ディー・エヌ・エー(DeNA)グループ 一級建築士事務所

スマート修繕
0120-14-3704

24時間対応通話料・相談料 無料

管理組合向けタワーマンションのインターホン更新実務ガイド

更新日:2025年11月28日(金)

タワーマンションなど大規模マンションでは、インターホン設備が住民の安心・安全な暮らしに欠かせない重要設備です。インターホンは24時間365日稼働し、来訪者の対応やオートロック解錠はもちろん、火災時の非常放送設備としての役割も担います。しかし経年により不具合や故障が増え、防犯上のリスクやトラブルに発展する恐れがあります。 本記事では「タワーマンション インターホン」のキーワードに沿って、管理組合が押さえておきたいインターホン設備更新のポイントを解説します。構成や老朽化によるトラブル事例、更新時期の目安、最新機種の機能、防犯性の向上、費用と工事の流れ、業者選定のポイントについてまとめました。

本記事のポイント
  • 現行のインターホンシステムの構成と、経年によって起こりうる通話不良・映像不具合・オートロック故障などのトラブルを把握できる。
  • 更新の目安時期(一般に設置から約15年)や、部品供給終了リスク、全住戸一斉更新が必要になる構造的な制約など、タイミングを見極める判断材料が整理されている。
  • 各住戸用機器だけでなく玄関機・制御盤などを含めた一括交換の流れ、相見積もり取得、業者選定の際のチェック項目(実績、保証、透明性など)を理解し、管理組合として適正価格で安全な更新を進めるための実践的な手順が分かる。

タワーマンションのインターホン設備の構成

タワーマンションに設置されるインターホンは、マンション全体で一つのシステムとして機能します。各住戸に設置された室内インターホン(住戸親機)は、建物エントランスの集合玄関機(オートロック対応の玄関インターホン)や、管理員室の管理室親機、そして全体を制御する中央制御装置と繋がっています。

来訪者がエントランスで住戸番号を入力すると住戸内の親機が呼び出され、居住者は室内から通話してオートロックを解錠できます。また管理室親機を介して管理室や警備会社とも連携し、非常時には全戸一斉呼びかけ放送も可能です。

このようにエントランス-各住戸-管理室が連動したシステムのため、一部の機器だけ個別に交換・更新することは基本的にできません。タワーマンションでは特に戸数が多く複雑なシステム構成となりますが、更新時は全住戸と共用部を含めた一斉更新が必要になる点を認識しておきましょう。

老朽化したインターホン設備で発生するトラブル

設置から年月が経過したインターホン設備では、さまざまな不具合やトラブルが発生しがちです。主な老朽化による症状として、次のような事例があります。

通話不良・呼び出し不調

スピーカーやマイクの劣化で「通話音が途切れる・雑音が入る」「呼び出し音が鳴らない」といった不具合。部屋でインターホンが鳴らず来客に気づけないケースもあります。

映像の乱れ・表示不良

カメラ付きモニターでは「映像が乱れる・映らない」症状が顕著です。画面にノイズが入ったり真っ黒で何も映らないと、防犯確認に支障をきたします。

オートロックの不作動

老朽化でエントランスの電気錠が解錠できなくなることもあります。来訪者を部屋から解錠できないため、住民の利便性が損なわれ防犯上も問題です。

警報設備の誤作動・不作動

インターホンが自動火災報知設備と連動している場合、故障すると「火災警報が鳴らなくなる」「誤報(誤って火災警報が発報する)」といった重大な支障が起こり得ます。実際、機器の老朽化で火災警報が突然誤作動し深夜にインターホンが鳴り続けた事例も報告されています。逆に故障で警報音が鳴らず消防点検で不適合と指摘されるケースもあり、安全面で看過できません。

修理困難

長年使用したインターホンはメーカーの保守期間終了により必要な部品が入手できず修理できない場合があります。故障箇所があっても交換部品が生産終了で直せないという状況に陥りやすく、復旧まで時間がかかったり最悪修理不能となります。

このようなトラブルは入居者の生活満足度低下や、防犯・防災上のリスク増大につながります。一部の居住者だけでなくマンション全体に影響を及ぼすため、管理組合として老朽化による不具合の発生状況を把握し、早めの対策や更新計画を検討することが重要です。

インターホン設備更新の目安時期(耐用年数と部品供給期限)

