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マンション給湯器の交換を安く・効率的に行う実務ガイド

更新日:2025年12月23日(火)

マンションの給湯器は毎日の生活に欠かせない設備ですが、いずれ寿命が訪れ交換が必要になります。特に築年数が進んだマンションでは、冬場に突然お湯が出なくなるといったトラブルも起こりがちです。マンション管理組合の役員や区分所有者にとって、給湯器交換を安く効率よく実施するための知識と準備は、居住者の負担軽減やトラブル防止の面で非常に重要です。 本ガイドでは、給湯器の交換時期や費用相場、戸別交換(一世帯ごとの交換)と一括交換の違い、費用を抑えるポイント、工事の注意点、給湯器の種類ごとの価格帯などについて解説します。

本記事のポイント
  • 給湯器の寿命や故障のサイン、戸別交換と一括交換の特徴・費用負担の違いを理解できる
  • 複数業者の相見積もりや適切な機種選定、補助金活用など費用を抑える具体的なポイントを学べる
  • 工事時の管理組合との調整、居住者対応、注意すべき技術的・規約上の留意点がわかる

給湯器交換が必要となるタイミングと寿命の目安

給湯器は永遠に使えるわけではなく、一般的に寿命(耐用年数)の目安は約10年とされています。各メーカーは「設計上の標準使用期間」をおおむね製造後10年程度に定めており、10年を超えると主要部品の生産・保有が終了し修理が難しくなります。そのため、使用開始から10年ほど経過した給湯器は交換を検討することが推奨されています。また10年以上の経年使用に伴い、火災や一酸化炭素中毒などの事故が起こる可能性も指摘されています。安全にお湯を使い続けるためにも、故障や事故に至る前の計画的な交換が重要です。

冬場は給湯器の故障が特に増える季節です。寒い時期に故障すると修理依頼が集中して業者の手配に時間がかかるケースもあります。そのため、冬が来る前のタイミングでの交換が安心とされています。特に使用から10年を迎える給湯器は、寒くなる前に新品に交換しておくことで緊急の給湯切れを未然に防げます。

故障のサインと具体的な症状

給湯器の寿命が近づくと、いくつか故障のサインが現れることがあります。以下のような症状が出始めたら、早めの点検・交換を検討しましょう。

お湯の温度や出方の異常

お湯が急にぬるくなる、温度が安定しない、途中で水に変わってしまう、蛇口を開いてもお湯が出ない、といった症状。

追い焚き機能の不調

追い焚きができない、浴槽のお湯張りの水位が毎回ずれる等。

異音や異臭

運転時に今まで聞こえなかった大きな音や異音がする、燃焼時に酸っぱい臭いや焦げ臭い臭いがする、あるいは白い煙が出る等。通常と違う音・臭いは経年劣化による不具合の兆候です。

本体の老朽化

給湯器本体や排気口周辺にサビが発生している、水漏れしている、リモコンにエラーコードが表示される等。サビや水漏れは内部劣化のサインであり、放置すると重大な故障につながります。

これらの症状を見逃さず、故障が本格化する前に交換を決断することが大切です。特に給湯器の寿命目安である10年を超えている場合は、たとえ大きな不具合が起きていなくても早めに動く方が結果的に安全・経済的と言えるでしょう。古い給湯器を使い続けて何度も修理するより、新しい機種に交換した方がガス代節約や省エネ効果も期待できます(10年以上使用の古いふろ給湯器が発火事故を起こした事例も報告されています)。交換費用自体も一般に20万円以内に収まるケースが多く、10年超で故障が増えることを考えると、修理を重ねるより新しい給湯器への交換がおすすめです。

戸別交換と一括交換の違いと費用負担の考え方

マンションの給湯器交換には、各戸が個別に交換する(戸別交換)方法と、管理組合が主導して複数の住戸分をまとめて実施する(一括交換)方法があります。それぞれメリット・デメリットがありますが、まず押さえておくべきは費用負担の原則です。

給湯器は基本「専有部分」:費用は各区分所有者の負担

マンションの給湯器本体は各住戸専用の設備であり、一般的には区分所有者の財産(専有部分)とみなされます。そのため交換費用は各居住者(区分所有者)の自己負担となり、工事の手配も各自で行うのが基本です。

