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マンション管理会社の変更は普通決議で可能?手続きと注意点を解説

更新日:2026年02月26日(木)

近年、管理会社のサービス見直しや費用削減を目的に管理会社の変更を検討するマンション管理組合が増えています。この管理会社変更は総会の普通決議(過半数の賛成)で可能なのでしょうか? 本記事では、普通決議と特別決議の違いや、管理会社変更の手続きと注意点を実務的に解説します。

本記事のポイント
  • 管理会社変更に必要な決議方法・普通決議と特別決議の違いを理解できる。
  • 総会開催から議案可決までの手続きの流れや実務上の注意点がわかる。
  • トラブル防止や合意形成に役立つ説明・議案書作成のコツが学べる。

普通決議と特別決議の違い

マンション管理組合の総会で行われる決議には、「普通決議」と「特別決議」があります。それぞれ決議に必要な賛成割合や扱う事項が異なるため、まず違いを押さえておきましょう。

普通決議(過半数で可決)

出席した区分所有者の議決権数の過半数が賛成すれば可決する決議方式です。通常、総組合員数および議決権総数の半数以上の出席(定足数)を要し、その上で過半数の賛成票をもって議案が承認されます。主に日常的な管理や運営に関する事項が対象で、以下のようなものが普通決議で決められます。

・年間収支決算や予算案の承認(前年度の決算報告・次年度の予算決定など)

・管理費や修繕積立金の金額の改定(額の変更や使途の承認)

・管理会社の選任・変更(管理委託契約の締結、更新、解除の決議)

・理事・監事など役員の選任・解任

・共用部分の軽微な変更や使用細則の改廃(ゴミ出しルールや駐車場利用規則の変更など)

特別決議(厳格な要件)

区分所有者および議決権数の各4分の3以上の賛成など、普通決議よりも高い割合の賛成が必要となる決議です。マンション全体に重大な影響を与える重要事項を扱う際に適用され、例えば次のような事項は特別決議事項とされています。

・管理規約の変更・制定・廃止(管理組合の基本ルールの改定)

・共用部分の重大な変更(建物の構造や用途に著しい影響を及ぼす変更。例:エレベーター増設等)

・管理組合の法人化の決議(管理組合を法人格化するかどうか)

・マンションの建替え・敷地売却の決議

特別決議では原則として区分所有者総数および議決権総数の各4分の3以上の賛成が必要です。建替えや敷地売却など極めて重要な案件ではさらに厳しい基準(例えば5分の4以上)が定められています。いずれにせよ、普通決議に比べ成立要件が大幅に厳しいため、事前に十分な情報提供と合意形成を行うことが求められます。

管理会社変更に必要な決議レベルと法的根拠

管理会社の契約変更は普通決議で決定可能

マンションの管理会社を変更(現行契約の解約と新会社との契約締結)する場合、その決議レベルは「普通決議」で足ります。管理会社との契約締結や解除は区分所有法上「建物の管理に関する行為」に該当し、規約変更や共用部分の処分といった特別決議事項には含まれないためです。実務上も総会の過半数決議で管理会社の変更を承認できます。

この点については、国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)にも明記されています。標準管理規約では総会で決議すべき事項の一つに「組合管理部分に関する管理委託契約の締結」(=管理会社への業務委託契約)を挙げており、管理会社の選定・契約は組合員による決議事項とされています。裏を返せば、理事会の判断だけで管理会社を変更することはできないということです。ただしこれは通常の管理行為に属する事項ですので、その決議要件自体は他の管理行為と同様に普通決議で足りると解されています。

なお、管理委託契約の更新についても、契約の継続可否を総会で諮ることが望ましいです。契約満了時に新たな更新契約を締結する際も過半数決議で承認を得るのが原則となります。契約上は更新しない場合の事前通知義務が明記されていないケースもありますが、実務上は契約満了の少なくとも数ヶ月前には現行管理会社に更新しない方針を伝えておく方が円滑です。こうした通知を怠ると、現管理会社が更新を前提に先々の業務準備を進めている場合にトラブルとなる可能性があるため、信義則上も適切なタイミングで意思を伝えておきましょう。