インターホン設備の耐用年数は概ね15年程度とされています。これは一般的な集合住宅用インターホンの設計寿命であり、実際に設置後10年を過ぎた頃から故障発生率が増加し始めます。経年劣化で部品が故障しやすくなり、修理費用もかさみがちです。15年を超えると不具合が顕在化するだけでなく、メーカーによる補修部品の供給停止が近づくため、築15年を迎える前後で更新計画を検討するのが望ましいとされています。

特に留意すべきはメーカーの補修用部品保有期間です。多くのメーカーでは、生産終了後おおむね7年間を過ぎると保有部品が払底し、修理対応が困難になります。

国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」においても、情報・通信設備の一部であるインターホン設備の更新周期は15~20年程度が目安と示されています。実際には15年を超えた機器では「メーカーに修理を依頼しても“生産中止で部品なし”と断られるケース」が出始めており、修理不能リスクが高まります。このため補修部品の供給が止まる前に計画的にリニューアル(機器更新)することが推奨されます。

以上を踏まえ、多くの管理組合では築後15年前後をインターホン更新の目安時期とし、長期修繕計画に組み込んでいます。ただしマンションごとに使用状況や機種による差もあるため、現在の設備の製造年や部品供給状況、故障頻度などを総合的に判断して、適切な更新時期を見極めましょう。メーカーや防犯設備の専門業者に現状診断を依頼し、耐用年数の限界や製造終了予定についてヒアリングするのも有効です。

最新機種のインターホン機能と防犯性の向上

近年発売されているマンション用インターホンシステムは、旧来機種と比べセキュリティ機能や利便性が飛躍的に向上しています。管理組合が更新機種を選定する際、最新の技術動向を把握しておくことは重要です。主な新機能・強化ポイントを挙げます。

高画質広角カメラと録画機能

最新の集合玄関機や住戸親機は上下左右に広いワイド画角(約170°)の高解像度カメラを備え、玄関から離れた位置の来訪者まで鮮明に映します。さらに自動録画機能により、留守中に訪問者が来るとその映像を自動記録し、帰宅後に誰が来たか確認できます。映像モニターも大型化・高精細化しており、従来より格段に視認性が向上しました。

ハンズフリー通話・自動応答

室内の親機は受話器を上げなくても会話できるハンズフリータイプが主流になりつつあります。また自動応答機能では、訪問者が呼び出しボタンを押すと音声案内で名前や用件を尋ね、その様子を居住者がモニターで確認できます。不要な来訪への対応を省け、防犯上も効果的です。

犯罪抑止効果

エントランスの集合玄関機に来訪者の姿を映し出し「録画されていますよ」と意識させる犯罪抑止機能も備わっています。不審者に対し録画中であることを視覚的・音声的に示すことで、侵入抑止につなげる工夫です。

非接触キー対応

感染症対策や利便性向上の観点から、ICカードキーや非接触タグによるオートロック解錠が普及しています。エントランスの読み取り装置にカードをかざすだけで玄関ドアを開錠でき、鍵穴に物理鍵を挿す煩わしさがありません。カードやタグを紛失してもIDを個別無効化でき、防犯面でも安心です。

スマートフォン連動

インターネット接続環境を活かし、スマホで来訪者対応が可能なシステムも登場しています。専用アプリをスマートフォンやタブレットに入れておけば、外出先でもインターホンの呼び出しを受けて映像確認・通話応対できるほか、遠隔でオートロック解錠も可能です。再配達の宅配業者にその場で指示を出す、といった使い方もできます。

宅配ボックス・他設備との連携

共用の宅配ボックスや防犯カメラ等と連動し、荷物の到着をインターホンで通知したり、来訪者映像を他の管理システムと共有したりする機能も充実しています。たとえば宅配ボックスに荷物が入ると住戸内インターホンに通知し、帰宅時には集合玄関機が音声案内して受取を促す、といったことも可能です。

このように最新インターホンは「見守り」と「つながる」機能が進化しており、マンション全体の防犯性・利便性が飛躍的に向上します。管理組合として更新機種を検討する際は、現在の設備に不足している機能や、居住者から要望のある機能を整理し、パナソニックやアイホン各メーカーのカタログや提案を比較しましょう。

インターホン更新の費用と工事の流れ

費用面について、マンションのインターホン設備リニューアルには機器代金+工事費がかかります。エントランスの集合玄関機、管理室親機、制御盤、各住戸の室内親機などすべての機器を一式交換する必要があるため、規模によって費用総額は大きく変動します。

