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タワーマンションの大規模修繕ができない?管理組合が知るべき課題と対策

更新日:2025年12月19日(金)

タワーマンション(超高層マンション、以下「タワマン」)にお住まいの方や管理組合にとって、大規模修繕工事は避けて通れない重要課題です。しかし近年、「タワマンでは大規模修繕ができないのでは」と不安視する声も聞かれます。実際、タワマン特有の構造上・運営上の問題から、従来のマンションより修繕工事の難易度が高いのは事実です。 本記事では、大規模修繕の基本とタワマンでそれが難しい主な理由、そして管理組合として講じるべき改善策を、実用性を重視して解説します。適切な知識と準備で、タワマンの資産価値と安全・快適な住環境を守りましょう。

本記事のポイント
  • 超高層特有の修繕課題(足場・工費・設備更新など)とその背景を理解できる
  • 管理組合が講じるべき準備・計画策定、専門家活用の具体策が学べる
  • 合意形成・修繕積立金不足対策など、住民対応・資金面の改善ポイントがわかる

大規模修繕とは?その定義と実施周期

マンションの大規模修繕とは、建物の経年劣化に対して適時適切な補修・修繕・改良工事をまとめて行い、新築時に近い性能や機能を回復・維持させる大掛かりなメンテナンス工事のことです。具体的には、防水工事・外壁塗装・シーリング補修などの建築系工事から、給排水管や電気設備・エレベーターなど設備系の更新工事まで、多岐にわたる作業を含みます。マンションの快適な居住環境を確保し資産価値を維持するために、定期的な大規模修繕は不可欠です。

大規模修繕の実施周期はおおよそ12~15年に一度が目安とされています。これは国土交通省のガイドライン(「長期修繕計画作成ガイドライン」)で示された標準的な周期で、新築から10年前後で外壁劣化診断が必要とされる建築基準法の規定等も踏まえたものです。

なお近年は、耐久性の高い材料の採用や適切な中間補修により、15年超~18年程度へ長周期化を検討するマンションも増えています。とはいえ、建物の状況によって最適な周期は異なるため、各管理組合が劣化状況を見極めて計画的に判断することが重要です。

タワマンで大規模修繕が難しい主な理由

一般的に、中低層マンションでも大規模修繕工事は多大な労力と費用を要しますが、タワマンでは特に難易度が高いと言われます。国交省の調査でも、タワマンの修繕工事について施工業者の半数以上が「施工計画全般が難しい」と回答しています。その背景には以下のような複数の要因が複雑に絡み合っています。

仮設足場の設置が困難

タワマンのような高層建物では、通常の地上から組み上げる枠組み足場を全面に設置すること自体が困難です。安全上の理由から枠組み足場は高さ約60メートルまでが限界とされており、それ以上の高さでは実用に耐えません。そのため超高層階の外壁工事には、屋上から吊り下げるゴンドラや一部昇降式の特殊足場を用いる必要があります。しかしこれら仮設設備には制約とリスクが伴います。ゴンドラ設置には屋上の十分なスペースと強度が必要で、強風時や降雨時には作業中断を余儀なくされます。また、高層ゆえに落下物防止対策や周辺への飛散防止ネットなど万全の安全措置が欠かせず、足場計画が極めて難しくなります。

特殊工法による工事費の増加

前述のように通常足場が使えないため、タワマンの外壁・塗装工事ではゴンドラ作業やロープアクセスなど特殊工法が主体となります。当然ながらこれら仮設設備・工法の導入には時間とコストがかかるため、一般のマンションに比べて工事費用が割高になります。国交省の実態調査によれば、タワマンでは大規模修繕工事費用に占める仮設工事(足場・養生等)の割合が29.0%と、非タワー型マンション(約21.9%)に比べて著しく高くなることが報告されています。さらに超高層ゆえ工事期間も長期化しやすく、工期の延長は人件費や仮設設備リース費の増大につながり、総工費を押し上げる要因となります。実際、タワマンの大規模修繕は2~3年がかりの長期プロジェクトになるケースも珍しくありません。

合意形成の難しさ

タワマンは戸数が数百戸規模に及ぶことも多く、区分所有者の数が桁違いです。居住者のライフスタイルや価値観も様々なうえ、賃貸住戸も含めて全員の協力を得るのは容易ではありません。特に都心部の高級タワマンでは海外の富裕層による購入も増えており、外国籍の区分所有者や海外在住オーナーも存在します。このような場合、言語やコミュニケーションの壁に加え、「所有者が海外にいて連絡が取りにくい」などの問題から、修繕内容の周知や合意形成に一層の困難が伴います。さらにタワマンでは低層階と高層階で眺望や設備へのニーズが異なり、修繕の優先度に対する住民間の意識差も生じがちです。多数の利害調整には時間がかかり、総会での議決に至るまでに難航するケースも少なくありません。

修繕積立金の不足と長期修繕計画の見直し

タワマンでは新築当初に設定された毎月の修繕積立金額が将来的な修繕費を賄うには不足しがちと指摘されています。販売時に購入ハードルを下げるため積立金を低めに設定する例も多く、その結果、いざ第一次の大規模修繕時期を迎えて試算すると数億円規模の資金不足が判明するケースもあります。この主因は、分譲時に策定された長期修繕計画の前提単価が古く、現実の工事費高騰に追いついていないことです。計画より資材価格や人件費が大幅に上昇しており、当初想定の積立ペースでは全く足りなくなっているのです。

