マンション共用部の保険の種類、見直しについて
更新日:2024年09月04日(水)
マンション共用部には火災保険を中心とした様々な保険がかけられています。それらの保険料は、組合員が毎月支払っている管理費から支払われています。 近年、自然災害による保険金の支払い増加などを背景に保険料が上昇トレンドとなっています。更新時に数十%の大幅値上げとなるケースも発生してします。多くのマンションでは、契約内容が新築分譲時のままとなっていますが、これを機に保険内容を見直すことも考えられます。 この記事では「マンション共用部の保険の種類」、「火災保険における問題点」、「火災保険の見直しにおけるポイント」についてご紹介いたします。これら情報が少しでも皆様のお役に立つと幸いです。
- 本記事のポイント
- マンション共用部で選ぶべき保険のポイントが理解できる。
- 保険を見直す理由が明確になる。
- 最適な保険プランを選ぶための基準を学べる。
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マンション共用部の保険の種類

「共用部とはどの部分か?」についてですが、各部屋の室内である専有部を除いた、エントランス・廊下・エレベーター・外壁・フェンス・駐輪場・駐車場などの部分を指します。
通常、これら共用部に対して、管理組合が保険を契約しています。
以下に代表的な保険の種類を紹介いたします。
火災保険
火災保険の補償範囲ですが、通常は特約により火災による被害以外もカバーしており、火災・落雷・破裂・爆発、風水害などによる建物・家財などの幅広い損害が対象となります。
「マンション総合保険」という名称で取り扱われているケースもあります。
地震保険
地震保険の補償範囲ですが、地震・噴火、それらを背景とした津波を原因とする建物の火災・損壊・埋没・流失の損害が対象となります。
地震保険の単独契約は出来ず、火災保険とセットで契約する必要があります。
賠償責任保険
賠償責任保険には個人賠償責任保険と施設賠償責任保険がありますが、共用部分に関する保険は施設賠償責任保険となります。施設賠償保険の補償範囲ですが、マンションの共用部分が原因で人に怪我をさせたり、財物を損壊させたりした場合に管理組合が賠償責任を負う損害が対象となります。
こちらも火災保険と同様、「マンション総合保険」という名称で取り扱われているケースもあります。
これ以降は、共用部の保険のメインである火災保険について解説いたします。
火災保険における問題点
保険料の上昇トレンド
そもそもとなりますが、築後の経過年数、建物の老朽化に伴い保険料は上昇します。例えば、築5年と築20年では、保険料が数十%、時には100%前後も異なります。
また近年、自然災害の増加に伴い保険金の支払いが増えており(2018年・2019年と2年連続で1兆円を超えた、これは過去に例のない現象)、火災保険全般が値上がり傾向にあります。
これらを背景に、契約更新時に保険料が50%前後上昇するケースも発生しています。
過剰な保険範囲
多くの居住者は共用部の保険については無知、無関心です。それらを背景に、新築分譲時などに保険の代理店である管理会社によって、必要以上の範囲・金額の保険に入らされ、そのままとなっている可能性もあります。
過剰な保険活用
2019年10月の保険料率改定の時より、保険料の算定に事故の実績≒事故率(=保険の使用回数÷総戸数)が大きく影響するようになりました。
これにより、少額の事故のために保険を使用すると、次回の保険更新時に保険料がその事故で支払われた金額以上に増額する = 損をするということも起こり得ます。
事故などの際に保険を活用するか否かは、これら観点も踏まえて判断する必要があります。
火災保険の見直しにおけるポイント
付保割合
付保割合とは、再調達価額(≒建物を新たに建て直す価格)に対して保険をかける割合となります。100%だと、再調達価額全てに対して保険がかかっている状態となります。付保割合は、上限は100%で下限は各保険会社が定める割合となります。
付保割合を引き下げると、保険料も下がります。
免責金額
免責金額とは、「この金額までは、マンションのほうで自己負担します(保険会社にとって支払いが免責になる)」という金額となります。
保険会社が保険料を算定する際の要素に建物の構造・築年数・補償内容に加え、事故の実績≒事故率(=保険の使用回数÷総戸数)があります。
免責金額を設定し、少額の問題は保険でまかなわず自己負担とすることにより、保険の使用回数=事故率が下がり、ひいては保険料が下がります。
「適切な付保割合とは?」・「適切な免責金額とは?」ですが、それは「生命保険にいくら入るか?」と同様、価値観・財政状況など次第となります。各マンションに適した付保割合・免責金額の設定にあたっては、マンション保険に詳しい専門家に相談すると良いと思います。
複数社からの相見積
火災保険の保険料は各保険会社が様々なデータをもとに独自の計算式で算出しているため、例え同条件で見積をとっても、条件次第では保険料に一定の違いが出てくる可能性があります。
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本記事の著者

豊田 賢治郎
「スマート修繕」代表。過去2年間の顧客マンションへの訪問回数は400回を超え、チェックした見積書の数は千を超える(2024年7月末時点)。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「日本経済新聞」、「羽鳥慎一 モーニングショー」、「日曜報道 THE PRIME」、「モーニングサテライト」。
中小企業診断士
本記事の監修者

別所 毅謙
マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 メディア掲載「WBS(ワールドビジネスサテライト)」、「NIKKEI NEWS NEXT」、「首都圏情報ネタドリ!(NHK)」、「めざまし8」、「スーパーJチャンネル」。
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