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【マンション】ベランダの大規模修繕でよくあるトラブルまとめ|安全に工事を行ポイントは?

更新日:2025年09月29日(月)

本記事では、マンションのベランダ修繕工事でよくあるトラブル事例をまとめ、その原因と対策を解説します。さらに、大規模修繕を安全かつ円滑に進めるためのポイントも紹介するので、マンションの大規模修繕でベランダのトラブルを避けるための準備にお役立てください。

本記事のポイント
  • ベランダ修繕で発生しやすいトラブルの事例と原因を学べる。
  • 住民対応や使用制限など、クレーム防止の工夫が理解できる。
  • マンションのベランダに関する大規模修繕を安全に実施するポイントを押さえられる。

【マンション】ベランダの大規模修繕でよくあるトラブルまとめ

マンションの大規模修繕、とりわけベランダ部分の工事では居住者の生活に直接影響するトラブルが頻発します。事前にどんな問題が起こり得るかを知っておけば、管理組合や施工業者も備えや対策を講じやすくなります。これから、ベランダ修繕工事で特に起きやすい代表的なトラブル4点を説明します。

その1:ベランダの私物撤去をめぐる住民トラブル

大規模修繕ではベランダ上の鉢植え・自転車・物置など私物は全て撤去が必要ですが、一部の居住者は「自分の物をなぜ今さら?」と反発し、撤去を拒否するケースが多発しています。

ベランダは各住戸が専用使用できるものの法的には共用部分であり、管理規約で使用ルールが定められています。したがって修繕作業時には全員が私物片付けに協力する義務があります。しかし長年放置されていた私物を急に動かすよう求められると、「ベランダは自分の敷地」という誤解から納得せず感情的対立に発展する住民も少なくありません。

実際に管理組合がベランダの私物撤去を依頼しても対応が遅れ、工事開始が遅延するトラブル事例があります。特に高齢者世帯や荷物の多い家庭では「片付ける時間がない」「置き場がない」と対応が渋ることもあります。対策として、工事前に「いつまでに何を撤去すべきか」を書面で明示し、説明会で理由を丁寧に説明しておくことが重要です。必要に応じて管理組合が一時保管場所を用意したり、作業を手伝う柔軟な対応も検討しましょう。また、移動作業を施工会社に協力依頼することも一案です。事前の周知とサポートによってこの種のトラブルは大幅に減らせます。

その2:ベランダ使用制限への不満・クレーム

足場の設置や防水塗装の作業中は安全確保のためベランダの使用が一定期間禁止されます。その結果、「洗濯物が干せない」「換気ができない」といった居住者の不満が噴出しやすく、工事への苦情につながりがちです。

大規模修繕中はベランダへの出入りや物干しが禁止されるケースが多く、日常生活に直結する制約となります。特に日中長く家にいる高齢者や小さなお子さんのいる家庭では生活への影響が大きく、ストレスが溜まりやすいポイントです。十分な説明や代替策の提示がないと、不満がエスカレートして工事そのものへの反発を招く恐れがあります。

「いつまでベランダが使えないのか聞いていない」「ベランダが使えず生活に困る」というクレームは典型例です。たとえば塗膜防水の乾燥期間中は数日間物干し禁止ですが、その説明が不十分だと住民の苛立ちにつながります。対策として、使用制限の期間・理由・具体的な影響を事前に周知し、室内干し用器具の貸出しや工事スケジュールの見える化(掲示板への掲示)など生活を補う工夫を行いましょう。丁寧な説明と配慮によって、使用制限によるトラブルの芽を小さく抑えることができます。

その3:騒音・塵埃・塗料臭など工事環境による苦情

大規模修繕の工事中は騒音や粉じん、塗料の臭いが避けられず、居住者の生活環境は一時的に悪化します。そのためストレスが増大し、居住者だけでなく近隣住民からも苦情が寄せられるケースがあります。

コンクリートの壁を削る音や塗装作業のにおい、飛散する埃などは長期間続くと住環境を大きく損ねます。例えば騒音による会話や睡眠への支障、埃で洗濯物や家具が汚れる被害、さらに養生シートで日当たりが悪くなるなど日常生活への負担が蓄積します。こうした状況が続くと住民のストレスが高まり、管理組合や施工会社へのクレーム件数が増える傾向にあります。

「工事の音がうるさくて在宅勤務に支障が出ている」「塗装の臭いで気分が悪い」といった苦情は実際によく報告されています。また、高所作業車の稼働音や振動が近隣住宅に伝わり、マンション外部からも苦情が入るケースもあります。対策として、騒音や臭気の発生時間帯を事前通知し、可能であれば作業時間を短縮したり分散したりするなどの配慮が求められます。さらに、近隣への挨拶回りや告知チラシの配布によって理解を得る努力も欠かせません。

その4:足場設置による防犯・プライバシーリスク

建物全体を覆う足場が設置されることで空き巣被害やプライバシー侵害のリスクが高まります。実際、足場を伝ってベランダから侵入する空き巣が増える傾向があり、作業員がベランダ先にいることで「洗濯物や室内を見られて落ち着かない」という声も上がります。

大規模修繕中は多くの作業員が出入りするため、不審者が紛れ込んでも発見が遅れる恐れがあります。また建物外周に足場とシートが巡らされると、高層階まで第三者が容易にアクセスできる状態になるため、防犯上のリスクが平時より高まります。加えて、ベランダの真正面に人が立つ状況が続くことで居住者の心理的な負担(プライバシーの喪失感)も大きくなります。

