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分譲マンションのエレベーター交換費用と日数|業者を選ぶ時の注意点を解説

更新日:2025年03月05日(水)

分譲マンションは年々大規模化・高層化が進み、エレベーターの工事も大がかりなものが増えています。点検や補修ではなく、交換工事となると高額・長期間の施工となり、居住者の負担も大きくなりがちです。スムーズに進め、費用もなるべく抑えたいものです。 本記事では、分譲マンションのエレベーター交換に要する費用や日数、業者を選ぶ時の注意点を解説します。これらの情報が少しでも皆様のお役に立つと幸いです。

本記事のポイント
  • 分譲マンションのエレベーターの耐用年数と交換の必要なサインがわかる。
  • 交換工事の種類(全撤去新設・準撤去リニューアル・制御リニューアル)と費用相場が明確になる。
  • 交換工事のコストを抑える方法と業者選びのポイントが学べる。

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分譲マンションのエレベーターの耐用年数と交換を要する時期は?

分譲マンションのエレベーターにおける法定耐用年数(減価償却期間の目安)は17年、メーカーの計画耐用年数は20年弱とされているのが一般的です。しかし、現実的な耐用年数はそれよりやや長めの25~30年です。

分譲マンションのエレベーターの交換工事のサインは?

計画耐用年数としての目安のほか、以下のサインに応じて、交換工事を行ないます。

耐用年数を迎えた

分譲マンションのエレベーターの改修工事をするタイミングとしては、25~30年の耐用年数が目安となりますが、マンション大規模修繕は約12年ごとに行うことが多いため、2回目にあたる24~26年目などにエレベーター交換工事を計画するケースもあります。

不具合の発生頻度が増えた

分譲マンションのエレベーターに以下の症状が出てきた場合は、修繕の際に本腰を入れた対応が必要なサインといわれています。

  • 老朽化や過負荷、外的要因などが原因での修繕が必要になった
  • 扉が開かない、異音や異臭、振動がするなど
  • 停止故障が多発
  • インバーターユニットが故障した(保守会社から高額な見積が出た)
  • エレベーターの乗り場とカゴの停止位置に段差が生じる


上記のような状態での運転を続けることは事故のリスクを伴うため、まずは専門業者のチェックが必要です。

現在使用しているパーツの生産が終了したタイミング

分譲マンションでエレベーターを新設してから25~30年が経過すると、現行のエレベーター会社から部品の供給停止の通知が届きます。部品の在庫がなくなった場合、耐用年数内でも「故障時の修理の目途が立たない」状況となる可能性があるため、交換工事を計画しなければならないこともあるでしょう。

分譲マンションのエレベーターの交換工事とは?


分譲マンションのエレベーターの交換工事は、大きく以下3方式に分けられます。

1.全撤去新設リニューアル

2.準撤去新設リニューアル

3.制御リニューアル

最も一般的なのはコストパフォーマンスに優れる「3.制御リニューアル」です。

分譲マンションのエレベーターの改修工事費用はどれくらい?【全撤去新設、準撤去、制御】

全撤去新設工事の費用

分譲マンションのエレベーター交換工事=全撤去新設工事の費用相場は1基あたりで1,200~2,000万円を要します。(費用は建物の階数やエレベーターの台数など、工事規模によっても左右されます)

文字通りのフルリニューアルで、エレベーターを新品にする工事に相当するため、3種の工事の中ではもっとも費用がかかるデメリットはありますが、耐用年数は新築時と同様に長く取れることになります。

また、全撤去新設の場合は確認申請が必要となるため、災害対応・耐震基準などで「既存不適格」への対応も行えることになります。既存不適格とは、耐震基準が現行法規に適合していない状態を指します。

不適格となっても問題なく使用を継続できますが、最新の耐震性能・機能が利用できることはメリットでしょう。

以下は定期検査の際にチェックされる既存不適格項目の例です。このようにエレベーターの防災性能は、年を追うごとに高められています。

既存不適格の検査項目の例

施行年月日

検査事項

1998年

・駆動装置の耐震対策(機械室機器の転倒、移動防止対策)
・ 昇降路内の耐震対策(かご・釣合おもりの脱レール防止等)
・ピット内の耐震対策(かご下綱車、釣合ロープ、調速機ロープの外れ止め等) 

