【マンション】大規模修繕の一時金の相場は?払えない時の対処法を解説
更新日:2025年09月29日(月)
マンションの所有者にとって、定期的に実施される大規模修繕工事は、建物の安全性や快適性を維持するために不可欠なプロセスです。しかし、この重要な修繕に際して、毎月の「修繕積立金」だけでは費用が不足し、臨時で「一時金」の徴収が求められるケースが増えています。この一時金は、時に数十万円から100万円を超える多額の負担となり、多くの住民にとって大きな懸念材料となっています。 本記事では、マンション大規模修繕における一時金について、相場や支払いが困難になった場合の対処法、将来的なリスクを回避するための予防策を解説します。
- 本記事のポイント
- 大規模修繕で徴収される「一時金」の相場やその背景を理解できる。
- 支払いが難しい場合の交渉手段や融資・組合による対応策を知ることができる。
- 将来の資金不足を防ぐための積立方式見直しや合意形成のノウハウを得られる。
マンション大規模修繕と「一時金」の基本理解
マンションの大規模修繕とは、建物の性能を維持し、老朽化を防止するために計画的に行われる、総合的な修繕工事を指します 。新築時の状態を永遠に保つことは不可能であり、外壁や屋根は紫外線や風雨に晒されてひび割れや剥がれが発生します。大規模修繕の第一の目的は、こうした経年劣化を防ぎ、雨漏りや設備の故障といった生活に支障をきたす問題を未然に防ぐことにあります 。
しかし、大規模修繕にはもう一つの極めて重要な目的があります。それは、建物の資産価値を維持することです 。適切なメンテナンスがなされず、老朽化が進んだマンションは、その見た目の印象が悪化するだけでなく、機能的な問題も抱えることになります。結果として、将来的に売却や賃貸に出す際に、市場価値が大幅に下落してしまうリスクに直面します 。大規模修繕は、快適な居住環境を保つためだけでなく、個人の重要な資産を守るための「未来への投資」であると言えます。
大規模修繕の費用は、原則として、区分所有者が毎月積み立てる「修繕積立金」によって賄われます。また、新築マンションの入居時に一度だけ支払う「修繕積立基金」も、この費用の一部に充てられます 。
一方、「一時金」とは、これらの積立金や基金だけでは修繕費用が不足する場合に、大規模修繕のタイミングに合わせて、臨時で各戸から徴収される修繕費用を指します 。その徴収額は不足分次第であり、時には100万円を超えるケースも報告されています 。毎月の定額支払いである修繕積立金とは異なり、一時金は突然の多額の出費を伴うため、家計に大きな負担をかけることになります。
大規模修繕において一時金が徴収される事態は、単なる偶然ではなく、複数の要因が絡み合った結果として生じることがほとんどです。その根本には、「計画性の欠如」という問題が横たわっています。
第一の根本原因:不適切な長期修繕計画
マンションの修繕は、一般的に10年から30年程度の期間で「長期修繕計画」を立て、それに沿って修繕積立金を積み立てるのが原則です 。しかし、新築時に作成された長期修繕計画が、そもそも現実離れしているケースが少なくありません 。国土交通省の調査によれば、長期修繕計画の予定積立残高に対して、現在の残高が不足しているマンションは全体の36.6%に上り、そのうち11.7%は20%以上不足しているという深刻な実態が明らかになっています 。さらに、約37%のマンションが定期的な計画の見直しを行っておらず、物価上昇や工事単価の変化といった現実との乖離が拡大しています 。一時金が徴収される事態は、このようなずさんな計画管理が表面化した結果と言えます。
第二の根本原因:物価高騰と予想外の出費
長期修繕計画が現実から乖離する最大の要因の一つが、近年顕著なインフレによる建設資材の高騰です 。建設資材の物価指数が急騰することで、当初見込んでいた工事費用が大幅に跳ね上がり、積立金だけでは費用を賄えないケースが増えています 。また、地震や台風といった自然災害による突発的な修繕も、長期修繕計画の想定外の出費となり、臨時の一時金徴収の引き金となることがあります 。
第三の根本原因:積立方式の選択と滞納問題
修繕積立金の積立方法には、「均等積立方式」と「段階増額積立方式」があります 。特に築年数の浅いマンションでは、当初の月額負担を軽減するために「段階増額積立方式」が多く採用されています 。しかし、この方式は、後年になるにつれて積立金が大幅に値上げされることを前提としており、その段階で区分所有者の反発が生じ、値上げの合意が得られず資金不足に陥るリスクがあります 。また、毎月の修繕積立金の滞納者が増加することも、計画的な資金確保を妨げる一因となります 。
