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エレベーターのモーター交換費用と工事の進め方|工事を検討するときのポイントも解説

更新日:2025年04月30日(水)

マンション管理組合やビルオーナーにとって、エレベーターの安全な維持管理は重要な責務です。その中でもエレベーターのモーター(巻上機モーター)は、カゴを上下させる心臓部にあたる部品であり、長年の使用による劣化でいずれ交換が必要になります。しかしモーター交換工事には高額な費用が伴うため、交換費用の相場や工事の進め方、そして検討時の注意点を事前に把握しておくことが大切です。 本記事では、エレベーターモーター交換の費用目安と工事の流れを解説し、交換工事を検討する際に押さえておきたい3つのポイントを順に説明します。

本記事のポイント
  • エレベーターのモーターの役割や安全運行における重要性を学べる。
  • モーター交換の適切なタイミングや寿命の目安がわかる。
  • モーター交換の費用相場や工事の進め方を具体的に把握できる。

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エレベーターのモーターとは?

エレベーターのモーターとは、エレベーターのカゴ(乗降かご)を昇降させるための駆動装置です。ロープ式エレベーターの場合、巻上機に組み込まれた電動モーターがワイヤーロープを巻き上げ下げすることでカゴを上下させます。一方、油圧式エレベーターでは油圧ポンプが同様の役割を果たしますが、いずれにせよモーターはエレベーターの動力源として安全かつ滑らかな移動を支える重要部品です。

モーターはエレベーターの重量物を動かすため高出力で連続運転にも耐える設計ですが、長期間使用すれば内部の絶縁劣化や機械的摩耗が進み、性能低下や故障リスクが高まります。そのため一定の耐用年数を迎えたら計画的な交換が推奨されます。一般にエレベーター全体の寿命は約25~30年とされ​、主要部品である巻上機モーターも20~30年程度が寿命の目安です​。エレベーターの法定耐用年数(減価償却上の年数)は17年ですが​、メーカー各社は計画耐用年数を概ね20~25年程度と設定しています。この期間を過ぎると部品供給の打ち切りや故障頻度の増加により、モーターを含むリニューアル工事の必要性が高まります。

実際、一般的なロープ式エレベーターの巻上モーターは20~30年程度で更新が検討されます​。国土交通省の指針でもエレベーター設備は30年程度での交換が推奨されており​、メーカー計画耐用年数(20年強)を踏まえて多くの建物で2回目の大規模修繕時期(築25年前後)にリニューアルを検討するケースが一般的です​。このようにモーターは長寿命ながら永続的ではなく、経年劣化に伴い交換が必要となる部品なのです。

エレベーターのモーターは通常、機械室や昇降路上部に設置されており、減速機(ギア)やシーブ(滑車)を介してロープを巻き取ります。モーターにはブレーキ装置や制御装置が連動し、所定の速度・位置でカゴを停止させる役割も果たします。経年劣化したモーターでは巻上げ力の低下や動作音の増大(モーター音が大きくなる)といった症状が現れることがあり​、放置すれば運転中の異常振動や過熱による故障につながる可能性があります。したがってエレベーターの安全運行を維持するには、モーターを含む主要機器の寿命を把握し、適切なタイミングで更新することが不可欠です。

エレベーターのモーター交換費用はいくら?

エレベーターのモーター交換には数百万円規模の費用がかかるのが一般的です。具体的な金額はエレベーターの種類や工事範囲によって大きく異なりますが、1基あたり約500万~700万円程度が費用相場の目安とされています​。この範囲はモーターと制御盤等を同時に更新する「制御リニューアル工事」の場合であり、工事内容によって幅があります。

モーター交換費用はエレベーターの規模・方式や交換する部品の範囲、依頼する業者など複数の要因で変動します。例えば、小規模なエレベーターでモーター単体のみを交換する場合と、モーターに加えて制御盤や付随部品も一緒に交換する場合とでは費用に大きな差が出ます。また、エレベーターを新設同様に全交換するケースより、モーター部分のみの更新に留める部分リニューアルの方が費用を低減できる傾向があります​。さらに、メーカー系の業者に依頼するか独立系の業者に依頼するかによっても見積額が異なることが知られています​。

