マンション外壁塗装工事の見積もりと依頼の進め方、チェックポイントを解説
更新日:2025年10月29日(水)
本記事では、マンション外壁塗装の適切な時期(長期修繕計画の目安)や費用相場、見積もり依頼の進め方と注意点、複数業者から相見積もりを取って適正価格で工事を行うためのコツについて解説します。マンションの外壁塗装を検討している人はぜひ参考にしてください。
- 本記事のポイント
- 外壁塗装の実施時期・費用相場・塗料選びなど、長期修繕計画に基づいた判断基準が身につく。
- 相見積もりの取り方や見積書の確認項目など、適正価格で契約するための実践的手順が理解できる。
- 居住者対応や工事中の配慮、トラブル防止のポイントを学び、安心・安全な施工を実現できる。
マンション外壁塗装の必要性と適切なタイミング
マンションの外壁塗装は、美観や資産価値の維持はもちろん、建物の防水性・耐久性を確保し住環境を守るために計画的に取り組むべき重要な維持管理項目です。一般には築後12~15年目を目安に、屋上防水など他の工事も含めた大規模修繕に合わせて塗装を実施するのが標準的な周期とされています。
適切な時期に外壁塗装を行わないと、経年劣化により塗膜が剥がれて雨水が建物内部に浸入し、鉄筋腐食や構造体の劣化が進行してしまいます。最悪の場合、外壁片の剥落事故で通行人に被害を与える恐れもあり、こうした事故が起きれば管理不行き届きとしてマンションの評判や資産価値を大きく損ねることになります。定期的な塗装を計画通りに実施することで、建物の耐久性向上と安全確保につながり、長期的な修繕コストの抑制にも寄与します。
なお、耐久性の高いフッ素塗料や無機系塗料を使って塗装サイクルを延ばす選択肢もありますが、他の修繕工事とのタイミングにも注意が必要です。例えばフッ素塗料で20年持たせても、他の部位の修繕で15年周期程度で足場を組むなら効果を十分に活かせない場合もあります。建物全体の長期修繕計画の中で外壁塗装の位置付けを検討し、最適な周期と仕様を判断することが重要です。
マンション外壁塗装工事の費用相場と見積もりの内容
マンション外壁塗装にかかる費用は、建物の規模や劣化状態、使用する塗料の種類などによって大きく変動します。見積もりには通常、足場の仮設費用、高圧洗浄や下地補修の費用、塗料や下塗り・中塗り・上塗りといった塗装作業の費用、廃材処理や管理費などの諸経費が含まれ、それらの合計が工事総額となります。
中小規模のマンション(例えば10~30戸規模)で約600万~1,200万円、さらに大規模(30戸以上)では1,200万~2,000万円以上かかるケースもあり、塗装工事はマンションの中でも特に高額な修繕項目と言えます。
費用に幅が生じる主な要因は次の通りです。
- 使用する塗料の種類とグレード(耐久年数が長いシリコン・フッ素・無機塗料ほど単価が高い)
- 建物の階数・規模(高層で塗装面積が広いほど足場設置費や塗料量が増え費用が増大)
- 外壁や下地の劣化状況(ひび割れ補修やシーリング打ち替えなど追加補修が多いと費用増)
- 工事範囲や付帯工事の有無(共用廊下や鉄部塗装、防水工事なども同時に行う場合は費用増加)
- 施工業者の規模や人件費(大手企業と地場業者で見積もり人件費や諸経費に差が出る)
例えば、国土交通省の調査によれば足場仮設費用は工事全体の約20%前後を占める傾向があります。また、塗装以外にもこうした仮設や補修に大きな費用がかかります。そのため、外壁塗装単独でなく他の修繕と同じタイミングで実施して足場を共有するなど、計画的に工事をまとめてコスト効率を上げる工夫も重要です。
また、自治体によっては修繕工事への助成金制度が用意されている自治体もあります(例:東京都品川区の住宅改善工事助成事業など)。条件に該当すれば積極的に活用を検討しましょう。
工事期間はマンションの規模により数週間から数ヶ月に及びます。塗料が乾きにくい梅雨時や真冬の施工は工期が延びる要因となるため、できるだけ春や秋の安定した気候を選ぶと良いでしょう。天候不順の場合に備えて余裕を持ったスケジュールを計画し、居住者への周知や騒音・臭気への配慮もしっかり行い、苦情やトラブルを未然に防ぐことが大切です。
マンション外壁塗装の見積もり依頼の進め方
マンションの外壁塗装工事は金額が大きいため、見積もりは1社だけでなく必ず複数の施工業者から取りましょう。相見積もり(複数社による見積もり比較)により、各社の提案内容や価格を客観的に比較でき、見積金額が適正か判断しやすくなります。管理会社や一部業者に任せきりでは価格の不透明や癒着リスクの懸念もあるため、理事会が主体的に相見積もりを行う意義は大きいでしょう。
見積もり依頼先は、一般的に2~3社程度を選ぶと良いでしょう。あまりに多すぎると対応が煩雑になり、少なすぎると適正価格の範囲が判断しにくくなります。
また、管理会社任せでなく管理組合が主体となって業者候補をリストアップし、各社の実績や公的な許可・資格(例:建設業許可や塗装技能士)・施工体制を事前に確認しておくことも重要です。
