屋上防水の種類を徹底比較|メリット・デメリット・選び方まで解説
更新日:2025年07月31日(木)
一年中、直射日光や雨風にさらされる屋上では、「屋上防水」が建物の寿命と資産価値を左右すると言っても過言ではありません。防水工法の種類によって耐用年数や費用が大きく異なり、建物の状況に応じて最適な選択肢も変わります。 本記事ではマンションの屋上防水を検討する方に向け、主要な屋上防水工法4種類の特徴を比較し、メリット・デメリットや選び方のポイントを解説します。雨漏りを防ぎ建物を長持ちさせる防水工事のポイントを押さえて、最適な防水工法の種類を選びましょう。
- 本記事のポイント
- 雨漏り防止・躯体保護・断熱効果といった機能から、屋上防水が建物寿命と資産価値を守る理由がわかります
- それぞれの耐用年数・費用・施工性・向いている屋根構造の違いを比較して、自分の物件に合う工法が判断できます。
- 防水工事に失敗しないためのチェックポイント、信頼できる業者の見極め方、適正価格の把握方法まで実用情報が得られます。
屋上防水とは?その目的と重要性
屋上防水とは、屋上からの雨水侵入を防ぐために防水層を設ける工事です。屋上は日々過酷な環境(直射日光、雨、風、雪など)にさらされ、建物の中でも最も劣化しやすい部分です。適切な防水層が機能していないと屋上雨漏りが発生し、室内への浸水被害や天井のシミ・腐食につながります。屋上からの雨漏りは放置すると修繕費用が莫大になる恐れもあり、建物全体の寿命を縮める原因になります。
屋上防水には主に次のような目的と重要性があります。
雨漏り防止
最も基本的な役割で、雨水が屋上から建物内部へ侵入するのを防ぎます。防水層が健全に機能していることで、室内環境を守り屋上雨漏りによる資産価値低下を防ぎます。
躯体保護
コンクリート造の建物では、水が浸入すると鉄筋が錆びて膨張し、構造体にひび割れを起こして建物強度を低下させます。防水層はコンクリートや鉄筋など建物躯体への水分侵入を防ぎ、構造の劣化を防止します。
断熱・遮熱効果
防水工事では断熱材を併用した「断熱防水」や遮熱性能のあるトップコートを採用でき、屋上からの熱の出入りを抑制できます。適切な断熱・遮熱対策により、建物の省エネ性能向上や室内環境の改善にもつながります。特に最上階の室温上昇を抑えられる点で重要です。
以上のように屋上防水は建物を雨漏りや湿気から守り、資産価値を維持する上で欠かせない工事です。ただし防水層の劣化は外壁の汚れのように目に見えづらく、専門家でないと判断が難しい場合があります。気付いた時には劣化が深刻化しているケースも多いため、定期的な点検とメンテナンスが重要です。特にマンションなど集合住宅では5年に一度は専門業者による防水点検を行い、必要に応じた改修工事を実施するのがおすすめです。
屋上防水の主要4工法の種類と特徴
現在、ビルやマンションの屋上防水で主に採用される工法は「ウレタン防水」「シート防水」「アスファルト防水」「FRP防水」の4種類です(FRP防水を除いた3種類に大別する場合もあります)。
ここではこの防水工法の種類ごとに仕組みや特徴を解説し、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
ウレタン防水
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を現場で塗布して硬化させ、防水膜を作る工法です。扱いやすい液体素材を用いるため、屋上の形状を問わず複雑な形状や狭い場所にも隙間なく施工できるのが大きなメリットです。継ぎ目のないシームレスな仕上がりで見栄えも良く、既存の防水層の上から塗り重ねる改修も可能なので撤去工事の手間が不要な場合もあります。耐用年数は約10年前後が一般的ですが、施工法や防水材の種類によって5年程度から15年程度まで幅があります。ウレタン防水は防水リフォームでも最もポピュラーな工法で、戸建て住宅のベランダやマンション・ビルの屋上など幅広く採用されています。比較的低コストで廃材も少なく環境に優しい点もメリットです。
メリット