管理組合の修繕積立金や管理費は廊下や屋根など共用部分の維持管理のための資金であり、専有部分である給湯器の交換に充当することはできません。たとえ同じ時期に多数の給湯器が一斉に故障した場合でも、原則として各戸それぞれ自己負担で交換することになります。このルールは区分所有法および多くのマンションの管理規約に基づいて定められており、「なぜ共用の修繕積立金でまとめて交換できないのか?」という住民からの疑問に対しては、専有部分と共用部分の区分および費用負担の原則を丁寧に説明する必要があります。

ただし注意点として、給湯器の設置場所や配管の一部が建物構造に組み込まれている場合、その部分は共用部分として扱われるケースもあります。例えば各戸の給湯管やガス管が建物の共用配管と一体で通っている部分などです。そのため機種変更や号数アップ、高効率機種(エコジョーズ等)への変更によって共用部分に影響が及ぶ場合は、事前に管理組合の承認や届出が必要とされるのが一般的です。

国土交通省のガイドラインでも「一定以上の大容量給湯器の設置など共用設備の能力に影響を及ぼす専有部分工事」は理事会承認を要する工事と位置付けられています。したがって現在使用中の給湯器よりも大きな号数の機種に変更したり、従来型からエコジョーズへの切り替えを希望する場合などは、必ず事前に管理規約を確認し、管理組合や管理会社へ相談・許可取得を行うようにしましょう。

戸別交換の特徴:自由度は高いが割高になる傾向

戸別交換とは、各住戸が必要に応じて個別に給湯器を交換する方法です。故障して初めて交換するケースや、各自の判断で寿命に合わせて交換するケースがこれに当たります。戸別交換のメリットは、各住戸の自由なタイミングで好きな業者や機種を選べる点です。他戸の状況に左右されず、自分の給湯器が故障したり寿命と感じた時点で迅速に交換できます。また、機種選定の自由度も高く、「少し高くても最新の高機能モデルにしたい」「あえて安価なシンプル機種で十分」など個別のニーズに合わせられます。

一方デメリットとして、費用面で割高になりやすいことが挙げられます。各戸バラバラに業者を呼んで1台ずつ交換するため、ボリュームディスカウント(まとめ割引)が利きにくく、一台あたりの交換費用が高めになりがちです。また、多くの住戸で同時期に故障が発生した場合、各自が別々に業者を探す手間や、マンション全体で工事が散発的に行われ近隣への影響(騒音・作業員の出入り)が長引く可能性もあります。特に築20年前後のマンションでは給湯器が次々と寿命を迎える時期になるため、個別対応では冬場に修理待ちが重なるなど居住者にとって不便が大きくなるケースもあります。

一括交換の特徴:安全・経済メリット大も調整が必要

一括交換とは、管理組合が音頭を取って一定時期に複数戸の給湯器交換をまとめて実施する方法です。築20年超のマンションでは、管理組合主導で給湯器の一斉更新を検討・実施するケースが近年増えてきました。一括交換の最大のメリットは、緊急の給湯切れトラブルを未然に防げることです。計画的に温暖な時期(例:4~9月)にまとめて交換しておけば、冬場のピーク時に突然お湯が使えなくなる心配が減り、生活への支障を大幅に抑えられます。

費用面でもスケールメリットによる割引が期待できます。複数台を同じ業者にまとめて発注することで「グループ割引」が適用され、通常より単価を下げてもらえる可能性があります。実際に管理組合が交渉し「通常より◯万円安い特別価格」を引き出した事例もあり、参加者は割安な費用で交換できるメリットがあります。例えば個別に交換すれば1台20万円前後かかるところ、一括実施で1台あたり数万円程度安くなるケースもあります(台数や業者により異なります)。このように各戸負担ではあるものの、管理組合の取り組み次第で住民の経済的負担軽減に寄与できる点は大きな利点です。

