期を推奨しています。ただし塗料の種類によって耐久年数は異なり、例えば安価なアクリル塗料なら3~5年で劣化しますし、シリコン塗料で8~12年、フッ素塗料なら15年以上持つ場合もあります。また建物の環境(海が近い、工場地帯である等)によっても寿命は前後します。したがって○年経ったから絶対塗り替えというより、定期点検で劣化症状の有無を確認して判断するのが現実的です。基本的に5年も経てば錆止め効果は薄れてくるため、標準的なシリコン系塗料仕上げなら7年目安で再塗装、高耐久のフッ素系なら10年以上維持というように、塗料ランクと環境条件に応じた計画を立てましょう。なお施工業者の保証期間(例えば2年や5年保証など)があれば、保証が切れるタイミングで一度点検してもらうのも安心です。

Q3. 鉄骨階段の塗装工事にはどれくらいの日数(工期)がかかりますか?

A. 階段1基あたり数日~1週間程度が一般的です。 もちろん規模によりますが、小規模なアパート階段ならだいたい2~4日間で作業完了するケースが多いです。実際、幅90cm程度・2階建て分の鉄骨階段塗装で工期2日という施工例もあります。これは天候に恵まれ、下地処理から仕上げまでスムーズに進んだ場合です。通常は高圧洗浄~乾燥に1日、ケレン・下塗りに1日、中塗り~上塗りに1~2日、予備日1日と見積もってトータル3~5日程度が目安です。マンションで階段が複数あったり、足場の組立解体が必要な場合、あるいは雨天中断などが入ると1~2週間かかることもあります。工事前に工程表が提示されますので、日程と順序を確認してください。居住者への通知では余裕を持って「○月○日から○日まで(予備日含む)」と案内するのが一般的です。尚、乾燥時間の確保が品質上重要なので、焦って工期を詰めすぎないようにしましょう。しっかり乾燥させながら進めてもらえれば、その後の塗膜は長持ちします。

Q4. 階段塗装中に発生する匂いや音は大丈夫でしょうか?

A. 多少の塗料臭・作業音はありますが、できる限り配慮します。 錆止め塗料やウレタン塗料には溶剤分を含むものが多く、独特のシンナー臭が発生します。屋外とはいえ風向きによっては居住者に匂いを感じさせる可能性があります。そのため臭気が少ない塗料を選んだり、作業時間を日中に限定するなどの配慮をします。音に関しては、ケレン作業での金属ブラシの摩擦音や電動工具の音が多少発生します。ただし長時間大きな騒音が続くわけではなく、事前に「○時~○時は作業音が出ます」と周知しておくことで対応します。近隣への挨拶・説明も業者が行いますので、管理組合としては業者と連携しつつ住民の理解を得ると良いでしょう。いずれも短期間の工事ですので、終了すれば匂いや音の問題は解消します。気になる場合は水性塗料の活用(低臭気)等も検討すると安心です。

以上、よくある質問に回答しました。鉄骨階段塗装は専門工事ですが、事前に疑問点を解消しておけばスムーズに進められます。工事中のコミュニケーションも含め、信頼できる業者に依頼することで入居者への影響を最小限に留め、安全・確実にメンテナンスすることができます。

まとめ:鉄骨階段の塗装は安全性と資産価値を守るための重要なメンテナンス

鉄骨階段の塗装について、劣化のサインから施工手順、費用相場や塗料選びまで包括的に解説してきました。一度発生した錆は放っておくと何度でも繰り返し発生する厄介な問題であり、そのため鉄部塗装工事は他の部位よりも短い周期で計画的に行う必要があります。塗膜に劣化症状(剥がれ・錆びなど)を見つけたら、早期に塗り直して錆の発生・進行を防止することが肝心です。万一錆が出てしまっても、ケレンできれいに除去した上で適切に錆止め塗装を施し、再発を防ぐ塗装を行えば鉄部の機能・強度を維持できます。定期的に鉄骨階段の塗装メンテナンスを実施することは、建物全体の安全性を確保するとともに資産価値の維持にもつながる重要ポイントの一つです。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

二級建築士,管理業務主任者

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