※建設業許可は500万円以上の工事を請け負うのに必要な基本資格です。
各社から現地調査を受け、提案内容や見積額、対応の丁寧さなどを総合的に検討して信頼できる業者を選定しましょう。相見積もりのプロセス自体が時間と手間を要しますが、将来の大きな出費を適切に管理するために必要なステップです。
見積書のチェックポイントと工事契約の注意点
見積もりが提出されたら、内容を細かくチェックして不明点を残さないことが肝心です。
特に以下のポイントを確認しましょう。
- 工事項目ごとの単価・数量・金額が明記されているか(「一式○○円」ばかりでないか)
- 使用する塗料メーカーや製品名・グレードが特定されているか
- 足場や養生、廃材処理など諸経費の内訳が含まれているか
- 保証期間(目安5~10年)やアフターサービス対応が契約時に明記されているか
なお、バルコニー内壁や天井・共用廊下・階段など、今回の工事に含める範囲が見積書で明確になっているかも確認が必要です。見積もり対象外の箇所が後から判明すると、追加工事費やトラブルにつながりかねません。
もし見積書に曖昧な表記が多い場合は、遠慮なく質問して内訳や仕様を確認しましょう。
説明が不十分な業者や、不自然に工期が短すぎる/長すぎる提案をする業者には注意が必要です。また、複数の見積書を比べる際には、金額だけでなく提案内容の質や保証条件も含めて総合的に評価することが大切です。施工後を見据え、保証内容や不具合時の対応(無償補修の有無など)まで確認しておけば、いざというときに安心です。
支払条件や工期、万一の事故対応(損害保険加入状況など)についても契約前に取り決めておき、トラブルを未然に防ぎましょう。
工事期間中の注意点と住民への配慮
外壁塗装工事中は、居住者にとっていくつかの負担が生じます。まず騒音や塗料の臭いは避けられませんので、作業時間帯を事前に周知し、可能な限り低臭塗料を使うなど業者にも配慮してもらいましょう。また、足場や防護ネットで建物が覆われるため、一時的に日当たりや通風が悪くなります。
なお、工事に先立って各住戸のベランダや窓周りの荷物撤去を依頼されることがあります。植木鉢や物干しなどは事前に片付け、車両なども保護シートで覆うなど、スムーズな作業環境づくりに協力しましょう。
工事期間中は窓の開閉やバルコニーの利用に制限が出る場合もあります。作業員が外壁を移動するため、カーテンを閉めるなどプライバシー対策も必要です。
工事関係者には部外者が混じらないよう入退場の管理を徹底し、防犯面にも注意します。管理組合は施工業者と連携して、掲示板や回覧で居住者への情報提供をこまめに行い、苦情や不安の声に迅速に対応しましょう。安全第一で工事を進め、事故やトラブルなく完了させることが最終目標です。
また、建物形状が複雑な場合や超高層マンションでは工事が長期化・大型化しやすいため、余裕を持った計画と細心の安全管理が求められます。
プロの見積もり支援サービス「スマート修繕」
マンションの修繕工事では、複数社からの相見積もり取得や施工業者の選定など、専門知識と手間が求められる工程が数多くあります。こうした管理組合のご負担を軽減し、工事の適正化を実現するために、当社では見積もり支援サービス「スマート修繕」を提供しています。
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複雑な修繕工事の見積査定や業者選定に不安を感じる際は、ぜひ「スマート修繕」にご相談ください。
管理組合の立場に寄り添い、安心・納得の修繕工事をサポートいたします。
まとめ
マンションの外壁塗装工事を成功させるには、計画的な実施と適切な見積もり比較が欠かせません。お伝えしたように、おおむね12~15年周期でタイミングを見極め、工事項目や仕様を明確にしたうえで複数社から見積もりを取り、納得できる業者を選ぶことが重要です。
専門家の知見や支援サービスも上手に活用し、透明性の高いプロセスで適正価格の工事を実現しましょう。最終的には、建物の安全と資産価値を守るために管理組合が主体となって外壁塗装に取り組む姿勢が求められます。計画的なメンテナンスで大切なマンションを末長く維持していきましょう。
外壁塗装工事は決して安いものではありませんが、将来の安心と資産価値を守るための必要な投資です。適切な計画と準備のもと、前向きに取り組んでいきましょう。
大規模修繕の支援サービス「スマート修繕」
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本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
本記事の監修者
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遠藤 七保
大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。
二級建築士,管理業務主任者
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