実際に修繕工事期間中のマンションで空き巣被害が発生したケースや、足場を利用して部外者が侵入を図った未遂事例が報告されています。また「カーテンを開けられず日中も薄暗い生活でストレス」といったプライバシー面の訴えも典型的です。対策として、工事期間中は全作業員に識別できる腕章(アームバンド)を着用させるほか、防犯カメラや人感センサーライトを増設して不審者の侵入抑止を図りましょう。住民側も貴重品を室内に入れる・戸締りを徹底するなど防犯意識を高める必要があります。

マンションのベランダに関する大規模修繕を安全に実施するポイント

マンションのベランダ大規模修繕工事を安全かつ円滑に進めるには、事前の情報共有とルール整備、そして防犯対策が重要です。ここでは、上記トラブルを防ぎながら工事をスムーズに進行させるためのポイントを3つ紹介します。

ポイント1:工事前の十分な情報共有と説明会の開催

トラブルの多くは「聞いていない」「知らなかった」という情報不足から生じます。そこで工事前の丁寧な説明会と周知徹底により、住民の理解と協力を得ることがトラブル未然防止の第一歩です。

特にベランダ私物の撤去や使用制限といったデリケートな問題は、事前に理由と必要性をしっかり説明し納得してもらうことでクレーム発生を大幅に減らせます。説明会では工事内容・スケジュール・制限事項を具体的に示し、「なぜその対応が必要か」という目的まで伝えることが重要です。住民に質問や不安を直接ぶつけてもらい、双方向のコミュニケーションを図ることで信頼関係も醸成されます。

管理組合主催で着工前に説明会を複数回開催し、平日に参加できない人には休日開催や資料配布でフォローしたマンションでは、修繕工事期間中のクレーム件数が明らかに減少しました。また、会議室に写真や図面を掲示して視覚的に工事内容を説明したり、「質問箱」や専用掲示板で常時意見を受け付ける仕組みを作った事例もあります。単なる事務連絡ではなく、住民との対話と納得感づくりを重視する姿勢が安全な工事進行につながります。

ポイント2:ベランダ利用ルールの明文化と周知徹底

ベランダに関する利用ルールやガイドラインを事前に明文化し、全住民に周知しておくことがトラブル抑止に効果的です。曖昧な点を残さず取り決めておけば、「聞いていない」「自分はやらなくてもいいと思った」といった誤解による対立を防ぎやすくなります。

事前に配布するガイドラインには、ベランダの位置付け(共用部分であること)や使用制限の内容、撤去すべき私物の範囲、工事期間中の禁止行為などを具体的に記載します。例えば「○月○日までに植木鉢・物置は撤去」「期間中は終日ベランダ立ち入り禁止」等、期限や手順を明示することで住民も行動に移しやすくなります。これらのルールは「住民の安全と建物維持のために必要な措置」であることを強調し、理解を求めましょう。

あるマンションではベランダ管理ルールブックを作成し、写真付きで「撤去対象の私物リスト」まで掲載しました。判断に迷う物についても具体例を示したことで住民の理解が深まり、撤去漏れによる工事遅延ゼロを達成しています。ルールを一方的に押し付けるのではなく、「安全な暮らしと資産価値維持のために皆で守る決まり」と位置付けることがポイントです。ガイドライン整備により管理組合への信頼感も高まり、結果的に協力を得やすくなるでしょう。

ポイント3:防犯対策の強化と専門家の活用

修繕工事期間中は平時以上に防犯意識を高めた環境整備が必要です。具体的には、作業員の識別徹底・監視カメラの活用などハード面の防犯対策を強化するとともに、管理組合だけで抱え込まず専門家の力を借りることも有効です。

前述の通り足場設置による空き巣リスクが高まるため、施工業者には作業員の身元確認と識別措置の徹底を契約段階で求めましょう。また必要に応じて仮設足場付近に防犯カメラやセンサーライトを増設し、犯行抑止力を高めます。加えて、修繕委員会や理事会には建築や防犯の専門知識を持つ人材がいない場合が多いため、第三者の専門家(建築コンサルタントなど)のアドバイスを受けながら計画を進めることが重要です。

ある管理組合では地元警察と連携して工事期間中の巡回を強化し、防犯パンフレットを全戸に配布しました。その結果、足場組立中から解体まで一件の侵入被害も発生せずに工事を完了しています。また、大規模修繕コンサルタントに定期巡回・品質チェックを委託し、専門家の視点で安全管理を二重に確認する体制を敷いたマンションもあります。専門家のサポートにより、管理組合の負担が軽減され安心感も向上するため、必要に応じて積極的に活用しましょう。

まとめ

マンションのベランダに関する大規模修繕工事では、居住者対応や防犯面の課題にしっかり備えることが工事成功のカギとなります。私物撤去の徹底や使用制限による影響緩和など、事前の配慮とルール作りで多くのトラブルは未然に防ぐことができます。しかし、それでも想定外の問題が起こり得るのが現実です。長期にわたる工事を安全に乗り切るためには、管理組合だけで無理をせず専門家(建築士やコンサルタント)の知恵を借りることも有効な手立てとなります。第三者の客観的な視点や豊富な経験に基づくアドバイスは、住民との信頼関係構築にも大いに役立ちます。プロの協力を得ながら計画的に準備を進めることで、マンション全体の資産価値を守りつつ安全に工事を完了させましょう。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

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