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大規模修繕におけるプロポーザル方式とは?仕組みと特徴を解説

更新日:2025年09月29日(月)

マンションの資産価値を維持し、居住者の安全と快適な暮らしを支える大規模修繕工事。その実施にあたっては、どの発注方式を選ぶかが重要な判断となります。近年注目される「プロポーザル方式」は、複数の施工会社から提案を受け、それを比較・検討する仕組みです。しかし、管理組合には専門的な知識が不足している場合も多く、工事の課題や技術的なポイントを理解した上で最適な提案を選ぶことは容易ではありません。 本記事では、プロポーザル方式の基本的な仕組みと位置づけ、直面しやすい課題について解説します。

本記事のポイント
  • プロポーザル方式が従来方式とどう異なり、どのような利点と欠点があるかを理解できる。
  • 第三者専門家(コンサルタント)を活用して提案内容を精査・選定する方法がわかる。
  • 住民合意を得るためのコミュニケーション戦略や情報公開の工夫を学べる。

プロポーザル方式とは?基本的な仕組みと位置づけ

プロポーザル方式の概要
プロポーザル方式(別名:企画競争入札)は、複数の施工会社から提出される提案書を比較・評価して、最適な業者を選定する手法です。価格だけで選ぶ従来の入札とは異なり、工事内容や管理組合の要望に沿った提案の質を重視します。

各企業は、劣化診断に基づく工法提案や材料選定、居住者への配慮など、金額だけでは測れない価値を提案します。管理組合はこれらを比較して意思決定しますが、専門知識が不足している場合、最適な提案を見極めるのが難しいこともあります。プロポーザル方式は、目先の費用削減ではなく、長期的な資産価値の維持や工事の質の確保を目的とした仕組みとして位置づけられます。

他の発注方式との違い

大規模修繕には、プロポーザル方式以外にもいくつかの発注方式があります。

責任施工方式

施工会社に設計から施工までを一括して任せる方式。管理組合の負担は少なくスムーズに進められるが、第三者によるチェックが働きにくいため、見積もりや品質の妥当性を確認するのが難しい。

設計監理方式

建築士事務所などの第三者が設計と工事監理を担当し、施工会社は入札で選定される方式。透明性や品質管理の面で有利であるが、設計監理方式では手続きや費用が増えるほか、施工会社との癒着や談合のリスクも指摘されている。

プロポーザル方式

一部では、プロポーザル方式を「アドバイザー方式」と呼び、コンサルタントを介して進める。まずコンサルタントと「基本計画立案・業者選定補助契約」を結び、施工会社決定後に「工事監理契約」を交わす二段階構造が特徴。これにより、コンサルタントと施工会社の間で不適切な関係が生じるリスクを抑える仕組みになっている。

プロポーザル方式のメリットとデメリット

管理組合のメリット

・透明性の確保:主体的に業者選定を行い、不透明な取引や高額発注リスクを抑制

・コストと内容の最適化:複数提案の比較により、本当に必要な工事に絞り込み可能

・多様な選択肢:技術力や独自アイデアを持つ企業からの提案を得やすい

管理組合のデメリット

・負担増と専門知識の必要性:提案精査や選定作業の負担が大きくなる

・専門知識不足のリスク:工法や提案内容の正確な評価が難しい

成功のカギは専門家の活用

プロポーザル方式の最大の課題は、管理組合の負担増と専門知識不足です。多くの成功事例では、第三者専門家(コンサルタント)の関与が不可欠であることが強調されています。

管理組合が専門家を活用することで、提案書の精査・比較・分析を適切に行い、公正な業者選定を実現できます。専門家は単なる「代行者」ではなく、管理組合の能力を補強する「不可欠なパートナー」として機能します。

つまり、プロポーザル方式の成功のカギは、管理組合が専門家を上手に活用できるかどうかにかかっています。

プロポーザル方式の課題と解決のポイント

第三者専門家(コンサルタント)の活用が成功の鍵

プロポーザル方式のデメリットである「管理組合の専門知識不足」を補うために、コンサルタントの存在は不可欠です 。コンサルタントは、修繕計画の策定から業者選定、工事監理まで一貫してサポートし、管理組合の負担を軽減する重要な役割を担います 。  

