エレベーターの修繕費はいくら?安く済ませるためのコツと注意点を解説
更新日:2024年09月04日(水)
エレベーターはマンションやオフィスビルなどの大型建物には必須の設備となります。その維持管理には一定のコストがかかり、設置から20数年経過したエレベーターにおいては定期的なメンテナンスに加えてリニューアル工事が必要となります。その費用は数百万円~と小さくありません。 この記事では、エレベーターの修繕費はいくらか、修繕費を安く済ませるコツ、修繕するにあたっての注意点などについて解説します。 これらの情報が少しでも皆様のお役に立つと幸いです。
- 本記事のポイント
- エレベーターリニューアルの費用相場とコストパフォーマンスの高いリニューアル方法がわかる。
- 修繕費用を安く済ませるためのポイントが学べる。
- マンションのエレベーターを修繕するにあたっての注意点が明確になる。
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エレベーターの修繕費はいくら?
エレベーターリニューアルの費用相場ですが、1基あたり数百万円~1千万円が一般的です。最も一般的な「制御リニューアル(エレベーターの一部となる制御関連の機器・部品を交換するリニューアル工事)」の場合は、1基あたり500万円~となります。
エレベーターは様々な種類がありますが、メーカーのリニューアルや、油圧式エレベーターをロープ式エレベーターにリニューアルする場合など、多額の費用がかかるケースもあります。高層マンションや商業ビルには「高速エレベーター」と呼ばれる、昇降速度が105m以上のエレベーターが設置されており、以前は、既存メーカーのみがリニューアル工事可能で、1基あたりの修繕費は数千万円に及びました。
当サービス「スマート修繕」は支援実績が多数あり、高速エレベーターや油圧式から油圧式へのリニューアル工事の実績も豊富です。

エレベーターの修繕費を安く済ませるためのコツ
大きく以下3方式に分けられます。
1.全撤去新設リニューアル
2.準撤去新設リニューアル
3.制御リニューアル

各方式について解説します。
最も一般的なのはコストパフォーマンスに優れる「3.制御リニューアル」となります。
全撤去新設リニューアル

既存のエレベーターや付属物すべてを撤去、新設するリニューアル工事となります。新設であるため、旧型/劣化の悪影響を抜本的に解決できます。ただし、工事期間が長くなる、工事費用が高くなる、騒音・振動が大きく発生するなどの負の側面があります。また、建築確認申請も必要となります。これら事情(特に予算面)より、あまり一般的ではありません。
準撤去リニューアル

マンションの建物各階に設置されているエレベーターの三方枠や敷居などは既設利用し、ロープ・制御盤・巻き上げ機などを取り替えるリニューアル工事となります。工事期間・工事費用などに比較的優れ、建築確認申請が不要となるケースが多い方式です。
いっぽう、既存のエレベーターに合わせたパーツの調達に時間がかかるケースがあり、リニューアル後は交換部分と非交換部分との品質保証や工事タイミングの兼ね合いなどに留意する必要があります。
制御リニューアル

エレベーターの制御関連の機器を交換するリニューアル工事となります。工事期間・工事費用などに最も優れる方式です。使用自体の問題はありませんが、多くの部分が既設利用となるため、「既存不適格」の解消は基本的にされません。費用の安さもあり、最も一般的な方式です。
各リニューアル方式の比較一覧表