さらに、一括交換では工事日の調整や業者選定も組合が取りまとめるため、各戸が個別に業者探しや日程調整をする手間が省けます。居住者にとっては「管理組合に任せればスムーズに交換できる」という安心感につながり、負担軽減・満足度向上につながります。加えて、業者との契約を組合が一括で行うことで、交換後の保証延長(例:「〇年間の延長保証」)やアフターサービス(例:「〇年後の無料点検」)といった特典を取り付けられる場合もあります。このように、一括交換は安全面・経済面の双方で大きなメリットをもたらす方法です。

もっとも一括交換には事前準備と調整が欠かせません。まず、対象戸数と実施時期の見極めが重要です。管理組合で各戸の給湯器使用年数をアンケート調査し、「○年には全○戸中○割が交換時期を迎える」などデータを把握するとよいでしょう。その上で複数の業者から一括見積もりを取り、割引率やサービス内容を比較します。場合によってはコンサルタント(専門家)が業者選定や見積査定を支援してくれるサービスもあります(詳細は後述の「スマート修繕」に触れます)。

最適な業者を決めたら理事会で交換プランを策定し、各戸任意参加で募集をかけます。一括交換は強制はできずあくまで希望者のみですが、一定数以上が集まらないと割引条件が適用されない場合もあるため、「◯戸以上集まれば工事実施」といった条件設定も検討します。参加しない住戸があっても問題ないことを周知しつつ、「今交換しないのはもったいない」と思う方には長期的な費用比較(今後個別に交換すると結果的に高くつく可能性)や充実した保証内容など納得材料を提示して、できるだけ多く参加してもらう工夫が大切です。

実施にあたってはスケジュール調整も綿密に行います。工事日は各戸の都合を考慮し、予備日を含め余裕を持った計画を立てましょう。留守世帯への対応として、鍵の預け方や管理人立ち会いなどの取り決めも事前に決めておきます。工事期間中、周辺住戸への配慮(騒音・搬出入経路の確保など)も忘れずに。交換作業後は各戸に保証書を配布し、アフターサービスの窓口(問い合わせ先)を明示しておくことも重要です。

最後に、一括交換を実施した場合でも参加しなかった世帯へのフォローを検討しましょう。次にその世帯の給湯器が故障した際、過去に組合で交渉した業者の特別価格を適用してもらえるよう取り計らうなど、公平感に配慮すると良いとされています。一括交換工事が完了したら、理事会から「○年○月に◯戸の給湯器一斉交換工事を無事完了しました。ご協力ありがとうございました。」と報告し、実績と効果を記録に残すことで、将来の修繕計画に活かすことができます。

給湯器交換の費用相場と種類ごとの価格帯

続いて、給湯器交換にかかる費用相場と、給湯器の種類・性能による価格帯の違いについて解説します。費用を正確に把握し、無駄のない機種選定をすることで、交換コストを抑えることが可能です。

給湯器交換費用の一般相場

給湯器の交換費用(本体・リモコン・基本工事費込み)は、給湯器の種類によって次のようなおおよその幅になります。

● 給湯専用タイプ(お湯のみ):10万円前後〜十数万円程度

● ふろ給湯器(自動お湯張り・追い焚き付き):15万円台から20万円台程度

● 暖房機能付きふろ給湯器(給湯+暖房):20万円台後半〜30万円前後

上記はあくまで目安ですが、給湯専用 → ふろ給湯器 → 暖房機能付きのように機能が増えるほど、本体価格や工事費も高くなるのが一般的です。大まかな相場としては、暖房機能なしであれば総額15~20万円前後、暖房機能付きであれば30万円台程度になるケースが多く見られます。

また、設置場所によっても費用が変わる場合があります。特に、玄関脇のパイプスペースに納めるPS設置タイプと、バルコニー壁面などに取り付ける壁掛けタイプでは、構造の違いにより価格差が生じることがあります。一般的に、PSタイプは特殊形状のためやや割高になる傾向があります。

同じ種類・同程度の性能で比較する場合、メーカーによる価格差はそれほど大きくありません。そのため、「今と同じメーカーでないといけない」というこだわりは、費用面ではあまり影響しないことが多く、必要な性能や機能を基準に選んで問題ありません。