総会開催までの手続きの流れ

では、管理会社変更の議案を総会で可決するまでに、具体的にどのような手順を踏めばよいでしょうか。一般的な進め方を順を追って解説します。

理事会での事前検討・候補選定

まず理事会で現在の管理状況や問題点を洗い出し、他社への委託に切り替える必要性を検討します。複数の管理会社から提案やプレゼンを受けてサービス内容や見積もりを比較検討し、新たに契約したい管理会社を候補として内定します。理事会内で合意できたら、総会に管理会社変更の議案を上程することを決定します。

総会の招集と日程調整

管理会社変更を諮るための総会日程を決めます。定期総会が近い場合はその議案に加えるのが効率的ですが、次回通常総会まで間隔がある場合や他の議題が多い場合には、適宜臨時総会を開催して審議することも可能です。総会を招集する際は、管理規約に従い少なくとも会日の2週間前までに全組合員へ日時・場所・議題を通知します。日程設定にあたっては他の区分所有者が参加しやすい日時を選び、そこから逆算して議案書作成や通知発送のスケジュールを立てましょう。

招集通知・議案書の作成と発送

総会の日が決まったら、理事会にて議案書(議題の提案理由や内容を説明する資料)の作成に取り掛かります。議案書には検討の経緯、新管理会社候補を選定した理由、候補会社の概要・実績、提案された新契約の内容(業務範囲やサービス仕様、契約金額、契約開始日)などをできる限り詳しく記載します。現行管理会社に議案書作成を依頼することもありますが、今回のように契約解除される側では全面的な協力が得にくいこともあります。その場合、理事会が主体となって準備し、必要に応じて新しく契約予定の管理会社に協力を仰ぐとよいでしょう。議案書が用意できたら各組合員に配布します。マンションに居住していない区分所有者には郵送が必要ですので、現行管理会社から最新の住所情報を入手し、漏れなく発送します。また、マンション内の掲示板にも総会案内を掲示し、周知徹底を図ります。

総会当日の審議と決議

総会当日はまず定足数(通常、組合員総数および議決権総数の過半数以上の出席)が満たされているかを確認します。議長(理事長)が開会を宣言し、議事に入ります。管理会社変更の議案では、新しい管理会社による重要事項説明が総会当日に行われるのが通例です。マンション管理適正化法の規定により、管理受託予定の会社は契約前に管理内容や費用など重要事項を組合に説明する義務があるため、総会の場を借りて説明会を実施します。組合員は説明を聞いた上で不明点を質問し、理事会および新管理会社は適切に回答します(事前に想定問答集を用意しておくと安心です)。質疑応答が一通り終わったら議案の採決に移ります。出席者(委任状や書面議決権行使を含む)の過半数が賛成すれば、管理会社変更の議案は可決となります。議長が可決を宣言し、決議内容を明確に議事録へ記録します。

議事録の作成と契約手続き

総会終了後、議長は議事録を作成します(区分所有法第42条により作成義務あり)。議事録には会議の日時・場所、出席者数、審議経過の要領と各議案の賛否数などを記載し、議長および議長の指名した出席組合員2名が署名押印します。その後、理事長は決議に基づき新しい管理会社との間で正式に管理委託契約を締結します。契約開始日までに現行管理会社との契約解除手続き(解約通知の送付や合意解除の取り交わし等)を行い、管理業務の引継ぎ準備を進めます。建物・設備の管理記録や組合の会計帳簿、組合員名簿などの重要書類を確実に引き継ぎ、新旧管理会社間で必要事項の申し送りをしておきましょう。

裁判例・行政見解から見る留意点

管理組合の総会決議をめぐっては、手続き上の不備や決議内容を巡り争われた裁判例もあります。その中から学べるポイントは、招集手続や議案通知に重大な欠陥があると決議自体が無効とされ得るという点です。実際、総会招集通知に議題(目的)が記載されていなかったケースで、そこで行われた規約変更の決議が無効と判断された例があります。重要事項を事前に知らせずに議決した場合、区分所有者の正当な判断機会を奪うため、裁判所も決議の効力を認めないのです。一方、招集通知が一部区分所有者に届かなかった程度の軽微な瑕疵で、決議結果にも影響がない場合には決議は有効とされた例もあります(東京地裁昭和63年11月28日判決)。つまり、形式上の不備でもそれが軽微で実質に影響しない場合は直ちに無効とはならないものの、特に総会通知と議案の周知は厳密に行うべきだと言えます。

