エレベーターで異音が鳴る原因と対処法|キュルキュルという音が出るのは故障なのか?
2024/09/04
エレベーターの動きに異常を感じた経験はありませんか?特に、エレベーターが「キュルキュル」「ブーン」「キーキー」などの異音を発した際、その原因やメンテナンス方法が分からずに困ったことはないでしょうか? 異音が鳴ることは、必ずしも重大な故障を意味するものではありませんが、異音が発生したまま放置することでエレベーターが故障し、事故に繋がる恐れもあります。 この記事では、「エレベーターで異音が鳴る原因」、「エレベーターで異音が発生した場合の対処法」、「リニューアル費用を削減するポイント」などについて解説します。これらの情報が少しでも皆様のお役に立つと幸いです。
目次
エレベータ で異音が鳴る原因
エレベーターで異音が鳴る主な原因として、下記3点が挙げられます。
ガイドレールの油切れ
エレベーターで異音が発生する原因の一つに「ガイドレールの油切れ」があります。ガイドレールは、エレベーターの走行を誘導するレールで、エレベーターで人や小荷物、大型荷物などを運ぶカゴは、ガイドレールに沿って移動します。電車のレールと類似していると考えると理解しやすいでしょう。通常、エレベーターのカゴとガイドレールの滑りをスムーズにするために潤滑油が塗られていますが、この潤滑油がなくなると、摩擦によって異音や振動が生じます。ガイドレールの油切れを示す異音を放置すると、摩擦が増し、レールと部品(ガイドシュー、ガイドローラー)が引っかかり、カゴの動きが悪化します。これによりレールが損傷し、部品が破損することもあります。
ロープ式エレベーターの巻上機のブレーキ制御不良
エレベーターの異音の原因に、カゴを動かす巻上機の故障があります。リフトやエレベーターの昇降速度は、巻上機の減速機によって調整されていますが、この減速機内の歯車間にクリアランス(隙間)が生じると、振動が発生し異音が鳴ることがあります。これは自転車のブレーキをかけた時に発生するキーキーという音に似ています。
異音が鳴る状態で使用を続けると、巻上機のブレーキが滑ったり、噛み合わなくなり、ディスクブレーキが損傷する恐れがあります。
参考:(一社)日本エレベーター協会「エレベーター巻上機用ディスクブレーキ」について
ガイドレールの修理費用と同様に、複数の部品が故障している場合の修理は高額になることがあります。状況によっては修理が不可能になり、巻上機の交換が必要になることもあります。
ドアシュー(ドアの開閉を補助する部品)の劣化
ドアシューの劣化もエレベーターの異音の原因になることがあります。ドアシューは、エレベーターの扉が外れないように敷居の溝に挟むくさび形の部品です。これは敷居の溝に取り付けられ、エレベーターの扉が溝に沿ってスムーズに走行するのを助けます。ドアシューが摩耗したり、敷居の溝にゴミが溜まったりすると、部品が擦れて異音が発生したり、扉の開閉がスムーズでなくなることがあります。
エレベーターで異音が発生した場合の対処法
エレベーターからの異音は様々な原因によるもので、必ずしも重大な故障を意味するものではありません。しかし、異音を無視すると、将来的に大きな問題に発展する可能性があります。
異音の特性や発生状況を把握し、音の大きさ、高さ、持続時間、発生頻度などの具体的な情報を確認することが重要です。安全を最優先として、エレベーターの使用を一時停止することも考慮してください。特に、音が大きい、または頻繁に発生する場合は、エレベーター関連の専門家に速やかに連絡し、診断を依頼することが推奨されます。対処方法は原因に応じて異なりますが、通常は部品の交換、調整、または保守・メンテナンスが必要となります。
尚、ロープ式のエレベーターを導入した際に、新たに設置したロープが重みで伸びる際にも異音が生じることがあります。
エレベーターの異音は、利用者の安心感や快適性を損なうため、適切な情報共有と対応の透明性が求められます。マンションの住人への適切な説明とアナウンスを行い、安心を提供することが大切です。エレベーターの異音対策は、日常生活の快適性と安全性を保つための重要な取り組みとなります。
キュルキュルという音が出るのは故障なのか?