ただし、号数(給湯能力)を上げたり、省エネ性能の高いタイプを選んだりすると価格は上がる点には注意が必要です。例えば、号数を上げると本体が高くなり、省エネタイプへ切り替えると数万円程度上乗せされることがあります。一方で、省エネタイプはガス使用量を抑えられるため、光熱費の削減で長期的にメリットが出る場合もあります(補助金の対象になることもあります)。

さらに、従来タイプから省エネ型への変更、号数アップ、設置方式の変更などを行う場合には、追加工事が必要となることがあります。例として、ドレン排水の接続工事が必要になるケースや、ガスメーター・配管・排気経路の容量確認が求められるケースなどがあります。このような追加工事の有無によって総額が変わるため、見積もり段階で「仕様変更時の追加費用」を必ず確認することが大切です。

事前に、自宅の給湯器のタイプ・設置場所・号数を把握しておくと、過不足のない機種を選びやすくなり、無駄な出費を防ぐことにつながります。

給湯器の種類(機能)と号数ごとの違い

ここで、マンションで使われる給湯器の種類別の機能と号数について簡単に整理します。自宅に適したスペックの給湯器を選ぶ参考にしてください。

給湯器の主な種類(機能別)

給湯専用タイプ

キッチンやシャワーなどにお湯を供給する機能のみ持つ。浴槽の自動お湯張りや追い焚きはできない。比較的安価で構造がシンプル。

ふろ給湯器

給湯+浴槽自動お湯張り・追い焚き機能を持つタイプ。ボタン一つで設定湯量までお湯張りし、冷めたお湯を再加熱(追い焚き)できる。オートタイプとフルオートタイプがあり、フルオートは自動足し湯や配管洗浄機能も備える。

給湯暖房熱源機

給湯とふろ機能に加え、温水式床暖房や浴室乾燥機など暖房用熱源としての機能も統合したもの。1台で複数の設備に温水を供給できるが価格は高め。

※戸建て向けでは貯湯式(エコキュート等)もありますが、マンションでは構造上エコキュート等は設置が難しく現実的にはガス瞬間湯沸式(上記の種類)の給湯器を使用する場合がほとんどです。

給湯器の号数(能力)

号数とは「水温+25℃のお湯を1分間に出せる量(リットル)」を示す単位で、16号・20号・24号などがあります。号数が大きいほど、一度に大量かつ複数箇所でお湯を使うことが可能です。マンションの家庭用給湯器では16号~24号程度が一般的で、世帯人数や同時使用状況に応じて選ばれます。

目安としては以下の通りです。

16号

1人暮らし向け。シャワーと給湯の同時使用は想定せず、一度に複数箇所でお湯を使わない場合に適合

20号

2人暮らし向け。大量のお湯を同時に使う機会が少ない家庭なら20号でも概ね足りる。

24号

3~4人以上の家族向け。同時にキッチンとバスでお湯を使う、シャワーを複数使うなど同時使用が多い場合に安心。

現在使っている給湯器でお湯不足を感じていないなら同じ号数を選ぶのが基本です。逆に「冬場にシャワーの温度が下がる」「同時に使うと湯量が足りない」といった不便があれば、一つ上の号数にアップすると解消できる可能性があります。ただし号数を上げる際は前述の通り管理組合の承認が必要な場合がありますので注意してください。適切な号数を選ぶことで、不必要に大きな機種を選んでガス代が割高になることも防げます。

給湯器交換の費用を安く抑えるためのポイント

給湯器交換は決して安い買い物ではありませんが、工夫次第で費用を抑えることが可能です。ここでは費用削減の具体的な方法を紹介します。

複数業者の相見積もりを取って比較

まず基本となるのが複数の業者から見積もりを取ることです。一社だけの見積もりで即決せず、できれば2~3社以上に現地を見てもらい、価格と提案内容を比較検討しましょう。給湯器本体の価格はメーカー希望価格から各社割引幅が異なり、また工事費も業者によって違います。相見積もりを取ることで、「A社では〇〇万円だがB社では△△万円だった」「リモコンや延長保証のサービスが付いている」など違いが見えてきます。競合することで値引き交渉の余地も生まれるため、結果的に最安値で契約できる可能性が高まります。