液状材料を現場で塗るため凹凸や複雑な屋上でも施工が容易で、防水層に継ぎ目がない美しい仕上がりになります。下地がどんな素材でも密着させて塗れるため、既存防水が残っていてもカバー工法(重ね塗り)による改修が可能で、古い防水層の撤去廃材が出ない点も利点です。部分的な補修や防水リフォームにも対応しやすく、価格も比較的安価でコストパフォーマンスに優れます。
工法には直接下地に塗る「密着工法」と、通気性シートを敷いてから塗る「通気緩衝工法(絶縁工法)」があり、後者を採用すれば下地からの水分による膨れ(気泡トラブル)を防ぎやすいというメリットもあります。
デメリット
液体を人の手で塗り重ねるため職人の技量によって仕上がり厚みに差が出る可能性があります。施工不良の場合、防水層が所々で膨れる(浮き)トラブルが発生することもあり注意が必要です。また塗膜が硬化するまで時間を要するため、気温の低い冬場などは施工に日数がかかることがあります。工事期間中は防水層が乾くまで立ち入りできず、人の出入りが多い屋上だと不便を強いる点もデメリットです。耐用年数も他の工法よりやや短め(約10年)で、定期的なトップコート塗り替え(5~8年周期)が必要になります。
シート防水
シート防水は、塩化ビニル樹脂(塩ビ)や合成ゴム系の防水シートを下地に貼り付けて防水層を形成する工法です。工場成型されたシートを使用するため厚みが均一で、塗膜防水のように職人ごとの仕上がり品質のばらつきが少ないのが特徴です。耐候性に優れたシート材を用いることで紫外線や熱にも強く、耐用年数は一般に約10~15年程度(材料によっては20年近く持つことも)とされています。ゴムシートより塩ビシートのほうが厚手で耐久性が高く長持ちです。
シート防水の施工法には、下地に接着剤で全面貼り付ける「接着工法」と、専用金具・ビスで機械的に固定する「機械固定工法(絶縁工法)」の2種類があります。下地に直接貼らない機械固定工法は通気性が確保できるため、下地に水分が残っている場合や雨漏り箇所がある場合でも施工しやすい利点があります。改修工事では既存の防水層を撤去せずカバー工法でシートを重ねられる場合も多く、下地処理の手間が省けて工期が短縮できるのもメリットです。
メリット
シート防水に使われるシート材は紫外線・熱・雨水に強く、防水性能と耐久性に優れた素材です。シートを貼るだけなので施工が比較的簡単で工期が短く、広い面積を一度にカバーできるため人件費を抑えられ費用を安くできる場合が多いです。材料が軽量なため建物への負荷も小さく、既存の防水種類に関係なく施工できる汎用性もあります。古い防水層の上から施工可能なケースでは撤去工事が不要となり、工事全体の期間短縮やコスト削減につながります。さらに、シート防水は施工中に煙や強い臭気が発生しないため、近隣住民への影響が少なくマンションや住宅密集地でも安心して工事を行える工法です。
デメリット
シートを平坦に貼り付ける工法上、下地の形状が凸凹だったり入り組んだ屋上には不向きです。複雑な形状の屋上や設備配管が多い場合、シートを細かくカット・ジョイントして貼る必要があり、防水層の信頼性や仕上がりに影響が出る可能性があります。またシート同士の継ぎ目(ジョイント部)を接着剤や溶着で処理するため、施工不良があるとその部分が雨水の侵入ポイントになりえます。厚みのあるシートを使う分、細かな立ち上がり部分や複雑なディテールへの施工は難しく、その点では職人の技量も要求されます。さらにシート自体は硬質ではないため、人が頻繁に歩く場合は保護マットの敷設やトップコート塗布による表面保護が望ましいです。総じて、平坦で広い屋上には適していますが、狭小部や複雑部には適さない点に注意しましょう。
アスファルト防水
アスファルト防水は、古くからある伝統的な屋上防水工法で、改質アスファルトを含浸させたシート(ルーフィング)とアスファルト溶液を何層にも重ねて防水層を作る方法です。世界最古の防水工法とも言われ、その信頼性は極めて高く、水密性・耐久性に優れるため施工不良も起きにくい安定した工法です。一般的な耐用年数は約15~25年と他の工法より長く、保護コンクリート仕上げとすることでさらに長期化(20年以上)も可能です。アスファルト防水には主に3種類の施工法があり、熱したアスファルトを用いる「熱工法」、バーナーでシート裏を炙り溶着する「トーチ工法」、シート裏の粘着材で貼り付ける「常温工法」に分類されます。熱工法は最も歴史がありますが施工時に煙や臭いが大量に発生する欠点があり、近年は安全面・環境面に配慮して臭気や火気の少ない常温工法やトーチ工法が増えています。