コンサルタントは第三者的な立場でアドバイスを提供するため、公正な業者選定や工事の適正化が可能となり、管理組合の利益を守ります 。特に、見積もりの妥当性や工事の品質管理について、客観的なチェック体制を確立できる点が重要です 。しかし、過去の失敗事例として、不適切なコンサルタントによる談合や、設計監理の不備による手抜き工事が挙げられています 。プロポーザル方式は、アドバイザー方式としてコンサルタントと施工会社間の契約を分離することで癒着を防ぐように設計されていますが 、それでもコンサルタント自身の選定には、その実績や契約内容の透明性をしっかりと見極めることが重要です 。  

住民合意形成の壁を乗り越える

大規模修繕の合意形成は、特に大規模なマンションで困難な課題です 。反対意見の主な理由は「経済的負担」や「工事の必要性への疑問」であることが多いとされます 。この課題を乗り越えるには、以下のコミュニケーション戦略が有効です。  

丁寧な情報開示と対話

一方的に説明するのではなく、住民の懸念に耳を傾け、対話を重ねる姿勢が重要   

視覚的な資料の活用

劣化診断報告書、写真、工事工程表などを視覚的に提示することで、工事の必要性に対する理解を深められる   

質疑応答の徹底的な準備

住民説明会では、想定される質問に対する回答を事前にQ&A形式で用意し、準備不足で対応に窮する事態を避ける   

第三者専門家の活用

建築士や修繕コンサルタントなど、中立的な立場である専門家が説明に加わることで、客観性と信頼性が増し、説得力が高まる   

多くの管理組合は、住民合意形成を総会での一回の議決と捉えがちです。しかし、成功のためには、総会前の複数回の説明会やアンケートの実施、そして第三者専門家の関与が不可欠であると指摘されています 。住民は、説明の内容だけでなく、そのプロセス全体の透明性と信頼性を評価しているため、不透明なプロセスは不信感を生み、反対意見を助長します 。

したがって、住民合意形成は「説得」ではなく、長期にわたる「信頼の構築」です。初期のアンケートから、診断結果の共有、プロポーザル依頼書や提案内容の公開プレゼンに至るまで、すべてのステップを記録し、情報共有を徹底する。これは、管理組合が「透明性」と「公正性」を追求していることを住民に継続的に示す「広報活動」なのです 。  

プロポーザル方式に学ぶ、安心のマンションライフと「スマート修繕」の活用

プロポーザル方式は、単なる工事費削減の手法ではなく、管理組合の「自立」と「主体性」を育むプロセスとして知られています。管理組合が自ら課題を把握し、最適なパートナーを選定して工事を監督することは、マンションの長期的な資産価値向上と居住者の安心感につながります。

当社サービス「スマート修繕」では、責任施工の見積もり合わせ方式を採用しています。この方式はプロポーザル方式とは異なりますが、管理組合の負担を軽減しながらも、第三者の専門家としてサポートする立場から、同様に最適な提案が可能です。工事内容の妥当性や費用の透明性を確保しつつ、安心・安全な修繕プロセスを実現します。

複雑な大規模修繕も、専門家のサポートと丁寧な住民合意形成によって、公正で円滑に進められます。この記事が、大規模修繕に取り組む管理組合の皆さまの参考になれば幸いです。

大規模修繕の支援サービス「スマート修繕」

  • 「スマート修繕」は、一級建築士事務所の専門家が伴走しながら見積取得や比較選定をサポートし、適正な内容/金額での工事を実現できるディー・エヌ・エー(DeNA)グループのサービスです。
  • ボリュームゾーンである30~80戸のマンションのみならず、多棟型やタワーマンションの実績も豊富で、社内にはゼネコン、修繕会社や修繕コンサルティング会社など出身の建築士等が多数いますので、お気軽にご相談ください。
  • 事業者からのマーケティング費で運営されており、見積支援サービスについては最後まで無料でご利用可能です。大手ゼネコン系を含む紹介事業者は登録審査済でサービス独自の工事完成保証がついているため、安心してご利用いただけます。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

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