マンションの場合、管理組合が主導して見積もりを取るのも有効です。信頼できる業者をいくつかピックアップし、「○戸まとめて交換する場合の見積金額」を提示してもらいましょう。各社の割引率やアフターサービス内容を比較することで、最も条件の良い業者を選定できます。最近では、業者選定や見積査定を専門家(コンサルタント)が支援するサービスも登場しています。管理組合でノウハウが無い場合や、多数の業者交渉が難しい場合は、後述する「スマート修繕」のようなプロのサポートを活用するのも一つの方法です。

適切なグレード・機種を選ぶ

給湯器は高機能になるほど高額になります。自宅に必要な機能を見極め、過剰なスペックの機種を選ばないことも費用節約のポイントです。例えば「お湯張りや追い焚きを使わない生活スタイルなら給湯専用タイプで十分」「台所とシャワーを同時に使うことはまず無いので16号でも不自由しない」など、各家庭のニーズに合わせてグレードを選定しましょう。フルオートタイプも便利な機能ですが、オートタイプとの差額(数万円)を惜しむ場合はオートで妥協する選択もあります。各メーカーのカタログやウェブサイトで機能差を比較し、本当に必要な機能だけを備えた機種を選ぶことで、本体価格と工事費を抑えることができます。

また、マンションによっては外観統一や安全上の理由で「後継機種は同等品に限る」とするケースもあります。その場合はグレードを下げすぎることはできませんが、逆に不必要なハイスペック機への変更はできないので結果的に安く済むとも言えます。管理規約や管理会社から指定がある機種(型式・カラーなど)がないか事前に確認し、その範囲でコストパフォーマンスの良いモデルを選ぶようにしましょう。

エコジョーズと補助金制度の活用

高効率給湯器(エコジョーズ)は従来型に比べて本体価格がやや高めですが、ガス代の節約効果や各種補助金制度を活用することで、長期的にはコストメリットが期待できます。
エコジョーズは燃焼時の排気熱を再利用してお湯をつくる仕組みのため、給湯効率は約95%と高く、従来型(約80%前後)よりもガス使用量をおおむね15%ほど抑えることが可能です。結果として、光熱費の削減と環境負荷の軽減に役立ちます。

◆ 東京都の補助制度(例)

東京都では、既存マンションを対象とした高効率給湯器の導入支援事業が実施されています(例:令和7年度「分譲マンション省エネ型給湯器導入促進事業」)。
マンション管理組合がエコジョーズ(ガス)またはエコフィール(石油)を一括交換する場合、

  • 追い焚き機能付き:1台あたり7万円
  • 追い焚き機能なし:1台あたり5万円

の補助金が受けられます。

さらに、マンション全体で再エネ由来の電力メニューを導入している場合は 1台あたり3万円が追加 され、最大10万円/戸 の補助が可能です。

※申請は管理組合が行い、個人の区分所有者は直接申請できません。

◆ 国の補助制度

国でも、省エネ性能の高い給湯器への交換を支援する補助制度が毎年度実施されています。
対象となる給湯器の種類や補助額、申請条件は年度ごとに変更されるため、国土交通省・経済産業省などの最新発表を確認することが重要です。

◆ 補助金利用のポイント

補助金には、

  • 対象期間
  • 対象機種
  • 事前手続きの有無
  • 予算上限や申請締切

など細かな条件があります。マンションの管理組合でまとめて申請する場合、事前にエネルギー事業者や自治体への登録が必要なケースもあります。

給湯器の交換を検討する際は、「給湯器 補助金 年度」といったキーワードで最新情報を確認しておくと、利用可能な制度が見つかる可能性があります。条件が合えば、数万円規模で初期費用を軽減できるため、ぜひ積極的に活用しましょう。

その他の費用節約策

既存リモコンや配管類の再利用

交換時にリモコンや配管接続部材を新品交換するのが通常ですが、場合によっては既存のものをそのまま使えるケースもあります。特に築年数が浅くリモコンが最新型の場合などは再利用できれば数千円~1万円程度節約できます。ただし互換性や故障リスクもあるので、業者と相談の上で判断してください。