このように、大規模修繕の一時金は、単なる金銭的な問題ではなく、管理組合の運営、住民の関心度、さらには不動産購入時の情報確認といった複合的な問題が絡み合って生じる、「管理不全の兆候」であると捉えることができます。
マンション大規模修繕・一時金の相場と実態
国土交通省調査データに見る一時金と工事費用相場
国土交通省が実施した「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」は、一時金の相場を考える上で最も信頼できるデータを提供しています 。この調査によれば、大規模修繕工事にかかるマンション全体の費用は、中央値で7,600万円から8,700万円程度、平均値では1億1,000万円から1億5,000万円にも達することが示されています 。
この巨額な費用を賄うために、区分所有者一人あたりが負担する金額も決して小さくありません。同調査によると、一時金または修繕積立金の増額によって、半数以上の世帯が75万円以上の費用を負担しており、特に27%の世帯は100万円から125万円を負担していることが分かっています 。このデータは、一時金徴収が個々の家計に与える影響の大きさを明確に示しています。
建物規模・階数別の費用目安:あなたのマンションはどのタイプ?
大規模修繕の費用は、マンションの規模や構造によって大きく変動します。特に、地上階数や建築延床面積は費用を左右する重要な要素です。国土交通省は、これらの要素に基づいた修繕積立金の月額目安(円/㎡・月)を公表しています 。
表1:建物規模・階数別 大規模修繕費用目安(国土交通省調査)
地上階数 | 建築延床面積 | 修繕積立金の平均値(円/㎡・月) | 事例の3分の2が包含される幅(円/㎡・月) |
20階未満 | 5,000㎡未満 | 335円 | 235円~430円 |
| 5,000㎡以上~10,000㎡未満 | 252円 | 170円~320円 |
| 10,000㎡以上~20,000㎡未満 | 271円 | 200円~330円 |
| 20,000㎡以上 | 255円 | 190円~325円 |
20階以上 | 全体 | 338円 | 240円~410円 |
出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」
この表から、超高層マンション(地上20階以上)は、特殊な足場が必要となるため、修繕費用が増大する傾向にあることが見て取れます 。また、地上20階未満のマンションでも、延床面積によって目安が異なり、小規模なマンションほど単価が高くなる傾向があります。自身のマンションの規模と照らし合わせることで、より現実的な費用感を掴むことができます。
機械式駐車場など特殊設備の費用加算要因
大規模修繕の費用は、建物の基本的な修繕項目(外壁、屋上防水など)だけでなく、マンションに設置された特殊設備によっても大きく変動します。特に、機械式駐車場は修繕費用を大きく押し上げる要因となります 。
国土交通省の調査では、機械式駐車場の修繕工事費用の目安として、1台あたり月額4,645円が示されています 。例えば、20台分の機械式駐車場があるマンションの場合、この費用が全戸の修繕積立金に加算されることになります。この加算分を考慮しなければ、計画は容易に破綻し、一時金の徴収が必要となります 。購入時や修繕計画の見直し時には、こうした特殊設備のメンテナンス費用を正確に把握することが不可欠です。
一時金が「払えない」場合の具体的な対処法
一時金の支払いを求められた際、経済的な理由から支払いが困難な状況に陥る区分所有者も少なくありません。そのような場合、パニックに陥ったり、支払いを無断で拒否したりすることは得策ではありません。冷静に状況を分析し、適切な対策を講じることが重要です。
個人でできる対策:まずは管理組合と冷静に話し合う
多額の一時金支払いが困難な場合、最も重要なことは、無断で滞納することなく、速やかに管理組合に相談することです 。管理組合との話し合いによって、分割払いや支払い猶予期間を設定してもらえる可能性があります 。もちろん、管理組合全体での合意が必要となりますが、事情を正直に説明し、支払い意思があることを示すことで、最悪の事態を避けるための第一歩となります。
個人向け融資制度の活用:住宅金融支援機構の「高齢者向け返済特例」
一時金の支払いに備えるため、または支払いが困難な状況を打開するために、個人で利用できる融資制度も存在します。特に、住宅金融支援機構が提供する「マンション共用部分リフォーム融資」は、高齢者向けの画期的な返済特例制度を設けています 。
住宅金融支援機構「高齢者向け返済特例」の概要