2009年

・ロープガード等の状況
・戸開走行保護装置の取付け及び作動状況
・地震時等管制運転装置の取付け及び作動状況
・予備電源の状況(非常用エレベーターは予備電源の制御の有無)
・戸の反転作動の状況
・照明装置の設置、作動及び照度の状況(乗用は床面で50ルクスの照度)
・救出口のロック装置の取付け 、スイッチ取付け
・施錠装置ロック機構 (係合部分の寸法7㎜以上)
・スイッチの作動の状況(煙感知器の点検口)
・ロープガード等の状況、ガイドレールとのかかりの状況
・突出物の状況


このほか、現状では既存不適格になりませんが、以下の基準も設けられました(基本的にメーカー系のみ施工可能)

2014年

・地震その他の震動によってエレベーターが脱落しない構造方法
・地震その他の震動に対する構造耐力上の安全性の構造計算の基準
・地震その他の振動によって釣合おもりが脱落しない構造方法

準撤去リニューアル工事の費用

エレベーターの新設からの年数によっては、準撤去のリニューアル工事を行います。各階に設置されているエレベーターの三方枠や敷居などは既設のものを利用し、ロープ・制御盤・巻き上げ機などを取り替える工事です。約1,200〜1,700万円が相場となっています。

制御リニューアル工事の費用 

制御リニューアルは、インバーター制御や操作基盤、配線などの入れ替えを行う工事です。費用は1基あたりで500~700万円が相場となります。最近は部材の高騰などにより、徐々に金額が上がってきているので、専門家へ問い合わせをお勧めします。

昇降速度105m/秒以上となる高速エレベーターなどの特殊なケースは、より高額となります。

分譲マンション・エレベーター定期保守の種類

分譲マンションのエレベーター交換や修繕工事は、日常のメンテナンス契約とセットで進めるのが、通常の管理方法です。

分譲マンションのメンテナンス契約には大別してフルメンテナンス契約とPOG契約の2種類があり、どちらの契約を結ぶかによって、メンテナンス工事の際の規模や費用が変わることもあります。

フルメンテナンス契約

フルメンテナンス契約は、点検や修理、調整、部品取り替えなどをフルに対応してもらう契約です。小額の消耗部品から高額の部品まで、フルカバーで対応が依頼できますが、費用は高額となります。

POG契約

POGは「パーツ・オイル・グリース」の略で、オイルや電球、ヒューズ、リード線など、保守に必要な消耗品の交換をしてもらう契約です。

フルメンテナンス契約よりも費用を抑えられるかわりに、故障や劣化した部品の交換は含まれていないため、トラブルの都度、追加の費用が必要となります。

分譲マンションのエレベーター交換工事に必要な工程と日数は?

分譲マンションのエレベーター交換工事の場合、一般的に、施工期間の目安は1週間から1ヶ月程度です。問題となるのは、部材の納期に日数がかかることで、メーカーから納期を「1~2年」とされるケースもあります。

制御リニューアルで、独立系のエレベーター修繕事業者の場合でも契約後「6~10ヶ月程度」での納品・最長2週間弱の完工となるケースが多いようです。

工事種別

日数の目安

全撤去リニューアル

新しいエレベーターの製作期間:約50日〜120日
工事期間:約45日〜90日

準撤去リニューアル

新しいエレベーターの製作期間:約50日〜120日
工事期間:約40日〜60日

制御リニューアル

納期:6~10ヶ月程度
工事期間:約3日〜12日程度


分譲マンションのエレベーター交換工事は、居住者の生活の利便性を大きく左右します。とくに高層マンションの場合、エレベーターがフル稼働できない期間はとても不便です。

工期や工事日程、施工期間中の利用可能状況の共有は非常に重要であるほか、利用の多い時間帯は可能な限り運転を止めないための工夫が必要になります。

分譲マンション・エレベーター交換工事の依頼先の種類は?

