老後も安心して暮らし続けるために:マンション管理費と修繕積立金の現実と備え
更新日:2026年01月22日(木)
マンションで快適な老後を迎えるには、住宅ローン完済後も毎月支払い続ける「管理費」と「修繕積立金」の負担を軽視できません。 この記事では、管理費と修繕積立金の違いや平均的な月額負担を解説し、近年の高経年化や物価高騰による将来的な負担増の傾向、修繕積立金不足に伴うリスクについて述べます。 また、老後に備えて今からできる資金計画のポイントについても紹介します。長年住み続けたいマンションだからこそ、正しい知識と備えで安心の老後を迎えましょう。
- 本記事のポイント
- 管理費と修繕積立金の役割や平均負担額、違いを理解できる。
- 将来の負担増の背景や修繕積立金不足が招くリスクを把握できる。
- 老後まで安心して住み続けるための資金計画や負担軽減の工夫が学べる。
管理費と修繕積立金の違いと平均負担
管理費とはマンションの共用部分を日常的に維持管理するための費用です。具体的には、清掃費や管理人の人件費、エレベーター等設備の定期点検費用、共用部の光熱費や保険料など、日々の暮らしを支えるための経費に充てられます。
一方、修繕積立金とは将来の大規模修繕工事などに備えて毎月積み立てるお金です。外壁の塗装や屋上防水工事、給排水管やエレベーターなど設備の更新といった劣化した共用部分の修繕費用に充当され、長期修繕計画に基づき必要金額が算出されます。
マンション購入時には賃貸暮らしにはなかったこれらのコストが発生するため、戸建てと比べ「一生支払い続ける管理費・修繕積立金」はデメリットに感じられるかもしれません。しかしマンションを適切に維持し資産価値を守るためには不可欠な費用です。
それでは、どの程度の金額を毎月支払うのが一般的なのでしょうか。国土交通省の「マンション総合調査」によれば、管理費の全国平均額は月額約11,500円程度です。また修繕積立金の全国平均額は月額約13,000円で、両者を合わせた平均月額は約24,503円にも上ります。
月々2万5千円前後ものコストがかかる計算であり、家計に占める割合も小さくありません。実際、管理費・修繕積立金を考慮せずに住宅購入の資金計画を立ててしまうのは「非常に危険」と言われています。老後に年金収入だけで暮らす場合など、この負担が重荷とならないよう、若いうちからしっかり把握しておくことが大切です。
将来増える可能性が高い管理費・修繕積立金の負担
現在支払っている管理費・修繕積立金も、将来的には値上げされる可能性がある点に注意が必要です。その大きな要因の一つがマンションの高経年化です。築年数の経過とともに建物や設備の老朽化は避けられず、古いマンションほど修繕箇所が増えメンテナンス周期も短くなるため、必要な修繕費用がかさみがちです。
実際に、築40年以上のマンション数は今後急増する見通しで、古いマンションほど修繕積立金の月額相場が高くなる傾向も指摘されています。マンションが高経年化社会に突入する中、将来の維持管理コストが増大することは想定しておかなければなりません。
さらに近年は建設資材や人件費の物価高騰も深刻で、これが修繕費用を押し上げています。例えば2020年代に入り、エネルギー価格高騰やウッドショックによって建築資材価格指数が急上昇し、従来の長期修繕計画の前提を崩す事態も起きています。
国土交通省の調査でも「インフレの進行により当初想定より費用が膨らんだ結果、修繕積立金が不足しているマンションが全体の約37%にのぼる」というデータが報告されています。つまり、約4割近いマンションで長期修繕計画通りの積立額では足りなくなっているのが現状なのです。このように物価上昇や建築コスト増により、今後は管理費や修繕積立金の値上げが避けられないケースが増える傾向にあります。
修繕積立金不足が招くリスク:追徴金や借入も
では、修繕積立金が不足すると具体的にどのような問題が生じるのでしょうか。まず考えられるのが、大規模修繕工事の直前に一時金(追徴金)の徴収が発生するケースです。実際、築年数が進んだマンションでは「積立金だけでは次回工事費用を賄えない」という事例が増えており、多くの管理組合で追加徴収が検討されています。緊急性の高い修繕(雨漏り等)は延期できないため、積立金が足りない場合は各住戸から一時金を徴収したり、場合によっては金融機関から借入を行って工事費用を捻出することになります。一時金の負担額は1戸あたり数十万円~100万円規模になることもあり、まさに老後の住民には大きな痛手です。また、借入をすれば返済の原資は結局また修繕積立金から捻出しなければならず、長期的には住民の月々負担が増加する結果になります。このような追徴金や借入金は、管理組合の総会決議が必要とはいえ、いざ不足が判明してからでは住民の合意形成も難しくトラブルの原因にもなりかねません。
実際に「修繕積立金の不足で管理組合が破綻寸前になった」といった報道も散見されるようになりました。こうした事態に陥らないためには、早め早めの積立金見直しが重要です。国土交通省のガイドラインでも、長期修繕計画は5年ごと程度に見直すことが推奨されています。老朽化や物価高騰による想定外のコスト増を踏まえ、計画の修正や積立金の増額を先送りせず実行していくことが、将来の急な負担増を避ける唯一の道と言えるでしょう。
老後の生活設計で管理費・修繕積立金に備える重要性