一般的な相場感としては、1住戸あたり10万~18万円(税別)程度が目安です。

例えば50戸のマンションであれば総額で500万~900万円規模になる計算ですが、実際の金額は機種のグレード・機能、配線工事の有無、施工条件によって増減します。

メーカー純正品の高機能タイプを導入する場合や、新規配線敷設が必要なケースでは費用が高くなりがちです。一方、既存配線を流用できるリニューアル対応機種を選べば工事コストを抑制できます。

費用の負担区分については、インターホン設備は共用部(専有部との境界については管理規約による)とみなされるため、全戸一斉交換の場合は管理組合の修繕積立金から支出するケースが多くなっています。

ただし管理規約上、各戸親機を専有部分扱いとして一部を個人負担とするマンションもあるため、事前に規約確認が必要です。

工事の進め方は以下のような流れになります。

計画立案・業者選定

理事会や修繕委員会でインターホン更新の必要性を検討し、複数の専門業者から提案・見積もりを取得します。現地調査を経て機器構成や工事内容の説明を受け、比較検討した上で発注先を決定します。

総会決議

インターホン更新は共用部工事に該当するため、管理組合の総会決議が必要です。理事会案として上程し、予算や業者を含めた工事計画について承認を得ます。緊急性が高い場合は臨時総会での決議となることもあります。

居住者への周知

工事日程や各戸作業への協力依頼などを全住戸に周知します。特に各戸内の親機交換作業時は住人の在宅立会いが必要になるため、事前に希望日程のアンケートを取り調整するとスムーズです。あわせて工事中のインターホン一時停止に関する注意事項も説明します。

共用部機器交換工事

まずマンションエントランスや管理室など共用部の旧インターホン機器を撤去・交換します。エントランスの玄関機や制御盤の設置、配線の接続切替などを行います。規模によりますが共用部の機器交換は数日程度で完了します。

各戸内親機交換工事

続いて各住戸を順番に訪問し、室内インターホン親機と玄関子機(住戸扉横の子機がある場合)を交換します。1戸あたりの作業時間は数十分から1時間程度ですが、戸数分の日数が必要です。目安として50戸規模で専有部工事に約5日間を要します。作業員が室内に入るため、防犯上・プライバシー上の配慮として事前アナウンスと当日の立会確認を徹底します。

システム切替・試運転

全戸への新機器取付が完了したら、新旧システムを切り替えて通電し、動作確認を行います。各戸への通話・映像、オートロック解錠、火災連動警報など全機能の試運転テストを実施し、不具合がないかチェックします。必要に応じて調整や是正工事を行います。

引き渡し・説明

工事完了後、管理組合へ引き渡します。メーカーまたは施工業者から管理担当者や住民向けに新インターホンの使用方法説明会が行われることもあります。操作方法や注意事項を周知し、必要なら各戸にマニュアルを配布します。

アフター対応

更新後しばらくは施工業者が不具合の問い合わせに迅速対応できる体制を整えてくれるのが一般的です。メーカー保証は通常1~2年間機器本体に付与されますが、施工不良に起因する問題についても保証期間内であれば業者が無償対応します。

工事期間中はインターホンやオートロックが一時的に使用制限されるため、防犯体制の暫定措置も講じる必要があります。例えば警備会社への非常通報(警報信号)が工事中は停止するため、 管理員の巡回を強化する、代替の呼び出し方法を用意する等の対応を事前に検討しておきましょう。居住者に対しても「何月何日の○時~○時はインターホンが使えません」といった告知を掲示板や回覧で丁寧に行い、理解と協力を得ることが大切です。

管理組合がインターホン更新業者を選定する際のポイント

インターホン更新工事を成功させるには、信頼できる施工業者選びが重要です。管理組合として業者選定にあたりチェックすべきポイントをまとめます。

メーカー実績と技術対応力

マンション用インターホン市場はほぼ「パナソニック」と「アイホン」の2社で占められています。そのため両メーカーの機器を扱った経験が豊富な業者だと、現行機種への置き換えに柔軟に対応できます。特定メーカー専属ではなく両方の資格を持つ技術者がいる業者や、幅広い機種の施工実績がある会社を選ぶと安心です。またインターホン工事には電気工事士資格や建設業許可が必要なため、有資格者が在籍し法令を順守しているかも確認しましょう。

見積内容の透明性と保証

提示された見積書は、メーカー名・型番、数量、単価まで明記された詳細なものか確認します。曖昧な項目が多い場合、後から追加費用を請求される恐れもあるため納得できるまで説明を受けましょう。またアフターサービス(施工保証)の有無と期間も重要です。通常、機器本体にはメーカー保証1~2年が付きますが、施工不良に起因する不具合への対応も含めて、トラブル時に迅速に対処してくれる業者かどうか事前に確認します。保証内容を書面で提示してくれる会社であれば信頼度が高いでしょう。

