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大規模修繕におけるウッドデッキの補修・交換・注意点を徹底解説

更新日:2025年07月30日(水)

本記事では、ウッドデッキの劣化症状やリスク、補修か交換かの判断ポイント、素材選びの比較、大規模修繕時に検討すべき事項、費用相場、業者選びのポイントなどを解説します。マンション管理組合の皆様が安全で魅力的なウッドデッキ空間を維持できるよう、専門的な視点から分かりやすくご案内します。

ウッドデッキの劣化症状と放置リスク(腐食・ささくれ・滑り・劣化)

ウッドデッキが劣化すると、見た目だけでなく安全面にも重大なリスクをもたらします。木材の腐食や表面のささくれ・ひび割れ、さらには苔やカビの発生による滑りやすさの増加などの症状が現れ、これらを放置すると事故につながる恐れがあります。

ウッドデッキは紫外線・雨風・湿気などにさらされ続けることで徐々に劣化し、まず塗装の剥がれや色あせといった表面劣化が起こります。次第に板の反りや割れ、ささくれ(棘状の木片)が生じ、人が踏んだ際に怪我をする危険性が高まります。また湿気を含んだ木材内部では腐朽菌が繁殖して内部から腐食が進み、構造の強度低下を招きます。雨に濡れて乾燥を繰り返した板表面に苔やカビが生えると滑りやすくなり、特に高齢者や子どもにとって転倒リスクが大きくなります。

こうした劣化を放置すると、ウッドデッキの強度が著しく低下し、通常の使用でもデッキ全体が崩壊する危険性があります。実際、木材の腐敗が進行すると釘やネジの保持力も失われ、これらが飛び出して怪我の原因になることも指摘されています。さらに腐ったウッドデッキはシロアリなど害虫の温床となり、最悪の場合は住宅本体にまで被害が及ぶ可能性があります。劣化を放置することは見た目の問題に留まらず、構造的・衛生的にも大きなリスクとなるのです。

補修と交換の判断基準(部分補修・全面張替え・素材変更)

ウッドデッキを部分補修で対応すべきか、全面張替え(交換)すべきかの判断は、劣化の程度と木材の状態を的確に見極めて行います。ポイントは「劣化が表面だけか、木材の芯まで及んでいるか」という点です。また、現在使っている素材の特性や問題点も考慮し、必要に応じて素材変更(より耐久性の高い材料への交換)も検討します。

木部に劣化や腐食が見られる場合、まず再生できるか否かを判断する必要があります。表面的な劣化に留まっているなら補修で延命可能ですが、内部構造にまで腐朽が進んでいるなら補修しても強度が保てず、安全面から交換が基本となります。例えば、塗装の剥がれや軽度のささくれ程度で芯がしっかりしている場合は、洗浄と再塗装、防腐剤塗布や補修パテ埋めなどの部分補修で対応できる可能性が高いです。一方、指でデッキ板を強く押してみてフワッと沈む・ブヨブヨするようなら木材内部まで腐ってスポンジ状になっているサインで、この場合は全面的な交換を検討すべきです。見た目をごまかす応急処置では再発リスクが高く、何より強度不足で危険です。

部分補修で済むケースとしては、腐食が限定的な場合が挙げられます。例えばビス周りの一部板材だけ腐っていたり、表面の塗膜劣化が中心であれば、腐った板だけ新しい板に交換して全体を再塗装するといった方法で十分対応できます。実際、耐久性の高いハードウッド(セランガンバツ材)のウッドデッキを備えたマンションでは、大規模修繕時に腐食・破損している板のみ取り替え、全面を再塗装して再利用する補修が行われました。デッキ材自体の状態が良好で下地もしっかりしていれば、このように部分補修でコストを抑えつつ安全性を確保できます。

逆に、全面張替え(交換)が適切なケースは、広範囲に劣化が進んでいる場合です。例えば束柱や根太など構造部分が腐っている、複数の板が大きく反り返って浮いている、手すりや柵の基部が腐食してグラついている等、デッキ全体の寿命が近い状態では、安全第一で新しいデッキへの交換を検討します。交換にあたっては、単に同じ材料に張り替えるだけでなく、次回の修繕周期まで長持ちするよう素材自体を変更する選択肢も有効です。例えば、防腐処理されたソフトウッドから樹脂製の人工木デッキに変更したり、金具類をステンレス製に変えて耐候性(耐錆性)を高めるといった工夫です。