メリット
どの工法をとっても防水層の信頼性が高く耐久性が抜群な点が最大のメリットです。分厚いシートとアスファルト層を何重にも積層するため、防水性能に冗長性があり雨水をシャットアウトします。耐用年数の長さから今後の防水改修回数を減らせるため、長期的に見れば維持管理コストの削減につながります。実際、押えコンクリート仕上げのアスファルト防水は他工法の倍近い寿命(場合によっては30年以上)を発揮し、頻繁に改修できない大規模建物の屋上などに採用されています。さらにコンクリートで防水層を保護する仕様にすれば、屋上を歩行したり物置を設置したりと物理的な耐荷重性・耐摩耗性も高めることが可能です。総じて、防水性能優先・長寿命重視の屋上防水としては最有力の工法と言えます。
デメリット
他の工法に比べて施工費用が高価である点がデメリットです。材料費・人件費ともに高くつきますが、その分長持ちするため初期費用とライフサイクルコストのバランスを検討する必要があります。また施工時に煙や強い臭気が発生する工法(熱工法・トーチ工法)では、近隣への配慮や安全対策が欠かせません。シートやアスファルト材料自体に重量があるため、他の防水に比べ屋上荷重が増加する点にも注意が必要です。特に押えコンクリートまで施す場合は構造体の耐荷重性を確認しておく必要があります。さらにシートが肉厚なぶん細部の取り合い施工が難しく、複雑な設備機器周りでは職人の高い技術力が要求されます。工期も長めで、施工中の天候(雨天や低温)に左右されやすい点も留意しましょう。
FRP防水
FRP防水は、ガラス繊維で強化したプラスチック(FRP=繊維強化プラスチック)を液状樹脂で屋上全体に塗り重ねて防水層を形成する工法です。防水材を塗る「塗膜防水」の一種で、ガラスマットと樹脂を何層か積層して硬化させます。耐用年数は約10~15年程度で、他の工法と比べても高い耐久性・防水性を持ちます。硬化時間(樹脂が固まる時間)が短く施工が1日で完了するケースも多いため、工期の短さもメリットです。またFRP自体が軽量素材のため、施工後も建物に負荷をかけにくい工法です。価格も4工法の中では比較的安価とされ、高層マンションやオフィスビルなど重量負担を抑えたい建物にも適しています。
メリット
FRP防水は硬化後に非常に硬質で強度が高く、耐候性・耐食性にも優れるため頑丈な防水層を形成できます。継ぎ目のないシームレスな美しい仕上がりになる点も特徴です。工期が短く人の出入りが多い場所でも施工しやすいため、共用部のある屋上や屋上駐車場などにも向いています。さらに軽量なので建物への負担が少ない点もメリットとなります。
デメリット
FRP防水は硬化後に伸縮性が低いため、下地や建物の動きに追従しづらい欠点があります。大きな地震や建物の揺れで防水層にひび割れが生じる恐れがあり、特に広い面積の屋上や構造躯体の変形が大きい木造建築物には不向きです。施工中には樹脂特有の強い臭いが発生する点にも留意が必要です。また、他の塗膜防水と同様に防水層を守るトップコート(表面塗装)は約5年を目安に再塗装が必要となり、放置すると防水層自体の劣化が進んでしまいます。
各工法の比較表(耐用年数・費用相場・向いている建物)
上記4種類の防水工法について、耐用年数や費用、施工の特徴や適応する屋上のタイプを表にまとめました。工法選びの参考にしてください。
工法 | ウレタン防水 | シート防水 | アスファルト防水 | FRP防水 |
---|---|---|---|---|
耐用年数(目安) | 約10年前後 | 約10~15年 | 約15~25年 | 約10~12年 |
費用相場(目安) | 5,000~12,000円/㎡程度 | 8,000~15,000円/㎡程度 | 11,000~22,000円/㎡程度 | 6,500~10,000円/㎡程度 |
