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マンションの大規模修繕でよくあるトラブル|注意点や優良業者を選ぶコツを伝授

更新日:2024年12月23日(月)

マンションの大規模修繕は、建物の美観や住環境を維持し、マンションの資産価値を保つために欠かせない工程です。しかしその計画が不十分だと、多くのトラブルが発生する可能性があります。本記事では、マンションの大規模修繕でよくあるトラブル事例とその対策を紹介します。修繕積立金の不足、施工業者との問題、修繕委員会と理事会の連携不足など、具体的なケーススタディを通じて解説していきます。また、スムーズに修繕工事を進めるための注意点や、優良業者を選ぶためのポイントもお伝えします。記事を参考にして、トラブルを適切に防ぎながら大規模修繕を成功させましょう。

本記事のポイント
  • マンション大規模修繕のトラブル回避法と工事成功のための事前準備がわかる。
  • 優良業者を選定する際の具体的な基準と見極めポイントが明確になる。
  • 工事中に発生しやすい問題への対処法と、工事を順調に進めるための重要なポイントが学べる。

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マンションの修繕積立金不足によるトラブルと対策

マンションの大規模修繕において、最も一般的なトラブルの一つが「修繕積立金の不足」です。国土交通省のガイドラインによると、マンションの修繕積立金額の適正値は専有面積1㎡あたり月額250〜330円程度となっています。一方、マンションの新築分譲時に設定された修繕積立金額は1㎡あたり月額150円を下回ることも珍しくありません。適切な額が積み立てられていないと、大規模修繕のタイミングで多額の不足金が生じることになります。ここでは、修繕積立金不足に対する具体的な対策を紹介します。

修繕積立金の値上げ

大規模修繕まで期間的に余裕がある場合、将来の工事に向けて修繕積立金を値上げする方法があります。新築分譲時に策定された「長期修繕計画」では築年数が経過するごとに修繕積立金を値上げする「段階増額方式」が採用されていることが一般的です。しかし、実際の値上げには毎月の負担が増えるため、管理組合員の過半数(1/2以上)の賛成が必要になります。

修繕積立一時金の追加徴収

大規模修繕まであまり期間がなく、値上げでは対応できないという場合の解決方法として、一時金の追加徴収があります。一時金を徴収する場合は、管理組合員の過半数(1/2以上)の賛成が必要となります。

金利がかからず、資金も手早く集められる方法ではありますが、家計の負担が重くなるため、各戸あたりの負担額が大きい場合は全住民から徴収することが難しくなります。必要資金が準備できなくなる可能性も高く、あまりおすすめできません。

工事内容の見直し

修繕積立金不足の対処法として、工事内容を見直すケースもあります。具体的には、優先順位の低い工事や必要性の低い項目を延期または中止し、コストの削減を図ります。工事内容の見直しには、専門家のアドバイスを受け、現在の建物の状態を踏まえて優先順位をつけましょう。さらに、区分所有者の理解と協力を得るために、見直し内容を詳細に説明し、合意形成するプロセスも必要です。

長期修繕計画の見直し

長期修繕計画とは、マンションの資産価値や機能を維持するために、日常的な修繕に加えて長期的かつ計画的な修繕を行うためのものです。国土交通省のガイドラインでは、「計画期間が30年以上、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上」と定義されています。マンションの管理組合が主体となって作成し、区分所有者が毎月修繕積立金を積み立てることが必要です。しかし、建物の劣化状況や資材や人件費の高騰など経済情勢の変化によって、当初の計画が現実にそぐわなくなることもあります。そのため、5年を目安に定期的な見直しが求められます。現行の修繕積立金の水準が将来的な修繕に対応可能かを再評価し、必要に応じて計画の調整を行うことが重要です。こまめな計画の見直しにより、予期せぬ修繕積立金の不足を防ぐことができます。

金融機関からの借入

修繕積立金が不足している場合、金融機関から必要資金を借入れることもできます。借入によって一時的に必要な資金を確保でき、必要な工事が実施できます。しかし、借入には利息がかかり、将来的な返済負担が増えてしまう点には注意しましょう。区分所有者に十分な説明を行い、理解を得る必要があります。借入を実施する際は、返済計画を慎重に立て、複数の金融機関の条件を比較して最適な選択をするよう心がけましょう。

大規模修繕工事施工業者とのトラブル

大規模修繕では、施工業者とのトラブルもあります。工期の遅延、追加工事費用の発生などが代表的な例ですが、中には天候や災害など避けられないものもあるため、ある程度トラブルを想定した計画を立てておくことも重要です。

ここでは、施工業者とのトラブル事例とその対策を紹介します。

工期の遅延

大規模修繕工事に必要な工期は、マンションの規模によって異なります。目安としては、総戸数50戸未満の場合は3〜4ヶ月、50〜100戸未満であれば約半年、100戸以上の大規模マンションであれば1年以上かかる場合もあります。