大規模修繕を機にウッドデッキの素材を変更した事例があります。あるマンションでは、経年劣化で腐食が目立ち始めたバルコニーのウッドデッキを樹脂製ウッドデッキ(人工木)に交換しました。人工木材デッキは湿気による腐食やシロアリ被害、色あせ・変形の心配がなく、汚れも水洗いで簡単に落とせるためメンテナンス負担が大きく軽減されます。天然木特有のトゲやささくれも発生しない安全な素材で、万一表面に傷が付いてもサンドペーパーで補修できる扱いやすさも備えています。耐久性の高い人工木デッキに交換したことで、今後のメンテナンスが格段に楽になり、安心して長く使えるようになったといいます。

使用素材の比較(天然木、人工木、再生樹脂、アルミ樹脂複合など)

ウッドデッキに使用される素材には、大きく天然木(自然木材)と人工木(樹脂木、再生木材など)の系統があり、それぞれ耐久年数やメンテナンス性が異なります。素材選びはウッドデッキの寿命や維持費に直結するため、各素材の特徴を理解して比較検討することが大切です。

天然木(木材)デッキ: 自然の風合いや肌触りが魅力の天然木ですが、素材の種類によって耐久性は様々です。ソフトウッド系(杉・松など比較的柔らかい木)は防腐処理等を施しても寿命が5~15年程度といわれ、定期的な塗装や防腐剤塗布などのメンテナンスが欠かせません。一方、ウリンやイペ、セランガンバツといったハードウッド系は非常に硬く腐りにくいため、15~30年程度もつ例もあります。ただしハードウッドでも経年で表面の色あせ(シルバーグレー化)や細かなひび割れは発生しますし、全くメンテナンス不要というわけではありません。天然木全般に言えるのは、日頃のお手入れ(年1回程度の再塗装や洗浄)を行うかどうかで寿命や美観が大きく左右されるという点です。

人工木(樹脂木)デッキ: 人工木材は木粉にプラスチック樹脂を混ぜて成型したもので、見た目は木質に近いですが腐朽しにくくメンテナンスが容易なのが最大の利点です。一般に人工木デッキの耐用年数は20年以上とされており、天然木のように定期的な塗り直しが不要で、湿気やシロアリによる腐食被害の心配もほとんどありません。人工木は表面にささくれやトゲが発生しないため裸足でも安全で、汚れても水洗いすれば綺麗になるなど日常のお手入れが格段に楽になります。ただし真夏の直射日光下では表面温度が高くなりやすい点や、製品によっては天然木に比べて重量がある点などは留意が必要です。総じて、耐久性・安全性・メンテナンス性の面で人工木デッキは天然木を上回る選択肢と言えます。

再生樹脂・複合素材デッキ: 近年では、環境に配慮した再生木材(リサイクル樹脂)や、アルミ材と樹脂木材を組み合わせたアルミ樹脂複合デッキなど、新素材のデッキも登場しています。例えば、再生木(リサイクル材)と内部アルミ芯材の複合デッキ材は、高い構造強度とデザイン性を両立しつつ、表面は天然木のような質感を持ちながらささくれや変色が起こりにくく定期塗装も不要という優れた特性を実現しています。実際、フェンス材の事例ですが「表面に再生木(プラスチック再生木材)を使用し内部にアルミを組み合わせることで、高強度・高意匠性を両立」し、「表面はささくれや色あせが少なく塗り直し不要、内部のアルミが構造を支える」製品も存在します。アルミを組み込んだデッキは構造的な安定性が極めて高く、樹脂部分が木質の見た目を担うため、耐久性と景観の両面で優れた選択肢となり得ます。ただしアルミ複合材は初期コストが高価になりやすい点や、表面の木質プリント層に傷が付くと補修が難しいといったデメリットも指摘されています。素材ごとのメリット・デメリットを理解し、自団地の用途や予算、求める景観に合ったものを選ぶと良いでしょう。

大規模修繕時に検討すべきポイント(安全性、バリアフリー、景観、防滑性)

マンションの大規模修繕でウッドデッキを改修する際は、単なる修復にとどまらず安全性やバリアフリーへの配慮、マンション全体の景観向上、そして防滑性(滑りにくさ)の確保といった視点で検討を行うことが重要です。大規模修繕はウッドデッキの課題を改善するチャンスでもあるため、以下のポイントをチェックしましょう。

安全性

ウッドデッキ自体の構造強度を高め、安心して利用できるようにします。腐食している箇所の補強・交換はもちろん、手すりや下地のぐらつきがないか点検し、必要に応じて補修します。また、非常時の避難経路を確保する観点も重要です。特にマンションのバルコニーは災害時の避難路となるため、ウッドデッキは簡単に取り外せる構造にしておくことが望ましいです。管理規約でも大規模修繕時にはバルコニーの私物(デッキやプランター等)を撤去するよう定めている場合が多く、実際に大規模修繕工事では事前に各戸でウッドデッキを取り外す対応がとられます。取り外し・再設置がしやすいデッキパネルの採用や、非常梯子の蓋を塞がない配置にするなど、安全面への配慮をしましょう。