特徴・施工性 | 液体塗膜(複数回塗り) | シート貼付(接着or機械固定) | 複数層積層(熱・常温工法) | 塗膜+ガラス繊維層(硬化が速い) |
向いている屋上 | 設備や段差が多い屋上 | 広く平坦な屋上 | 大規模建物の屋上 | 小~中規模の屋上 |
耐用年数はあくまで目安です。使用材料の品質や施工条件、定期メンテナンス状況によって実際の寿命は前後します。例えばアスファルト防水でも保護コンクリート仕上げにするとさらに寿命が延びるケースがあります。
費用相場は防水面積や下地状態によっても変動します。一般にウレタン防水やFRP防水は初期費用を抑えやすく、シート防水は面積が広いほど㎡単価が低減しやすい傾向があります。アスファルト防水は他工法の倍近い費用になる場合もありますが、その分耐用年数が長い点を考慮しましょう。
施工性・適応について、屋上の形状・用途や重視するポイントによって適した工法が異なります。次章では屋上の種類や利用状況別に、どの防水工法が向いているかを解説します。
屋上の用途・構造別おすすめ防水工法
建物ごとに屋上の形状や使い方は様々です。ここでは代表的なケースごとに、どの防水工法が適しているかを紹介します。
陸屋根(平らな屋上)の場合
マンションやビルに多い陸屋根(水平で立ち上がりのある屋上)では、基本的にどの工法も採用可能です。広い面積の平屋上ではシート防水やアスファルト防水が選ばれる傾向にあります。シート防水は工期が短く人件費を抑えやすいため、大面積でも比較的低コストで施工でき、職人の腕による品質差も出にくいので安心です。一方、アスファルト防水は初期費用は高いものの耐久性が非常に高く、今後の防水改修回数をできるだけ減らしたい場合に有力な選択肢です。建物の規模が大きく長期運用を見込む場合は、ライフサイクルコストで有利なアスファルト防水が検討されます。
もちろん陸屋根でも、屋上形状や重視ポイントによって他の工法が適する場合があります。ウレタン防水は複雑な形状でも対応できるため、設備機器や配管が多く入り組んだ屋上ではシートやアスファルトよりも適しています。下地にひび割れが多い場合や勾配(傾き)が不十分で水たまりができやすい屋上には、通気緩衝工法のウレタン防水で下地からの膨れを防止しつつ、美観も確保する方法が効果的です。また中小規模の屋上で工事期間を短く済ませたい場合や、施工後すぐに使用再開したい場合はFRP防水が有力です。
このように陸屋根の場合は建物の用途・ニーズに合わせて柔軟に工法選定が行われます。迷った時は専門業者に建物調査を依頼し、下地の劣化具合や予算に応じて最適な防水工法を提案してもらうと良いでしょう。
傾斜屋根(勾配屋根)の場合
傾斜屋根(いわゆる三角屋根や片流れ屋根など勾配のある屋根)の防水は、基本的に本記事で紹介した防水工法とは別のアプローチになります。勾配屋根では瓦や金属屋根材など屋根材自体が雨仕舞いの役割を果たし、その下に防水シート(ルーフィング)を敷く二重構造で雨漏りを防ぐのが一般的です。したがって傾斜屋根の場合、屋根材の劣化や下葺き防水シートの寿命に合わせて屋根そのものの葺き替え工事を行うのが防水リフォームの基本となります。例えば瓦屋根なら瓦の再施工とルーフィングシートの張替え、金属屋根なら重ね張りや塗装によるメンテナンスが該当します。
一方、緩やかな傾斜のあるコンクリート屋根や折板屋根など、屋根材を使用しない半陸屋根的な勾配屋根では、シート防水やウレタン塗膜防水が採用されるケースもあります。勾配がある屋面に防水シートを施工する際は、接着工法ではシートがずれやすいため機械的固定工法が用いられます。機械固定工法は下地にディスク板やアンカーでシートを留め付けるため、勾配があってもシートが滑らず安心です。また下地にひび割れ等があっても接着剤を使わない分影響を受けにくく、防水層が地震の揺れにも追従しやすいというメリットがあります。総じて傾斜屋根では屋根材+下葺きシートによる従来工法で防水を確保し、特殊な事情がない限りウレタン・シート・アスファルト・FRPといった「屋上防水」用の工法を直接露出で施工することは稀です。傾斜屋根の雨漏り対策には屋根材の点検・補修や葺き替えを検討しましょう。