マンションの大規模修繕工事における工期の遅延は、主に天候や自然災害など予測できない要因が原因となります。たとえば、雨天時や気温が5℃以下・湿度85%以上の場合は防水・塗装の作業ができなくなります。さらに、台風や強風など足場での作業が危険な場合は作業を進めることができません。

天候に関しては、確実に有効となる対処方法がないため、元々の工期が長い大規模マンションほど、天候による影響を受けやすいと考えておいたほうがよいでしょう。

あらかじめ天候を考慮した工期を設定しておくことが重要です。

追加の工事費用の発生

マンションの大規模修繕工事では、工事中に新たに発見された問題が原因で追加工事費用が発生することがあります。このようなトラブル防ぐためには、事前に十分な調査を実施し、詳細な修繕の計画を作成することが重要です。

しかし、建物の内部や高所で予想外の劣化や損傷が見つかるケースもあり、追加工事を完全に防ぐことは難しいでしょう。工事を開始する前にあらかじめ予備費を確保しておき、突発的な追加工事に備えておくことで、迅速な対応が可能になります。

万が一追加工事が発生した場合には、業者と迅速に連絡を取り、見積もりや工程の修正を行いましょう。

さらに、追加工事が発生した理由や内容を区分所有者に説明し、理解を得ることも大切です。

その他のトラブル

その他のトラブルとして、施工業者が経営不振によって倒産したり、悪質なコンサルタントに多額の中間マージンをひかれるといったトラブルもありあす。信頼性の高い業者を選ぶために、実績や口コミを確認し、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。また、契約書にトラブル発生時の対応策を明記しておくと安心です。

その他の大規模修繕に関するトラブルと対策

マンションの修繕工事では、修繕積立金の不足や業者とのトラブル以外にも様々なトラブルが発生する可能性があります。以下に、代表的なトラブルとその対策を紹介します。

修繕委員会のトラブル

修繕委員会は、マンションの住民で構成された大規模修繕工事の準備や進捗を管理する専門チームです。マンション理事会の下部組織として位置づけられ、理事会と連携しながら工事の計画を立てたり、進行の監督を担当する重要な役割を担っています。施工業者やコンサルタント会社など、大規模修繕に関わる業者の選定も行います。

修繕委員会で良くあるトラブルとしては、総会の承認を経ずに理事会が修繕委員会の設置を決めてしまったり、修繕委員会とマンション理事会との連携が取れておらず、委員会が独断で工事を進めてしまうといったものがあります。

マンション理事会や住民への情報共有を徹底

修繕委員会のトラブルを回避するためには、委員会の役割を明確にし、理事会との情報共有を徹底することが大切です。具体的な方法としては、定期的に修繕委員会と理事会が会議を開いて進捗状況や問題点を共有したり、住民向けには「ニュース・おたより」などを発行したり、マンション住民専用の掲示板などを活用します。

 

マンション住民とのトラブル

大規模修繕の工事中はマンション住民にストレスを与える可能性があります。下記に代表的なクレームやトラブルの例をご紹介します。

  • 騒音問題
  • 粉じんなどによる汚れ
  • 粉じんによって空気が悪くなる
  • 日当たりが悪くなる
  • エレベーターが使用できない期間がある
  • ベランダの防水塗装工事の際は洗濯物を干すことができない
  • ベランダの先に作業員がいるため洗濯物などのプライバシーが守られない
  • マンションの周りには足場が組まれているため、ベランダを侵入経路とした空き巣被害が増える

 

これらのトラブルを未然に防ぐためには、工事の目的や内容、スケジュール、トラブル要因について事前に住民にしっかりと説明し、理解を得ることが重要です。その際は、質疑応答の時間を設けることで、住民の疑問や不安を直接解決し、信頼関係を築くことができます。

特に、騒音や粉塵の発生する時間帯や期間については具体的に伝え、住民の生活にできるだけ影響を与えないよう配慮しましょう。

また、住民からの意見やクレームを受け付ける窓口を設け、迅速に対応する体制を整えておくことも大切です。

工期やトラブル要因について事前にマンション内で説明会を実施する

マンション住民とのトラブルを防ぐためには、事前にマンション住民に対しして説明会を開き、工事内容に想定されるトラブルや工事の期間について理解を得ておくことが大切です。説明会では質疑応答や相談の時間も設けましょう。

また、工事の内容や必要性、進捗状況などをおたよりやマンション住民用の掲示板などで情報共有しておくことも効果的です。

 

大規模修繕をスムーズに進めるための注意点

大規模修繕工事をスムーズに進めるためには、事前準備と住民との協力が欠かせません。以下に、注意点を紹介します。

 