以上のように、マンションに住み続ける限り管理費・修繕積立金の支払いは一生付きまといます。特に老後は収入が限られる中で、この固定費が重荷とならないよう生活設計に織り込んでおくことが肝心です。例えば、定年後の年金生活で毎月2~3万円の管理費等を捻出するのは思った以上に大変です。そこで、現役時代から毎月の支出シミュレーションを行い、将来も無理なく払い続けられるか確認しましょう。現在の支払額だけでなく、前述の通り将来的な値上がりも見込んで余裕をもった資金計画を立てることがポイントです。「今は月2万円だから大丈夫」ではなく、将来月3万円以上に上がっても耐えられるかを検討しておく必要があります。実際に中古マンション購入時には、将来の修繕積立金増額計画まで把握しておかないと「数年後に積立金が倍増し生活を圧迫した」という失敗例もあります。老後資金の見積もりには、住宅ローン返済だけでなく管理費・修繕積立金の継続支払いを確実に組み込み、必要に応じて退職金や年金収入の配分を調整しましょう。
また、マンションを売却せず住み続ける場合、管理費等を滞納しないことが何より重要です。管理費や修繕積立金の滞納は、マンション全体の維持管理に悪影響を及ぼし、自身の居住環境や資産価値にも跳ね返ってきます。滞納が重なれば最悪の場合、競売にかけられるリスクもあります。そうした事態を避けるためにも、余裕ある備えと早めの対策が老後のマンション生活には求められます。
工事内容の見直しによる管理費・修繕積立金の負担軽減策
管理費・修繕積立金の将来負担を抑えるためには、管理組合の取り組み次第でコスト削減の余地を見出すことも可能です。
工事内容や仕様の見直しによるコストダウンや現在の長期修繕計画に含まれる工事項目を精査し、優先度の低い工事を次回以降に先送りしたり、過剰に高品質な仕様を標準仕様に変更するなどして費用削減を図ります。
例えば「今回は外壁塗装だけに留め、老朽化が軽微な配管の全面更新は次回に延ばす」「高額な特殊塗料ではなく一般的な塗料を使う」といった工夫です。ただし闇雲に必要な修繕まで削減すると建物の劣化を早め逆効果になるため、専門家の助言を踏まえて品質とコストのバランスを取りながら最小限のコストダウンを図ることが重要です。
このように大規模修繕工事などの適正価格化・費用圧縮が実現すれば、長期修繕計画の見直しにおいて将来必要となる修繕積立金の総額を抑制できる可能性があります。同じ工事内容でも従来より安く発注できれば区分所有者一人ひとりの負担軽減につながります。インフレや予期せぬ工事増による計画狂いを最小化するためにも、積立計画の再設計が重要です。
もちろん、コスト削減といってもマンションの安全性や快適性を損なっては本末転倒です。重要なのは、必要な修繕はきちんと実施しつつ無駄な出費を省く「賢い管理」を心がけることです。管理組合が主体的に勉強し、信頼できる専門サービスを上手に活用すれば、老後に至るまで長く安心して住み続けられるマンションを維持できるでしょう。
まとめ
マンションの管理費と修繕積立金は、老後も住み続ける上で避けて通れない重要なランニングコストです。管理費は日常の快適な暮らしを支え、修繕積立金は将来の大規模修繕に備え、建物の寿命と資産価値を維持するための「備え」といえます。これらは毎月継続的に発生する固定費であり、年金生活に移行した後は、家計に与える影響を無視できない存在となります。
さらに、建物の高経年化や近年の資材価格・人件費の上昇などを背景に、今後、管理費や修繕積立金が見直され、増額される可能性も指摘されています。実際に、将来の修繕費用に対して積立金が十分とはいえないマンションが一定数存在することも、各種調査や実務の現場で明らかになっています。こうしたリスクに備えるためには、老後の生活設計の中に管理費・修繕積立金を織り込み、将来的な負担増の可能性も踏まえた資金計画を立てておくことが重要です。
万一、修繕積立金が不足すれば、一時金の徴収や借入金の返済といった形で、区分所有者に想定以上の負担が生じることがあります。そうした事態を避けるためにも、現役世代のうちから管理組合と区分所有者が協力し、計画的な維持管理に取り組むことが欠かせません。具体的には、5年程度を目安とした長期修繕計画の定期的な見直しや、段階的な積立金の調整に関する合意形成を進めるとともに、修繕工事の内容や仕様を適正化し、将来の費用負担を抑える工夫が求められます。
老後にマンションで安心して暮らし続けるためには、「知らなかった」「想定外だった」では済まされない現実があります。本記事で述べた現状と対策を参考に、ぜひ早い段階から備えを始めてください。適切な資金計画と賢いマンション管理によって、大切な住まいを生涯にわたり守っていくことが可能になります。
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本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
本記事の監修者
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遠藤 七保
大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。
二級建築士,管理業務主任者
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