マンションのエレベーターで異音が発生した場合、まずはその異音がどのような種類の音か、異音が鳴るタイミングはいつなのかを把握することが重要です。ガイドレールの注油不足や、レールに沿って正しく走行させるための部品(ガイドシュー、ガイドローラー)の摩耗などが原因で「キュルキュル」という異音が出ることがあり、そのまま放置しておくと故障に繋がる可能性があります。
マンションのエレベーターでブーンという異音が出ることはある?
マンションのエレベーターで「ブーン」という異音が聞こえた経験はありませんか?
この異音は、エレベーターが走行する際に発生する機械音の一部である可能性があります。エレベーターの走行音は、機器の特性や状態により異なるため、必ずしも異常を意味するわけではありませんが、突然大きな音が発生したり、以前にはなかった音が頻繁に聞こえるようになった場合には、エレベーターの部品の摩耗や故障を示す可能性があるため要注意です。
特に、マンションのエレベーターのブレーキやモーターなど、重要な部分で異音が発生している可能性があるため、異音の症状が出た場合は、まずは管理会社もしくは保守点検を行う専門業者に連絡を取り、原因を特定することが肝要です。
尚、異音を発生せずとも、エレベーターで異常を感じたら速やかに状況を詳しく検査しましょう。具体的には、カゴを昇降させる巻上機の故障やブレーキの制御不良により発生する「着床ずれ(エレベーターが停止したときのカゴの位置が正常ではない)」、エレベーターの床下にある「ロードセルの異常(重量を検出するセンサー)」に伴うエレベーターのバランス異常などが生じることもあります。
法律で義務となっている定期検査の実施を徹底することで、異音の発生を予防し、エレベーターを使用する際には、異音だけでなく乗り心地や扉の動きの変化にも注意を払い、初期段階での異常を察知する手がかりを見つけることも重要です。
マンションのエレベーターをリニューアルする時のポイント
リニューアル時期の見極め
マンションのエレベーターの寿命は、25~30年とされています。
※法定耐用年数(減価償却期間の目安)は17年、メーカーの計画耐用年数は20年弱が一般的です。
マンションにおいては、エレベーターのリニューアル工事の実施時期は、2回目の大規模修繕の前後のタイミングとなります。実施タイミングの判断においては、劣化状況のみならず、部品供給の終了時期を考慮する必要があります。部品の供給が終了することになれば、耐用年数(計画耐用年数)内であっても「故障時の修理の目途が立たない」状況となり、リニューアル工事の必要性が高まります。部品の供給が終了するタイミングについては、メーカーもしくは管理会社から事前に通知されるため、連絡があり次第、いつリニューアル工事を行うか等、計画を立てる必要があります。
複数の業者からリニューアル工事の見積もりを取得する
マンションのエレベーター工事の費用相場は、1基あたり数百万円~1千万円が一般的です。制御リニューアル工事(エレベーターの一部となる制御関連の機器・部品を交換するリニューアル工事)の場合は1基あたり4百万円~となります。エレベーターリニューアル工事は多額の費用がかかるため、経済的な負担を軽減するためのポイントを抑え、複数の業者からリニューアル工事の見積もりを取得することがおすすめです。
業者によって、同じ内容でもリニューアル工事の費用が大きく異なる場合があります。また、エレベーター工事の仕様についても対策を検討しましょう。必要以上に高性能な仕様を選ばず、マンションの規模や住人のニーズに合った最も適切な提案、仕様を選ぶことで、工事期間中もコストを抑えることが可能です。
メンテナンス費用の見直し
エレベーターのメンテナンス費用も見逃せません。リニューアル工事後も定期的にメンテナンスを実施し、適切に管理することが必要となるため、コスト削減を目的にメンテナンス費用も考慮に入れて予算を組むことが求められます。
以上の3点を踏まえて、より経済的なリニューアル工事を実現しましょう。
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この記事の著者
鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
この記事の監修者
別所 毅謙
マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「NIKKEI NEWS NEXT」、「首都圏情報ネタドリ!(NHK)」、「めざまし8」、「スーパーJチャンネル」。
二級建築士
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