実際の事例でも費用には幅があります。ある賃貸マンションでエレベーターのモーターのみ交換したケースでは、交換費用は150万円ほどだったとの報告があります​。一方、築25年以上経過した小規模エレベーターでモーター交換費用が約400万円と見積もられた例もあります​。このように最低でも百万円台半ばから、機種や工事内容によっては数百万円規模に及ぶことがわかります。一般的なマンションの部分リニューアル工事(巻上機モーターと制御盤等の更新)では500~700万円程度の予算を見込むケースが多く​、エレベーター1基あたり数百万円単位の支出は避けられないと考えておくべきでしょう。

モーター交換費用に影響する主な要素として、エレベーターの規格・台数(大型・多数になるほど費用増)、設置場所や建物構造(搬入出の難易度が費用に影響)、工事範囲(モーター単体か制御系統も含めるか)、そして業者の種類(メーカー系か独立系か)などが挙げられます​​。実際の費用は個々の状況によって大きく異なるため、具体的な金額は専門業者に確認する必要があります​。見積もりを依頼する際には、交換対象や工事条件を詳しく伝え、複数社から提案を受けることで適正な相場感を把握するとよいでしょう。後述する補助金制度の活用などによって負担軽減が図れる場合もありますので、費用面の検討は総合的に行うことが重要です。

工事の進め方

エレベーターのモーター交換工事を円滑かつ安全に進めるには、専門業者の協力のもと綿密な計画と準備を行うことが重要です。事前の診断から関係者への周知、必要な法的手続き、そして工事当日の安全管理と試運転確認まで、段取り良く進めることで工事期間の短縮と利用者への影響を最小限に抑えることにつながります。

エレベーターは建築基準法で定期検査や改修時の手続きが定められた建築設備です。その主要機器を交換する工事では、専門知識を持つ技術者による施工が求められるほか、場合によっては行政への申請や検査が必要となります。また、工事中はエレベーターが使えなくなるため居住者の生活に直結します。適切な事前周知や代替策の検討を怠ると利用者に大きな支障を来す恐れがあります。このように、技術面・法律面・利用者対応面のすべてに配慮して進める必要があるのです。

エレベーターのモーター交換工事の一般的な流れを段階ごとに説明します。

まず事前準備として、現在のエレベーターの状態を専門の技術者が診断し、モーターや関連部品の劣化状況を評価します。ここで交換の必要性や優先度を判断し、交換する部品の範囲(モーター単体か制御盤等も含めてか)を検討します。次に、信頼できるエレベーター業者から見積もりを取得し、工事内容・費用・工期の計画を立てます。管理者はその見積もりをもとに予算やスケジュールを検討し、工事実施を決定します。工事日程が決まったら、建物の利用者全員に工事予定を周知します。掲示板への張り紙やチラシ配布、エレベーター内への告知などで、エレベーターが使えない期間や工事の概要を事前に知らせます​。また必要に応じて、自治体への建築確認申請など所定の行政手続きも行います​。こうした準備段階を丁寧に進めることで、工事当日のトラブルを防ぎスムーズな施工に繋がります。

準備が整ったら工事開始です。工事当日はエレベーターを運休(停止措置)し、かごの位置固定や電源遮断など安全対策を講じた上で作業に入ります。まず老朽化した既存モーターの取り外しを行います。巻上機室にクレーンやチェーンブロック等の吊り上げ機材を持ち込み、重量のあるモーターを慎重に撤去します。続いて新しいモーターの据付を行い、巻上機や制御盤との接続を適切に調整します。モーター交換後には試運転を実施し、エレベーターの動作状況を綿密にチェックします。加速度や停止位置の調整、非常用ブレーキや非常電源装置の動作確認など、安全に関わる項目を一通り点検します。問題がなければ工事は完了です。工事規模によりますが、モーターと制御系のみの部分的な交換であれば工期は約1週間程度で終わるのが一般的です​。最後に、必要に応じて所轄行政による完了検査(検査済証の取得)や定期検査報告の実施タイミングの調整を行い、エレベーターを通常運転に復帰させます。以上がモーター交換工事のおおまかな進め方であり、専門業者と連携しながら計画・施工・検査を着実に進めることが成功のポイントです。