さらに築年数の経過とともにエレベーターやポンプ類など高額設備の更新期も重なり、2回目・3回目の修繕では必要額がさらに巨大化する傾向があります。十分な資金がないままでは工事内容を削減せざるを得ず、建物の劣化が進行して資産価値が低下する悪循環に陥りかねません。こうした財政面の懸念から、「タワマンは修繕積立金不足で大規模修繕できない」として早めの売却を検討する動きも見られるほどです。

大型設備更新の難易度

タワマンには高層建物特有の大型設備が備わっており、その更新・改修が技術的にも経済的にも難しい点も見逃せません。例えば非常用の高圧受電設備・発電機や高層用の高速エレベーターなどは、一般的な低層マンションにはない規模・性能を持ちます。これらの設備は耐用年数が25~30年前後とされ、初回の大規模修繕(築12~15年)では対応しきれず2回目以降の修繕サイクルで巨額の更新費用が必要になります。エレベーター1基あたりの改修費用は数千万円から1億円超とも言われ、タワマンでは複数基を備えるため財政負担が非常に大きくなります。

また、こうした設備の更新工事では長期間にわたりエレベーターの使用停止や非常電源の停止を伴う可能性があり、居住者の日常生活への影響も深刻です。代替設備の設置や仮設電源の確保など高度な施工計画が要求され、専門業者も限定されるため相見積もりが難しく費用の妥当性判断も難しいという課題があります。

さらに前述のように高額設備の更新時期を見誤ると、修繕積立金計画に大穴を開けるリスクも高いでしょう。タワマンならではの大型設備更新は技術面・資金面双方で管理組合にとって大きなハードルとなります。

以上のような要因により、タワマンの大規模修繕工事は「難工事」となりがちですが、決して不可能なわけではありません。次章では、管理組合が主体となってこれら課題を乗り越えるための実践的な改善策を紹介します。

大規模修繕を成功させるための改善策

タワマンの修繕課題に直面した管理組合が早めに取るべき対応策として、以下のポイントが挙げられます。専門家の知見を借りながら計画的に準備することで、「大規模修繕ができない」といった事態を回避し、スムーズな工事の実現につなげましょう。

専門コンサルタントの活用(技術支援と合意形成サポート)

タワマン修繕の豊富な実績を持つ建築コンサルタント会社や一級建築士事務所に相談し、技術面・合意形成面双方のサポートを受けることを検討しましょう。具体的には、劣化診断から工事仕様の検討、業者選定の助言、さらには組合員への説明資料作成や意見集約のファシリテーションまで、専門家に中立的な立場で協力してもらいます。国土交通省の標準管理規約でも、長期修繕計画の定期的な見直しや修繕積立金の適正額の検討について、必要に応じ専門家の助言を得ることが推奨されています。専門コンサルの関与により工事内容の妥当性・透明性が確保され、区分所有者への丁寧な説明を通じた合意形成も格段に進めやすくなります。

修繕積立金シミュレーションの実施と計画的な増額

修繕資金の不足を防ぐには、長期修繕計画の早期見直しと積立金シミュレーションが欠かせません。築年数が進んだタワマンでは、現在の長期修繕計画が現実に合っているか、国交省ガイドラインで示された適正額と比べて不足していないかを定量的に検証しましょう。もし予測上、このままでは資金不足が避けられない場合には、段階的な積立金の増額や一時金徴収も視野に入れて早めに組合内で合意形成を図るべきです。

実際、近年では新築時から一定年数ごとに積立金を引き上げる段階増額積立方式を採用するマンションも一般的になりつつあります。いざ大幅値上げとなる前に、シミュレーション結果を共有し「今後〇年間で◯%ずつ積立金をアップする」といった計画的な措置を講じることが、住民の負担軽減と安定した資金確保につながります。

新技術・新工法の導入による効率化

タワマン特有の施工制約を打破するため、建築技術の進歩も積極的に取り入れましょう。例えば近年注目されているのが、ドローン(無人航空機)を活用した外壁調査です。従来は外壁タイルの浮きやひび割れを確認するために高所作業車やゴンドラを設置して専門技術者が打診調査を行っていましたが、ドローンで外壁を撮影・赤外線解析すれば足場を組まず短期間・低コストで劣化診断が可能です。調査用足場の設置に数週間~1ヶ月を要し数百万円以上の費用がかかっていたものが、ドローンなら天候等の条件次第でわずか1日程度で完了し、記録データも高精度に保存できます。ドローン調査によって外壁全面の劣化状況を把握し、本当に足場を組んで補修すべき範囲を絞り込めれば、仮設工事の省力化(いわゆる“仮設レス工法”)*につながります。

他にも、建物に設置した垂直ガイドラインに沿って自動昇降する特殊な検査ロボットの開発事例や、飛散防止ネット一体型の新型ゴンドラの導入など、超高層建築向けの新技術が次々に登場しています。これらを上手に採り入れることで、「タワマンだから足場を組めず修繕できない」という状況を打開し、安全性と経済性を両立した工事を実現できる可能性が広がっています。

まとめ

タワーマンションの大規模修繕工事は、仮設足場から合意形成、資金計画に至るまで通常のマンション以上にハードルが高いのは事実です。しかし、本稿で述べたように課題を正しく理解し、早め早めに手を打つことで「修繕ができない」事態は回避できます。管理組合が中心となり、専門家の知恵を借りつつ資金と計画を着実に準備すれば、タワマンでも適切なタイミングで必要な大規模修繕を実施することは十分可能です。

大切なのは、建物と居住者の将来を見据えて合意形成へ粘り強く取り組む組合のリーダーシップと、技術の進歩を味方につける前向きな姿勢でしょう。定期的な修繕の積み重ねにより、あなたのタワマンの安全性・快適性・資産価値を末長く維持できることを願っています。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

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