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ポリエチレン管の耐用年数と給水管更新のポイント

更新日:2026年02月19日(木)

マンション給水管の寿命は配管素材で大きく異なります。中でも錆びず長寿命なポリエチレン管(耐腐食性樹脂管)が近年主流となっています。 本記事ではポリエチレン管の基礎知識と法定耐用年数、他の素材との寿命比較、更新時期の判断基準や費用について解説します。

本記事のポイント
  • ポリエチレン管の特徴や耐用年数、他素材との比較が理解できる。
  • 給水管更新の判断基準や典型的な劣化症状・更新時期がわかる。
  • 給水管の更新工法と費用相場、長期修繕計画への組み込み方を学べる。

ポリエチレン管とは何か?種類と特徴

ポリエチレン管とは、ポリエチレン樹脂を素材とした配管の総称で、軽量で錆びないのが利点です。給水設備で使われる樹脂配管には主に次の種類があります。

架橋ポリエチレン管(架橋PE管)

分子構造を化学的に結合(架橋)させ強度・耐熱性を高めた給水・給湯用のポリエチレン管です。柔軟性があり曲げ配管が可能で、施工時に「さや管工法(配管を保護管に通す工法)」に対応しやすく、将来の更新も容易です。一般的な耐用年数は約30~40年とされます。

水道用ポリエチレン管

主に屋外の水道本管や建物共用部の幹線給水に使われる耐圧性の高いポリエチレン管です。電気融着接合によって継手を一体化でき、耐震性も優れます。寿命は40年以上と見込まれ、柔軟性が高いため地震時でも破断しにくい素材です。

ポリブテン管(PB管)

ポリブテン樹脂製の給湯配管用樹脂管で、耐熱性に優れ60~80℃程度の温水にも使用できます。架橋PE管と同様に軽量で錆びず、屋内給水・給湯管の更新で広く用いられています。耐用年数は30~50年程度とされます。

一方、耐衝撃性硬質塩化ビニル管(HIVP管)は従来から給水配管に使われてきた硬質塩ビ(PVC)素材の管です。塩ビ管は錆びないものの紫外線に弱く、高温環境では変形のリスクがあります。HIVP管は塩ビ管の衝撃強度を高めた改良版で、接着剤による継手接合で施工されます。塩ビ管の耐用年数は一般に20~40年程度ですが、HIVP管では25~45年程度まで向上しています。

法定耐用年数と実際の使用寿命

給水管には法定耐用年数と実用上の耐久年数があります。法定耐用年数とは税法上定められた減価償却資産としての耐用年数のことで、マンションの給排水設備は建物付属設備として15年と規定されています。これはあくまで会計上の指標であり、配管そのものの寿命を示すものではありません。一方、水道事業で用いられる上水道管は法令上40年とされ、公共インフラと建物内設備で基準が異なります。

実際の給水管は、材質や使用環境によっては30~50年程度使用できるケースも多くあります。特に近年普及しているステンレス管やポリエチレン管など耐食性に優れた素材では、適切なメンテナンスにより50年以上性能を維持できる可能性があります。ただし、実用寿命は配管の肉厚減少や劣化状態によって左右されるため、法定耐用年数を過ぎたあたりから定期的な劣化診断を行い、適切な更新時期を判断することが重要です。

配管素材別の寿命と劣化の比較

配管に使われる代表的な素材ごとの耐用年数の目安と、劣化特性を比較します。

亜鉛めっき鋼管(旧来の鉄管)

寿命15~20年程度。内面が錆びやすく、早ければ約15年で赤水や閉塞が発生します。古いマンション(1970年頃以前)では主にこの配管が使われ、経年で配管内部腐食が深刻化しました。

ライニング鋼管(内面に樹脂等を被覆した鋼管)

寿命20~40年程度。1970年代以降、鋼管内部に塩ビライニングを施した配管が導入され、腐食問題は大幅に改善しました。ただし継手部(ねじ込み部)の露出鉄が腐食する課題が残り、1990年代には継手内部に樹脂コアを内蔵した防食継手(コアジョイント)により寿命延長が図られました。

ステンレス鋼管

寿命30~50年以上。1990年代以降、耐久性を重視して共用部で採用が増えた素材です。ステンレス自体は錆びませんが、継手部のパッキン劣化など課題もあり得ます。価格は高価ですが長期信頼性が高い配管です。

硬質塩化ビニル管(VP管)

寿命20~40年程度。錆びない反面、衝撃や熱に弱く主に常温給水や排水向けに使われてきました。改良型のHIVP管で25~45年程度と耐久性が向上し、1980~90年代には専有部で広く使われました。

ポリエチレン・ポリブテン系樹脂管

寿命30~60年程度。2000年以降の新築や更新工事で主流となった樹脂配管で、錆腐食が起きず耐用年数は50年を超えるとも言われます。架橋ポリエチレン管やポリブテン管は軽量・柔軟で劣化もしにくく、マンション給水管更新工事の標準的な採用素材です。

以上のように、素材によって配管寿命は大きく異なります。使われている管材に応じて更新工事の時期は20年から50年超と幅があるため、自組合のマンションで使用中の配管材を把握し、適切な時期に備える必要があります。

ポリエチレン管採用のメリットと注意点

ポリエチレン管のメリット

錆びない・水質悪化がない

ポリエチレン管は非金属の樹脂製で内部が腐食しないため、赤水や青錆といった水質悪化の心配がありません。従来の鉄系配管から更新することで、水質トラブルが解消します。

耐久性・耐震性に優れる

樹脂管は柔軟で衝撃に強く、地震による揺れや建物の歪みに対して破断しにくい特徴があります。高性能ポリエチレン管はクレーンで吊っても折れないほど柔軟で、大きな地盤変位にも追従します。