項目 | 概要 |
資金使途 | 管理組合の総会決議に基づき、区分所有者が一時金として負担する修繕費用 |
対象となる住宅 | 申込者が所有または共有している住宅 |
年齢要件 | 借入申込時に満60歳以上の方(年齢の上限なし) |
返済方法 | 毎月の支払いは利息のみ |
元金の返済方法 | 申込者全員が亡くなった時に、融資住宅の売却や自己資金などで一括返済 |
抵当権設定 | 融資対象の土地・建物に住宅金融支援機構のための第1順位の抵当権が設定される |
融資限度額 | 最大1,500万円 |
この制度の最大の特徴は、月々の支払いが利息のみに抑えられ、元金は将来、所有者が亡くなった際に一括で返済されるという点です。これにより、定年退職などで収入が減少した高齢者でも、一時金の負担を軽減しながら住み慣れたマンションに住み続けることが可能となります。ただし、融資対象となる不動産に抵当権が設定されるため、制度の利用には慎重な検討が必要です 。
管理組合主導で検討すべき対策:借入、工事の見直し、時期の延期
一時金徴収が困難な場合、管理組合全体で他の選択肢を検討することも可能です。
金融機関からの借入
各戸から一時金を徴収する代わりに、管理組合が金融機関から大規模修繕費用を借り入れる方法です 。この方法のメリットは、各戸に一時的に多額の負担を強いる必要がないため、総会での決議が比較的通りやすい点にあります 。一方で、利子や返済に伴う負担が発生し、将来的に修繕積立金の増額が必要になるリスクや、借入金の存在がマンションの資産価値を低下させるリスクも考慮しなければなりません 。
工事内容の見直しと優先順位の精査
費用が不足している場合、工事内容全体を見直し、本当に必要な工事に絞り込むことも有効な手段です 。緊急性の高い修繕から優先的に実施することで、費用を抑えることが可能になります。ただし、この判断には専門的な知識が不可欠であり、管理組合と利害関係のない第三者の専門家(マンション管理士など)に建物診断を依頼することが推奨されます 。
工事時期の延期
資金不足が深刻で、他の手段も現実的でない場合、大規模修繕工事自体を延期することも一つの選択肢です 。しかし、この方法は「問題の先送り」に過ぎず、延期している間に建物の劣化が進行し、将来的にさらに高額な費用がかかるリスクがあります 。あくまで一時的な対策であり、延期期間中に積立金の増額や長期修繕計画の見直しといった根本的な対策を講じる必要があります 。
国や自治体の補助金・助成金を活用する
大規模修繕には、国や地方自治体が提供する補助金や助成金を利用できる場合があります 。これらの制度は、マンションの資産価値維持や防災・省エネ性能の向上を目的として設けられており、要件を満たせば費用負担を軽減することができます 。
大規模修繕で活用できる主な補助金・助成金(一例)
制度名(一例) | 対象工事(例) | 補助額の目安(例) | 留意点 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 省エネルギー対策(断熱改修、窓の改修)、バリアフリー化など | 戸あたり最大160万円(性能基準による) | 申請には事前に事業者の登録が必要。工事完了後の入金が基本 |
アスベスト除去等事業補助金 | アスベスト含有建材の調査・除去工事 | 調査費用の3分の2(上限50万円)など | 自治体によって助成額や要件が異なる |
マンション耐震化助成制度 | 耐震診断や耐震改修工事 | 自治体ごとに異なる | 旧耐震基準の建物が対象となることが多い |
バリアフリー化支援助成制度 | 手すりの設置、スロープの設置、段差解消など | 自治体ごとに異なる | 共用部分の工事が対象となる |
これらの制度は、多くの場合、工事完了後の入金となるため、いったん工事費用は全額用意しておく必要があるという重要な注意点があります 。また、自治体によって制度の内容や要件が異なるため、事前に確認することが不可欠です 。申請手続きには専門的な書類作成が伴うため、管理会社やコンサルタントのサポートを受けることも有効です 。
一時金支払いを回避するための予防策と成功事例
一時金の徴収は、住民にとって大きな負担となるだけでなく、未収金が発生し、工事計画そのものが頓挫するリスクを伴う非常にリスキーな手段です 。そのため、一時金の徴収を前提とした計画は「計画の放棄」に等しいとさえ言えます 。ここでは、一時金の発生を未然に防ぐための、より根本的な予防策と、実際に成功した事例を紹介します。
計画的な資金計画:均等積立方式への見直しと定期的な計画見直し
