大規模修繕における「足場付き工法」、「無足場工法」の比較
更新日:2024年09月04日(水)
大規模修繕の際は一般的には足場付き工法が採用されており、一部で無足場工法も採用されています。 無足場工法には「ロープアクセス」、「ブランコ」、「ゴンドラ」など様々な種類があります。 高さ45m以上の建物においては、規制の都合で足場付き工法は採用できず、無足場工法の一つである「ゴンドラ」が採用されることが多いです。この記事では「無足場工法の種類」、「足場付き工法・無足場工法のメリット・デメリット」などをご紹介いたします。これらの情報が少しでも皆様のお役に立つと幸いです。
- 本記事のポイント
- 大規模修繕における「足場付き工法」と「無足場工法」の違いを理解できる。
- 無足場工法(ロープアクセス、ブランコ、ゴンドラ)の選択肢と特徴を把握できる。
- 工法選びでの注意点を押さえ、工事のリスクを最小限に抑える方法がわかる。
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足場付き工法・無足場工法について
足場付き工法

足場とは、高所作業のために金属パイプなどで組み立てられる構造物のこととなります。
足場付き工法とは、作業員が足場のうえで工事を行う工法となります。足場周辺を塗料の飛散・落下物の防止のために養生シートで覆うのが一般的です。工事科目としては「直接仮設工事」にあたります。
高さ45m(14~15階建て相当の高さ)以上の部分においては、規制の都合で採用できません。
無足場工法

無足場工法とは足場無しで、ビルの屋上からゴンドラ・ブランコなどを吊り下げて、作業員がそれらに乗って作業する工法となります。
タワーマンションの増加に伴い、「ゴンドラ」などの採用が増加しています。
養生シートが無いため、塗料の飛散・落下物の問題が発生しやすいです。
足場付き工法・無足場工法のメリット・デメリット
各工法のメリット・デメリットは以下の通りです。

足場付き工法
(メリット)
安定した足場があるため、作業の効率・安全性に優れています。作業後に工事管理者・発注者による品質確認がしっかりできるため、品質が担保されやすいです。また、養生シートがあるため、塗料の飛散・落下物の被害軽減が期待できます。
(デメリット)
足場分のコスト・工事期間が必要となります。また、足場を使った窃盗が発生しやすいなど、防犯面の不安があります。
無足場工法
(メリット)
足場分のコスト・工事期間が不要となります。ただし、ゴンドラにおいては、ゴンドラ使用そのもののがコストが高いため、むしろ高くなります。防犯面は足場が無い分、比較的安心となります。
(デメリット)
作業員はぶら下がっているゆえの不安定さ、力仕事の不得手さより、特定の工事の品質、効率が低くなりやすいです。作業員が多能工でないと、作業の品質・効率が担保できません。また、無足場ゆえに、工事管理者・発注者による品質確認が難しく、品質に不安がでます。また、ぶら下がっているがゆえの不安定さ・養生シートがないことより、塗料飛散・落下物の問題が発生しやすいです。
無足場工法の種類

各工法のメリット・デメリットは以下の通りです。

ロープアクセス
作業員が特殊なロープでぶら下がりながら工事をする工法です。規格の確立による安全性の向上、産業用のロープアクセスの普及を背景に、近年広がりを見せています。ただし、移動範囲に制限があることより作業効率が悪くなるケースがあります。
ブランコ
建物の屋上などから垂らしたロープを利用して、ブランコに座りながら工事をする工法です。ブランコのための道具が安く揃えやすいため、ロープアクセスと比べて安く行うことが出来ます。いっぽう、規格があったり、ブランコのための専用道具があったりするわけではないことより、安全面に不安があります。また、基本的に下方向にしか動けない点が作業効率を悪化させています。
ゴンドラ
屋上などに設置した器具からつり下げた可動式のゴンドラに乗って工事をする工法です。比較的安定したゴンドラの上の作業であるため、作業効率が良く、広範囲でもスムーズに作業が出来ます。また、安定しており安全性が比較的高いです。ただし、他の無足場工法と比べると、コストが高い、機動性が低いなどのデメリットがあります。
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本記事の著者

豊田 賢治郎
「スマート修繕」代表。過去2年間の顧客マンションへの訪問回数は400回を超え、チェックした見積書の数は千を超える(2024年7月末時点)。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「日本経済新聞」、「羽鳥慎一 モーニングショー」、「日曜報道 THE PRIME」、「モーニングサテライト」。
中小企業診断士
本記事の監修者

別所 毅謙
マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「NIKKEI NEWS NEXT」、「首都圏情報ネタドリ!(NHK)」、「めざまし8」、「スーパーJチャンネル」。
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