共用屋上・歩行可能な屋上の場合
居住者が立ち入れる共用屋上や屋上庭園・屋上駐車場など、人が歩行する前提の屋上では、防水層の上に保護層や仕上げ材を設けるか、歩行に耐える強度の工法を選択する必要があります。FRP防水は硬化後に硬い防水層となり衝撃や摩耗に強いため、人通りの多い場所でも直接歩行可能です。実際、マンションの共用ベランダやバルコニーではFRP防水が使われる例が多く、屋上駐車場でも短い工期で強く耐久性の高い仕上がりになるFRP防水が適しています。ただしFRPは広い面積だとひび割れが起きやすいため、何百㎡にも及ぶような大面積の共用屋上では、伸縮性のあるウレタン防水+保護トップコート仕上げなど他の方法も併用して検討しましょう。
一方、屋上全体をタイル敷きのテラスや緑化広場とするような場合、防水層自体に歩行強度を求める必要はありません。このようなケースでは、防水層にはアスファルト防水やシート防水を採用し、その上にコンクリート平板やタイル、人工芝などの保護層・仕上げ層を設ける方法が一般的です。特にアスファルト防水はコンクリートで押さえ込む構造に適しており、耐荷重性が求められる屋上プールや屋上庭園などでも採用例があります。シート防水の場合も、上に浮き敷きのタイルデッキや置き敷き型のゴムチップマット等を配置して防水層を保護すれば、人が歩いても問題ありません。重要なのは、防水層を露出のまま人が頻繁に歩くと劣化が早まる点に注意することです。共用屋上では利用目的に応じて適切な仕上げ方法を選び、防水層が傷まない工夫を施しましょう。
防水工事を依頼する際の注意点
屋上防水工事を成功させるには、工法選びだけでなく依頼する業者選びや契約内容の確認も重要です。
防水工事を専門業者に発注する際に押さえておきたいポイントを解説します。
信頼できる業者を選ぶ
防水工事は専門的な技術が要求されるため、実績豊富で信用できる業者に依頼しましょう。過去に似た建物・屋上での施工経験が豊富な業者は様々な状況に対応したノウハウがあり安心です。防水工事業者の業界団体(協同組合等)に所属している会社であれば、一定の技術基準や最新情報を共有しているため信頼性が高い傾向があります。施工事例や口コミも参考にし、十分に比較検討してください。
保証内容とアフターサービスの確認
工事後の保証制度が充実しているか必ず確認しましょう。防水工事の保証期間は一般的に5~10年程度が多く、業者や工法によって異なります。保証書の有無、保証範囲(雨漏り箇所の無償補修など)を契約前に明確にしておきます。また、完工後の定期点検やトップコート再塗装などアフターサービスを行ってくれる業者だと尚安心です。保証期間内でも適切なメンテナンスを怠ると保証対象外になる場合もあるため、引き渡し時に注意事項を確認しておきましょう。
見積もり内容のチェック
複数の業者から見積もりを取り、工事内容と金額を比較検討することをおすすめします。防水層の種類・施工面積・下地調整・廃材処分費・保証内容などが詳細に記載された見積書が望ましいです。疑問点があれば遠慮なく質問し、専門用語も丁寧に説明してくれる業者は誠実で信頼できるといえます。不明瞭な項目がある場合は契約前にクリアにしておきましょう。
第三者による施工チェック
マンションの大規模修繕やビルの改修工事では、第三者監理(第三者による工事監督)を導入するケースもあります。建築士や防水診断士など専門知識を持つ第三者に施工品質をチェックしてもらうことで、施主(発注者)と施工業者双方にとって公平・客観的な視点で工事を管理できるメリットがあります。小規模工事では難しいかもしれませんが、特に防水工事の知見が少ないマンション管理組合などでは、第三者のアドバイスを受けられる体制を検討すると安心です。
以上の点を踏まえ、信頼性・技術力・保証面で納得できる業者に工事を依頼しましょう。防水工事は完成後の目に見えない部分だからこそ、確かな施工と万全のアフターケアが重要です。
よくある質問(Q&A)
Q1. トップコートの塗り直しは本当に必要ですか?