一時金徴収のリスクを回避する最も有効な予防策は、計画的な資金計画を立てることです。具体的には、「段階増額積立方式」を採用しているマンションは、早い段階で「均等積立方式」への移行を検討すべきです 。均等積立方式は、入居当初から一定額を積み立てるため、後年の大幅な値上げを回避でき、住民の理解も得やすいという利点があります 。
また、長期修繕計画は一度作って終わりではありません。物価変動や建物の劣化状況に応じて、最低でも5年を目安に定期的な見直しを行うことが不可欠です 。こまめな見直しによって、計画と現実とのズレを修正し、修繕積立金の不足額や一時金の金額を最小限に抑えることが可能となります 。
管理会社任せにしない:外部専門家活用の重要性
マンションの管理運営を管理会社に一任している場合、その管理会社の提案する修繕計画や工事見積もりが、必ずしも住民の利益に沿っているとは限りません 。一時金の発生を回避するためには、管理組合が主体性を持ち、積極的に管理運営に関与することが求められます。
特に、長期修繕計画の見直しや工事内容の精査においては、管理会社と利害関係のないマンション管理士や建築士といった外部専門家の活用が有効です 。客観的な建物診断や工事費用の適正価格に関する助言を得ることで、無駄な工事や不当に高額な費用を削減し、住民の納得感を高めることができます 。
適切な発注方式と工事内容の見直しによるコスト削減事例
大規模修繕の費用を削減することは、一時金徴収を回避する上で最も直接的な方法です。実際に、適切なアプローチによって大幅なコスト削減に成功した事例が報告されています。
事例1:発注方式の変更
管理会社に一括して任せるのではなく、複数の工事業者から見積もりを取る「競争入札」を導入することで、当初の見積もりから数億円規模のコスト削減に成功した大規模マンションの事例があります 。単に安さだけで業者を選ぶのではなく、見積書の内訳や過去の実績、保証内容などを総合的に比較検討することで、品質を維持しながらコストダウンを実現することが可能です 。
事例2:工事内容の精査
当初、屋上防水層をすべて剥がしてやり直す見積もりになっていたマンションが、専門家の助言を受けて「剥がさず上から被せる」工法に変更し、大幅な工事費用を削減した事例があります 。このように、工事内容や工法を精査することで、必要十分な工事に絞り込み、無駄な出費をなくすことができます。
事例3:修繕周期の長期化
高耐久な材料を使用したり、劣化診断をこまめに行ったりすることで、修繕周期を長期化し、計画上の費用を削減した事例も報告されています 。これは、計画的な管理運営が、将来的なコスト削減につながることを示す好例です。
住民合意形成のノウハウ:説得から「協働」へ
一時金徴収や修繕積立金の増額は、管理組合の総会で決議されますが、その過程で住民間の対立が生じやすいテーマです。特に、マンションの区分所有者には、高齢化が進む世帯主や 、賃貸として貸し出す非居住者のオーナーがおり 、それぞれが抱える利害は異なります。高齢者は固定収入のため多額の出費に抵抗があり、非居住者は修繕への関心が低い場合があります 。
このような利害対立を乗り越え、円滑な合意形成を実現するためには、単に「説得」するのではなく、住民を修繕計画のプロセスに巻き込む「協働」のアプローチが不可欠です。劣化診断報告書や相見積もりの結果、工事工程表などを写真や図面とともに視覚的に提示することで、情報の透明性を確保し、住民の理解を深めることができます 。また、事前に想定される質問に対するQ&Aを用意したり、中立的な外部専門家による説明会を開催したりすることも、住民の納得感を高める上で非常に有効です 。
一時金支払いを拒否した場合の法的リスクと最終手段
一時金の支払いを求められた際に、経済的な理由や不満から支払いを拒否してしまうと、深刻な法的リスクに直面することになります。
支払いは義務:総会決議の法的効力
大規模修繕の一時金徴収は、管理組合の総会における普通決議によって決定されます 。一度この決議が可決されると、たとえ総会で反対票を投じた区分所有者であっても、その支払いは区分所有法に基づき法的義務となります 。支払いを無断で拒否することは「悪手」であり、滞納が続けば延滞金が加算されることになります 。
滞納から強制執行までの具体的な流れ
滞納が発生した場合、管理組合は段階的に法的な措置を講じることができます。
その一般的な流れは以下の通りです 。
催告
まずは、管理会社や管理組合が書面や電話で支払いを催促します。
内容証明郵便の発送
支払いに応じない場合、管理組合名義、または代理人弁護士名義で内容証明郵便を送付し、法的措置を視野に入れた正式な催告を行います。
法的措置(少額訴訟・支払い督促)
