マンション大規模修繕費用が払えないときの対処法
更新日:2025年08月29日(金)
マンションの大規模修繕費用の支払いに不安を感じている方は少なくありません。修繕工事には数千万円から数億円もの費用がかかるため、修繕積立金だけでは不足し、組合員に一時金の負担を求めるケースも珍しくないからです。しかし、突然「払えない」状況に直面しても、適切な対処法を知っていれば不安を軽減できます。 本記事では、支払いが困難な場合の対応策をマンション管理組合および区分所有者の両視点から解説します。「払えないときどうすればいいのか?」という不安を安心に変えるヒントを探っていきましょう。
- 本記事のポイント
- 支払い困難時の柔軟な対応策がわかる。
- 区分所有者が利用可能な資金調達手段とその特徴を把握できる。
- 修繕費用そのものを抑えるための具体的工夫と支援活用法が学べる。
修繕積立金不足で一時金が必要になる背景
通常、マンションでは将来の大規模修繕に備えて毎月修繕積立金を積み立てています。しかし様々な要因で積立金が不足し、臨時徴収(一括徴収)が避けられなくなる場合があります。例えば、新築当初の積立設定が低すぎたり、想定外の高額な修繕が発生したりすると、大規模修繕直前に不足額を各戸から集める必要に迫られます。
修繕積立金だけでは足りない場合、各戸から臨時の修繕積立一時金を徴収することになります。不足額次第では1戸あたり100万円を超える負担となるケースもあり、想定外の出費に住民の合意形成は容易ではありません。特に年金生活の高齢世帯では負担感が大きく、反対が多い傾向があります。一時金の決議に至っても、世帯の経済事情によってすぐに払えない人もいれば、反対だった住民が協力しない可能性もあります。事実、国土交通省の調査では管理費や積立金の滞納があるマンションは全体の約25%にのぼり、修繕費の徴収は多くのマンションで身近な課題と言えます。
マンション大規模修繕費用が払えないときの対処法
もし一時金や積立金の支払いが困難な組合員が出た場合、管理組合(理事会)としてはどのように対処できるでしょうか。まず考えられるのは、当人の事情を聞いたうえで支払い方法の緩和措置を検討することです。例えば、負担額が大きく一括では難しい場合、早めに申し出れば3~6回程度の分割払いを認めてもらえるケースがあります。管理組合側でも総会決議の際に支払い回数や猶予期間を設定し、分割払いや延納制度を導入することで住民の負担を平準化できます。高齢者・低所得の組合員がいる場合は個別に相談に乗り、自治体の助成制度を案内するなどの配慮も有効でしょう。
それでも滞納が続く場合、管理組合(または委託を受けた管理会社)は段階的に対策を強化します。まずは電話や文書での督促、それでも支払いがなければ内容証明郵便による催告を行います。改善が見られない場合、法的手段の検討に移り、簡易裁判所への支払督促や少額訴訟の申立てを経て、最終的には給与・預貯金の差し押さえに進みます。それでも回収できなければ、競売によって滞納者の住戸を売却し未払い分に充当する措置まで取られる可能性があります。これは双方にとって不幸な事態ですので、滞納を放置せず早期に管理組合へ相談することが大切です。
区分所有者側の選択肢(資金調達の方法)
自分のマンションだけ修繕費が払えない状況に陥った場合、区分所有者個人としてもいくつか取れる対策があります。経済状況に応じて、以下のような資金調達や支援制度の活用を検討してみましょう。
修繕ローンを利用する
修繕費の一時金が高額で手元資金だけでは賄えない場合、金融機関のリフォームローンやフリーローンを活用する方法があります。例えば、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」や民間銀行のリフォームローンでは、各戸の負担額(数十万~数百万円)を上限に借入れが可能です。金利は固定型が中心で、返済期間も最長35年程度まで設定できるため、長期分割で月々の負担を軽減できます。一時的に収入が減少した、他の出費で貯金が足りない、といった場合でもローンを組むことで乗り切れる可能性があります。
リバースモーゲージを活用する
高齢の区分所有者であれば、自宅を担保に融資を受けられるリバースモーゲージ型ローンも選択肢です。例えば住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資(高齢者向け返済特例)」では、大規模修繕の一時金を個人で負担できない高齢者向けに、利息のみを毎月支払い、元金は死亡時に自宅売却等で一括返済する制度があります。自宅に住み続けながら資金を調達できるのがメリットですが、利用には年齢や担保評価額など一定の条件があります。民間銀行にもマンション対応のリバースモーゲージ商品がありますので、自分の状況で利用可能か検討してみましょう。