エレベーターの交換工事を検討するときのポイント

交換工事を検討する際に押さえておきたいポイントが3つあります。

交換が必要なタイミングを見極める

エレベーターのモーター交換は、適切なタイミングで計画的に実施することが重要です。劣化が限界に達して重大な故障が起きる前に交換するのが理想であり、エレベーターの設置後の年数や故障状況、部品供給状況を総合的に判断して時期を見極めます。

エレベーター設備にはおおよその寿命目安があり、その時期を過ぎると故障や不具合が増える傾向にあります。国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」では、エレベーターは15年目に補修(部品交換等の中規模修繕)を行い30年目に取替(リニューアル)を行う周期がモデルケースとして示されています​。多くのマンションでは築20~25年ほどでエレベーターの全面改修を検討し始めるのが一般的で、このタイミングはちょうど設置後2回目の大規模修繕工事に合わせて計画されます​。また、エレベーターメーカー各社も自社製品の耐用年数を概ね20~25年程度と公表しており​、設置後20年以上経過したら交換・リニューアルの検討を始めることが推奨されています。

実際の交換検討の判断材料としては、経過年数だけでなく故障の頻度や部品の供給状況も重要です。例えばメーカー側でエレベーターの保守部品供給が終了してしまうと、モーターが故障した際に交換部品が入手できず修理不能になる恐れがあります。そのためメーカーが「生産終了後○年で部品供給停止」と定めている場合、その期限が近づいた段階で更新工事を計画すべきです。実際、日立ビルシステムでは機種生産終了後20年を経過した時点で保守部品の提供を原則停止するとしており​、このようなケースでは供給停止となった時点で交換を検討することが望ましいとされています​。また、エレベーターの故障や不調が増えている場合も要注意です。モーターの過熱や異音、振動などトラブルが頻発するようであれば、利用者の安全を確保するため早急に交換を検討すべきタイミングといえます​。

工事費用の検討と業者選び

モーター交換工事の費用対策として、適切な業者選びと見積もり比較が重要です。複数の施工業者から提案を受け、費用相場やサービス内容を比較検討することで、納得のいく価格と質で工事を依頼できます。

エレベーターの改修工事費用は依頼する業者の種類によって大きな差が出る場合があります。一般に、エレベーターメーカーの系列会社(メーカー系業者)に工事を依頼すると純正部品や高度な技術力の提供を受けられる反面、費用はやや高めになる傾向があります。

一方でメーカーと資本関係のない独立系の専門業者に依頼すると、複数メーカーのエレベーターに対応できる柔軟性や価格の割安さが期待できます​。例えば「価格重視で選ぶなら独立系、安心・安全を重視するならメーカー系を選ぶのが良い」という意見もあります​。このように業者選定によって費用面・サービス面の特徴が異なるため、自社のニーズに合った業者を選ぶことがポイントになります。

実際、メーカー系と独立系の費用差を比較すると、独立系は価格が割安です​。独立系業者は特定メーカーの縛りがないため旧型エレベーターの改造にも柔軟に対応でき、競争原理により費用が比較的抑えられる利点があります。ただし技術力やアフターサービスの質は各社で異なるためしっかり確認することが重要です​。一方、メーカー系業者は自社製エレベーターへの深い知見があり、保守部品の供給も含めて技術力・保証体制に優れる安心感がありますが、その分費用は高めとなる傾向が指摘されています​。

なお、自治体によってエレベーターの改修工事に対する補助金制度があります。例えば国土交通省は既存エレベーターの耐震・停電対策改修に対し1基あたり最大950万円の補助金上限額を設けて支援を拡充しています​。老朽エレベーターの地震対策や非常用電源設備の導入工事が補助対象となる場合がありますので、該当しそうな場合は積極的に情報収集し活用を検討しましょう​。こうした公的補助の活用や工事内容の工夫によって費用負担を軽減できる可能性があります。最終的には信頼できる業者に施工を任せることになりますが、費用面で無理のない範囲で最大の効果が得られるよう、業者選定と費用検討を慎重に行うことが成功のカギです。