また、行政的な見解としてはマンション管理センター(国交省所管の公益財団法人)が公表した指針も参考になります。新型コロナウイルス感染拡大期に同センターが示した令和4年のQ&Aでは、総会を開催できず管理委託契約の更新決議が間に合わない場合に、緊急措置として理事会決議で従前と同条件の暫定契約を締結し、状況が落ち着き次第速やかに総会で正式決議する方法が示されました。これはあくまで例外的な対応であり、通常時に安易に用いるべきではありません。しかしどうしても総会決議ができないやむを得ない場合のリスク回避策として、無契約状態を防ぐ一例として紹介されています。実務上も、総会が流会して契約更新が決議できなかった場合などは、管理業務の空白を避けるために理事会が暫定的な契約延長を決議し、後日その追認を得るといった対応が検討されます。

決議実施上の注意点とトラブル防止策

最後に、管理会社変更を円滑に進め、後々のトラブルを防ぐための注意点をまとめます。

総会手続の遵守

総会招集の通知期間・方法や議案内容の事前通知など、規約で定められた手続を厳守しましょう。特に管理会社変更のような重要議題では、招集通知に会議の目的を明記し、必要に応じ議案の要領も示すなど入念な周知が必要です。手続違反があると、決議後に不服を唱えられ「決議無効」を主張される恐れがあります(実際、重大な瑕疵が認められれば決議が無効となり得ます)。

組合員への丁寧な説明

管理会社変更は組合員の関心事であり、不安を持つ人も少なくありません。重要事項説明会や質疑応答の場を活用して、変更の理由や新旧契約内容の違いを丁寧に説明しましょう。理事会として事前にQ&Aを用意し想定問答を共有しておけば、総会当日も落ち着いて対応できます。十分な情報提供と議論を経ることで合意形成がスムーズに進み、決議後の「聞いていない」「納得できない」といった不満の噴出を防止できます。

書面決議の限界

総会を開かずに決議を行う書面決議という手法も法定されていますが(区分所有法第45条)、実施には区分所有者全員の承諾が必要です。一人でも不同意があれば書面決議は成立しないため、管理会社変更のように意見が割れる可能性がある議題では現実的ではありません。やはり正式に総会を開催し、多数決による合意形成を図ることが肝要です。

委任状・書面議決権行使の活用

総会に出席できない組合員には、委任状や書面議決権行使書の提出を促しましょう。これらは出席扱いとなり定足数の確保に役立ちます。また棄権者を減らすことで過半数賛成のハードルも下がります。事前に議案書とともに配布し、期限までに回収しておくことで総会当日の成立要件を満たしやすくなります。ただし白紙の委任状が多数集まる状況は、議論が不十分なまま決議されるリスクも孕むため、できる限り意見交換を行うことも大切です。

現管理会社との調整

現在契約中の管理会社には、変更の意思を早めに伝えるとともに、契約解除や引継ぎの段取りについて事前に相談しておきましょう。契約書の解除条項(解約予告期間など)を確認し、違約とならないよう適切に手続きを進めます。総会決議前でも、更新しない可能性が高い場合にはできるだけ早期に情報提供しておいた方が、管理会社側も人員配置や業務計画の調整がしやすくなります。また、総会で変更が決まった後は引継ぎ協力について現管理会社と合意を取り付けておくと安心です。重要書類やデータの受け渡し、新旧管理担当者間での打ち合わせなど、管理業務に空白が生じないよう配慮しましょう。

これらの点に注意しながら手続きを進めれば、管理会社の変更を円滑かつ確実に実現できます。管理組合としては法令・規約に則った適正な手続きと、組合員への十分な説明・合意形成が何より重要です。準備を入念に行い、より良いマンション管理体制への移行を目指しましょう。

本記事の内容が、そのヒントとなれば幸いです。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

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