自治体の補助・融資制度を調べる
お住まいの自治体によっては、マンションの修繕に関する助成金や融資制度が用意されている場合があります。たとえば高齢者世帯向けに住宅改修費を補助する制度や、一定所得以下の世帯に無利子・低金利で貸し付けを行う制度、マンションの耐震改修やバリアフリー化に補助金が出るケースなどです。自治体ごとに要件や内容は異なりますが、自分が該当しそうな制度がないか市区町村の住宅課・福祉課に相談してみましょう。返済不要の補助金が受けられれば大きな助けになりますし、借入れにしても行政の制度は民間より条件が良い場合があります。
これらの他、どうしても支払いが困難で将来的にも改善が見込めない場合、マンションを売却する決断も最終手段として考えられます。管理費や修繕積立金の滞納が重なる前に住み替えを検討し、物件売却代金でローン残債や滞納分を清算する選択肢もゼロではありません。ただし売却には時間もかかるため、本当に支払いが継続不可能と判断した段階で早めに専門家に相談すると良いでしょう。
修繕コストを抑える具体的な手段
大規模修繕の費用自体を減らすことができれば、各戸の負担も軽くなり「払えない」事態を防ぎやすくなります。修繕コストを抑えるための工夫として、管理組合が検討すべきポイントをいくつか紹介します。
発注方式や業者選定の工夫
修繕工事の発注方法を見直すことで、適正価格で工事を実施できる可能性があります。例えば、従来から多い管理会社任せの「責任施工方式」だけでなく、第三者のコンサルタント(建築士事務所等)が仕様書作成・監理を行い複数業者に入札させる「設計監理方式」や、施工会社から提案を募る「プロポーザル方式」を採用する方法があります。プロポーザル方式は談合が起きにくく、価格競争と施工アイデアの両面でメリットがあるとされています。また、管理会社に全て任せきりにせず、複数の施工会社から相見積もりを取ることも重要です。自分たちで直接複数社に見積依頼を行えば、各社の提示額を比較して適正な相場感を把握できます。他社の見積額を根拠に価格交渉することも可能ですし、なにより管理会社経由だとかかる中間マージンを省けるためコスト削減につながります。マンションによっては管理会社が見積もり取得に協力してくれる場合もありますが、その際も手数料の有無を確認し、必要に応じて信頼できる第三者の専門家に見積内容を精査してもらうと安心です。
工法や仕様の見直し
修繕工事そのものの施工方法や使用材料を工夫することで、大幅なコストダウンが可能なケースもあります。代表的な例が仮設足場に関する工夫です。通常は建物全周に足場を組んで作業しますが、条件によっては高所作業を行う無足場工法(ブランコ作業)を採用できれば、足場設置・撤去費用や工期を削減できます。ただし、無足場工法は大規模修繕工事におけるタイル補修やシーリング打ちなどには不向きであり、あくまで局所的・小規模な補修の場面で検討される程度にとどまります。そのため、適用可能かどうかは専門家による判断が不可欠です。
工法以外では、劣化しやすい部分に高耐久仕様の材料を選ぶことで、次回修繕までの周期を延ばし長い目で見た費用低減を図る手段も有効です。たとえば外壁塗装材やシーリング材を耐久グレードの高いものに変更すれば、従来より数年修繕サイクルを延長できる可能性があります。初期費用は増えてもトータルコストを抑えられるか、長期修繕計画の視点で検討すると良いでしょう。
工事範囲・時期の見直し
「本当に今すべての工事が必要か?」を精査することも、無駄な出費を省くポイントです。大規模修繕では「せっかく足場を組むなら」と計画される工事項目が多岐にわたりますが、中には緊急性が低く後回しにできる工事もあります。例えば、内廊下の長尺シート張り替えは美観が主目的なので足場を使わない時期に延期しても支障ありませんし、鉄部塗装も劣化が少ない部分は次回まで見送る判断が可能です。「12年経ったから全部直す」のではなく、「必要なときに必要なことを実施する」柔軟な計画にシフトすることで、住民の負担を減らしつつ建物の状態も維持できます。最近では修繕周期を従来より延ばし、築15~18年あるいは20年超での実施を視野に入れる管理組合も増えてきました。専門家に劣化診断を依頼し、工事の優先順位を見極めてもらうことで、延命できる箇所と今すぐ直すべき箇所のメリハリをつけましょう。なお、修繕時期を延期する場合は長期修繕計画も忘れずに更新し、将来の費用不足が生じないようシミュレーションしておく必要があります。