バリアフリー

ウッドデッキに段差がある場合、可能な限り解消し、高齢者や車椅子利用者にも優しい造りを検討します。具体的には、室内床との段差をなくす(もしくは極小化する)フラットなデッキ設計や、必要に応じてスロープを設置する方法があります。築年数が経ったマンションでは、住民の高齢化に伴い3回目の大規模修繕(築35~45年)あたりで段差解消や通路幅拡張などバリアフリー工事を行うケースが多くなっています。デッキについても、手摺りまわりに補助手摺を追加したり、躓きやすい段差部分にマーキングを施すなど、細かな配慮で安全性を高めることが可能です。

景観

ウッドデッキの見た目がマンション全体の景観と調和するよう配慮します。共用部にウッドデッキを新設・更新する場合、その色調やデザインが建物の外観コンセプトと統一感を持つよう検討しましょう。デッキ材の色を外壁や手摺のカラーと合わせる、またはコントラストをつけて高級感を演出するといった工夫でマンションの付加価値を高めることができます。築30~40年のマンションでは、大規模修繕に合わせてエントランスや共用部分のリニューアルを行い、時代に合わせた機能向上や景観の刷新によって新たな入居者にアピールする試みも増えています。ウッドデッキについても、防滑シートの模様やデッキパターンを工夫して意匠性を高めるなど、単なる修繕に留まらない景観向上策を検討すると良いでしょう。

防滑性

雨天時や結露でウッドデッキが濡れた際に滑りにくいよう対策することも重要です。特に共用廊下や屋上テラスなど、多くの人が歩く可能性のあるデッキでは防滑性の確保が安全管理上欠かせません。対策としては、表面に滑り止め加工(ザラザラしたエンボス加工など)が施されたデッキ材を採用する、または後施工で防滑シートや防滑塗料を貼る方法があります。下地防水と組み合わせて防滑性を高める工夫も有効です。日陰になりやすく苔の発生しやすい場所では、定期清掃に加えて防滑マットの敷設を検討するなど、滑らないデッキづくりを意識しましょう。

ウッドデッキの修繕費用相場と見積もりの見方

ウッドデッキ修繕にかかる費用は、工事の内容や範囲、採用する素材によって幅があります。部分補修と全面交換では桁違いに予算が異なるため、相場を把握した上で複数の業者から見積もりを取り、内訳をしっかり確認することが大切です。

費用相場

一般的な目安として、部分的な補修(塗装の塗り直し、一部腐食板の交換など)であれば数万円~十数万円程度で収まるケースが多いとされています。例えば束柱1本の交換やデッキ板2~3枚の張替え、表面再塗装のみ、といった軽微な工事なら5~15万円前後が一つの目安です。これに対し、全面張替えや大規模な改修工事となると、使用する材料やデッキの広さにもよりますが数十万円単位の費用を見込んでおく必要があります。実際の相場では、全面交換の場合おおむね30万~100万円程度の範囲に収まることが多いです。高級なハードウッド材を使う場合や、下地から作り直す場合はこの範囲を超えることもあります。逆に、人工木材への変更で将来の塗装費用が不要になるなど長期的なコストメリットが見込める場合、多少初期費用が高くても結果的に経済的ということもあります。

見積もりの見方

修繕工事の見積もりを取得したら、何にいくらかかるかが明細でしっかり記載されているかを確認しましょう。優良な業者であれば、見積書に材料費・施工費・古いデッキの撤去処分費・下地防水補修費などが細かく項目立てられており、内容が明瞭です。例えば「ウッドデッキ張替え一式 ○○万円」など大雑把な表記しかない場合、詳細が不明瞭で後から追加費用を請求されるリスクもあります。見積書に「一式」が多い業者は避けるべきで、注意が必要です。複数社から相見積もりを取り、仕様と金額を比較検討することで適正価格を把握できます。

また、見積もり比較の際には保証内容も確認しましょう。同じ工事内容でも、アフターサービスや保証期間が長い業者は、その分手厚い施工をしている可能性があります。初期費用だけでなく、長い目で見たメンテナンス費用も含めて判断することが重要です。管理組合としては、長期修繕計画に沿ってウッドデッキの将来的な更新費用を見積もっておき、積立金に反映させておくことも大切です。

信頼できる業者選びのポイント(施工実績、耐候性評価、素材知識)