不急の工事を同時実施

もし他に給湯器まわりで気になる点(例:お風呂の水栓交換や浴槽エプロン内清掃など)があれば、給湯器工事のついでに同時依頼すると割安になることがあります。別々に呼ぶより出張費が一本化できるためです。逆に、緊急性のない付随工事は見送ることでコストダウンにもなります。

支払い方法の工夫

施工業者によってはクレジットカード払い対応や、自社ローン・リフォームローンを提供している場合があります。一括支払いが難しい場合は無理せず分割払いを検討しましょう。また、カードのポイント還元やキャンペーンを利用すると実質的な値引き効果が得られます。

メーカーや販売店のキャンペーン

時期によってはメーカーのキャッシュバックキャンペーンや、販売店独自の割引キャンペーンが行われていることもあります。例えば「○月限定工事費無料」や「旧製品在庫処分特価」などです。管理組合経由でまとめて購入する場合も、そうしたキャンペーン情報を業者に問い合わせてみるとよいでしょう。

給湯器交換工事の注意点(居住中工事・管理規約・配管など)

実際に給湯器を交換する段階では、工事に関する諸注意を押さえておく必要があります。マンション特有のルールや配慮事項もありますので、スムーズかつ安全に工事を完了させるためのポイントを解説します。

管理組合・管理会社への事前連絡と承認

マンションでは、勝手に給湯器を交換してはいけません。分譲マンションの場合、工事に入る前に管理会社または管理組合に連絡し、所定の手続きを踏むことが求められます。多くのマンションでリフォーム工事全般に関する申請ルールがあり、給湯器交換程度であっても事前届出が必要なケースが一般的です。届け出の際には工事内容(旧給湯器の型式・新給湯器の型式や号数・設置場所)、工事予定日時、施工業者名・連絡先、工事方法の概要などを記入させるフォーマットを用意している管理組合もあります。規約上「給湯器交換なら届出のみで承認不要」とされているマンションもありますが、それでも管理会社への連絡は必ず行いましょう。万一工事によって共用部分に不具合が生じた場合の復旧責任などについても、申請書に誓約事項を盛り込むことでトラブル防止につながります。

特に共用部分に設置された給湯器(玄関廊下のPS内やバルコニー壁面にあるケース)では、工事中に共有部を養生したり作業員が共用廊下を使用したりします。従って管理組合の許可なしに無断で工事することは厳禁です。工事日の数日前までに正式に申請・承認を得て、管理員さんや周囲の住戸にも「何月何日何時頃~何時頃に○○号室で給湯器交換工事あり」と周知してもらうとベターです。マンションによっては工事可能な曜日・時間帯に制限があります(例:日曜・祝日の工事禁止、平日は午前9時~午後5時までなど)。事前連絡の際に必ず工事不可の日時がないか確認し、その範囲で日程調整しましょう。

居住者側の準備と当日の対応

居住中の工事では、施主(依頼者)の立ち会いが基本です。工事当日は作業開始前に給湯器周りの荷物や障害物を片付けておきましょう。特にバルコニー設置タイプの場合、植木や収納物で作業スペースが塞がっていると工事が進められません。作業員が安全に動けるよう十分なスペースを確保してください。また、工事中はガスと水道を一時的に止める必要があります。キッチンや洗面所も含めて数時間お湯が使えなくなるので、事前にお風呂や炊事を済ませておくか、断水時間を承知しておきます。一般的な給湯器交換作業は約1~5時間程度で完了します。給湯専用タイプなら配管やリモコンが少ない分短時間で済みますが、ふろ給湯器や暖房熱源機は接続箇所や試運転項目が多いため長めになります。

工事中は室内外でドリルやハンマー音が出ることがあります。近隣への騒音配慮として、直上直下や隣接住戸へ事前に挨拶しておくと良いでしょう。「○月○日○時頃から数時間、給湯器交換工事で音が出ますがご了承ください」と一言伝えておけばトラブル防止になります。特にPS内作業では廊下に音が響く場合があります。管理会社にお願いして掲示板に周知してもらう手も有効です。

また、エレベーターの使用についても注意します。大きな給湯器本体の搬出入ではエレベーターを使うことが多いですが、キズ防止のため養生が必要です。管理員や業者と連携し、養生板やシートでエレベーター内や共用廊下を保護してから運搬しましょう。工事業者は通常こうした対策に慣れていますが、もし管理組合指定の方法などあれば事前に伝達しておきます。

