【マンション】屋上防水の耐用年数はどれくらい?工事の流れと安くするポイント
更新日:2025年08月29日(金)
マンションの屋上防水は目に見えにくい部分ですが、建物全体の耐久性や快適な居住環境の維持において極めて重要な役割を担っています。雨水がコンクリート内部に浸透すると鉄筋が錆びたり躯体が劣化したりするだけでなく、雨漏りによる室内のクロスや内装の損傷、カビ発生、さらには住戸内の生活機能低下や資産価値の下落を招くリスクがあります。 また、防水層は定期的な点検が欠かせません。具体的な劣化のサインとしては、ひびわれ、膨れや浮き、水はけの悪さ(水溜り)、雑草の発生(根が防水層を傷める)などが挙げられます。これらを見逃さずに早めの対応を行うことが、雨漏り被害を未然に防ぐポイントです。 本記事では、マンション屋上防水の意義と工法、耐用年数の根拠や劣化サイン、標準的な施工手順などについて解説します。
- 本記事のポイント
- 屋上防水の種類と寿命がわかる。
- 工事の基本的な流れを把握できる。
- コストを抑える工夫について学べる。
マンションの屋上防水とは?
マンションの屋上は「陸屋根」と呼ばれ、雨水を自然流下させる勾配が小さく、排水口に集水された後に排出される仕組みです。平坦な形状ゆえに雨水が長時間とどまりやすく、紫外線や風雨、温度変化によって防水層が劣化しやすいのが特徴です。屋上防水工事は、防水層の新設や改修を通じて数層構造の防水・保護層を形成し、水の侵入を防ぐことで建物全体を守ります。
具体的には、まず下地コンクリートの表面状態を整える「下地調整」を行い、その後プライマー(接着剤)を塗布して防水材の付着性を高めます。次に防水材を塗り重ねたりシートを貼り付けたりして防水層を形成し、最後にトップコートで紫外線や摩擦に強い保護層を作ります。
ウレタン塗膜防水は複雑形状にも継ぎ目なく施工できるため、設備の多いマンション屋上に適しています。シート防水は工期短縮と均一な厚みが得られ、広い平面に向きます。FRP防水はガラス繊維強化樹脂により高強度で歩行対応の屋上に適し、アスファルト防水は最も長期耐用で、コンクリート保護仕上げと組み合わせれば20年以上の性能維持も期待できます。
【マンション】屋上防水の耐用年数はどれくらい?
屋上防水の耐用年数は、防水工法、施工品質、環境条件、メンテナンス頻度によって変動します。
ウレタン塗膜防水:10~15年
液状のウレタン樹脂を2~3回重ね塗りし、トップコートを施工。継ぎ目がなく密着性が高いため、防水層に隙間ができにくい特徴があります。ウレタン塗膜防水は、「塗料を塗って防水層を形成する」ため、複雑な形状やでこぼこした形状の屋上にも柔軟に対応できる特性があります。一度塗り替え(トップコート再塗装)を行うことでさらに5年程度延命が可能で、10年目以降に点検とトップコート塗り替えを実施すると全体寿命を15年以上確保できるケースもあります。
シート防水(塩ビ・ゴム):10~15年
工場製造の防水シートを溶着または接着剤で敷設。機械的強度と均一な防水膜厚が得られますが、シート継ぎ目の施工精度に依存するため、5年目の中間点検で継手部のひびや剥離を確認し補修すると長期耐用を実現できます。
FRP防水:10~15年
ガラス繊維と樹脂を組み合わせた防水層で、高強度かつ耐摩耗性が高く、トップコートは不要な場合もあります。排水口や立ち上がり部分など小面積の補修に適用が多く、通路や機械点検路の歩行に耐える防水層を実現します。
アスファルト防水:15~25年
アスファルトシートと塗膜の二重構造が基本。耐候性・耐久性に優れ、コンクリート保護仕上げと併用すると25年以上の長寿命化が可能です。初期費用は高いものの、中長期的なランニングコストは最も低く抑えられる傾向にあります。
これらの耐用年数はあくまで標準的な目安で、塩害地域や強風・降雪地域など厳しい気象条件下では耐用年数が短くなることがあります。また屋上への機器設置状況(エアコン室外機の架台や配管貫通部など)は防水層の劣化を早めるため、配管まわりのシーリング補修や架台下の防水層保護措置を同時に行うことが推奨されます。
屋上防水工事の流れ
屋上防水工事の流れは大きく「事前調査」「下地処理」「防水層形成」「仕上げ保護」「完了検査」の5ステップに分かれます。
事前調査・現地確認