ウッドデッキの改修工事を任せる業者は、実績と専門性、そして提案内容の信頼性で選びましょう。具体的には「ウッドデッキ施工の豊富な経験があるか」「耐久性(耐候性)に配慮した施工をしてくれるか」「素材について長所も短所も熟知し適切に説明できるか」といった点がポイントです。

施工実績

ウッドデッキ工事の十分な実績がある業者を選定してください。過去にマンションのウッドデッキ改修を手掛けた経験が豊富な会社であれば、マンション特有の制約(共用部の扱い、防水との取り合い、足場の活用等)にも精通しています。施工事例の写真や顧客の声を積極的に公開している会社は実績と透明性の両面で信頼がおけます。

耐久性・耐候性へのこだわり

ウッドデッキは長期間屋外で使われるものですから、どのくらい長持ちするかにコミットしてくれる業者が望ましいです。一つの目安は、施工後の保証期間です。例えば10年以上の保証をつけている業者であれば、使用する木材や金物の選定、設計、施工に至るまで高い耐久性を確保する自信と体制があると判断できます。実際、ウッドデッキの耐久性は材料だけでなく構造設計や施工精度にも左右されます。長期保証を掲げる会社はこれら全ての要素で耐候性を考慮している証拠と言えます。保証書を発行してくれるか、過去の不具合事例にも真摯に対応した実績があるかなどもチェックポイントです。

素材知識と提案力

業者が扱うウッドデッキ素材について、メリットだけでなくデメリットもしっかり説明してくれるかを確認しましょう。自社で使用する木材の欠点についても隠さず説明できる業者は、豊富な専門知識と誠実さを持っていると考えられます。例えば「この人工木材は熱を持ちやすい」「この天然木は定期メンテナンスが必要」等、マイナス面も伝えてくれる担当者は信用に値します。また、経年変化の様子を確認できる展示場を持っている業者だと尚安心です。施工直後の美しさだけでなく、5年後10年後にどうなるかを見据えた提案をしてもらえるかが重要です。複数の素材の中からマンションに適したものを比較提案してくれるような業者ですと、管理組合としても検討材料が増え納得の判断がしやすくなるでしょう。

専門性と施工体制

ウッドデッキ工事を専門または得意分野とする業者に依頼することもポイントです。社内にウッドデッキ専門の職人チームがいるか、または熟練した外構大工が担当するかで、施工の精度や仕上がりに差が出ます。何でも屋的に「ウッドデッキもできます」と受注して、実際の工事は下請け任せだったり専門知識が不足しているケースも少なくありません。選ぶべきは、社内に明確な施工標準(マニュアル)と経験豊富な専門スタッフがいて、一貫した品質で施工してくれる業者です。見積もり時の打ち合わせで、細かな点までこちらの要望を聞き取り、プロの視点でアドバイスしてくれるかどうかも判断材料になります。

よくある質問(Q&A)

Q1. 大規模修繕工事でバルコニーのウッドデッキは撤去しないといけませんか?

A. はい、多くの場合一時撤去が必要です。大規模修繕ではバルコニー床の防水層の補修や塗り替えを行うため、ウッドデッキパネルを敷いたままにしておくことはできません。管理規約でも工事に先立ち居住者自身でバルコニーの私物(ウッドデッキ含む)を撤去するよう定められていることがほとんどです。工事開始前に各戸でパネルを取り外し、室内に搬入して保管しておきましょう。また、修繕後に再びデッキを敷く際の手間を減らすため、ジョイント式で着脱しやすいデッキ材を採用しておくのがおすすめです。

Q2. ウッドデッキは何年くらい使えますか?

A. 素材や環境によって異なります。一般的な天然木のウッドデッキは、使用する木材や日当たり・湿度などの条件にもよりますが、5~15年程度で交換時期を迎えることが多いです。防腐処理された杉・松などでも10年前後で腐食が目立ち始めるケースがあります。一方、人工木(樹脂製)デッキは耐久性に優れており、20年以上使えることも珍しくありません。実際、人工木材は素材自体が腐らずシロアリの心配もないため、天然木より長寿命です。ただ、どんな素材でも経年による劣化は避けられないため、5年ごと程度に専門点検を受け、劣化症状が出ていないか確認すると安心です。

Q3. 補修で対応すべきか、ウッドデッキを丸ごと交換すべきか迷っています。

A. 劣化の程度によります。一部の板材の腐食や塗装剥がれ程度であれば、部分補修で十分対応できる場合が多いです。例えば腐って弱くなった板だけを新品に交換し、全体を再塗装すれば安全性を保てるケースもあります。一方、デッキの構造自体が大きく弱っている(歩くとデッキ全体が沈み込む・ぐらつく等)場合や、木材内部まで腐朽が進行している場合は、全面交換を検討した方が安全です。目安として、指で板を強く押してみてフワッと沈むようなら内部がスポンジ状に腐っているサインで、そのままでは危険と言えます。費用はかさみますが、放置して事故が起きてからでは遅いため、安全第一で判断しましょう。不安な場合は専門業者に現地調査を依頼し、客観的なアドバイスをもらうことをおすすめします。

Q4. マンションのウッドデッキには人工木と天然木のどちらが良いでしょうか?