交換作業完了後は、新しい給湯器の試運転と使い方の説明があります。立ち会い者(居住者)はリモコンの操作方法や設定温度の確認、不具合がないかを一緒に確認しましょう。特にお風呂自動充填の水位や湯温、追い焚き動作などは実演してもらい、問題なく動くことを確かめます。併せて古い給湯器の処分方法も確認します(通常は業者が持ち帰り産業廃棄物として処理してくれますが、念のため確認)。保証書や取扱説明書、リモコンの電池なども受け取り、工事代金の支払いを済ませれば完了です。

共有配管・排気など技術面での留意点

マンションの給湯器交換では、共有部分と接続する部分への影響にも注意が必要です。例えばガス給湯器の排気筒(排気カバー)は、多くのマンションで共用廊下側に面しています。新しい給湯器の排気口位置や排気量が旧機種と大きく異なる場合、美観や安全の観点から管理組合の許可が必要になることがあります。基本的には同じ場所・同じ向きに排気する機種を選び、大幅な変更を伴わないようにします。エコジョーズの場合は排気温度が低下するため排気筒にドレン(水滴)が発生しますが、これはドレン配管で排水するので問題ありません。ただしドレン配管の取り回しで共用部の排水管に接続する際は専門知識が必要なため、資格を持った業者に任せましょう(※エコジョーズ工事には資格登録した施工業者であることが補助金交付の条件にもなっています)。

共有配管との接続について言えば、給湯器の給水・給湯・追い焚き配管は各戸専有部分内ですが、それらが接続される元の縦管や貫通部は共用部分です。工事で共用配管に手を加える必要が出た場合(例:古いバルブを交換するため共有パイプ部分を一時切断する等)は、事前に管理組合の承認を得て、作業後は確実に復旧・止水確認まで行ってもらいましょう。万一工事が原因で共用配管から漏水事故が起きた場合、施工業者の賠償保険で対応できるよう誓約書や工事保険の確認も重要です。

ガス供給設備との関係では、各戸に設置されているガスメーターやガス配管(枝管)の容量もチェックポイントです。号数を上げる際などにガスメーター容量が不足するとガス会社によるメーター交換工事が必要になる場合があります(多くの都市ガスの家庭用メーターは基本24号相当まで対応していることが多いですが、念のため確認)。この点も事前調査で業者が確認してくれます。

最後に非常時の対応について。工事後しばらくは問題なくても、例えば地震で配管接合部が緩むなど予期せぬ不具合が起きることもゼロではありません。交換後しばらくは給湯器まわりに異常(水漏れやガス臭など)がないか日常的に見守り、何かあればすぐ施工業者に連絡しましょう。保証期間内であれば無償対応してもらえますし、保証外でも長く付き合える信頼できる業者を選んでおけば安心です。

まとめ

マンションにおける給湯器交換を安く・効率よく行うためには、計画的な交換時期の見極めと的確な準備・調整が欠かせません。寿命の目安である10年を過ぎたら故障のサインに注意し、早めの交換で冬場の急な給湯トラブルを避けましょう。

マンションでは給湯器は専有部分扱いであり費用は各自負担となりますが、管理組合が主導する一括交換を検討することで安全面・経済面で多くのメリットを享受できます。一括交換に参加しない場合でも、各戸で複数業者の見積もり比較を行い、必要十分なグレードの機種を選ぶことで費用を最小限に抑えられます。また、自治体や国の補助金制度を活用すれば高効率給湯器への更新費用を大幅に削減することも可能です。

工事に際しては管理規約に沿った事前申請と近隣への配慮を忘れずに行い、共有部分への影響や安全対策にも注意して進めましょう。施工中・施工後のトラブルは事前の情報共有と契約書面の取り交わしでほとんど防ぐことができます。管理組合と区分所有者が連携し、必要に応じて専門家のサポートも得ながら進めれば、マンション全体で安心・快適なお湯生活を長く維持できるでしょう。今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひ賢くお得な給湯器交換を実現してください。

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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

二級建築士,管理業務主任者

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