リニューアル方式は「制御リニューアル」を選択する
マンションのエレベーターリニューアルにおいて、どのリニューアル工事とするかは、メンテナンス費用も含めたトータルコストや予算、法令への適応方針を鑑みて判断する必要があります。経済性の観点から考えると、「制御リニューアル」が好ましく、修繕費を抑えることが可能です。
複数の業者から改修工事の見積もりを取得する
エレベーターのリニューアル工事は多額の修繕費がかかるため、複数の業者からリニューアル工事の見積もりを取得することがポイントです。
業者によって、同じ内容でも修繕費が大きく異なる場合があります。また、エレベーター工事の仕様についても十分に検討しましょう。必要以上に高性能な仕様を選ばず、マンションの規模や住人のニーズに合った適正な提案、仕様を選ぶことが修繕費の削減に繋がります。
独立系事業者を活用する
既存のエレベーターメーカーではなく、独立系の事業者から見積もりを取得することがエレベーターの修繕費を削減するポイントとなります。
しかし、「独立系の事業者にリニューアル工事やメンテナンスを依頼して問題ないのか?」、「修繕費が安くても、安かろう悪かろうでは困る」などの不安があるかと思います。
近年では、独立系事業者の技術力が向上するとともにリニューアル対応可能な機種が増加しています。修繕費のリーズナブルさを背景として多数のリニューアル工事/メンテナンスを実施しています。
※独立系事業者の市場シェアは年々増加しています。
なお、独立系事業者においては、当然のことではありますが、一件の事故が企業の存続に影響を与えるリスクをはらんでいるため、自社が自信を持って対応できるリニューアル工事のみ見積もり対応をしています。
マンションのエレベーターを修繕するにあたっての注意点
エレベーター工事業者とリニューアル方式の選定
マンションのリニューアル工事の品質を確保するためには、信頼性の高いエレベーター工事業者の選び方を考慮することが重要です。さらに、工事会社から提案されるリニューアル方式についても各方式の違いを理解して適切な選択をすることが大切です。既存エレベーターを撤去新設するよりも、制御リニューアル工事を選択することで工期が短くなる(1基あたり1週間~)などのメリットがあり、エレベーターを利用できない期間を短縮できます。
マンションの住人全体にエレベーター工事の情報共有を行う
まず、理事会で協議の上、エレベーター工事の日程やスケジュールを掲示板やエレベーター内に掲載するなどして、マンションの住人全体に通知することが重要です。これにより、予定の変更や工事期間中のエレベーターの利用制限を前もって理解してもらうことができます。また、リニューアル期間中に生じる騒音や振動については、工事業者と詳細な対策を練り、出来る限りマンションの住人や周辺の戸建て住宅への影響を最小限に抑え、事故やトラブルの発生を防ぎましょう。
エレベーターリニューアル施工中の対応
工事期間中は、エレベーターの停止を余儀なくされるため、緊急時に備えて、代替手段を確保することも重要です。例えば、エレベーターが使用できない場合の非常用避難経路や、階段の利用が難しい高齢者や障がい者への支援体制を整える必要があります。エレベーターメンテナンス(保守点検など)の契約方式
エレベーターのメンテナンス契約については、法定点検と保守メンテナンスがあります。実施頻度は、法定点検はおおよそ6か月~1年ごとに、保守メンテナンスは使用頻度に応じますが一般的には毎月行います。保守メンテナンスにおいては、フルメンテナンス契約とPOG契約の2種類の契約方式があります。
フルメンテナンス契約
リニューアル以外の、ほぼ全ての機材についてのメンテナンス(点検自体の実施に加えて、ワイヤー・ベアリングなどの消耗品の交換などが含まれる)を対象とした契約となります。事故や故障を未然に防ぐ体制が整います。安全性が高く、手間は少なくてすみますが、その代わりコストは高くなります。
POG契約
POGとは「パーツ・オイル・グリース」の頭文字を取ったもので、これら3点に関わる消耗品の交換などを対象とした契約です。コストを抑えることはできますが、3点以外の部品の交換代や点検・修理などの際は追加で費用が発生します。部品交換の際は管理組合でその見積もりに対する可否を取る必要も出ますので、手間もかかります。
エレベーター等修繕の支援サービス「スマート修繕」
- 「スマート修繕」は、一級建築士事務所の専門家が伴走しながら見積取得や比較選定をサポートし、適正な内容/金額での工事を実現できるディー・エヌ・エー(DeNA)グループのサービスです。
- エレベータのリニューアル工事の支援実績は多数(過去1年で数百基、2025年2月現在)。特殊品である高速、油圧、リニア、ルームレスの実績もあり、社内にはエレベーター会社、ゼネコン、修繕会社など出身の施工管理技士等の有資格者が多数いますので、お気軽にご相談ください。
- 事業者からのマーケティング費で運営されており、見積支援サービスについては最後まで無料でご利用可能です。大手ゼネコン系を含む紹介事業者は登録審査済でサービス独自の工事完成保証がついているため、安心してご利用いただけます。
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本記事の著者

鵜沢 辰史
信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。
本記事の監修者

別所 毅謙
マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「NIKKEI NEWS NEXT」、「首都圏情報ネタドリ!(NHK)」、「めざまし8」、「スーパーJチャンネル」。
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