分譲マンションのエレベーター交換工事の依頼先は、エレベーターの製造メーカーのほか、独立系の事業者に依頼することができます。

メーカー系の事業者

メーカー系の事業者は自社製品なのでノウハウが豊富で安心といえます。反面大手メーカーに依頼することで費用が高額になりがちで、依頼ルートによっては施工コストについてのチェックが働かない点も懸念されます。

独立系の事業者

独立系の事業者は各社が対応可能機種を増やし、市場シェアも年々増加しています。工事費用、メンテナンス費用ともに、独立系事業者のほうがコストパフォーマンスが良く、複数メーカーの工事を手がけているため、独自のノウハウを積んでいることもあります。

ただし、部品交換などの小規模改修は、トラブルの際の責任の所在をはっきりするために、これまで依頼してきたメンテナンス事業者での実施がおすすめです。

分譲マンションのエレベーター交換工事費を抑える方法と業者を選ぶ時の注意点

適切な修繕計画と事業者選び

分譲マンションのエレベーター交換工事では、相見積もりを依頼した場合でも、同様の施工内容に対して、工事費用に大きく開きが出る場合があります。

適正でない見積もり内容や中間マージン、キックバックがその要因となっています。事業者選びのプロセスが、工事費用に影響を与えるのです。

管理会社や分譲マンションの大規模修繕コンサルタント、施工会社の提案のままでなく、第三者の専門家のサポートを受け、相見積もりを取得して検討しましょう。独立系事業者のほうが費用が安く済む傾向にあるのは、前述の通りです。

また、以下でご紹介するように補助金の利用も積極的に確認し、コスト削減につなげましょう。

各地域ごとの補助金を申請する

分譲マンションのエレベーター交換工事の際に、政府と自治体が事業者となり、補助金が支給されます。防災対策の一環などが目的ですが、以下のように取り決められています。

既設エレベーターの安全確保の促進(交付金・補助金)

事業対象

補助対象限度額

補助率

既設エレベーターについて行う、次に掲げる防災対策改修工事が対象

  1. 地震時管制運転装置の設置
  2. 主要機器の耐震補強措置 
  3. 戸開走行保護装置の設置
  4. 釣合おもりの脱落防止措置
  5. 主要な支持部分の耐震化

950万円/1基

国:11.5%

地方公共団体:11.5%

  1. リスタート運転機能の追加【令和4~5年度】
  2. 自動診断・仮復旧運転機能の追加【令和4~5年度】
  • 地方公共団体と協定を結んだ避難場所等となる建築物のみが対象となる
  • 事業終了後に補助を受け、実施した改修内容等を国に情報提供する

300万円/1基

国:11.5%

参考:国土交通省「エレベーターの防災対策改修事業」

分譲マンションのエレベーター交換工事の際、補助金申請の平均的な流れは、以下のようになります。

  1. 申請可能かの確認
  2. 必要書類の準備(交付申請書、事前協議書の写し、添付書類)・交付申請
  3. 交付決定通知の送付を受ける(審査に通った場合)
  4. 工事請負契約の締結・リニューアル工事の実施 
  5. 工事の実績報告・補助金を請求
  6. 補助金が支給される

補助金の支給は、交換工事が完了して実績報告を行ってからです。施工事業者と工事請負契約をするのは、必ず交付決定通知後である点に注意しましょう。

国と自治体の共同事業ですが、申請の窓口は自治体となります。補助上限額は上記の表が基本ですが、自治体によって支給条件の詳細や支給額がやや異なります。現在事業中の助成金の事例をご覧ください。


分譲マンションのエレベーター交換工事に利用できる補助金の例(2025年2月現在)