事前準備:マンション住民への説明

修繕工事を円滑に進めるためには、事前にマンションの区分所有者や賃貸利用の入居者に向けて説明会を開き、工事の必要性や内容、スケジュールなどを周知しておくことが重要です。住民の理解と協力を得ることで、工事期間中のトラブルを防ぎます。説明会では、具体的な工事内容や期間、影響などを詳細に説明し、質疑応答の時間を設けましょう。

また、工事の影響がある場合は、近隣住民にお知らせなどを配布することもあります。

修繕委員会の運営

修繕委員会のメンバーはあくまでマンションの居住者です。そのため、建築や管理に関する詳細な知識を持つ人材が揃っているわけではありありません。

そのため、委員会の運営は専門家のアドバイスをもとに進めることが重要です。定期的な診断や相談を通じて、効果的な修繕計画を進めましょう。

また、修繕委員会が独断で工事内容を決定してしまい、理事会とトラブルになってしまうことがあります。定期的に委員会を開催し住民との情報共有を徹底することで、修繕委員会・理事会だけでなく区分所有者や住民全員が共通の認識を持つことが大切です。

コスト管理と工程管理

マンションの大規模修繕では、しばしば修繕積立金不足や追加工事費用などが原因でトラブルとなります。計画の初期段階から第三者の専門家のアドバイスを受け、それを基に適切な工事内容と金額で大規模修繕を行うことが重要です。

また、工事の進捗状況を定期的にチェックすることも重要です。工事の各段階での報告を受け、問題が発生した場合には迅速に対策を講じることで、工期の遅延や予算オーバーのリスクを最小限に抑えることができます。さらに、予算管理の観点からは、工事開始前に明確な予算計画を立て、予備費用を考慮した資金計画を策定することが求められます。

これに加えて、住民や関係者との定期的なコミュニケーションを維持し、進捗状況や変更点などを報告する場を設けることで、信頼関係を築き、全体の協力体制を強化することが可能です。

マンション大規模修繕の優良業者を選ぶコツとは?

マンションの大規模修繕を成功させるためには、信頼できる優良業者を選ぶことが重要です。ここでは、具体的なポイントを紹介します。

マンション大規模修繕工事の実績と資格の確認

マンションの大規模修繕では高い技術力と法的な遵守が求められるため、信頼できる業者を選ぶためには、資格や過去の実績も含めてしっかりと確認することが大切です。

まずは、検討している業者が「建設業許可証」を持っているかどうかを確認しましょう。建設業の許可とは、建設業法第3条で定められたもので、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けた業者だけが建設業を営むことができます。この許可証は、その業者が専門知識を持ち、法律を守りながら工事を行う能力があることを証明するものです。

また、過去にどのようなマンションの大規模修繕工事を施工してきたかを確認しましょう。同じような規模、築年数のマンションの施工実績が多ければ安心できるでしょう。

大規模修繕のアフターサービスと保証内容

マンションの大規模修繕におけるアフターサービスと保証内容は、工事後のトラブルを避けるために非常に重要です。修繕後に発生する可能性のある不具合や問題に対応するため、業者がどのような保証を提供するかを確認しておきましょう。確認したいポイントとしては、定期点検のスパンや回数、修繕箇所の再修理や再点検が保証される期間や内容、対応の迅速さなどがあります。また、保証期間内に発生した問題について、修繕業者がどのように対応するかも確認しておきましょう。

アフターサービスが充実している業者を選ぶことで、工事実施後の不安を軽減することができます。

複数の見積もりを比較する

マンションの大規模修繕を行う際には、必ず複数の業者に相見積もりを取り、比較しましょう。異なる業者の提案内容を比較することによりおおまかな費用の相場を把握できます。さらに、価格だけでなく、作業内容や使用する材料の質についても確認できます。

このとき、極端に安価な見積もりには注意が必要です。過剰に低い価格設定は、作業の省略や品質の低下を招く可能性があるため、内容を詳しく確認することが大切です。複数の業者から見積もりを集めることで、価格と品質のバランスが取れた業者を選定しやすくなります。

まとめ

ここまで、マンションの大規模修繕で良くあるトラブルについて網羅的に解説しました。

近年は資材や人件費が高騰しており、分譲当初に作成された長期修繕計画の通りに大規模修繕をしようとしたところ、計画通りに積み立てた修繕積立金で工事費用が賄えないというケースも珍しくありません。積立金不足に限らず、事前の準備が十分でないと思わぬトラブルが発生し混乱してしまう可能性もあります。

大規模修繕はマンションの資産価値を維持するために不可欠なプロセスです。だからこそ、住民全体が一丸となって計画を進めることが成功の鍵となります。各種トラブルに対する事前の対策と綿密な情報共有を心掛け、スムーズな大規模修繕を実現しましょう。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

別所 毅謙

別所 毅謙

マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「NIKKEI NEWS NEXT」、「首都圏情報ネタドリ!(NHK)」、「めざまし8」、「スーパーJチャンネル」。

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