軽量で施工が容易

鋼管に比べて圧倒的に軽く、運搬や取り回しが簡単です。配管の曲げ加工もしやすく、さや管ヘッダー工法(各住戸内で樹脂管をヘッダーから各水栓に放射状に配る施工)などにも適しています。施工の省力化により人件費削減や工期短縮にも寄与します。

継手からの漏水リスク低減

架橋PE管や水道用PE管では、専用継手によるワンタッチ接続や電気融着接合が可能で、高い水密性が得られます。継手部からの漏水トラブルが起きにくく、長期的な保守負担が軽減します。

ポリエチレン管の注意点

直射日光・高温への対策

ポリエチレンや塩ビなど樹脂管は紫外線による劣化を受けやすいため、屋外で露出する部分には遮光テープ巻きや保温材被覆が必要です。また高温状態に弱いため、ボイラー周りなど高温環境では断熱処理や耐熱仕様の管材を用いる配慮が求められます。

耐火区画貫通部の処理

樹脂管は金属管と異なり不燃材料ではないため、マンションの耐火区画を貫通する配管部分には防火措置が必要です。例えばパイプシャフト内を貫通する箇所に耐火材(例:耐火パテや耐火シート)を巻いて火災時の延焼を防止します。

長期使用時の劣化

樹脂管自体は耐薬品性に優れ長寿命ですが、長期使用により樹脂が硬化した場合、先述のさや管工法で敷設された架橋PE管でも経年で引き抜き更新が困難になる事例があります。定期点検で外観劣化や硬化の兆候がないか確認し、計画的な更新を検討しましょう。

初期コスト

樹脂配管の材工価格(材料+施工費用)は、一般的なHIVP管と比べて高めです。高性能ポリエチレン管やステンレス管はHIVP管の約3倍程度の費用になるケースもあり、更新工事では予算とのバランスを考慮した素材選定が必要です。

給水管更新の判断基準(劣化症状とタイミング)

築年数だけでなく、以下のような劣化症状が見られたら給水管更新の検討時期です。

漏水の発生

小さな漏水でも同種配管が同年代に施工されていれば他箇所でも起きる可能性があります。漏水事故が発生したら早めに他区画も含めた調査と更新計画立案を行いましょう。

水圧低下や流量不足

複数住戸でシャワーの勢いが弱くなるなど圧力低下が見られる場合、配管内径の錆づまりや劣化が進行している恐れがあります。

赤水の発生

蛇口から赤茶色の水が出る場合、金属管の内部腐食が末期的であるサインです。放置すれば給水障害の被害が拡大するため、早期に全体更新を検討すべきです。

過去の修繕履歴

パッキン交換や漏水補修など配管関連の修繕履歴が頻発している場合、延命措置の限界が近いことを示します。点検報告や内視鏡調査等で配管内の状況を把握し、壊れる前に更新する計画を立てることが肝心です。

一般にマンション給水管は築30年前後で劣化が進み始めると言われます。上記のような兆候がなくても、築後25~30年を迎えた時点で専門業者による劣化診断を実施し、必要に応じて更新工事を計画しましょう。早めの予防的な更新は、緊急の漏水対応に比べて結果的にコストを抑えることにもつながります。

給水管の更新工法と費用相場

給水管更新の方法には、大きく分けて配管の全交換(更新工事)と、既存配管を活かす更生工法(ライニング工事)があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、建物の状況に応じた選択が必要です。

更新工事(全交換)

劣化した既設管を撤去し新しい配管に取り替える方法です。壁や床を開口して配管を入れ替えるため工事規模は大きく、費用も高額になりますが、長期的な信頼性を確保できる方法です。複数箇所で漏水が発生するような老朽配管では、全交換が無難でしょう。

更生工法(ライニング)

既存の古い配管を残しつつ、その内部を洗浄して樹脂ライニング(内面被膜)を施す工法です。壁や床を大きく壊さずに済むため工期が短縮でき、費用も抑えられる利点があります。ただし配管内径が狭くなる、継手部や分岐部分の処理が難しいなどの制約があり、漏水が発生している場合や劣化が激しい場合には適用できないこともあります。また、更生後の耐用年数は新規交換より短く、再度の更新が必要になる点にも留意が必要です。

費用相場について、マンション全体の給水管を交換する場合は規模によりますが数百万円~数千万円単位の工事になります。概算では共用部のみ更新で1戸あたり約30万円~、専有部(室内配管)まで含める場合は内装復旧費も加わり1戸あたり100万円超になるケースもあります。更生工法は工事範囲や手法によって異なりますが、全交換より工期短縮とコスト抑制が期待できます。ただし前述のような技術的制約もあるため、長期的な維持管理コストも含めて慎重に検討しましょう。

まとめ

ポリエチレン管をはじめとする樹脂配管の登場により、マンション給水管の耐用年数は大きく伸び、更新サイクルも長期化しています。一方で、古い鋼管系配管が残るマンションでは経年劣化による漏水や赤水のリスクが高まっており、早めの更新計画策定が求められます。管理組合は各素材の特徴と寿命、そして法定耐用年数との違いを正しく理解し、長期修繕計画の中で給水管更新を戦略的に位置付ける必要があります。

現在は高性能なポリエチレン管による更新工事で50年以上の耐久性が期待でき、工法選択や費用面でも様々な情報が整っています。本記事の内容を参考に、自身のマンションに最適な給水管更新のタイミングと方法を見極め、将来にわたって安心・安全な水環境を維持できるよう備えてください。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

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