A. メンテナンスの手軽さと耐久性を重視するなら人工木材がおすすめです。人工木(樹脂木)デッキは腐らずシロアリ被害の心配もなく、塗り直しも不要なので管理組合として維持しやすい素材です。湿気による腐食や変色・変形の心配がほとんどなく、汚れも水洗いで落とせるため共用部分に採用するには適しています。高層階や日陰で湿気が溜まりやすい環境でも耐候性が高く、トゲやささくれも発生しないので安全です。一方、天然木材は独特の温もりや質感が魅力ですが、その美観を保つには定期的なメンテナンス(防腐塗装や清掃)が必要です。寿命も人工木に比べれば短めで、国産材ではせいぜい10年前後、良質なハードウッドでも無塗装で放置すれば15年程度が目安です。ただし、こまめに手入れを施せばハードウッドなら20年以上きれいな状態を維持できる可能性もあります。管理組合で一括管理する場合はトータルコストが低く耐久性の高い人工木が無難です。一方、専有部のベランダなど居住者がこだわれる部分では、見た目重視で天然木を選ぶ余地もあるでしょう。どちらにせよ、手間をかけられるかと初期費用の違いです。マンション全体で統一するなら、最近は人工木材を採用するケースが増えています。

Q5. ウッドデッキの修繕費用の目安はどれくらいでしょうか?

A. 規模によって様々ですが、部分補修なら数万円~十数万円、全面交換なら数十万円と考えましょう。【部分補修】では塗り直しや数枚の板交換など軽微な工事で5~15万円程度が目安です。一方で【全面交換】ともなれば、材料費や人件費もかかるため30~100万円前後を要するケースが一般的です。高価なハードウッド材を使うか、人工木材を使うかでも費用は変わります。人工木は材料単価は高めですが、その後の塗装コストが不要になるメリットがあります。見積もりを見る際は内訳をチェックしましょう。例えば「撤去処分費」「下地調整費」「塗装費」など項目がきちんと分かれているか確認します。信頼できる業者であれば、見積書に工事の詳細項目を明示してくれます。逆に「ウッドデッキ工事一式 ○○円」といった大雑把な見積もりを出す業者には注意が必要です。不明点は遠慮なく質問し、複数社の見積もりを比較することで適正価格を判断してください。

まとめ:安全性・景観・快適性を守るために適切なウッドデッキ修繕を

マンションのウッドデッキは、そこに暮らす人々の安全性・景観・快適性に直結する重要な設備です。大規模修繕のタイミングで適切なウッドデッキの補修・交換を行うことは、マンション全体の価値を維持向上させ、住民の満足度を高める上でも欠かせません。国土交通省のガイドラインでも「建物等の経年劣化に対して適時適切な修繕工事等を行うことが重要」と明記されており、ウッドデッキも例外ではありません。

管理組合としては、専門家の意見や信頼できる業者の力を借りながら、ウッドデッキの現状を正しく把握し、部分補修で対応すべきか交換すべきかを判断することになります。素材選びにおいても、天然木・人工木それぞれの特徴を踏まえて最適なものを採用し、将来のメンテナンス計画まで見据えた意思決定が重要です。適切なウッドデッキ修繕を行えば、マンションの美観と快適性が保たれるだけでなく、居住者の皆様に安心で楽しめる空間を提供し続けることができます。大規模修繕という機会を活かし、ぜひウッドデッキの安全性・景観・快適性を将来にわたって守っていけるよう、賢明な対応を心がけましょう。住民にとって誇れるウッドデッキ空間を維持することが、マンション全体の魅力向上にもつながるはずです。

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  • 「スマート修繕」は、一級建築士事務所の専門家が伴走しながら見積取得や比較選定をサポートし、適正な内容/金額での工事を実現できるディー・エヌ・エー(DeNA)グループのサービスです。
  • ボリュームゾーンである30~80戸のマンションのみならず、多棟型やタワーマンションの実績も豊富で、社内にはゼネコン、修繕会社や修繕コンサルティング会社など出身の建築士等が多数いますので、お気軽にご相談ください。
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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

二級建築士,管理業務主任者

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