利用者への配慮と安全確保

エレベーターのモーター交換工事を進める際には、建物利用者への影響を最小限に抑えながら、安全性と法令遵守を確保することが重要です。とくにマンションやオフィスビルでは、エレベーターが一定期間使用できなくなるため、住民やテナントの方々に対する丁寧な配慮が求められます。

工事に伴う不便を軽減するためには、事前の情報共有が欠かせません。工事日程やエレベーター停止期間を掲示板や回覧で通知し、住民が心構えを持てるようにします。高齢者や車椅子利用者がいる場合は、階段昇降時のサポート体制を整えたり、必要に応じて一時的な部屋の移動を検討するなど、きめ細かな配慮が求められます。また、騒音や振動が予想される場合には、その内容や時間帯を事前に伝え、理解と協力を得られるようにすることも大切です。

こうした対応を丁寧に行うことで、住民の不満や混乱を防ぎ、スムーズな工事進行につながります。工事中のサポートだけでなく、たとえば宅配便の受け取りや重い荷物の運搬への配慮など、日常生活への影響をできる限り和らげる工夫も評価されます。

安全面においては、モーター交換と同時に「地震時管制運転装置」や「停電時自動着床装置」といった安全装置の導入を検討することも有効です。これらは後付け可能で、地震や停電時の閉じ込め防止に役立ちます。国や自治体の補助制度が活用できる場合もあるため、専門業者と相談しながら導入を検討するとよいでしょう。

まとめ:モーター点検は専門家に相談しよう

エレベーターのモーター交換工事は費用も規模も大きく、専門的な知識と経験が要求される工事です。そのため、計画段階から信頼できる専門家に相談することが不可欠です。メーカー系・独立系を問わず複数のエレベーター業者に声を掛けて現地調査や見積もりを依頼し、適切なプランを提案してもらいましょう​。専門家の意見を仰ぐことで、交換時期の見極めや工事範囲の妥当性、費用面での妥協点など、自分たちだけでは判断が難しい点について客観的なアドバイスを得られます。

また、エレベーターは建築基準法により定期検査等が義務付けられている設備でもあり、安全性確保の観点からもプロの関与が欠かせません​​。モーター交換工事を適切に実施すれば、エレベーターは最新の機器によって信頼性が向上し、利用者の安心感も高まります。今後モーター交換を検討される際は、ぜひ早めに専門業者や資格を持つ技術者に相談し、最適なリニューアル計画を立ててください。適切な対応と計画的な工事実施によって、エレベーターの安全・安心・快適な運行を長期にわたり維持していきましょう。

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  • エレベータのリニューアル工事の支援実績は多数(過去1年で数百基、2025年2月現在)。特殊品である高速、油圧、リニア、ルームレスの実績もあり、社内にはエレベーター会社、ゼネコン、修繕会社など出身の施工管理技士等の有資格者が多数いますので、お気軽にご相談ください。
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本記事の著者

鵜沢 辰史

鵜沢 辰史

信用金庫、帝国データバンク、大手不動産会社での経験を通じ、金融や企業分析、不動産業界に関する知識を培う。特に、帝国データバンクでは年間300件以上の企業信用調査を行い、その中で得た洞察力と分析力を基に、正確かつ信頼性の高いコンテンツを提供。複雑なテーマもわかりやすく解説し、読者にとって価値ある情報を発信し続けることを心掛けている。

本記事の監修者

遠藤 七保

遠藤 七保

大手マンション管理会社にて大規模修繕工事の調査設計業務に従事。その後、修繕会社で施工管理部門の管理職を務め、さらに大規模修繕工事のコンサルティング会社で設計監理部門の責任者として多数のプロジェクトに携わる。豊富な実務経験を活かし、マンション修繕に関する専門的な視点から記事を監修。

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