地域・名称

概要

補助率

対象

大阪市エレベーター防災対策改修補助事業

大阪市内を限定とし、共同住宅に設置されているエレベーターの防災対策の工事にかかる費用の一部を補助する制度

補助事業の対象となる経費×23%


補助上限額は:1基につき218万5千円

エレベーターの防災対策改修を行う共同住宅の所有者または管理組合(市民税などを滞納している場合や反社会的勢力の関係者は除く)

東京都港区 エレベーター安全装置等設置助成

東京都港区内の建物に設置されているエレベーターに安全装置などを設置する修繕工事にかかる費用の一部を助成する制度


(安全装置=戸開走行保護装置、地震時等管制運転装置、耐震対策が含まれる)

  • 戸開走行保護装置:100%(最大300万円)
  • 地震時管制運転装置:2/3(上限額なし)
  • 耐震対策:2/3(上限額なし)

※最大助成額は、エレベーターリニューアル工事費総額の2/3

建築物の所有者や管理組合


  • 戸開走行保護装置を新たに設置する改修工事
  • 確認申請を伴うエレベーターの完全撤去リニューアル
  • 地震時等管制運転装置および耐震対策は、戸開走行保護装置を新たに設置する場合または既に設置済みの場合に対象

新宿区エレベーター防災対策改修支援事業

新宿区内の既設エレベーターを対象に、防災対策改修を行う所有者に対して工事費の一部を助成する制度

助成対象事業費×23%×2/3(千円未満切り捨て)

助成金額は、防災対策改修工事の区分ごとに算出した助成金の合計で計算

最大1,456,000円(区と協定を結ぶ帰宅困難者一時滞在施設で工事を行う場合は1,916,000円)

以下に該当する建物の全部、あるいは一部の所有者


対象者

要件

1.個人

申請者本人が区市町村民税の滞納がないこと。

2.法人

中小企業基本法に規定する中小企業者(ただし特定緊急輸送道路に接する建築物は、中小企業者以外も対象)

3.区分所有者

管理組合の総会決議によって選任された者または持分の合計が過半となる共有者の承諾を得た者

分譲マンションのエレベーター防災対策整備費補助金

浦安市内の分譲集合住宅に設置されているエレベーターの防災対策整備にかかる経費の一部を補助する制度

P波感知型地震時管制運転装置:エレベーター1基あたり50万円(工事に要した経費の1/3)


停電時自動着床装置:エレベーター1基あたり50万円(工事に要した経費の1/3)


非常用電源装置:1棟あたり100万円(工事に要した経費の1/3)

浦安市内の分譲集合住宅の管理組合および管理組合法人


なお、公的な補助金事業は実施年度によって内容や実施の有無などが変動しますので、必ず最新の情報を参照するようにしてください。

修繕費として節税する

分譲マンションのエレベーターの交換工事の費用が経費として計上できるケースがあります。

分譲マンションにおける管理組合の会計は営利目的ではないため、通常は確定申告の必要はありません。しかし、駐車スペースの転貸や、携帯電話基地局(アンテナ)設置で、電話会社から収入を得ているなど、管理組合独自の収入がある場合は、確定申告が必要になります。

そこでエレベーター交換工事の費用が事業に関連する場合、経費として計上することができます。

また、居住者が分譲マンションを事業の事務所用に使用している、あるいは区分所有者が賃貸している場合、修繕積立金やエレベーター交換工事のための一時金徴収は、入居者の経費としてみなされます。

まとめ

分譲マンションのエレベーター交換に要する費用や日数、業者を選ぶ時の注意点を解説しました。

高額な負担となる分譲マンションのエレベーター交換工事ですが、居住者の安全への配慮から、必要なタイミングでは欠かせないものです。

外壁塗装など、他の大規模修繕との兼ね合いを考えながら、無駄な費用を支払うことのない工事依頼ができるよう、第三者機関のサポートを得ながら、適切な金額と仕様の比較を行い、工事を成功させましょう。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

別所 毅謙

別所 毅謙

マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「NIKKEI NEWS NEXT」、「首都圏情報ネタドリ!(NHK)」、「めざまし8」、「スーパーJチャンネル」。

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