実績と専門性、対応力

エントランスのオートロックや火災連動など複雑なシステムを扱う工事経験が豊富かどうかは重要な指標です。長年にわたり多数のマンションでインターホン更新を手掛けている業者ほど、現場ごとの課題に精通し的確な提案や施工が期待できます。また管理会社任せにせず管理組合自身でも評判や口コミを調べ、過去の施工事例や顧客評価を確認しましょう。第三者の専門家に見積内容をチェックしてもらうのも有効です。

住民への説明サポート

更新工事に際しては居住者への丁寧な説明・協力依頼が欠かせません。業者の中には説明資料の作成や住民説明会の開催を手伝ってくれるところもあります。工事中の注意事項や新機器の使い方をわかりやすく伝える資料を用意し、必要に応じてデモ機を持ち込んだ説明会をサポートしてくれる業者であれば非常に心強いです。実際、管理会社に相談すればメーカーの貸出機を理事会に持ち込んで操作感を試せる場合もあります。こうした住民対応の経験が豊富な業者は、工事への不安を和らげ円滑に進める力になってくれるでしょう。

複数業者からの相見積もり取得

一社だけで決めず、必ず複数社から提案・見積もりを取り比較するのが鉄則です。管理会社経由の紹介業者だけでなく、メーカー系列や独立系、防犯設備専門会社など幅広く声をかけることで、費用や提案内容に大きな違いが見えてきます。相見積もりにより競争原理が働き、価格が適正化する効果も期待できます。ただし極端に安価な見積もりには注意が必要で、実績や保証内容を総合的に判断しましょう。

以上のポイントを踏まえ、管理組合が主体的に情報収集し慎重に業者選定を行うことが大切です。安易に管理会社任せにせず、理事会が中心となって信頼できるパートナーを見極めましょう。優良業者であれば、見積段階から現地調査や丁寧な説明に応じてくれるものです。契約前に不明点をクリアにし、住民にとって最適な提案をしてくれる業者と契約することで、インターホン更新工事は安心して任せることができます。

まとめ

インターホン設備の更新は、タワーマンションのような大規模物件において、住環境の安全性と快適性を維持・向上させる重要なプロジェクトです。老朽化を放置すればさまざまな支障が生じ得ますが、最新設備への更新は防犯性や利便性を大きく高めます。

公式資料やメーカー情報に加え、専門のコンサルタントからも適切な助言を得ながら計画的に準備を進めることで、住民の皆様に喜ばれる円滑なインターホンリニューアルが実現できるでしょう。

インターホン等修繕の支援サービス「スマート修繕」

  • 「スマート修繕」は、一級建築士事務所の専門家が伴走しながら見積取得や比較選定をサポートし、適正な内容/金額での工事を実現できるディー・エヌ・エー(DeNA)グループのサービスです。
  • インターホンのリニューアル工事の支援実績は多数(過去半年で数千戸分、2025年1月現在)。数百戸の多棟型マンションでの実績も複数。社内にはゼネコン、デベロッパー、修繕コンサルティング会社、修繕会社、管理会社出身の建築士、施工管理技士等の有資格者が多数いますので、お気軽にご相談ください。
  • 事業者からのマーケティング費で運営されており、見積支援サービスについては最後まで無料でご利用可能です。インターホンのメーカー系のを含む紹介事業者は登録審査済でサービス独自の工事完成保証がついているため、安心してご利用いただけます。

電話で無料相談

0120-14-3704

24時間対応通話料・相談料 無料

Webから無料相談

専門家相談する

記事をシェア

本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

佐藤 龍太

佐藤 龍太

不動産会社および管理会社にて、マンションやビルの修繕・管理業務に長年従事。マネージャー職を歴任し、これまでに300件近い修繕工事に携わる。特にインターホン設備においては、年間3,000戸以上(2025年現在)の見積取得を行うなど、設備改修の実務に精通。豊富な現場経験と管理業務の知見を活かし、マンション修繕に関する実践的かつ専門的な視点で記事を監修。

0120-14-3704

24時間対応通話料・相談料 無料

スマート修繕なら

適正価格の工事を実現

0120-14-3704

24時間対応通話料・相談料 無料

telWebで無料相談する
tel電話で無料相談する(24時間対応)

※携帯・スマートフォンからも通話料無料