第三者支援サービスによる費用削減・合意形成
マンションの大規模修繕では、コスト削減策や資金調達策を管理組合だけで検討・実行するのが難しい場合があります。そこで当社「スマート修繕」は、専門家が管理組合に伴走し、修繕計画の策定から施工業者の選定、費用の適正化まで一括でサポートするサービスを提供しています。
スマート修繕では、まず建物のプロによる劣化診断を実施。工事ありきではなく、劣化状況に応じて工事の延期や部分実施など、最適な選択肢をご提案します。その後、複数の優良施工業者をご紹介し、相見積もりを取得。過去のデータベースと照らし合わせながら専門家が各社の見積額を査定することで、適正価格での発注を実現します。
このプロセスにより、費用削減の成功率は90%以上、平均で1戸あたり約20万円のコストダウンを実現しています。また、第三者による客観的なサポートがあることで、修繕内容や費用に対する住民の納得感も高まり、合意形成がスムーズになるというメリットもあります。「管理会社任せで金額が妥当か不安」「住民からの反発が心配」といった管理組合の悩みも、データに基づく説明と専門家の保証によって解消しやすくなります。
さらに、費用面のサポートだけでなく、工事中のフォローやアフターサービスまで含めて支援可能です。修繕に関する負担や不安を感じたら、まずは無料相談でプロの力を活用してみることをおすすめします。
まとめ:払えない不安を安心に変えるために
マンションの大規模修繕費用が払えない場合の対処法について、管理組合と区分所有者それぞれの視点から見てきました。延納・分割払いなど組合内での柔軟な対応から、ローン・公的支援の活用、さらには工事費用自体の見直しまで、取れる手段は様々あります。大切なのは早めに行動し、周囲と協力して解決策を探ることです。支払いに不安を抱えたまま放置すれば状況は悪化する一方ですが、適切な手を打てば必ず道は開けます。
まずは管理組合の理事や管理会社に率直に相談し、自分だけで悩まないようにしましょう。そして必要に応じてマンション管理士や建築士といった専門家、第三者サービスの力を借りることも検討してください。修繕費用や資金計画の見直しについて専門家のアドバイスを受ければ、新たな解決策が見つかるかもしれません。スマート修繕では大規模修繕に関する無料相談を受け付けています。支払い問題や費用削減でお困りの際は、どうぞ一人で抱え込まずにお気軽にお問い合わせください。私たちが第三者の立場からサポートし、皆様のマンション維持管理のお力になります。
困難な状況でも適切な対策を講じれば、「払えない」という不安を必ず乗り越えられます。マンションは大切な資産です。将来にわたって快適に暮らし続けるためにも、今回ご紹介したポイントを踏まえて、計画的かつ前向きに大規模修繕に取り組んでいきましょう。
大規模修繕の支援サービス「スマート修繕」
- 「スマート修繕」は、一級建築士事務所の専門家が伴走しながら見積取得や比較選定をサポートし、適正な内容/金額での工事を実現できるディー・エヌ・エー(DeNA)グループのサービスです。
- ボリュームゾーンである30~80戸のマンションのみならず、多棟型やタワーマンションの実績も豊富で、社内にはゼネコン、修繕会社や修繕コンサルティング会社など出身の建築士等が多数いますので、お気軽にご相談ください。
- 事業者からのマーケティング費で運営されており、見積支援サービスについては最後まで無料でご利用可能です。大手ゼネコン系を含む紹介事業者は登録審査済でサービス独自の工事完成保証がついているため、安心してご利用いただけます。
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本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
本記事の監修者
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遠藤 七保
大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。
二級建築士,管理業務主任者
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