既存防水層の劣化状況、ひび割れ、膨れ、排水勾配の不具合などを赤外線調査や打診調査で精査します。現地図作成と写真撮影を行い、見積もりと仕様書に反映します。
高圧洗浄・清掃
高圧洗浄機で酷く汚れた防水層や汚泥を除去します。清掃後は乾燥時間を確保し、防水材の付着不良を防ぎます。汚れが残ると早期剥離・雨漏りにつながるため徹底的に行います。
下地調整・補修
コンクリート表面のひび割れはエポキシ樹脂注入やUカット工法で補修。金ゴテ仕上げや専用補修モルタルで平滑化し、防水層の厚みを確保。下地の凹凸や旧シーリング材の撤去もここで行い、後工程の不良を防ぎます。
プライマー塗布
下地と防水材の密着性向上のため、専用プライマーを均一に塗布。養生時間を守り、適切な乾燥を経てから防水材の施工に移行します。プライマー不足は防水層の剥離原因となるため、メーカー指示の希釈比・塗布量を厳守します。
防水層形成
ウレタン塗膜は主剤を2~3回塗り重ね、防水層厚2.0~2.5mmを確保。シート防水は継ぎ目をホットエア溶着して水密性を担保します。FRPではガラスマット含浸樹脂を複数層積層し、耐荷重性を高めます。アスファルト工法は熱工法または常温工法を選択し、シート敷設後にトップコートを塗布します。
トップコート(保護層)塗布
防水層を紫外線や摩耗から守るため、2液型ウレタントップコートを塗布。風雨による微細なひび割れや変色を防ぎ、施工後30年以上の見た目美観維持に寄与します。
完了検査・引き渡し
全工程完了後、水張り試験や散水試験で防水性能を点検。排水口の流速確認や周辺外壁の濡れ具合をチェックします。検査報告書とともに、施工保証書(一般的に工事後5~10年)を発行し引き渡し完了です。
屋上防水工事をコストダウンするポイント
マンション管理組合にとって屋上防水工事は大きな支出ですが、工夫次第で品質を確保しつつコストを抑えることが可能です。以下の3点を押さえて検討しましょう。
相見積もりで適正価格を見極める
防水工事の単価は同じ仕様でも施工会社によって大きく異なり、㎡あたり4,000円~10,000円と幅があります。3社程度から見積もりを取得し、価格と内容を比較することが重要です。見積書に「一式」の記載が多い場合は、材料費・工事費・諸経費を分けて提示してもらい、内訳を明確にしましょう。
大規模修繕と同時に実施してコストを集約
通常12~16年周期で行う大規模修繕に合わせて屋上防水を実施すると、足場費用や設計監理費をまとめられ、単独で実施するより15~25%のコスト削減効果が期待できます。さらに、春や秋の乾燥期に行えば天候不良による工期延長リスクも低減でき、余計な追加費用を回避できます。
専門家に相談する
防水工事の工法や材料、施工管理の適切さを判断するには専門的な知識が必要です。建築士やマンション修繕コンサルタントなど第三者の専門家に相談することで、工事仕様の妥当性や見積価格の適正を客観的に確認できます。結果として、不要な工事や過大な費用を避け、長期的に安心できる計画が立てられます。
まとめ
マンションの屋上防水工事は、適切な工法と高品質な施工を選ぶことで建物寿命を大きく延ばせます。一方で管理組合にとっては大きな負担となるため、複数社から見積もりを取り、材料費・工事費・保証内容までしっかり比較することが欠かせません。さらに大規模修繕と同時に実施すれば足場や管理費を効率化でき、コスト削減が可能です。加えて、早い段階で専門家に相談すれば、仕様や価格の妥当性を客観的に確認でき、長期的に安心できる修繕計画を立てられるでしょう。
先を見据えた計画と、後々の負担を軽減する工夫を重ねることで、マンションの価値を守りながら安心の住環境を維持していきましょう。
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本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
本記事の監修者
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遠藤 七保
大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。
二級建築士,管理業務主任者
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