これでも支払いがなければ、管理組合は簡易裁判所に少額訴訟や支払い督促の申し立てを行います。
通常訴訟
金額が60万円を超える場合や、相手から異議が出された場合は、通常の訴訟に移行します。
最悪のケース:区分所有法第59条に基づく競売請求
滞納が長期化し、悪質と判断された場合の最終手段として、マンションの競売(強制売却)があります 。これは、「建物の区分所有等に関する法律第59条」に基づき、共同の利益に反する行為(管理費や一時金の長期滞納)を行った区分所有者の所有権を剥奪し、競売にかけることが法的に認められている、極めて重い措置です 。
この措置は、個人の財務問題が建物全体の維持管理に支障をきたし、他の住民の安全や資産価値を脅かす場合に、共同生活のルールを守るための最後の砦として機能します。実際に、長期にわたる滞納が原因で、競売が認められた判例も存在します 。
競売を避けたい場合は、滞納分を一括返済するか、競売が申し立てられる前に自己売却(任意売却)や親族間売買を検討することも一つの選択肢です 。しかし、いずれにせよ、事態がここまで発展する前に、管理組合と対話することが最も賢明な対応と言えます。
賢いマンションライフのためのチェックリスト
マンションの大規模修繕一時金の問題は、個々の住民の財務状況だけでなく、管理組合の運営、建物の状態、そして社会経済情勢といった多岐にわたる要因が複雑に絡み合って生じる複合的な課題です。この課題を乗り越え、安心してマンションに住み続けるためには、事前にリスクを把握し、適切に対応することが不可欠です。
事前チェックリスト(マンション購入を検討している方へ)
・長期修繕計画の内容を確認する
新築時や築浅の場合でも、長期修繕計画の有無、積立方式(特に段階増額方式でないか)、そして計画の見直しが定期的に行われているかを確認する。
・修繕積立金の積立状況を確認する
計画に対して積立金が不足していないか、また滞納状況についても確認し、管理状態が良好かを見極める。
緊急チェックリスト(一時金支払いを求められた方へ)
・まずは管理組合に相談する
無断で滞納せず、まずは管理組合と冷静に話し合い、分割払いや猶予期間を交渉する。
・大規模修繕計画の妥当性を検証する
費用が高額な場合、外部の専門家(マンション管理士など)に依頼して、工事内容や費用が適正なものであるか、また補助金や助成金が活用できないかを確認する。
・自身の状況に合った融資制度を検討する
住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」など、一時金の支払いに利用できる個人向け融資制度を調べる。特に高齢者の場合は「高齢者向け返済特例」が有効な選択肢となり得る。
大規模修繕に伴う一時金の負担は、決して他人事ではありません。あらかじめ備えておくことで、突然の請求に慌てることなく、安心して暮らし続けることができます。管理組合や専門家と連携しながら、一つひとつの課題に向き合うことが、結果としてマンションの資産価値を守り、住民全体の安心につながります。
「備えあれば憂いなし」。
今回のチェックリストをきっかけに、ご自身の住まいや購入予定のマンションについて改めて確認してみてください。
大規模修繕の支援サービス「スマート修繕」
- 「スマート修繕」は、一級建築士事務所の専門家が伴走しながら見積取得や比較選定をサポートし、適正な内容/金額での工事を実現できるディー・エヌ・エー(DeNA)グループのサービスです。
- ボリュームゾーンである30~80戸のマンションのみならず、多棟型やタワーマンションの実績も豊富で、社内にはゼネコン、修繕会社や修繕コンサルティング会社など出身の建築士等が多数いますので、お気軽にご相談ください。
- 事業者からのマーケティング費で運営されており、見積支援サービスについては最後まで無料でご利用可能です。大手ゼネコン系を含む紹介事業者は登録審査済でサービス独自の工事完成保証がついているため、安心してご利用いただけます。
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本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
本記事の監修者
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遠藤 七保
大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。
二級建築士,管理業務主任者
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