A.はい、必要です。屋上防水の表面には防水層を紫外線や雨水から保護するトップコート(上塗り塗装)が施工されています。トップコート自体は日射や熱で劣化が進むため、一般に5年程度を目安に再塗装が推奨されます。トップコートが劣化して剥がれたりすると、その下の防水層が直接紫外線や風雨にさらされ、防水性能の低下を早めてしまいます。防水層を長持ちさせるためにも、定期的なトップコート塗り替えによるメンテナンスは欠かせません。
Q2. 防水工事にはどれくらいの保証期間が付きますか?
A.一般的な防水工事の保証期間は5年~10年程度が多いです。これは施工業者や工法、使用材料のメーカー保証などによって異なります。例えばウレタン塗膜防水やシート防水では10年保証とする業者が多く、FRP防水は10年未満(5~7年程度)のこともあります。アスファルト防水は耐用年数が長いこともあり、10年以上の独自保証を設定するケースもあります。いずれにせよ、保証期間内であっても定期点検や適切な維持管理が条件となることが多いです。契約時に保証書を受け取り、保証内容と条件を必ず確認しましょう。
Q3. 防水工事を行うのに最適な季節やタイミングは?
A.防水工事は雨天を避けて行う必要があるため、一般的には梅雨や降雪期を除いた春(3~5月)や秋(9~11月)の晴天が続く時期が理想とされています。特にウレタンやFRPなど塗膜防水は湿度や気温の影響を受けやすく、乾燥が必要な工程が多いため、乾燥しやすい季節が向いています。真夏も施工自体は可能ですが、高温で材料が硬化しやすく職人の作業負担も大きいため、気候の穏やかな時期が望ましいでしょう。一方で雨漏りが発生している場合は季節を待たず早急な対応が必要です。応急処置で雨漏りを防ぎつつ、晴れ間を見計らって部分補修や防水改修を実施してください。最近では天候に左右されにくい速硬化型の材料も出ていますが、基本的には天気予報を注視して計画を立てることが重要です。
Q4. 古い防水層の上に重ねて新しい防水工事はできますか?
A.状況によりますが、可能な場合が多いです。既存の防水層が比較的平滑で下地の劣化が進んでいなければ、撤去せずその上に新たな防水層を重ねる「カバー工法」が採用できます。例えば塩ビシート防水では古い防水面を清掃・下地調整した上で機械的固定工法で新シートを張ることで、撤去工事なしに改修完了できる場合があります。ウレタン防水でも既存塗膜を活かした重ね塗りが可能です。ただし、既存防水が著しく劣化・損傷している場合や、下地に不陸(凹凸)が多い場合はカバー工法に適しません。シート防水が浮いていたり下地から水分が上がっているようなケースでは、古い防水層を一度撤去して下地補修を行った上で新規防水を施工するのが安全です。判断が難しい場合は専門家に現地調査を依頼し、最適な改修方法を提案してもらいましょう。
まとめ:建物に合った防水工法を選ぶことが資産価値を守る第一歩
屋上防水の種類ごとの特徴や選び方について解説してきました。「屋上防水」と一口に言っても、ウレタン防水・シート防水・アスファルト防水・FRP防水と大きく4種類があり、それぞれメリット・デメリットや適した用途が異なります。大切なのは建物の構造や屋上の状態、予算、将来的な維持計画に応じて最適な工法を選択することです。防水工法の選び方一つで建物の寿命やメンテナンス費用は大きく変わります。専門家の意見も参考に、自分の建物にとってベストな防水方法を見極めましょう。
そして工法選定以上に重要なのが「確かな施工」です。どんな優れた防水材料も、施工不良があっては十分な性能を発揮できません。信頼できる防水のプロに依頼し、完了後は定期点検と適切なメンテナンスを続けることで、防水層の寿命を最大限延ばすことができます。建物の資産価値を守る第一歩は、建物に合った防水工法を選び、確実な施工で雨漏りリスクを取り除くことです。屋上防水の適切な実施で大切な建物を長持ちさせ、安心・快適な建物環境を維持していきましょう。
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本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
本記事の監修者
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遠藤 七保
大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。
二級建築士,管理業務主任者
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